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写楽が最近旨くなった秘密はなにか?

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先日用賀のなかむらやで、写楽と出雲富士の蔵元をお呼びして、杜氏と美味しいお酒を楽しむ会が開かれたので、参加してきました。なかむらやの会は時々参加して、ブログに書いてきましたが、この会は蔵元と親しくお話しする時間が十分に持てることが特徴です。こんなにゆっくりお話をする時間が持てる会はここぐらいしかないかもしれません。

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この写真は会が始まる前の写真ですが、右にカウンターがあって、椅子席は24~25人くらい座れる縦長のレイアウトです。この写真でおわかりのように、いつも開会の挨拶は中央でされるのですが、飲みが始まって盛り上げってくると、端の方ではなかなかお話が聞こえにくくなります。

そこでこのお店では各テーブルに蔵元や酒販店の人がまわってお話をする形式をとっています。しかも各テーブルで十分時間が取れるようにいるも2人以上の蔵元をお呼びしているからで、それが特徴になっていますなかなか考えていますね・・・・・・・

僕たちは手前の一番奥の席が定席になっていますが、ここはちょっと離れているので、蔵元とじっくりお話しできるのがいいのです。これからもお願いしますね・・・・

今回は写楽の宮森義弘さんと出雲富士の今岡稔昌さんが来られました。遠くから望遠で撮った写真なのでボケていますが、お見せしましょう。

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左の方が出雲富士の今岡さんで、中央の方が写楽の宮森さんです。一番右端の方は写楽の製造部長の山口佳男さんです

今回は内容が充実していたので、写楽と出雲富士の2回に分けてブログにまとめてみたいと思います。最初は宮森酒造の宮森義弘さんのお話を踏まえながら、写楽のお酒を紹介します。

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このお写真は僕たちの席に来られて、熱い心をお話している時のものです。福島なまりですが、熱い語りをしているところです。昭和51年生まれの37歳の若者?です。若者の心を持った中年というイメージかな。

写楽は宮泉銘醸で造っているお酒ですが、昔から造られていたわけではありません。その辺を整理しておきたいと思います。

宮泉銘醸は義弘さんの父の宮森啓治さんが昭和29年に、会津若松氏にある花春酒造から分家して創業した蔵です。花春酒造は社長が宮森泰介さんですから、親戚関係にあることが容易にわかりますが、現在花春酒造が3500石の大きな蔵に対して、宮泉銘醸は現在700石の比較的小さな蔵です。

しかし、蔵は歴史的有名な鶴ケ城の直ぐ北の観光地としてにぎやかなところにありますが、この蔵の井戸水は磐梯山からの伏流水で、灘の名水といられた宮水にきわめて近い水質を示すので、古くから宮泉と呼ばれていたそうです。これに由来して蔵の名前を宮泉銘醸と名付けたそうです。

蔵の写真をインターネットから拝借しました。この写真は通りに面した会津酒造記念館の入り口の写真のようです。この記念館は約30年前に前社長が蔵を開放して見学できるようにしたもので、大型バスが20代も駐車できる当時としては画期的なもので、多くの人が訪れたようです。通りは城下町の風情がありますね。この通りの前で毎年鶴ケ城桜祭りが行われるみたいです。

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裏にある宮泉銘醸の蔵の入り口の写真も見つけました。下の写真がそのようです。

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この蔵は2年前の東日本大震災で、蔵の倉庫が崩れるという大きな被害を受けたようですが、この写真がいつのものかはわかりません

この蔵では宮泉という日本酒と玄武という焼酎を作っていて、写楽を世に出したのは平成20年のことです。平成19年に同じ会津若松市にあった東山酒造が廃業することになり、その銘柄を引きついで写楽を醸することになったのがきっかけですが、このお酒は義弘さんを抜きにしては語ることはできません

義弘さんは大学を出て、富士通でシステムエンジニアをしていたそうですが、父親から蔵の立て直しを依頼され、10年前に蔵に戻ったのです。酒造りについては全くの素人だったので、蔵に戻って3年間福島県の醸造試験所で通いで、酒造りの研修を受けたそうです。研修所で学んだ酒造りは吟醸の酒造りで、米の洗い方、吸水方法、酒の搾り、貯蔵の仕方、火入れ等当時の造りとは異なる点が色々ありました。蔵の杜氏はその作りは鑑評会用の造りで、普通のお酒をそのような作りにするのは手間がかかりすぎると、反対されたようです。7年前から酒造りを始めていた彼は何とかこの方法を定着したいと思っていたけど、中なか思うには行かなかったようです。

こんな時に写楽を醸造することになり、この酒は自分が学んできた方法でやることを決め、前述の山口さんと二人で試行錯誤をして造り上げてきたのが写楽なのです。そして3年前に今までいた杜氏が辞めて、義弘さんと山口さんとの2人製造管理体制が確立したそうです。僕たちが写楽が変わってきたなと思ったのが3年前ですから、丁度その時期と会うのですね。これで写楽の酒造りの秘密がわかった気がしました。でももっと奥が深かったのです ・・・・・・ これについては最後にお話しましょう

それではなかむらやで飲んだ写楽のお酒を紹介することにします。

1.純米大吟醸 しずく取り

Dsc01527兵庫県産山田錦40%精米の純米大吟醸の1回火入れで、酵母はM310です。アルコール度数16%で、価格は720mlで4200円する写楽の最高峰のお酒です。

M310にしては香りは強い方ではなく、おとなし目の香りですが、果実のようn甘みがきれいに膨らみ、全くいやらしいところがない旨みのお酒です。

このお酒なら文句を言う人はいないでしょうが、ちょっと高いね

2.純米吟醸 備前雄町 

Dsc01530岡山県産雄町50%精米の純米吟醸の1回火入れで、酵母はF701で、半年瓶貯蔵したものです。

雄町と言えばどっしり味と酸味を感じるものが多いけど、口あたりは柔らかく軽い感じだけど、余韻がきれいに伸びるところが雄町らしいと思いました。生を飲んでみたかったな。

雄町サミットには出さなかったけど、福島の酒販店の会では雄町部門で1位になった酒だそうです。価格は1升3675円です。

3.純米 羽州譽

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山形県産羽州譽60%精米の1回火入れの純米吟醸です。酵母はF701で、真澄の7号酵母を福島県で改良したものです。羽州譽は山形県の高木酒造が開発したお米で美山錦と玉龍F10を掛け合わせたものです。

最初に果実のような軽い甘みがあって、後で酸味が後味を切ってくれるお酒で、まるで新政の祐輔のお酒を飲んでいる感じでした。旨みと酸味のバランスが良いと思いました。ちょっと寝かせてもいいかな。 価格は1升2835円です。

4.純米吟醸 酒未来

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酒未来も山縣の高木酒造で開発したもので、美山錦と山酒4号を交配してできた酒米です。酒未来50%精米の1回火入れの純米吟醸です。酵母は同じくF701です。

最初に含んだ時に今までお酒とはちょっと違う味わいが感じられました。僕にとっては茶色い味という感じです。これはお米から来るのでしょう。でも全体のバランスは良く、酸味は少ないものの、後味に切れがあるお酒です。酒未来をうまく引き出しているのかもしれませんね。

価格は升3150円です

5.純米酒 夢の香

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夢の香60%精米の1回火入れの純米酒です。夢の香は福島県が五百万石に代わる米として開発したもので、出羽燦々とと八反錦1号を交配して作ったものです。

飲んでみると、華やかではないが丸く固まった甘みがそのままするっと入ってきて、あまり広がらないですうっと消えていく感じでした。全体には厚みを感じるけどさらっと飲めるので、淡白なお魚に合うかもしれません。価格はちょっと不明です。

今までのお酒とはちょっと次元が違うけど、定番のお酒だそうです

6.純米吟醸 なごし酒

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麹米が山田錦50%精米、掛米が夢の香55%の1回火入れの純米吟醸で、1年半熟成したお酒です。通常のなごし酒は春先に造ったお酒を夏を越して出すお酒(夏越し酒)のことを言い、冷おろしの前に出す酒ですが、それを1年熟成したお酒です。

熟成香はないが、口に含むと甘みが上あごの方にすうっと広がって行くお酒で、 Uさんの言によると飛露喜のようなお酒だそうです。

以前は夢の香の代わりに華吹雪を使ったそうですが、夢の香りの方が米の旨みが良く出ているとのことでした

以上で試飲したお酒の紹介は終わりますが、全体には果実のようなきれいな旨みを売りにしているお酒だと思います。

写楽が最近旨くなったと言われるのは、試験所で研修を受けて学んできた吟醸作りの基本を着実に実施し、400石ほど貯蔵できる冷蔵設備を作るだけでなく、減農薬栽培にも取り組んでいくなど、出来ることなら何でもやるスタンスがあるからではないかと感じました。でもそれだけではないようです。もっと重要なことがあることがわかったので紹介しましょう。

会社を辞めて蔵に戻る時に、送別会で用意してくれたお酒が、14代と 飛露喜だったそうです。そのお酒を飲んだ時は26歳だったそうですが、こんなうまい酒があることを知り、今まで淡麗辛口しか知らなかったので、大いに刺激されたそうです。酒造りにはこんな酒を作りたいというイメージを適確に持つのが大切だと思っているそうです。どこかで同じような話を聞いたことがあるな。それは鍋島の飯盛さんの酒造りに似ていますね・・・・・・。味も近いかもしれません。

味を維持するのはそれだけではないと思っているそうです。お酒の好みは時代に酔っても変わるものですから、絶えず飲み手の消費者の声を聞くこと、その人たちに感謝の気持ちを持ってお酒を作ることをモットーとしているそうです。ですから僕らのようなマニアックな飲み手と会話することを大切にしているそうです。良い酒を作れば売れると考えるのは間違いで、売れるだけではだめで飲んでくれる人に感謝をして造ることが大切だと熱っぽく語った姿が印象的でした。

お酒が売れるようになると、ややもすると生産量を増やすことに心が進み、飲み手の気持ちを見失ってしまう蔵があるように聞いていましたが、義弘さんは絶対そんなことがないようにしてもらいたいと思います。

最後に義弘さんの心を示すエピソードを紹介します。それは東日本大震災の時に自分の蔵も大きな被害を出したにもかかわらず、宮城県の平考酒造で蔵が被害を受けて仕込みができないで残っていた蔵の華」のお米を買い取って、宮泉醸造で純米酒を仕込んだそうです。今後も大震災で被災を受けた蔵を復興支援して行きたいという気持ちを持った気がいのある人です。

是非今後も頑張って新しい日本酒の道を開いてもらいたいと思いました。

最後の最後に面白い写真を見てもらいます。

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二つとも店長の中村さんが持ってきたものです。この二つがどう違うかはわからないけど、右側の東山は昔の写楽を作っていた時の前かけで、左の前掛けは東山の蔵元のお孫さんが社長をしている今井商店からもらったものだそうです。こっちの方が古そうだけど。

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