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川鶴酒造は米の味を上手く引き出す蔵ですね

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6月の末の土曜日になりますが、神田の醇さんのところで香川県の川鶴酒造の蔵元を囲む会がありましたので、参加してきました。 

香川県の蔵のお酒はあまり飲んだ印象がなくて、琴平さんの御神酒を作っている西野金陵という蔵と、最近は日本酒マニアに好まれる悦凱陣(よろこびがいじん)くらいしか記憶にありませんでしたので、どんなお酒を作っている蔵かを知りたったのです。その後自分のブログを調べてみたら、何と2012年に無銘良酒との夕べの会で川鶴のお酒を飲んでいました。

その時の様子は下記のURLを見てください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-7492.html

Dscn2020
この時は専務の越田達夫さんとお会いして、3種類の純米酒の槽屋を飲ませてもらっていましたが、川鶴酒造がわかったとは言えない取材でしたね。

インターネットで調べてみると、香川県は7つしか蔵がないことに気が付き驚きました。四国地方で一番蔵が多いのは愛媛県の82蔵、次いで高知県の28蔵、あまり知られていない徳島県ですら18蔵ですから、7蔵というのは日本でも一番少ない県ではないかな。

どうしてそんなに少ないかというと、瀬戸内海の交通の便が良く、兵庫のお酒がどんどん入ってきたからだそうです。それもわからないでもないですが、県の面積が少ないことも関係してういるかもしれませんね。

そんな中で、川鶴酒造はどんなお酒造りをしているのでしょうか。川鶴酒造は明治24年に川人清造さんが創業したものですが、もともと徳島県で染物業を営んでいたのですが、酒造免許が取れたことで、良い水が取れる財田川のほとりに蔵を建てたのが始まりのようです。

この会に来られた川鶴酒造の社長の川人裕一郎さんで、この蔵の6代目です。

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1991年に東京農大醸造学科を卒業された後、3年ほどアサヒビールに勤務され、その後に広島にある国税庁の醸造研究所で勉強された後、1996年に蔵に戻ったそうです。その時は27歳でした。今専務取締役をされている義兄の越田達夫さんを力を合わせて、酒造りをしてきたそうです。

2005年の36歳の時に社長になられて、現在45歳の脂の乗り切った社長と言えるかもしれません。お酒造りで大切にしていることをお聞きしますと、創業以来「川の流れのごとく、素直な気持ちで呑み手に感動を与える」という精神は引き継いできているそうです。

昭和50年代には9600石もあったそうですが、社長を引き継いだ時には1500石にまで減少していたそうですが、現在は1400石ぐらいだそうです。

父の時代は広島杜氏のお酒造りで、甘口の造りをしていたのですが、何か納得できないものを感じたそうです。酒の質を変えるために、父が引退する前に杜氏が引退する時期に合わせて、但馬杜氏の寺谷保さんに来てもらうようにしたそうで、いまでもその杜氏に来ていただいており、杜氏の社員化はしていないそうです。

今裕一郎さんが考えているお酒造りは以下のようまとめられると思います。

1.お酒の味としては力強くて爽やかで心地よい余韻が楽しめて、切れのあるお酒を目指している。お料理とマッチングしたお酒造りを目指すので、出すぎず、引きすぎずを大切にしているそうです

2.酒造りはお米作りからスタートすることで、農家の人と協力して、香川県産のオオセト、山田錦、さぬきよいまいと岡山県産の雄町をベースに酒つくりをする

3.地元の農家や酒屋や飲食店を大切にして、地元の人とのネットワークを大切に考えており、現在製造したお酒の7割は県内向けだそうです

4.今までなかった新しい味わいの酒造りにもチャレンジする。具体的には香川県産の果物を使ったリキュールや伊吹島産のいりこを炙ってつくった「いりこ酒」などを開発しています。

5.酒造りは蔵元、杜氏、蔵人の協力で生まれるものであり、皆で全力で取り組むことをモットーとする。県外から女性の蔵人(大学の後輩の藤岡さん)が来て頑張っているとの話も聞きました。

最近は蔵元杜氏も多くなっているようですが、自分としては杜氏とは視線が違った立場で酒造りができるので、今後もこれをけていくとのお話でした。

今日はどんなお酒が出てくるのか、それから見える川鶴酒造の酒造りの方向を見てみたいと思いました。早速飲んだお酒を紹介しましょう。

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全部で8種類のお酒を飲みました。遠目でラベルを見ただけではどんなお酒だかわからないでしょう。1本1本チェックしてみます。この蔵は酒質をきちっと表示していますので、それについてもお見せします

0.大吟醸 斗瓶囲い

Dsc_0452このお酒は兵庫県の特A地区の山田錦を40%精米した出品酒レベルの大吟醸で、雫斗瓶取りの1回火入れのお酒です。

アルコール度数は17度、日本酒度+1.4、酸度1.1です

飲んでみましたが、しっかりした旨みの中にきめ細かいオリのバランスがとても良かったけど、出品酒はこんなにオリ味を感じるのかなと思って、お聞きしたら、この酒はオリが十分に沈みきっていない段階で瓶に詰めたのでそう感じたのでしょうね。良くわかるなーと感心されました。

残念ながら今年は入賞したけど、金賞は取れなかったみたいです。

1.純米大吟醸 袋搾り 中垂れ無ろ過生原酒

Dsc_0455香川県産の山田錦50%精米を麹米に、オオセト45%精米を掛け米にして造った純米大吟醸で、袋搾り、中取りの生原酒です。

アルコール度数は17度、日本酒度は+1、酸度は1.5です。

ぴちぴちした旨みではなく、とろっとしたふくらみのある旨みがありながら、後味がきれるお酒でした。

オオセトは広島県で開発されたお米で、瀬戸内地方に適した大粒のお米ですが、固くて溶けにくいので、やんちゃなお米として最近は敬遠されているようです。

この蔵ではこの米の持ち味を出すために良く溶かして使ってるそうで、後味に切れを出すために酸を多めに出しているようです。このバランスが切れを生むのですね。

2.讃州オオセト55 限定直汲み 特別純米酒 無ろ過生原酒

Dsc_0457同じオオセト55%精米の特別純米酒ですか、酵母を7号酵母を使ったそうです。(通常は9号酵母が多いそうです)

アルコール度数18度、日本酒度+3、酸度1.9で、直汲みの生原酒です

今までのお酒とはバランスが違うお酒で、口に含んだ時の旨みの味が違うし、全体に酸味を強く感じるけど、アフターがきれいなお酒でした。

7号酵母なので、少し寝かせてから飲みたかった気もします。

 3.備前雄町50 限定 純米吟醸 無ろ過生原酒 24BY

Dsc_0462_3備前雄町米50%精米の純米吟醸で、製造が24BYなので、蔵で生の状態で1年半熟成した生原酒です。

アルコール度数17度、日本酒度+3、酸度1.5です。

雄町米は扱いだしてから10年以上の経験があるので、今回は酵母を9号酵母と広島酵母のブレンドで行ったそうです。

雄町らしい厚みのある旨みが柔らかくビロードのように広がり、余韻もきれいで、酸もしっかりあるお酒でした。熟成は蔵の熟成庫(かって防空壕だったところ)を利用しているので、+5度の管理だそうです。だからこの優しさが出るのでしょうね。

4.備前雄町60 特別純米 無ろ過生原酒

Dsc_0474備前雄町60%精米の特別純米酒で25BYの生原酒です。3番の雄町とはまたっく違った味で、口に含んだ時に広がり方が違って、上あごの方にすうと広がります。全体的には線が細い感じですが、なじみやすいお酒といえます。

アルコール度数17度、日本酒度+5、酸度1.5です

このお酒はこの夏にすっきりと飲んでもらいたいお酒として造ったものだそうで、9号酵母単独で造ったそうです。

同じ雄町でも造り方を買えるとこんなに変わるのですね。

 5.山田錦65 限定直汲み 無ろ過生原酒

Dsc_0467香川県産の山田錦65%精米の純米酒で、直汲みの生原酒です。

アルコール度18度、日本酒度1.0、酸度1.5です

飲んでみるといかにも山田錦らしい綺麗な旨みが出ていて、膨らみもあります。この蔵のスタンダードなお酒で、初心者にも飲めるお酒として造っているそうです。

  

6.讃州よいまい65 限定直汲み 純米無ろ過生原酒

Dsc_0470讃州よいまいを65%精米した純米酒の直汲み生原酒です。

アルコール度数18℃、日本酒度1.0、酸度1.5

讃州よいまいとは不思議な名前のお米ですね。香川県を代表するオオセトと山田錦を交配したお米です。最初はKU16という生でしたが、香川県知事の一言で、讃州よいまいとなったそうです。良い米と酔い米を兼ねた呼び名のようです。

オオセトの味わいと山田錦のきれいさを求めたお米ですが、確かに両方の味わいがあるけど、グルコース濃度な高いので含んだ時に甘みを感じますが、後味はオオセトに近いかな。

7.備前雄町60 特別純米 無ろ過22BY

Dsc_0464このお酒は備前雄町の60%精米した特別純米を1回火入れして3年間熟成したお酒です

アルコール度は16度、日本酒度+4、酸度1.3です

3年熟成した熟成香がないだけでなく、ちょっと若いというか固い感じがしたのは火入れのせいでしょうか。雄町らしい余韻の伸びは感じられました。

お酒のラベルはお酒の種類によってあまり変わらないので、認識しづらいですね。でも3番7番のお酒は違うのがすぐわります。川鶴の文字の上の鶴の大きさが違っているのです。25BYから川鶴の上に書かれた鶴を大きく書いています。わかりますか?

 8.讃岐クラウディ

Dsc_0478讃岐名物の骨付き鳥に合うお酒として造ったお酒で、アルコール度数6%で本醸造の濁り酒です。

日本酒は麹割合は20%が普通ですが、このお酒は麹割合が50%まで増やしただけでなく、麹菌が黄麹でなく、焼酎で使われる白麹を使った特別なお酒です。

飲んでみると、ヨーグルトのような甘酸っぱさの味がして、言い方えると、大人のアルコール入りカルピスのような味でした。これが骨付き鶏に合うかどうかは試せませんでした。氷を入れてぐいと飲みたいお酒でしたね。

これで飲んだお酒の感想を終えますが、全部飲んで感じたことを言えば、この蔵はお米の特徴を引き出すのが旨いと思いました。

お米の持っている特徴を引き出すためには、色々な味のお酒を作れる技術があるのだと思います。これからもさらに美味しいお酒を作ってください。

最後にこの会で必ずお会いする武内さんと、お酒を提供した福原さんとの集合写真をお見せします。

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最後に川人社長にお願いがあります。ラベルのデザインについて文句をつけるつもりはありませんが、やはり遠目から見てもこれがどんな種類のお酒であるかわかるようにしてもらいたいな。

例えば、米の種類、磨き、生か火入れか、熟成かどうか、などが ラベルの色合い、濃さ、雰囲気などで表わすことはできないのかな?このことを社長にお聞きしたら、めんどくさいと言われていました。このようなことは女性のセンスの方がいいと思うので、奥さまとか、女性の蔵人の力をお借りしてチャレンジすることをお勧めします。

余計なことを言ってすみませんでした。でもお米の種類はわかると絶対いいと思います。

最後の最後 例によってお料理をご紹介します

前菜 しょうゆ豆、えび天      刺身 瀬戸内カルパッチョ
    焼きあじんの酢のもの        鯛、しゃこ、蛸

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椀物 おおさ汁、ワンタン    煮物 さわらのアクアバッツア

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酢のもの いりこ          油もの 豚肉の辛味噌炒め
       夏野菜のサラダ

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事  醇の讃岐うどん
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