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豊の梅(高木酒造)を小さいけど良い蔵です

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先日五反田のお祭り本舗で60回目の蔵元を囲む会が開かれましたので、参加しました。このお店にはJOYOFSAKE の後の2次会等たまにふらりと出向いたりしていたのですが、蔵元を囲む会には初めての参加です。今回は高知県の赤岡町にある豊の梅の高木酒造の高木直之さんをお呼びしての会でした。高木さんとは去年土佐のうまいものと地酒祭りの会でお会いしているのですが、久しぶりにお会いできるので、楽しみにして出かけてきました。

このお店は今更皆さんにご紹介するお店ではなく、酒通の人はよく知られているお店です。でも知らない人のためにホームページを添付しようと思ったのですが、このサイトのホームページは去年から更新されていなくて、あまり役に立ちそうもなかったので、色々調べてみたら、下記のようなサイトが見つかりました。ここから、イベントやブログやFACEBOOKに飛べます

http://omatsurihonpo.jimdo.com/

この日は会の途中で思い立って入り口の写真を撮りに行ったのですが、酔っていたせいかぶれまくり。仕方がなくお祭り本舗のHPの写真を拝借しました

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五反田の駅を出て桜田通りを目黒川のほうに歩いて橋を渡ってすぐ左に曲がれは、写真のように賑やかなお店でが出てきます。

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お店の中には色々なものが貼り付けられていて、賑やかな雰囲気です。左のカウンタの中が調理場で、今赤い法被を着ている方が店長で板前の荻野哲夫さんです。釣りが大好きで、色々なところに魚拓が張ってあります。ちょっと店長をアップしてみますね

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今ちょうどお刺身を造っているところでした。店を見渡しても蔵元の人はいないし、蔵元の会はどこで行われるのかなと思ったら、お店の奥に20人強の人が座れる部屋があり、そこが会場でした。荻野さんのお話では、蔵元の人と直接お話ができる人数でやりたいということで、20人ぐらいが適当と思っているそうで、今後も人は増やさないでやるそうです。それは良いことですね・・・・・・

では早速蔵元を囲む会の様子をご紹介しましょう。

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この方が高木酒造の5代目の社長兼杜氏の高木直之さんです。現在50歳だそうですが、杜氏になったのは8年前の18BYの造りからだそうです。直之さんは広島大学を出られて、バイオテクノロジの会社で微生物関係のお仕事を10年ほどされて、蔵に戻ったのですが、蔵にお戻った時は酒造りは全く知らなかったとのことです。蔵に戻ったのは平成7年ではないかと思われます。

蔵には高知県最後の土佐杜氏といわれる有沢国一さんがおられました。有沢さんは昭和7年の生まれで、高知酒造や土佐鶴酒造を経て、平成5年に高木酒造に来られたそうです。その時すでに61歳だったようです。きっと4代目のお父さんは有沢さんがお元気なうちに直之さんに蔵に戻ってもらい、豊の梅の酒造りを継いでもらいたかったのでしょうね。直之さんは蔵に戻る前に高知県の他の蔵で1年修業をしたそうですが、後は有沢さんを支えながら勉強してきたそうで、平成18年に有沢さんが80歳で引退をして、直之さんが杜氏になられたそうです。

高木酒造は高知県香南市赤岡町にある生産量はまだ350石の小さな蔵ですが、この蔵を説明するには赤岡町を紹介する必要があります。この町は高知市から東へ約20kmに位置して、合併して大きくなる前は日本一小さな町として名を売ったことがあります。海から見るとこの一帯が赤く盛り上がった岡のように見えたことから赤岡という名がついたそうです。昔から交易の中心の町として賑わっていたそうで、今でも色々なイベントか行われています。

その一つは毎年4月高岡町の浜辺で行われる「どろめ祭り」があります。どろめとはかたくちイワシやまいわしの稚魚のことです。どろめ祭りとはその日に地引網で取れたばかりのどろめを肴に大杯飲み干しす競技大会を言います。男性が1升、女性は5合のお酒を大きな盃で一気に飲み干し、飲み干し時間と飲みっぷりの総合点で競い合うものです

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写真のような簡単な舞台をつくり、その台上で飲み干すのですが、男性が約12秒から13秒で飲むそうです。実はここで飲むお酒は高木酒造の3代目の当主の久吉さんが飲みやすく飲み飽きしないお酒として造った「楽鶯 豊の梅」を使っているそうです。

もうひとつのイベントは毎年7月に行われている「絵金祭り」です。絵金とは江戸時代末期から明治時代に高岡町で活躍した浮世絵師の弘瀬金蔵のことを言います。彼は高知城下で生まれ、絵の才能を認められ、江戸で狩野派の絵師として修業を積んだ後、20歳の時に高知藩の御用絵師となります。しかし、狩野探幽の贋作を描いた嫌疑をかけられ、職を解かれて狩野派も破門になります。その後叔母を頼って赤岡町に移住し、町絵師金蔵と名乗り、地元の人のための多くの絵を描き「絵金」という愛称で親しまれたそうです

ですから町の中には金蔵が描いた多くの屏風絵が残っています。そこで高岡市は昭和52年に絵金の屏風絵を商店街に飾りながら、様々な催し(土佐絵金歌舞伎の上演、高木酒造の蔵開放など)が行われる絵金祭りを始めたそうです。5代目の直之さんは平成15年に土佐金蔵という純米酒の製造・販売を始めました。直之さんの高岡町への思いが良くわかります

このように高木酒造は高岡町とは密接な関係を維持しながら、地元を大切にしている蔵だと思います。今直之さんが酒造りの思いを聞いてみました。

地元の文化として位置づける地酒の味を保ちつつ、21世紀の超高齢化社会時代に魅力ある大人の文化を演出できる心の豊かさや、やすらぎを提供できるお酒を作りたいそうです。具体的にはどんなお酒なのでしょうか。僕なりに整理してみました。

・ 伝統ある土佐杜氏の造りを継承して、手作りの良さを伝えていく

・ 高知のお酒の味を大切にしつつ、東京の人にも美味しいと思わせるお酒をつくる。

・ 純米酒は冷でもお燗でも美味しい食べ物に合わせやすいお酒にする。

・ 高知県の酒造好適米である「吟の夢」と高知県で開発した高知酵母を主体に酒造りをする。(純米吟醸や純米酒は高知県以外のお米も利用しているものもあります)

技術屋さんらしく酵母の選び方を図にしたものがあるので、ご紹介します。下側に高木酒造で作っている銘柄、上側に高知酵母の種類が書いてあり、矢印でどの酵母を作っているかがわかります。右側に行くほど、カプロン酸エチル系の香りが強くなり、左側に行くと酢酸イソアミル系の香りが強くなるように並べてあります。

大吟醸系はカプロン酸エチルの香りのCEL19+CEL11、純米吟醸系は中道の香りのAC95、特別純米は香りあ少なめのAC17+酢酸イソアミル系のAA41、純米酒が7号酵母を使っているのがわかります。

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実は去年の5月に行われた土佐の旨いものと地酒祭りの会で直之さんに見せたもらった図が大幅に変わっていることを見つけてしまいました。下に示しますが、大吟醸系や純米吟醸系は変わっていませんが、特別純米と純米酒系が変わってることがわかります。直之さんが毎年良いものを作ろうとしている姿勢が良くわかります。

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次にそれでは飲んだお酒を紹介します。

1.豊の梅 純米大吟醸 龍奏

Dsc01830このお酒は吟の夢40%精米の純米大吟醸を1年熟成したもので、アルコール度数16.5%、日本酒度+1、酸度1.6です。

このお酒が龍奏と名付けられたのはいわれがあります。蔵を改築した平成6年に海に第竜巻が現れ、蔵の真上に来た時すうっと消えて被害を全く受けなかったそうです。さらにこの年は四国の清酒酒鑑評会で最高の賞のリボン賞を取った幸運があったことから龍奏という名がついたそうです。

口に含んだ時に旨みがドンとこない大人のふくらみを感じると同時に心地よいきれいな酸味がうまく調和したお酒でした。

その会の後ですが、フルネット主催の純米大賞2013の純米大吟醸の部門で1位の最高金賞を取ったそうです。おめでとうございます。

2.豊の梅 大吟醸

Dsc01841このお酒は2011年に全国新酒酒鑑評会で、金賞を取ったお酒として販売されたもので、2年熟成したものです。2012年は出来上がりがちょっと悪かったので、2回火入れして出品したら、味が全く変わってしまって、賞が取れなかったそうです。初めての試みで失敗だったともことでした。

これも吟の夢40%精米の原酒で、アルコール度数は17.5%、日本酒度は+4、酸度は1.4です。

口に含んだ感じは純米大吟醸に似た味ですが、後味に辛みを感じるけど、酸味はほとんど感じなくて飲みやすいお酒でした。値段はこの大吟醸の方が高いけど、僕は純米大吟醸の方が好きだね。

写真をよく見てください。豊の梅の「の」字は純のように見えるけど、本当は能の変体かな文字で書いてあるそうです。この名前は赤岡町にあった寺尾酒造の商標の豊能梅を引き継いだので付いた名前ですが、今は通称豊の海としているそうです。

3.豊の梅 純米吟醸 松山三井

Dsc01843純米吟醸には吟の舞と松山三井の2種類がありますが、これは愛媛県産の松山三井50%精米の純米吟醸です。アルコール度数16.3%、日本酒度+4、酸度1.4です。

口に含んだ時の香りが凄く繊細な香りです。口の上あごの方に広がっていき、奥ですうっと消えていくお酒でした。あまり生酒の感じがしないで、味はしっかりしているのに、全体的には軽いイメージで、飲みやすいお酒です。

このお酒は都会の人には合うバランスのお酒かもしれません

4.豊の梅 特別純米 吟の夢

Dsc01834吟の夢60%精米の特別純米で、アルコール度数16.5%、日本酒度+6、酸度1.7で、酢酸イソアミル系の酵母で、辛口のお酒です。

旨みもほどほど合って、辛口だけど後味がすうっと消えていき飲みやすいし、酸度が適度にあるので、食べ物に合わせやすいお酒だと思いました。お燗にも適しているお酒ですが、僕は冷でも常温でもいいお酒のような気がしました

5.豊の梅 土佐金蔵

Dsc01846このお酒が岡山県産のあけぼの65%精米の純米生原酒です。アルコール度数は17.5度あります。酵母は今まで色々な酵母を使ってきましたが、今年から7号酵母を使用しています。

ラベルが赤で文字が白ぬきの土佐金蔵はアルコール度数を低くした純米酒です。

この蔵の中では一番コクがあると言われている酒で、飲んでみると大吟醸のようなふくらみはないけど、しっかりした厚みを感じる味で、口の中の方に膨らむけど、のどを越した時には消えている不思議な酒です

6.活性にごり酒

Dsc01855これは日本一早場米と言われている高知県産の風鳴子70%精米の活性にごり酒で、アルコール度数18度、日本酒度-12、酸度1.3です。

このお酒は4代目の当主の院水さんが育てたおり酒で、8月に仕込んで、9月の初めに出荷するおさけですが、人気が高いので通年販売しているそうです。

飲んでみると甘いようで甘くなく、炭酸のしわしわ感とのバランスの良いお酒で、瓶詰めする際に火入れすることにより発酵を止めているので、普通のお酒のように扱えるようです。でも炭酸の圧力があるの明ける時は注意が必要です。とても飲みやすいので、酒に弱い人には注意が必要です

7.リキュール はるか

Dsc01861地元の香南市の柑橘を生産する農家から声がかかり、高知県の工業技術センターの協力を得て出来たリキュールです。日本酒、ミカンの果汁(20%)、糖類、クエン酸が原料で、アルコール度8%、日本酒を-20、酸度8のリキュールです。

とてもさわやかで、お酒を飲んだ後口の中をリセットするには最適かもしれません。

このほか梅酒の生産もしていますので、試してみてはどうですか

この蔵のお酒はドライなお酒が好きな高知にしては旨みをしっかりだしているように思いました。でもどのお酒も後味がきれいに消えていくので、どうやって作っているのですかと聞いたら、自分でもよくらからないけど、麹の作り方かもしれませんねと言われました。これが土佐杜氏流なのでしょうか

最後にこのお店で食べたお料理を少しだけ紹介したおきます。

わらさ、そで烏賊、つぶ貝     あきしゃけの白子揚げ
そで烏賊はねっとりした味     これはうまい、初めてです

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本日のイベントの カツオとうるめ鰯

カツオの味が上品で純米大吟醸でも合わせることができました。それだけ新鮮なカツオなのでしょう。お酒でカツオの新鮮さがわかるなんて凄いですね。

うるめ鰯は結構パワーがあるので、特別純米でないと合わなかったな。この会のお酒の中で度の食事にも合わせることができたのは、辛口の特別純米でした。

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東大2食日本酒祭りは穴場の会です

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ちょっと古いイベントのことですが、11月15日の金曜日に東京大学の第2食堂で開催された日本酒祭りに初めて参加してきました。第2食堂は東大の龍岡門から入り、右手に東大病院を見ながら歩くと、突き当たりのバス停の傍にあります。地下にはプールがあり、昔よく遊んだ記憶があります。食堂は2階にありますが、学生時代はここはちょっと離れていたので、あまり使ったことがありません。東大生協のホームページにわかりやすいマップがありましたので、切り取って付けておきます。参考にしてください。

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この食堂を開放して、五時半から八時まで行われる日本酒祭りですが、僕は開店丁度に入りましたが、まだお客はまばらで、こんなガラガラの状態でした。手前にはテーブル席がずらりと並び、奥の一列に日本酒が試飲できるブースが造られていました

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今回は第6回の日本酒祭りだそうで、このようなことを誰がいつから始めたのでしょうか。今まで公開されているブログや主催者の人のお話を参考にして、自分なりにまとめてみましたので、ご紹介します。若干の間違いがあるかもしれません

第1回は2012年の2月17日に開かれたそうです。主催は東大の生協ですが、お酒の好きな東大の教職員が生協と協力して始めたもののようです。お酒好きの教職員の仲間は醇心舎という名で活動しているグループのようです。この会は国酒である日本酒・日本酒文化を将来を担う学生に知ってもらうことを目的とした有志の会です。今回もこのグループが選抜したお酒も出展していました。

今回は東大卒の蔵元として栃木県の惣誉酒造の河野社長が参加されていましたが、このように東大出身者の蔵元をお呼びするようになったのは、今年の2月の第4回の日本酒祭りからのようです。どんな蔵が参加したかをちょっと並べてみます

2月15日 第4回日本酒祭 福島の大七酒造 大田社長
6月 7日 第5回日本酒祭 福岡の㈱喜多屋 木下社長
11月15日 第6回日本酒祭 栃木の惣誉酒造 河野社長

といった感じですが、第3回の日本酒祭には広島の中尾醸造(誠鏡)の中尾社長が参加されていましたが、確か中尾社長は東京農大出身ですから先輩の蔵元ではないですね。第2回がどうだったかは、調べることができませんでしたので、正確なことはわかりません。

この会は回を重ねるごとに中身が少しずつ変わってきているようですが、この会をサポートしている地酒屋さんを見逃すことはできません。ご紹介しておきましょう。

・ 日暮里 山内屋
・ 御徒町 ふくはら
・ 千駄木 伊勢五
・ 神奈川 越後屋
・ 世田谷 朝日屋

この方たちが東大とどんな関係があるのかは、わかりませんが、毎回これらの酒屋さんが選んだ日本酒が出展されていて、惣誉や醇心舎の推薦のお酒も含めると全部で50種類のお酒が用意されていました。でもとても全部は飲めるものではありません。

ここで飲食するにはチケットを買う必要があります。チケットは前売りも当日売りも第2食堂で販売しています。下の写真をご覧ください。日本酒1杯(60CC)またはおつまみ1品がすべて200円です。大吟醸も本醸造も同じ価格です。1升換算6000円ですから純米酒とすると高めの価格設定ですね。仮に50種類のお酒を全部飲むと3Lも飲むことになるので、絶対に不可能です。普通の人なら3~4合でしょうから9から12種類というところでしょう

結構良いお酒が取りそろえてありますので、価格は同じでも良いから、試飲できる量を30CCとして2種類飲めるようにしてもらえば、楽しさが倍増しますね。しかも前売りなら2割引きですからぐっと楽しみが増えます。次回から検討してほしいですね。

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それでは早速気に入ったお酒を紹介します。

<惣誉酒造>

惣譽酒造からは代表取締役の河野遵(こうの じゅん)さんが参加されていました。河野社長は1961年生まれ、現在52歳で、東京大学経済学部を卒業され、松下政経塾の6期生の凄い人のようです。勿論蔵元の御曹司で、蔵に戻ったのが平成元年だそうです。蔵の社長としてだけでなく栃木県の教育委員長をするなど、幅広いお仕事をされているようです。ここだけのお話ですが、奥さまも東京大学建築学科を卒業されているそうで、息子さんがおられたら大変でしょうね。そう考えるのは僕が考えすぎでしょうか・・・・・・

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惣誉酒造は宇都宮から東に約20kmほどのところの栃木県芳賀郡市貝町にある明治5年の創業の蔵です。この辺りはのどかな田園地帯ですが、冬の気候は寒く、鬼怒川水系の伏流水である良質な軟水が豊富に使えるお酒の製造にはうってつけの場所のようです。この蔵の特徴は原料米全体の半分を酒造好適米の最高峰である山田錦を使っていることです。特定名称酒はすべて山田錦を使っていて、普通酒でも麹米には山田錦を使うという徹底ぶりです。

社長のお話では蔵人は12人いて、造りの時は杜氏も含めて岩手から8人が来て、地元の社員4人と一緒に働いているそうです。今の時代は全員社員化している蔵が多くなっているけれども、この蔵は南部杜氏軍団を使っているのですね。蔵の生産高は3000石ほどあり、栃木県では大手の蔵ですが、殆ど栃木県内で消費されているというから驚きです。

この蔵は和釜の甑や吟醸用の槽や手作りの麹造りなど、古い伝統を守る一方、酵母培養設備、全自動精米機、完全空調システムなど最新鋭の機器の導入を行っているのは社長のセンスの現れでしょう。

6-7年前から生酛造りにも力を入れており、この会では3種類の生酛造りの飲みました。左から特別大吟醸、特別吟醸、特別純米です。

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いずれも兵庫県の特A地区の山田錦を使っており、大吟醸は精米度45%、吟醸は55%、特別純米は60%です。24BYの造りですが、いずれも22BYと23BYのブレンドだそうです。飲んでみると、生酛らしい風味はありますが飲みやすいお酒でした。大吟醸が一番膨らみがあるけど優しい味、吟醸は大吟醸ほどのふくらみはないけど、きれいさがあり、すっと飲めるお酒でした。特別純米になると旨みが少し減ってきているので、個人的にはj純米吟醸が気に入りましたね。

会の後半に特別本醸造やひやおろし純米吟醸や純米70%生原酒が出たようですが、タイミングを外して飲めなかったけど、本醸造は特Aの山田錦100%の特別のものでしたので、飲みたかったです。

最後に社長から今年の第84回関東信越国税局酒類酒鑑評会で大吟醸酒が最優秀賞を受賞したことを聞きました。関東信越酒鑑評会で最優秀賞を取るのは、大変難しいことで、しかも同じ蔵元が2度目を受賞するのは初めてだそうです。大したものですね。おめでとうございます。過去五年でどこが取ったかを調べてみましたので、ご覧ください。

・ 第84回関東信越酒鑑評会 惣誉酒造 惣誉
・ 第83回関東信越酒鑑評会 田中屋酒造店 水尾
・ 第82回関東信越酒鑑評会 丸山酒造場 雪中梅
・ 第81回関東信越酒鑑評会 土屋酒造店 亀の海
・ 第80回関東信越酒鑑評会 越後酒造場 越乃八豊
・ 第79回関東信越酒鑑評会 惣誉酒造 惣誉

次に僕が飲んで気に入ったお酒を簡単に紹介しますが、初めてだったので、どこから飲んでいいのかわからなくて、たまたま座った近くにあった醇心舎の展示ブースから飲みはじめました。でも醇心舎のことはこのブログを書く時に初めて知ったものですから、その時は偶然でした。ですからたまたま飲んだお酒で気に入ったものを紹介することになります。

1.雨後の月 月光

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このお酒は醇心舎の推薦のお酒です。雨後の月の大吟醸の真粋(しんすい)は約1万円もする高級酒ですが、その味を引き継ぎ、何とか安くできないかと造られたお酒だそうで、1升5250円で買えます。

麹米を山田錦、掛米を千本錦の精米度40%使うことで安くできたようです。でも真粋や出品酒もブレンドされているようなので、お買い得といえます。

醇心舎のコメントは初心者向きと書いてありましたが、しっかりとしているけど、とろっとした旨みがあり、全体的にはきれいに仕上がっているので、なかなかいいお酒です。

2.正雪 天満月純米大吟醸

Dsc01881このお酒も醇心舎の推薦のお酒です。正雪の蔵元の望月正隆さんと杜氏の山影さんが特別の思いで仕込んで作ったお酒で、麹米に35%精米の山田錦、掛け米に杜氏の故郷の岩手の酒造好適米の吟ぎんがを使用した純米大吟醸です。

まるで盃に浮かぶ満月のような凛とした深く澄んだ味わいを求めて作ったそうです。正雪らしい「バナナ香」と、果実のような香りを感じながらきれいな旨みが広がっていきますが、のどの奥ではすうっと消えてくれるお酒でした。価格は3550円ですからお買い得なお酒です。

3.嘉山 純米吟醸生酒 越淡麗

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このお酒は越後屋の推薦のお酒ですが、多摩の小山商店と神奈川の越後屋酒店が新潟の小黒酒造(越の梅里)に頼み込んで造ったプライベートブランドです。最初のお酒は2009年の春に越淡麗60%精米の特別純米を作ったそうですが、今回のお酒は越淡麗50%精米の純米吟醸でした。

口に含むと結構上品な甘みを感じて、それがゆっくり口の中に広がっていきます。同時に酸味を感じてそれがうまくバランスしているので、あと味に切れがあります。この酒は良いですね。

4.村祐「茜」 亀口取り特別純米 本生

Dsc01878このお酒も越後屋さんの推薦です。村祐といえば、昔は甘いお酒というイメージが強かったのですが、越後屋の長谷川社長のお話では、最近村祐は色々な味を作っていますから飲んでごらんと言われて飲んだ酒です。

村祐は米だけでなく酒質を表示をしないので、中身はよくわかりませんが、オリがはいったお酒でした。酸が強いことにより甘みをあまり感じない比較的ドライな感じがしました。

村祐は若い専務兼杜氏の村山健輔氏が取り仕切るようになって、昔の味とはかなり変わってきているし、生産高は200石ぐらいと小さいにも関わらず、色々なことにチェレンジしているようなので、注目していきたい蔵といえます。

5.山﨑醸(やまざきかもし) 純米吟醸

Dsc01883このお酒は伊勢五酒店が推薦しているお酒でした。こんな名前のお酒は飲んだことがないなと思い飲んで見ることにしました。

愛知県西尾市にある山﨑合資会社が造っているお酒で、この蔵は幻々、奥、尊皇等の名称のお酒があるようですが、会社の名前が付いているのはこれだけです。

愛知県産の夢山水60%精米の純米吟醸で、とてもバランスの良いお酒で、旨みがそこそこあるのに嫌みがなく後味がきれいで、適度な酸味が心地いといううまく仕上がったお酒のように思えました。この蔵のほかのお酒も飲んでみたいな・・・・

6.ODAYAKA 白麹 純米吟醸

Dsc01885このお酒は朝日屋の推薦のお酒です。ラベルがローマ字でODAYAKAと書いてあったので、福島の仁井田本家のお酒かなと思い飲んでみました。

裏のラベルを見ますと、穏 白麹 純米吟醸と書かれていました。日本酒の麹は普通黄麹が使われていますが、焼酎で使われている白麹を使うとクエン酸がでて、酸の強い酒になります。この酒はこのクエン酸の力を借りて、乳酸を全く使わないで育てたお酒だそうです。

飲んでみると確かに酸味は強いけれど、適度な甘みを感じながら全体的にはやわらなドライさを感じるお酒になっていました。面白いですね。

以上で東大2食の日本酒祭で飲んだお酒の紹介は終わりますが、結構面白いお酒が並んでいましたので、日本酒の試飲会としては穴場の会だと思います。

来年は新政酒造の佐藤祐輔さんが出るころではないかな。でも2月は造りの真っ最中ですから、無理でしょうね。でも楽しみにしています・・・・・・

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KID(平和酒造)の酒の味の秘密

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12月の初めに用賀のなかむらやでKID(平和酒造)と稲花(稲花酒造)の蔵元をお呼びして美味しいお酒を楽しむ会が開かれましたので参加してきました。どちら蔵元も若い方なのでどんなお話が聞けるか楽しみに出かけました。

例によってお店の店長のお話からスタートしましたが、やはり店長の中村さんあっての会だということがわかります。この2つの蔵には何も関係はないのですが、共通なのは中村さんと懇意だということですね。相変わらずいつものスタイルで始まりました

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最近はお気に入りの前掛けを愛用していますね.この男どSにつき・・・と書いてありますが、本当にどSかどうかは知りません。今回も2回に分けて、蔵元を紹介します。

まずは平和酒造の山本典正さんを紹介します。

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山本さんは平和酒造の専務取締役で1978年生まれの35歳の4代目蔵元になる方です。京都大学経済学部を卒業後、S-POOLという人材派遣会社に営業マンとして2年間勤めた後、9年前に蔵に戻り、5年前にKIDというブランドを立ち上げています。今回は典正さんから酒造りの考え方をいろいろお聞きしましたので、それを紹介します。

その前に平和酒造がどんな蔵かを知る必要がありますよね。蔵は和歌山県海南市溝口にある蔵ですが、創業は昭和3年ですからそんな古い蔵ではありません。その創業はちょっと変わっています。もともと江戸時代からの酒造である谷口酒造の5男坊がお寺の山本家に養子に行ったのですが、その方の酒好きが高じて酒造を創業したということだそうです。

その後何度も廃業の危機にさらされたことがあったそうです。まず第2次世界大戦の時は国から休業を強いられたのですが、戦後も酒造免許の再開の許可がおりず、2代目が国に陳情した結果再開できたそうで、その時に現在の平和酒造という名がついたようです。

その後も、お酒の商売は苦労が続き、昭和60年代までは京都の大手メーカーの桶売りでつないでいたのですが、平成に入ったころから自分たちが作りたい酒を作るようになったそうです。その証拠に典正さんが蔵に戻る前の平成元年と平成5年には全国新酒酒鑑評会で金賞を取っています。

日本酒作りと同時に力を入れたのが梅酒作りです。和歌山県は全国の梅生産量の60%近くを占めているので、梅酒作りは当然なのかもしれませんが、この蔵が梅酒作りを始めたのは平成7年と比較的最近です。和歌山県の工業技術サンターの支援を受けて、蔵人たちの試耕作をを経て現在の品質になったそうですが、今では日本酒より生産量が大きいくらいだそうです。

同じ海南市であって和歌山県では一番大きい蔵である中野BCも同じように梅酒を作っているのは単なる偶然ではないでしょうね。中野BCの梅酒が伸びたのも最近のことで、専務の中野幸治が2005年に蔵に戻ってからだと聞いています。平和酒造に典正さんが戻ったのが同じころですから、これも偶然なのでしょうか。努力の結果、平和酒造は次第に生産量を伸ばし、今では従業員が50名もいる大きな蔵となっています。

中村さんの会でお聞きしたことによると、平和酒造の日本酒の味を決めているのは山本典正さんと言って良いと思います。でも典正さんは酒造りの経験はなく、蔵に戻ってから広島の酒類総合研究所に2カ月勉強した後、色々な蔵を見学しただけだそうで、まずは自分の蔵の酒の味をよく知ることから始めたそうです。

この蔵の味はまずは水の柔らかさにあり、弱軟水で適度にミネラルがあることを生かしていこうと考えたそうです。蔵にはブラジル生まれの日本育ちの杜氏の柴田英道さん(39歳)がいて、基本的には作りはお任せしていますが、味は典正さん自身が決めているそうです。自分なりに毎年2-3種類の造りの試験をしていると、時々思いがけないクリーンヒットが現れるようで、その技術うを使うことにより、今までお酒が持っていたオフフレーバーなもの(品質が劣化して二次的に生じる異臭、変質)をそぎ落とすことにより、本来持っている酒の良いところを引き出すことで、お酒の力強さを出すようにしているとのことでした。勿論柴田杜氏とはよく話し合って決めているそうです。

そうやって生まれたのがKIDだそうです。5年前に立ち上げたブランドで、『紀州(和歌山県)の風土に育まれたお酒』をコンセプトに、『KID=子供のように自由で天真爛漫な味』をイメージしたお酒ということだそうです。KIDには純米酒から大吟醸まで色々あり、味わいは違いますが、共通なのはきれいで後味が切れることだそうです。この味が首都圏で人気になっているポイントなのでしょうね

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首都圏の人に喜ばれる味を狙って作っているのですかと、お聞きしたらお客様の求める味を狙っているわけでなく、、自分が造りたい味を極めていったらたまたま合致したのではないかなというコメントでした。やっぱり京都大学を出ているだけあって、目の付けどころが違うなという感じを受けました。

もうひとつこの蔵の凄いのは、蔵人の平均年齢が約32歳と非常に若いだけでなく、とても生き生きしていて、自信を持って働いていると、一緒にいた入江さんが教えてくれました。典正さんのお話では、最近の若い人は純粋に日本の物つくりを見直して、勉強に来る子が多いので、とても楽しんで仕事をしているそうです。このような若者をうまく使っているのも典正さんのバランスの良さの表れではないでしょうか。

この蔵は10月から3月までが日本酒作りで、6月から9月までは梅酒作りで、年間を通して造りをしているので、全員社員化できるのもこの蔵の強みだと思います。酒粕を用いた粕取り焼酎も造っているので、色々なものが作れる楽しみもあるかもしれませんね。

長々と蔵のお話や造りについてご紹介してきましたが、早速飲んだお酒の印象をご紹介したいと思います。まず写真をご覧ください。

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左から、①紀土 大吟醸、 ②紀土 Shibata’s be ambitious ③純米吟醸 紀土 純米吟醸 ④紀土 特別純米搾りたて生 ⑤紀土 Shibata’s 23BYですが、その他にも 紀土 あがら田 山田錦低精米を飲むことができました。

今回1本1本の写真を撮ることを失念してしまいましたので、インターネットからお借りすることにしました。(中村さん 今度からは写真を撮る時間を用意してくれませんか)

①紀土 純米大吟醸

Kid20003_2兵庫県産の山田錦を48%まで精米した純米大吟醸です。酵母は9号酵母を使用しています。

大吟醸らしい香りやフルーティな口当たりがあるけど、味はしっかり膨らんでいるけど、KIDらしいきれいさがと切れがあるのが良いですね。この切れは後味に感じる酸からきているものと思われます

KIDはコストパフォーマンスが良いですね。この大吟醸は1升2940円で買えるそうです。

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②紀土Shibata’s be ambitious 

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50%精米の山田錦を全量使った純米吟醸の中取り原酒です。酵母は①と同じ9号酵母です。

このお酒は杜氏の柴田さんの名前を付けただけに 自信作なのでしょうが、be ambitious の他にもbe fresh とかオリがらみとかおり抜き等があるようです。be ambitious は中取り原酒のことを言うようです。

これらのお酒がどのように違うかは質問しなかったのでわかりませんが、想像はつきますね。このお酒は大吟醸ほどふくらみはないので、よりさらっと飲めるけど、程よいふくらみがあり、KID独特の切れがあります。単に切れるのではなく程良い余韻がありますね。

価格は①と同じだけど、僕はこちらの方が好みかな

③ 紀土 純米吟醸 

Kid20002全量50%精米の山田錦を使った純米吟醸酒です。酵母は9号酵母ですが、Shibata’sシリーズと何が違うかは確認しませんでしたが、中取り以外の部分を入れた通常品だと思います。ですから価格も1升2500円と安く設定しています。

飲んだ感じはきれいさと軽やかさを感じるシャープな感じがしますので、白身の刺身など素材系のお料理に合いそうなお酒でした。

よく見ないとわかりませんが、紀土の酒のラベルには全部、ローマ字でKIDと浮き上がった文字が印刷されていますので、良く見てください。

④紀土 特別純米 搾りたて生

Dsc019421麹米が山田錦50%精米で、掛米が一般米55%精米の特別純米酒の搾りたて生の25BYのお酒です。酵母はやはり9号酵母です。

今年の新酒なので、最初に飲んだ時は新酒らしい香りがぱっと立ちがるお酒でしたが、まだ味がばらばらの感じがしました。でも時間がたって温度が上がってきたら、ずっと柔らかくなり、まとまりのあるお酒に変わってきました。

ほかのKIDと同じきれの良さは残っていますので、新酒の良さを感じるのなら、口あけしてちょっと時間を置いて飲むといいかもしれません。

⑤紀土 純米吟醸 Shibata's 23BY

Shibatas_2

Dsc01976_4このお酒はShibata’sの純米吟醸の23BYです。ラベルは②同じですが、このお酒の裏には左の写真のようにお酒の内容と蔵人の名前が書き込まれています。
23BYですが、まだ若さを保ったお酒で、上品さも切れもあるお酒でした。

⑥紀土 純米酒 低精米山田錦

Dsc01977自社田あがらの山田錦80%精米の純米酒です。酵母は7号酵母です。

蔵人たち自身が育てた酒米を使っているので、栽培の記録の写真と瓶詰めまでの造りの写真がそのまま貼り付けてあるラベルです。

80%精米の米の味感じるお酒で、余震にしっかりした酸をかじるので、お肉料理にも合うお酒だと思いました。

これで飲んだお酒の紹介は終わりますが、KIDはどのお酒も一定の質の高さと切れの良さを感じるお酒で、最近人気が高いのもうなずけます。典正さんの酒に対するセンスが感じられますね。

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稲花酒造は老舗の蔵だけど新しさを求めています

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新しい年を迎えて既に4日たとうとしています。未だブログを書こうという気になってこないのですが、でもお年玉として書かなければという思いだけはありました。なら”今でしょう”というフレーズが頭に浮かび、やっと、よっしゃ~という気持ちになって、重い腰を起こしました

お約束通り、去年なかむらやで開かれた蔵元と美味しいお酒を楽しむ会の第2弾として稲花酒造(いなはな)を紹介したいと思います。なぜ、なかむらやの店長と稲花が関係があるのか?それには深いわけがあったのです。

中村さんのお父さんは新潟生まれの東京育ちで、千葉とは何の関係もないのですが、そのお父さんが千葉の海べりの山の上に中村家のお墓を作ったそうです。お父さんは既にお亡くなりになっているので、その真意は良くわからないそうですが、息子はお墓参りなどしないだろうけど、若い時に良く海に行っていたので、ここなら来てくれるのかと期待して造ったのではないかとのお話でした。

でも中村さんは母を連れて時々墓参りをしているそうですが、この辺りに何か面白いものはないかと探していたら稲花酒造を見つけて、予約なしで蔵に行ったのが始まりだったそうです。その時はご挨拶だけで帰ったのですが、このことをmixiに書いたら、それを見た蔵元が、蔵に来てくださいと言われてから懇意にしているそうです。稲花酒造のお酒はは東京では四谷の鈴伝しか扱っていないし、居酒屋にはあまり出していない蔵ですが、なかむらやさんとは親しくお付き合いしているようです。

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最初に稲花酒造をご紹介します。稲花酒造は千葉県の九十九里の南端の一宮町にある蔵で、江戸時代後期から地元の漁師達への振る舞い酒を造っていたそうです。ですからとても歴史のある蔵ですが、昔から品質の良い酒造りを目指していて、明治時代に既に吟醸酒造りを手掛けていたそうです。特に大吟醸は全国新酒酒鑑評会で幾度も金賞と取っている実力のある蔵です。

それにはいくつかの理由があるようです。仕込み水は全国名水百選にも選ばれる長南町の湧水をタンクローリーで運ぶことまでして仕込み水を確保しているそうです。もうひとつは優れた杜氏さんがいることです。新潟の名酒である雪中梅を世に送り出した杜氏の中条さんは稲花酒造の杜氏を務めた経験があり、その後は南部流の中村純さんが杜氏をしてきたそうです。でも高齢になったことから去年退職され、今は家族中心で作りをしているそうです(杜氏は誰がやっているのかは聞きそびれました)。

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この蔵の社長は秋葉純子さんで12代目の蔵元です。純子さんは蔵元の娘としてうまれ、お婿さんをもらい、生まれたのが秋葉康佑(あきばこうすけ)さんで、13代目の蔵元になる方です。康佑さんはまだ26歳の若者ですが、蔵に入ってまだ5年で酒作りの勉強をしているところだそうです。この会に来ていただいたのですが、翌朝早くからお酒造りがあることからあまりお話ができなかったのが残念でした

この蔵の生産高は400石なので、比較的小さな蔵ですが、営業方針ははっきりしていてお酒の値段の交渉をするような酒屋さんとは取引しないそうです。お酒の酒質の表示は一切しませんので、味は自分で味わって納得してくださいということのようです。蔵は小さくても色々チャレンジするのはお好きのようです。この蔵の特徴の一つに扁平精米をしていることがあります。

扁平精米はお米を丸く削らないで、お米の形に合わせて表面を削る方法を言いますが、福島県の大七酒造が有名です。でも、日本で最初にやったのが稲花酒造であることはほとんど知られていません。この方法を開発したのは東京国税局鑑定官室長であった齊藤富男さんだそうですが、彼の指導のもと始めた第1号だそうです。またクレーンで蒸米を運ぶのも最初にやって特許を取ったとの話ですが、その詳細はわかりません。いずれにしても、色々なことのチャレンジする心意気のあった蔵だったことは事実のようです。

その蔵が今杜氏が変わって新しい道を進み始めたことのようですので、これからどのように変わっているのか、楽しみな気がしています。

1.金龍稲花正宗 大吟醸斗瓶囲い

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このお酒は山田錦38%精米の大吟醸で、鑑評会出品用のお酒で、無ろ過生原酒です。酵母はM310だそうです。

この蔵としてはM310は早くから使っているので、大分慣れてきているそうです。食事に合わせるのが目的なので香りは抑え気味にしているそうです。

口に含むとじっくり味が口の中に広がってくるけど、上品な味わいを感じるお酒でした。康佑さんの話ではお料理に合わせるのでアミノ酸は1.1~1.2くらい出しているそうです。また大吟醸レベルの精米では扁平精米は効果がないそうで、扁平精米をやるのはMAX60%精米までだそうです。

2.上総の国一宮 純米吟醸無ろ過生原酒

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このお酒は麹米が山田錦、掛米が八反錦で精米は扁平精米60%の純米吟醸です。この蔵は60%精米でも特別純米と呼んだり、純米吟醸と呼んだりしていていますが、どうしてですかね。

このお酒は大吟醸のような味わいを、安価に出してみようとしてうまれたお酒です。確かに大吟醸に近い香りときれいさを感じがあるけど、きれいな旨みを感じると同時にスイート消えていく味で、すいすい飲める酒です。

価格は1升3150円のようです。米の価格からみると少し高めですね。

3.1787 長寿 無ろ過原酒

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このお酒は2009年に出た銘柄です。何と言ってもお米に特徴があります。それは地元の睦沢町の食糧米のコシヒカリを使っているからです。精米は扁平精米60%です。

口の中で独特の味わいが広がり、転がして味わうと色々な味が出てきます。山田錦のようなきれいさはないけど、何か違う味わいです。でも心地よいのです。そして後でしっかりした酸を感じて切れるので、お肉料理にも合う感じがしました。

それにしても不思議なラベルですね。康佑さんが戻った時に彼が付けた名前のようです。1787は「いなはな」と読んで、しかも蔵の創業年数に近いということで名付けられたようですが、どうして長寿なのかは知りません。誰か教えてください

4.絆 特別純米無ろ過生原酒

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このお酒も写真を撮るのを忘れましたので、インターネットから拾ってきました。

お米は八反錦60%精米の特別純米酒です。このレベルも特徴がありますね。誰がデザインするのでしょうか。

口に含むとそれほど厚みはないけど、しっかりと旨みが口の中にひろがり、同時に酸味を感じながら、軽い辛みとともに消えていくお酒でした。このお酒もお食事に合わせやすい気がします。

5.稲花 本醸造 無ろ過生

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お米の説明はなかったけど、一般米の60%精米の本醸造で、酵母は9号系と思われます。本醸造で無ろ過生酒は珍しいけど、普通のお店できちっと管理してくれるかが心配なので、管理できるところしか生酒は出さないそうです。

ラベルがちょっと古風で味わい深いですが、飲んだ味わいも面白い味で、適度な熟成が進んでいる感じでした。だから普通の本醸造のような辛い感じはなくて、熟成の香りと、丸みを持った味わいが特徴でした。

6.古酒 2本 秘蔵酒

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この古酒は凄い酒です。左のお酒は1995年ですから18年古酒で、右側のお酒は1978年ですから35年古酒です。康佑さんが直接継いでくれたお酒ですが、いわゆる年数のたった古酒とは違い、華やかさのある古酒でした。買ったら10万円以上するそうです。ちょっと飲んだだけなので、詳しくはわかりませんが、常温で寝かしても管理できる技術を持っているのか、たまたま生まれたのかは知りませんが、こんなすごいお酒を持っているのに驚きました

以上が飲んだお酒の紹介ですが、この蔵は色々な味のお酒と造っているけれど、いずれも食中酒を狙っているので、味わい深いけど酸味と切れがあるのが特徴のような気がしました。今は康佑さんが中心になって酒造りをしていると思いますが、お酒作りとしては未知数の彼が今後どのようなお酒を作っていくことになるのか、たいへん興味深いですね

康佑さん 今度蔵見学をしたいので、よろしくお願いいたします。

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純米酒大賞2013の会に参加しての一考察

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去年の暮れにフルネットが事務局として運営する純米酒大賞2013の受賞酒を楽しむ宴に参加してきました。この会は今年5年目になる会で、主催は漫画家の高瀬斉が会長をしている純米酒大賞制定委員会です。高瀬さんは日本酒の漫画を描いておられますが、他にも日本酒、特に純米酒の拡販に力を入れられ、色々な本を執筆されるほか、日本酒関連の色々な会の会長をなさっています。

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純米酒大賞制定委員会は純米酒の酒質と味わいを公正かつ客観的に評価し、優れた純米酒を発掘することにより、純米酒の品質向上と消費拡大を目的として、2009年に純米酒造りの市販酒を品評をする会として発足しました。毎年11月に、出品された純米酒を審査し、優れた純米酒を選定していますが、ここで受賞した蔵の表彰とそのお酒を飲んで楽しむ会として、毎年12月に純米酒大賞の受賞酒を楽しむ宴を行っています。この会がどのような経緯で生まれたのかはよく知りませんが、委員会の審査の内容をみると生まれた背景が解かる気がしますが、その詳細は後でご紹介します

日本酒のお酒を審査して発表する会として有名なのは全国新酒鑑評会がありますが、この会は酒類総合研究所が主催するもので、お酒の品質を全国規模で調査し研究し、お酒の品質向上に貢献することを目的としています。この会がスタートしたのは明治44年(1911年)ですから、既に80年以上の歴史があります

鑑評会による酒造りへの貢献はどのようなものでしょうか

入賞したお酒の歴史を調べてみると、日本酒の酒造りの変移が色濃く反映されているのがわかります。ちょっと具体的に触れてみると、当初は灘・伏見の酒が強く、そこから桜正宗の協会1号酵母月桂冠協会2号酵母が生まれます。灘・伏見のお酒に対抗して力を伸ばしたのが広島です。そこから酔心の協会3号酵母が生まれ、引き続き協会5号酵母まで広島の酵母が続きました。

昭和の初めに連続して賞を取った蔵に秋田の新政があり、ここから協会6号酵母が生まれ、昭和の戦後に強さを示したのが長野の真澄で、そこから協会7号酵母が生まれたのです。次に圧倒的強さを誇ったのが熊本の香露で、近年の吟醸作りのベースを作ったと言えます。そこから生まれたのが協会9号酵母です。この酵母が全国の配布されたのが昭和43年からで、しばらくはこの酵母の全盛時代が続きます。

その後色々な酵母が各県の造醸試験所で開発され、今では数多くの酵母が使われるようになっただけでなく、蔵元で自家改良された酵母も使われているようです。そして、現在全国新酒鑑評会用に多く使われているのは協会10号酵母の改良酵母である明利酵母(M310)や1801系協会酵母のようです。これらの実績から見ると鑑評会向けに良いお酒を作ることにより、全国の酒造りの技術が向上してきたことは確かなようです

全国新酒酒鑑評会に出品するお酒は買うことができるのでしょうか

酒鑑評会出品酒は蔵の総力を挙げて造るお酒で、生産量は少量で、1つの仕込みタンクから1斗瓶5-6本しかとれませんが、その中でも良いものだけを使うので、鑑評会向けのお酒は1升瓶で20~30本くらいしか取れないようです。昔は出品酒は市販されることはありませんでしたが、昭和50年代に入ると出品酒そのものではありませんが、同じロットのお酒が出まわるようになりました。しかし、その数量が少ないので、一般の人が手に入れるのは難しいのが実態です。

それでは全国新酒酒鑑評会以外に日本酒の鑑評会はないのでしょうか

地方の国税局が主催する地域単位の鑑評会や杜氏組合等が主催する鑑評会があります。一般的には秋に行われることが多いので、春の鑑評会用のお酒を半年熟成させて出すことが多いようです。従ってお酒自身の味も変わってきますが、審査委員も地方の鑑定官や蔵元が審査するので、全国新酒鑑評会とは違った結果が出ることが多いようです。また杜氏の組合で行うものは職人の腕比べという面があるので、これもまた違う結果が出るものの、特別のお酒なので市販酒の鑑評会とは言えません。

市販酒の鑑評会はないのでしょうか

国外ではJOY OF SAKE やIWC(インターナショナル・サケ・チャレンジ)等の品評会が知られてきていますが、JOY OF SAKEが13年前で、IWCは6年前とそんな古くからあるわけではありません。国内で行われている市販酒の品評会で最も古いのが今回紹介する純米酒大賞制定委員会が行う品評会で5年前にスタートしました。2年前から始まったのが、はせがわ酒店と日本名門酒会がおこなうSAKE COMPETITIONです。日本ではこの二つぐらいではないかと思います。忘れていました。雄町サミットも市販酒の品評会ですが、岡山県産の雄町を使っているものだけですから、ちょっと意味合いが違うかも。

純米酒大賞の審査はどのように行われているのでしょうか

酒類総合研究所や国税局主催の鑑評会は出品酒の欠点を指摘する減点方式でり、結果的に香りは適度にあり、旨みがきれいで、酸味はあまりない綺麗なバランスのお酒が多いようです。それに対して、純米酒大賞の審査は出品酒の長所を評価する加点方式で行うので、飲んで旨いお酒を選出するそうです。審査員も酒類総合研究所や国税局の鑑定官や各県の醸造試験所の技術研究者などの専門家ではなく、お酒の酒質を適確に評価できるフリーな立場の上級者が消費者の立場で審査するそうです。今年の審査委員は下記の5名です。

・ 高瀬 斉 (漫画家、名誉酒匠)
・ 中野 繁 (日本酒プロデューサー・フルネット社長)
・ 友田 哲郎(日本酒研究家)
・ 谷本 亘 (まち&むら研究所代表・食農連携コーディネーター)
・ あおい有紀(酒サムライ・フードアナリスト)

2013年の純米酒大賞の出品酒は純米大吟醸、純米吟醸酒、特別純米酒、純米酒の4つの部門で審査をしました。この分類は発足後少しずつ変わってきています。今年の区分は精米度ではなく、ラベルの表示名称で分類したそうです。今年は4部門で74蔵141点がエントリーしたようで、各部門から最高金賞を1点、次点として金賞32点を選出し、最高金賞の中から1点純米酒大賞を選出するようです。

早速その結果を紹介します。まず各部門ごとの最高金賞です。

・ 純米大吟醸部門 豊の梅 龍奏   高木酒造
・ 
純米吟醸酒部門 出羽桜 つや姫 出羽桜酒造
・ 
特別純米部門   大山   十水   加藤嘉八郎酒造
・ 
純米酒部門     鮎正宗 純米酒 鮎正宗酒造

その4つの中から純米酒大賞としては出羽桜のつや姫が選出されました。僕は大賞が何処になったかはあまり気にしませんが、各部門の最高金賞は気になりますね。まずはこの4本のご紹介したいと思います。

1.豊の梅 龍奏   高木酒造

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高木酒造は高知県の高岡町にある小さな蔵ですが、その地元で取れる吟の夢を使っています。精米度は40%です。

写真の2本は実は違うもので、右側は龍奏を1年以上熟成したものです。

左の龍奏は24BYですが、口に含んだ時に旨みがドンとこない大人のふくらみを感じると同時に心地よいきれいな酸味がうまく調和したお酒でした。

一方熟成した方は味に丸みが出て、膨らみが大きくなっていて、より大人のお酒になっていました。個人的には熟成した方が好きですね。

2.出羽桜 つや姫 出羽桜酒造

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つや姫は山形県が10年の歳月をかけて開発した飯米で、コシヒカリを超える美味しさを持っている米だそうです。その米を使った50%精米の純米吟醸です。酵母は香り系の山形KAだそうです。

飲んでみると飯米なのに膨らみがあって、甘みを感じるけど嫌みがなく、バランスが良くて後口の良いお酒でした。流石にうまく作っていると思いました。

気に入ったので、25BYを買って飲んでみましたが、上品な甘みは同じなのですが、冷たい状態では同時に渋みや酸味を感じました。温度が上がってくると渋みが消えてきます。25BYはもう少し熟成させて飲むか、常温あたりで飲む方が良さが出るように思えました。

3.大山   十水   加藤嘉八郎酒造

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山形県の大山にある蔵のお酒ですが、地元産のはえぬきというお米を使っています。このお米も飯米で、山形県では特別に美味しいお米として、つや姫、はえぬき、ひとごこち、こしひかりがあるそうです。

そのはえぬき60%精米の特別純米酒に十水(とみず)という名を付けたものです。この名前にこのお酒の秘密があります。通常のお酒造りでは10のお米に12~15の水を使いますが、このお酒は10の水で造っているそうです。その分お酒の量は減りますが、コクのあるお酒になるそうです。

飲んでみると甘さと酸味のバランスの良いお酒で、甘さを酸味で抑えているにもかかわらず、甘酸っぱくない独特のお酒でした。加藤嘉晃さんのお話では日本酒度はー7.5もあるそうです。それほど甘いとは感じませんでしたし、とても面白いお酒だと思いました。酵母は酸の出やすい山形KA酵母だそうです。出羽桜のつや姫と同じものなのでしょうか。

4.鮎正宗 純米酒 鮎正宗酒造

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このお酒は新潟県の妙高にあるく蔵で作られた500万石65%精米の純米酒です。この地方は雪深い場所なので、生活するには大変でしょうが、酒造りには良いところだそうです。

飲んでみましたが、僕にはあまり特徴が感じられないけど、口に含むと奥の方の味が広がったことだけが印象的でした。うまく表現ができなくてすみません。

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以上が最高金賞の印象でした。流石にどれもいいお酒ですが、全国新酒鑑評会では絶対選ばれないお酒が多い気がしましたので、このような会の存在意義を強く感じた次第です。

最高金賞以外のお酒も試飲できましたが、この会はお酒の利き酒クイズとか日本酒の名前クイズなど余興の時間が多く、じっくり試飲できる時間があまりなかったので、お酒の味の紹介はやめて、お酒の名前と写真だけ最後にご紹介することにします。今後のお酒の購入に参考にしていただければ幸いです。

この会がどのようにして出品酒の募集をかけているかはわかりませんが、過去の審査結果をみると、同じ銘柄のお酒が毎年出ているようであり、何を出品するかは蔵の判断のようです。最高金賞はともかく過去にどんな同じ銘柄が選出されているかは、ちょっと興味があったので調べてみました。

ここでは過去の最高金賞だけをご紹介します。でも会の運営も毎年少しずつ変わっているようで、統一的な表示はされていません。例えば、最高金賞をグランプリと呼んだ時もありますが、これを最高金賞として書いてみました

<2012年>

・ 純米大吟醸部門 南部美人純米大吟醸  山田錦35% 
・ 純米吟醸酒部門 南部美人 心白     山田錦50%
・ 純米酒A部門   肥前蔵心 特別純米 佐賀の華60%
・ 純米酒B部門   七田 純米7割5分磨き 山田錦75%

<2011年>

・ 純米大吟醸部門 獺祭 磨き2割3分  山田錦23%
・ 純米吟醸酒部門 浪花正宗 純米吟醸 山田錦55%
・ 純米酒A部門   出羽桜 純米酒    出羽の里60%
・ 純米酒B部門   亀泉 純米原酒    てんたかく70%

<2010年>この年は精米度で分類

・ 純米大吟醸A部門 梵 夢は正夢     精米度20、35%  
・ 純米大吟醸B部門 出羽桜 愛山     精米度45%    
・ 純米吟醸酒部門  七田 純米吟醸    精米度55%
・ 純米酒A部門    飛良泉 山廃純米   精米度70%
・ 純米酒B部門    亀泉 純米原酒   精米度70%

<2009年>初年度でこの年も精米度で分類

・ 純米大吟醸A部門 梵 団          精米度20%
・ 純米大吟醸B部門 梵 特選純米大吟醸 精米度40%
・ 純米吟醸酒部門  出羽桜 雄町     精米度50%
・ 純米酒A部門    奥の松 特別純米  精米度60%
・ 純米酒B部門    亀齢 辛口純米   精米度80% 

結果論ですが、出羽桜、梵、七田などの蔵が良く選ばれていますが審査は完全にブラインドで行っていますので、同じ蔵のお酒が選ばれるのは仕方がないと言って良いのでしょうね。審査の状況についてや会の雰囲気については下記のブログをご覧ください。

http://fullnet.co.jp/junmaisyu_taisho/party2013/index.html

この会の運営についてちょっと気になる点があります。一度最高金賞をもらったら、そのお酒は出品できないようにしないと、同じものが選出される可能性が高いし、新しいお酒の発掘が難しいと考えます。それから審査しているお酒の種類がちょっと少ない気がしますが、一般消費者としてはもっと幅広く試飲していただけるとありがたい気がしますが、難しいでしょうか。

いずれにしても審査する側は大変でしょうが、市販酒の品評会としては歴史があり、ユニーク性のある立派な会だと思いますので、今後一層の発展を期待したいものです。

最後に金賞を取ったすべてのお酒の写真をお見せします。

<純米大吟醸部門>

南部美人 大吟    天の戸出品酒     出羽桜 一路

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越の雪椿 月の玉響   梵 ゴールド   青雲 純米大吟醸

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奇跡のお酒      獺祭 3割9分    亀泉 酒家長春

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國菊 純米大吟醸    七田 純米大吟醸

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<純米吟醸部門>

南部美人 心白    まんさくの花 雄町  霞城寿 純米吟醸

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人気一 黒人気     澤姫 プレミアム   鶴齢 越淡麗

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加賀鶴 生原酒   千代むすび 強力    本州一 千本錦

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七田 山田錦、佐賀の華

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<特別純米酒部門> 米鶴の田恵と梵の純米55が展示されていませんでした

秀鳳 無ろ過美山錦    極聖 特別純米山田錦

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<純米酒部門>

出羽桜 出羽の里   真稜 至   鶴齢 山田錦65%精米

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本州一 千本錦     安芸虎 純米    七田 純米

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以上で金賞の紹介を終わります。

最後に個人的に気に入ったお酒を紹介します。

澤姫のひとごこちのプレミアム: アルコール度数が高いのに、当たりが凄く柔らくゆるゆる飲めて、じわじわと味を感じるお酒でした。

本州一の純米吟醸:しっかりしたうまみを感じ、その甘みを感じながら後味が消えていくいわゆる旨い酒でした。土居杜氏がおやめになって、随分味が変わりましたね。

鶴齢の純米酒山田65:独特の旨みと酸味が口の中に広がってきます。鶴齢では13年も造り続けている定番のお酒ですが、毎年課題を持って少しずつ変えているそうです。

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今伸び盛りの「作」の酒のコンセプトは?

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神田の醇さんのお店で開かれた今年の最初の会は「作」清水清三郎商店さんを囲む会に参加してきました。作は都内でも最近良く知られるようになったお酒で、いったいどんなコンセプトでお酒が造られているのかを知りたかったので参加しました。

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この日は社長の清水慎一郎さんが蔵元代表で来られていました。写真の方が清水社長です。とてもふくよかな方で落ち着いた雰囲気を持っておられるかたでした。参加する前にインターネットで調べると会社の名前は清水醸造になって今しましたので、早速そのことからお聞きしました。

清水清三郎は初代の蔵元のお名前で、元来蔵元はその名前を引き継いで清三郎を襲名するべきなのでしょうが、襲名した場合通常本名までも変えるそうなので、そのかわり会社の名前に清三郎と付けることにして襲名をしないことにしたそうです。平成24年に社名を清水醸造から清水清三郎商店に変更したそうです。会社のホームページがまだ清水醸造のままになっているのは僕の怠慢のせいですと言われていました。

この蔵を醇さんにご紹介したのは、さくら酒店の駒澤健さんです。

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写真の方がさくら酒店の代表取締役の駒澤さんです。さくら酒店は昨年4月に出来たばかりの会社で従業員は駒澤さんと近藤さんのお二人だけで、お酒を直販するお店はなくて、本社が墨田区東駒形にあり、営業所(お酒の倉庫と出荷場をもつ)が大垣にあるそうで、主に飲食店に販売する会社だそうです。お二人とも変わった経歴の持ち主で、金沢大学入学後、在学中に駒澤さんはオーストラリアの大学へ、近藤さんはニューヨークの大学に行っています。金沢大学を卒業した後は二人とも海外の会社に就職し、営業の経験をした後、駒澤さんは東京のはせがわ酒店で、近藤さんは大阪の山中酒の店で6年ほど修業をして、去年独立をしてお店を持ったそうです。ですから現在32歳の若者ですが、しっかり今の酒店を開くことを見据えて計画を立ててきたように見えます。

彼のお話はこのくらいにして、清水清三郎商店のご紹介をしましょう。この蔵は三重県の鈴鹿市の若松東にあります。鈴鹿といえば、鈴鹿サーキットが有名なところですが、蔵があるのは同じ鈴鹿市でも海に面しているところにあり、昔から港町として栄えたところです。蔵のある北若松港より少し南にある白子は本能寺の変の時に徳川家康がこの港から船で逃げた場所で、徳川家から大切にされてきた町だと聞いています。

初代蔵元の清水清三郎は北若松港の網元をしていて、この屋号が大黒屋というそうです。漁業で蓄えた資金で酒造業に進出することを決め、明治2年に創業し、現在の社長の慎一郎さんは6代目となるそうです。

この地域は鈴鹿山脈からの綺麗な伏流水が得られ、伊勢平野からはお酒の原料であるお米が豊富に手に入り、造ったお酒を大阪や江戸へ輸送するための港もあったので、酒造りには大変恵まれた土地だそうで、昔は多くの酒蔵があったそうです。でも今では鈴鹿市では唯一の蔵になったそうです。

慎一郎さんは成城大学を卒業後、直ぐ蔵を継ぐつもりはなく、他の仕事をしていたのですが、30歳の時に蔵に戻されたそうです。この2年後にお父さんが亡くなられたそうで、体調が悪かったのかもしれませんね。最初はお酒のことがわからず、東京の滝野川の醸造試験所に3年勉強したそうです。この経験は楽しい思い出として残っているそうです。

蔵に戻った時は杜氏は越後杜氏だったのですが、その方が退職した後は能登杜氏に来ていただいたそうです。でもこのやり方では自分の狙うお酒はできないと、杜氏の社員化を目指したそうです。でも杜氏は蔵人が切磋琢磨して勝ち抜いて自分で勝ち取らなくては、良い杜氏にはなれないと言われたそうですが、時間をかけて育てた結果、その中から生まれた杜氏が内山智弘さんだそうです。今は内山杜氏は今41歳ですから、蔵に入って25年以上たつそうですが、バイオテクノロジーの専門学校を卒業した技術屋さんなので、慎一郎さんとは馬があったのでしょうね。今では信頼できる立派な杜氏となっているそうです。どんな方なのでしょうね。佐野屋の写真集から借りました。

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この蔵は最盛期には6000石もあったそうですが、一時は300石まで減少したそうです。そんな中、2000年(平成12年)に蔵の生き残りをかけて新しいブランドが生まれたのが「作」(ざく)です。「作」の命名の由来は「酒が作られた」とか「酒を作った」という過去形ではなく、これから「作り上げる」とか「未完成である」ことを意味したものだそうです。酒は職人の手で作るものですが、出来た酒の価値は呑み手が作り上げるものという意味もあるそうです。これが慎一郎さんのコンセプトなのです。

確かに「作」は一部の酒を除いてスペックが公開されていません。酒の味は呑み手が感じることであって、酸度や日本酒度やアミノ酸の量などで想像することではないことを言いたいのだと思います。確かにそれはわかる気がしますし、スペックを表示しない蔵が多くなてきていることは事実です。でも僕のような日本酒のマニアにとっては、スペックの数字と味の違いに驚かされて、日本酒の味の深さを勉強しようという者にとっては、スペックの数字は教えてもらいたい気がします。ですから隠すのではなく、飲んだ後に教えるのはやってもらいたい気がします。慎一郎さんどうでしょうか。

さて、この蔵はどんな作りをしているのでしょうか。限定吸水や小規模仕込みにこだわっていているそうです。仕込み量は800kgから1200kgの仕込みで、6日に1本作るローテーションでやっているので、社員のする仕事は毎日違うけれども、定期的に休暇を取るなど個人に負荷がかからないように工夫しているそうです。

酒造りは1.麹、2.酛、3.醪 が大切と言われてきました。社長のお話ではお酒の味を決めるのに、この3つの工程が大切なのは当然ですが、酒造りの技術の差が出るのは酛や醪ではなく麹造りだそうです。麹造りには洗米、吸水、蒸、麹と色々あるけど、職人技の違いが出るのは吸水と麹だということで、そこに一番力を入れているそうです。酒造りの技術を進歩させるためには、新しい試みを行い続ける必要があると思います。でも新しい試みをしても酒を作ってみないと結果はわからないのですから、1年でやれることは限られています。したがって今まで行ってきたすべての工程をきちっと踏まえて、毎年技術を進歩させるのは並大抵のことではありません。それをやるのが杜氏だそうです。

なるほどね・・・・・・

「作」を販売し始めたころは300石しかなかった蔵が、順調に生産量を伸ばし、今では700石になっているそうです。小規模製造で生産量を増やしていくうちに、いつの間にか1年を通して製造する四季製造になったそうです。造りはたった3人でやっているそうで、ホームページを見たら社員15人と書いてあったので、お聞きしたら、他の人は営業やパートの人だそうです。四季製造の良いところはいつも新酒が出せることで、難しいのはいくら空調しているとはいえ、水の温度は変わるので吸水管理が大変なのと、お米の確保が難しいことだそうです。だからこの蔵は特殊なお米以外は米の種類を書かないようですね。

それでも同じ味が出せればいいのですから・・・・・

以上がこの蔵の造りのコンセプトのようです。お酒のコンセプトは社長が作のだそうですが、杜氏や社員との連携がうまくいっていなければ狙ったお酒を作ることはできません。「作」のお酒には○○智という銘柄が多いのは杜氏の名前を取っているからで、この辺りも社長の気配りを感じますね。

「作」の生産量が伸びたのは思いがけない偶然もあるのです。それはアニメの「機動戦士ガンダム」の中で人型機動兵器としてザクが登場するのですが、ガンダムフアンであった漫画家の雷門氏が漫画の中で「作」を紹介したのがきっかけで、「ザク」という酒があるらしいと評判になったのですが、社長は全く知らなかったそうです。そんな偶然があったとしても、お酒の需要が増えたのはお酒の味が呑み手に評価されたからであることは間違いないようです。

ではそろそろ呑んだお酒の紹介をします。

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これはこの日に飲んだお酒ですが、写真では良くわかりませんでしょう。この蔵は遠目から見て、直ぐ違いがわかるラベルをあまり使わないようです。

1.純米大吟醸 滴取り

Dsc02155_2このお酒は純米大吟醸の袋搾りのお酒ですが、精米度は50%以下と書いてあるだけです。三重県産の山田錦をメインに使っているそうですが、他のお米も使っているのでしょうか。精米度50%の雅の智の滴取りを格上げしたものです。

香り高く綺麗なお酒ですが、甘みの中に軽い辛みも渋みも感じるのがこのお酒らしいところかもしれません。このお酒は造りたての新酒の割には当たりの柔らかいお酒でした。この辺がこの蔵の技なのかもしれません。

1升7875円もするのではちょっと手が届かないかな

2.悦乃智 吟醸

Dsc02157このお酒は地元のお米を60%まで精米した吟醸酒です。

1番の純米大吟醸と同じような甘みを感じるけど、辛みや渋みは殆どなくなっています。これはアル添したためなのかはわかりませんが、飲みやすいお酒になっていました。バランスの良いお酒なので白身のお魚などに合わせるといいような気がします。

1升2730円ですから、お買いごろかな。

3.雅乃智 中取り 純米大吟醸

Dsc02159このお酒は純米大吟醸と書いてありますが、精米度は50%ですから純米吟醸と読んでもいいお酒です。でも中取りの良いところを使っているので、純米大吟醸と呼んでいるのでしょう。

このお酒は三重の山田錦を100%使っているようです。飲んでみると、ほんのりした甘みととろみ感のあるお酒でした。辛みはほとんど感じませんでした。これはすきですね。

でも温度が上がってくるとちょっとざらざら感が出てくるので、冷やして飲みたいお酒です。

価格は1升4095円で、ちょっと高めです。

4.玄乃智  純米

Dsc02165ここから玄乃智は地元のお米60%精米の純米酒ですが、酵母が7号酵母を使っているのが特徴です。

今までのお酒とは全く違う香りを感じました。華やかではない落ち着いた香りで、旨みもほどほどあるのですが、それほど強くはないので、少しシャープなイメージのするお酒です。

去年のJOYofSAKEの純米酒部門で金賞を取ったお酒です。このお酒は温度が上がっても崩れないのが良いですね

1升2573円ですからリーズナブルです。

5.プロトタイプG 直汲み純米原酒

Dsc02169このお酒は4番の玄乃智の直汲み純米原酒です。プロトタイプを出し始めたのが2012年ですが、プロトタイプにはG,M、Hがありますが、それは玄、恵、穂の頭文字を意味します。

直汲みというのは醪に含まれる炭酸ガスを含んだまま瓶詰するお酒を言いますが、色々な方法がああるようです。この蔵ではタンクに移動させるポンプにインバーターをかませて、静かに送るようにしたそうです。

飲んでみると炭酸ガスのシワシワ感があるけど、果実のような味わいが出るだけでなく、玄の智とは違ったパワーも出るようです。温度が上がると少し崩れるので、冷やして飲みたいですね。

価格は1升3045円とちょっと高くなるけど、一度は飲みたいお酒です。

6.恵乃智

Dsc02172_2このお酒は玄乃智とは酵母違いのお酒で、9号系の自社酵母を使った純米酒です。

口に含むと、旨みと香りが上あごの方に広がり、奥の方に抜けていくのですが、最後にすっと切れるお酒です。余韻はあるのですが消え方のいいお酒です。この時椎茸の煮なますを食べながら飲んだのですが、椎茸の味が口の中にあると、お酒の味わいが全然代わってくることに気が付きました。お酒は食べ物によって変わるのですね。この時水で口をゆすいだくらいでは変わりませんでしたが、しばらく時間を置くと元の味がわかるようになりました。

価格は玄の智と同じです。

7.穂乃智

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このお酒は玄乃智や恵乃智と違う14酵母を使った純米酒です。

今までの香りとはちょっと違って口に含んだ時にはあまり感じないけど、口の中でライチのようなさわやかな香りがたってくる感じです。それと同時に味わいも口の奥で広がって、最後に酸味を感じながら消えていきます。酸味とのバランスが良いですね。

恵の智のように味が食事によって大きく変わることはなかったです。価格は玄乃智と同じです。

8.大吟醸

Dsc02187このお酒はは多分山田錦40%精米の大吟醸です。酵母は自社酵母のようですが、多分9号系と思われます。

飲んでみると、如何にも大吟醸らしいしっかりした味を持ちながら、余韻がきれいで酸味の少ない優等生的なお酒だと思います。

価格はいくらかはわかりません。

9.純米吟醸 樫樽囲い 2001

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このお酒は大変珍しいお酒です。2001年にシャルドネ用のオーク樽を輸入し、この樽に50%精米の純米吟醸酒をつめて、5年間寝かせたあと、瓶に移し替えて8年寝かせたお酒です。

飲んでみると熟成の香りはあるものの、オークの香りが強くて陰に隠れた感じになるので、飲みやすかったです。酸味は意外に少なく、味は複雑でした。

価格は4合瓶で4200円するそうです。

以上で飲んだお酒の紹介を終わります。

この蔵のお酒はどれを飲んでも変なバランスのお酒はありません。それだけしっかり、安定したお酒を作っているように思えました。日本の市販酒の品評会ではせがわ酒店で行われるSAKE COMPETITIONがありますが、1位になったことはないけど、純米酒でも純米吟醸でも大吟醸でも必ず上位に選ばれているそうで、それだけ安定したお酒を造っていることの証拠かもしれません。

最後にこの会でご一緒したメンバーの写真を見てください。

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最後にこの時いただいたお料理をちょっとだけ見てもらいます

ナマコ酢 菜の花白和え      黒鯛カルパッチョ

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あさりのクリーム煮         平目の香味野菜煮

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煮なます(椎茸)             とんてき

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食事 牡蠣めし

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蔵見学で判った鶴齢の味の秘密

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2月の連休の初日、東京は40年ぶりの大雪の日に鶴齢・青木酒造を訪ねました。この日の夕方に鶴岡に行く予定があったので、その前にちょっとだけ見学しようということで、取締役営業部長の阿部勉さんにお願いしたものです。阿部さんとは去年の純米酒大賞2013の会でお会いしたばかりなので、快く引き受けていただき感謝しております。

青木酒造は米どころで有名な南魚沼市にあり、JRの塩沢駅から歩いて5分の市街地にあります。この街は旧三国街道の宿場町として栄えたところで、雪国の歴史と文化の街を復旧させようと1998年から検討を進め、2009年に完成したそうです。江戸時代の雪の書「北越雪譜」を書いた鈴木牧之(ぼくし)にちなんで、三国街道塩沢宿「牧之(ぼくし)通り」と呼ばれてます。通りから電柱をなくし、白壁の木造建屋をベースにし、雪国の町の雁木造りのアーケードが特徴です。青木酒造のある場所からみた街の景観です

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平成23年度の都市景観大賞を受賞しています。雁木が良くわかる写真をお見せします。

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こんな感じで雁木造りのアーケードがあります。雁木と言えば船着き場の階段を思い出す人が多いけれど、雪国の商店街で見られる雪よけの屋根の意味もあります。ですから雪が降っても傘なしで歩けます。

青木酒造はこの牧之通りの入り口にありますが、この通りを造る時に前あった母屋をすべて壊して新しく新築したそうです。下の写真が蔵の表玄関です。

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中に入ると試飲できるコーナーと応接間があります。クリックすると大きくなりますのでじっくり見たい人はクリックしてください

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蔵見学の案内は阿部さんにやっていただきました。

青木酒造は創業から300年の歴史を持つ老舗蔵です。現在社長は12代目の青木貴史さんで、杜氏は今井隆博さんです。今井さんは3年前から前の杜氏に代わって造りをやっておられます。蔵見学の途中でお会いしたので、写真をパチリ。

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この蔵は生産高は約3000石で、新潟では中堅どころでしょうか。仕込み水は超軟水と軟水の2つを使い分けているそうです。原料米は山田錦、五百万石、美山錦、越淡麗、雄町の5種類ですが、越淡麗の使用量は新潟県で一番多く使用しているとのこと、雄町は去年は手に入らなかったけど、今年は契約栽培で赤磐雄町と備前雄町を30俵ずつ購入できたそうです。楽しみですね。でも山田錦は予定量が入らず苦労しているそうです。

従業員は全員社員で、造りは9名で行い、2人が休みを取るように回しているので、通常は7人だそうです。造りは甑たおしが5月半ばと早いけど、初洗いは8月末と結構早く、造っていない時期は年間3カ月なので、3季醸造といえます。町の中の蔵なので敷地が狭く、これまで何とか増設で対応してきたそうですが、これからは増産は製造期間を伸ばすしかないかもしれないそうです。

それでは蔵見学をして特徴的だったところをお見せします。

<洗米と蒸し>

洗米は流水の洗米機で米ぬかを取り、普通酒は浸漬機で、特定名称酒は籠の手洗いで限定吸水管理を行うそうです。蒸は和釜で行い蒸上がったお米は放冷機で冷却した後、冷却した空気を使ってビニールチューブで搬送しながらさらに冷却をするそうです。下の写真が放冷機から蒸米を搬送するポンプです。黄色のところにビニールチューブをつなぐそうです。

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<麹造り>

麹室は外からだけの見学でしたが、室は3つあるそうです。見せていただいたのは普通酒用の麹室でした。奥のビニール向こうは麹1日目用に使っている室で、手前の部屋は二日目以降の普通酒用として使い、特定名称酒用は別の室に送るようです

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この室のほかにハクヨーせいの最新の自動製麹機も導入しているそうですが、きめ細かい温度管理ができるけど、人によるかき混ぜを行うなど、機械任せにはしないそうです。

<酒母室>

酒母室だけは1年中、空調制御して温度を一定にしているそうです。この蔵で使っている酵母は7号、9号、14号、18号、秋田酵母、小川酵母など色々使い分けているそうです。

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<仕込み>

仕込みは1トン仕込みと2,2トン仕込みをしているそうです。昔はすべて開放タンクでしたが、今では空気との触れ合いの少ない密閉型に変更したそうです。3段仕込みの一番最初の初添えは普通酒であっても大吟醸であっても100%下の写真の小さなタンクを使うそうです。このやり方は掃除や移送等の手間はかかるけど、丁寧な仕込みを徹底しているようです。

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特定名称酒はほとんど3000Lの1トン仕込みをしています。このタンクを毎年増設していき、今では21タンクがあります。タンクの首の部分だけが出ているフロアで作業できるようになっています。すべてのタンクが密閉型のサーマルタンクです

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タンクには温度を正確に測定できる温度計がついています。

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しかもこの温度計の誤差を1本1本検定をして、実際の温度が表示温度と何度違うかを示してありました。0.2度の誤差も許さない管理をしているそうです。下の写真が温度コントローラーですが、詳しく見たい方はクリックして拡大してみてください。

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普通酒用のタンクは9000Lの2.2トン仕込みのタンクで別の部屋にありました。ここも作業用フロアが完備していました。この部屋には音楽が流れていました

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僕が行った時は櫂入れを行う時の掛け声の歌が流れていましたが、たまにはクラシック音楽も流れるそうです。ボーズ製のスピーカーです

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<火入れ>

以前は火入れでお酒が崩れることがあったので、パストライザーを導入して火入れの安定化に力を入れているようです。

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最後にちょっとすごいものを見つけました。それはチタン製ボトルで、高級酒を火入れと急冷をするためのもので、軽くて伝熱が良く耐久性があるのでチタン製なのですが、これは高いよ。

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どの蔵にもあるのかもしれませんが、従業員のための賄いの部屋がありました。これは青木社長の思いれで造られたものだそうです

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以上で蔵の紹介は終わりますが、基本的には少量生産を大事にしながら、お金をかけるところにはきちっと投資をして、機械任せにしないで人が手をかけなければいけないところは手抜きをしていない様子がわかりました。阿部さんのお話では他の蔵の良いところを取り入れながら、独自の造りを目指していくそうです。

全体に言えることは蔵がきれいで清潔な感じがしました。細かいところのへの気配りが、安定した味を作れる秘訣かもしれません。阿部さんのお写真を載せておきます。

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蔵見学の最後に試飲をさせていただきましたが、この場所では特定の酒販店しか出していない生酒などは試飲できないことがわかりました。そこで蔵の近くにある酒販店を賞j解していただき、以下のお酒を買うことができました。

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このお店が地酒販売の金沢屋です。鶴齢のお酒がずらりと取りそろえてありました。特約酒販店に出している生酒には、特別純米(精米度55%)には山田錦、五百万石、美山錦、越淡麗があるのですが、残念ながら山田錦は売り切れていたので、純米吟醸(50%)を選んで購入しました。

家に宅急便で届いたお酒の写真を付けておきます。すべてのお酒が新聞紙でくるんで届けられましたので、写真を撮るために仕方がなくはがしてしまいましたが、24BYも含んでいるので、早く飲まなくてはいけないね。

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以上で鶴齢の造りの紹介は終わりますが、鶴齢のお酒を購入して蕎麦屋で昼食を取った後、喫茶店でコーヒーを飲もうとOHGIYA CAFEEに入ったら、これから旅先で一緒になるメンバーと鉢合わせ。こんな事もあるのですね 。同じ蔵の見学でしたそうですが、雪のため電車が遅れて、蔵で僕と会うことはなかったようです

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栄光富士の酒が最近凄く旨くなったらしい

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東北ツアーの第2段で、栄光冨士の冨士酒造を訪問しました。訪問したのは大山新酒・酒造祭りの翌日の日曜の朝です。この時期は酒造りに忙しい時期なので、受けていただけるか心配でしたが、社長の加藤有慶さんにお願いして特別に見学を許可してもらいました。

以前蔵を訪問したのは2010年ですから4年ぶりの訪問です。訪問したのには理由があるのです。この蔵は何年か前(たぶん5~6年かな)有加藤(ありかとう)という銘柄のお酒を特約の酒販店さんに直接販売するようになったのですが、味の割には価格が安いので、定期的に購入してきました。ところが、最近酒販店に有加藤が入荷しなくなったらしいのです。一方新しいデザインの栄光冨士というブランドが卸店から出始めているようで、しかも有加藤の味に勝るとも劣らないお酒のようで、売れているらしいといううわさを聞きました。これはいったいどうしてなのか気になっていました。

それから昔からの銘柄のお酒造りはどうなっているのか、最近は貯蔵管理に力を入れて、味が安定してきたとか色々な情報を聞きましたので、今冨士酒造の酒造りはどうなっているのかを知りたくて訪問したのです。

冨士酒造は鶴岡市大山にある歴史のある名門の蔵です。創業は1778年ですからもう230年以上の歴史を持つ老舗です。この地は近くに賀茂港をもつので、物流の中継基地として栄えたために酒造業が多くあり、だから大山地区には今でも4つの蔵が密集して残っているのです。

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この写真が冨士酒造の母屋です。どうして富士山と関係ない土地なのに冨士酒造という名がついたのかはわかりませんが、富士山のような趣のある屋根ですね。この屋根下に書いてある看板の字は富士であって冨士ではなかったのです。やはり富士山をイメージして造ったのではないかと思いました。

蔵のご案内は社長の加藤有慶(ありよし)さんにしていただきました。加藤さんは13代目の当主ですが、社長になられたのは2005年ですから9年前ということになります。加藤家は加藤清正の流れをくむ家柄だそうで、蔵には清正が使っていた鑓の一部や家紋の蛇の目が残されているそうです。

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有慶さんはいつもにこやかにされている社長ですが、蔵を引き継いだ時は蔵の売り上げも落ち、どうやって蔵を立て直すかが課題だったそうです。当時のお酒を全国の酒販店に持っていっても売れる酒は1本もないと言われ、酒造りを基本から見直すことを始めたそうです。パッと光ってスッと消えていくような酒」を目指すことにしたそうですが、それができるようになったのはここ1-2年のようです。

昔から造ってきた銘柄を調べてみると、普通酒の万流、本醸造の栄光冨、純米酒の純月、純米吟醸の心鍵、大吟醸のひとりよがりがありました。でもなかなか売れないということで、中汲みだけを詰めたお酒の「有加藤」を特約の酒販店だけに出すようになったのです。加藤家は代々「有」という名前を付けてきたようで、その有と加藤家の加藤をつなげて有加藤(あり・かとう)としたようです。その中には「ありがとう」という感謝の気持ちも含ませていたようです。

初めて有加藤の大吟醸を飲んだ時はこの味でこの値段ならと感激した覚えはありますが、まだ酒の完成度としては気になるところがあったのですが、確か4年前の日本酒学校の会に営業の米山さんが蔵のタンクから瓶に詰めたばかりの有加藤の酒を持ってきてくれたので、それを飲んで有加藤はこんなにうまい酒だったのですかと驚いた記憶があり、直ぐに貯蔵のやり方を変えるべきだとついつい言ってしまったことを思い出します。

その後原料処理と絞った後の処理を気を付けるようになって酒の味が格段に良くなったと聞いていますが、最近はさらに良くなったらしい。最近は太田商店(酒問屋)に新らしい銘柄の栄光冨士シリーズ(無ろ過生原酒)を出したようですが、これが飛ぶように売れているらしいのです。その辺の裏事情を知りたくて訪問したのです。

ここが蔵の入り口です。富士山の絵が見えますね

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蔵の中を次に紹介しますが、設備的に新しいものはありませんでしたので、詳しくは説明しないで、写真を中心に紹介します。昔の生産量は5000石もあったようで、何しろ蔵が広いので、造り気になれば製造量は増やせそうです。

<原料米>

山田錦、美山錦、出羽燦々、出羽の里、五百万石、神力、と幅広く扱っています。最近はお米を手に入れるのが大変なので飯米であるひとめほれ、つや姫、はえぬき等も使っていて米の足りないのをカバーしているようです。旨い酒ができればお米は何を使ってもいいですが・・・・・。

<仕込み水>

昔は井戸水の月山の伏流水を使っていたのですが、上流にダムができて水質が悪くなったので水道水を使っているそうです。でも仕込み水として使う前にマイクロバブルをかけて水を柔らかくするそうです。

<洗米> ざると洗米機が見えますね

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<蒸場> 和釜を使っていてちょうど蒸を終わったところでした

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蒸したお米をクレーンで吊り上げて放冷機に運ぶところでした

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袋の底が開いて放冷機の入り口に落とされます。放冷機の上の蒸米は適宜人の手でかき混ぜるようです。

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冷却された蒸米はエアーシューターで仕込み部屋の送られます。

<麹室> 麹室に入りましたが、カメラがたちまち曇ってしまいました。60%の化工米が引き込まれて積んでありました。

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麹箱は比較的大きなものを使っています。

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カーテンで仕切って温度管理が別々にできるようになっており、カーテンの向こうにはひとりよがりの添え麹が並んでいました

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<酛場> 酛場は2階にしかなかったので、作業性の良い1階にテントで造ったそうです。ここは終わったら撤去するそうです。今は必要の応じての造りなのであまり広くなくていいそうです。

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今までは高温糖化と中心にやってきましたが、最近は速醸に変えているそうです。高温糖化法は速醸より4日ほど早く9日でできるそうですが、さらっとしたお酒になるそうです。昔は速醸がうまくいかなかったそうですが、今は旨く作れるようになり、旨みが出るので速醸に変えてきているようです。

<仕込み> 2トン仕込みの部屋を見ました。

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ここは十数個の大型の開放タンクがありますが、4本しか使わないで、回して使っているそうです。ここは普通酒や本醸造を仕込んでいるそうです。昔は酒粕が50%も出た時もあったそうですが、いまでは良く溶けて酒粕は30%でしかも醪日数は20-25日と短いそうです。

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80%精米のはえぬきの純米酒の仕込みタンクがありましたが、櫂が通らないほどの硬さがあるそうです。少量仕込み用のサーマルタンクもあるそうですが、全部で15本で十分回せるそうです。

<貯蔵タンク> 絞ったお酒の量を検定したり、瓶に詰めるための一時的な貯蔵タンクで、出荷前の有加藤もありました。火入れするまでの期間は1週間以内を守っているそうです。

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凄く広いコンクリート製の仕込み兼貯蔵室です。完全空調ができる部屋になっています。

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奥にタンクを近いうちにすべてサーマル化し、絞った生酒を‐5℃で1カ月貯蔵して瓶火入れできるようにするそうです。その方が旨みが出るからだそうです。手前のタンクは出品酒用など特別なお酒の仕込みをしているそうです。夏場は仕込みはしないので、出荷直前のお酒を貯蔵する場所になるそうです。

<保管庫>  -5℃の生酒の瓶貯槽する保管庫です。

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この他にもコンテナ冷蔵庫を4個持っているそうです。冷蔵保管に力を入れていることがわかりました。

以上で蔵見学の紹介を終わりますが、今どんな体制で作りをしているかをご紹介しょう。今までおられた杜氏の白幡さんがおやめになって、南部杜氏の方に応援に来てもらっているそうです。製造のまとめをやっているのが29歳の元スキーのインストラクターだった加藤さんで、麹をやっているのは地元の女性の池田さんですが、製造部門は正社員2名、パート社員4名の6人体制を組んでいるそうです。

造りは週に2-3本なので半仕舞を少し間延びをさせたくらいだそうで、休暇も定期的に取るので常時は5人体制ですが、とてもうまく回っているそうです。生産量も伸びてきて、去年は650石、今年は700石になるそうで、着実に売れるようになっているみたいです。昨日の大山新酒祭りの時も、お酒がバンバン売れて、去年の実績を大幅に上まったそうです。

なるほど・・・でも実際に飲んでみないとわからないな。

ということで新酒の試飲をさせていただきました。残念ながら有加藤は蔵に在庫はありませんでした。

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左から

①純米吟醸 無ろ過生原酒 仙龍 美山錦60%9号酵母

②普通酒の万流 化工米65% 10号酵母

③栄光冨士 本醸造 ひとめぼれ60% 10号酵母

④純米酒 純月 出羽の里60% 山形酵母

⑤純米吟醸 心鍵 出羽燦々50% 山形酵母

⑥大吟醸 ひとりよがり 山田錦40% 10号酵母

一つ一つのお酒の批評はしませんが、②の万流を飲んで驚きました。1升1800円のお酒とも思えない余韻のきれいさがあります。お米ははえぬき主体の化工米ですが、あまり雑味を感じません。アルコール添加は14%ほどだそうですが、アルコールの辛みを感じないのは添加する焼酎もマイクロバブルをかけているからのようです。このお酒はアメリカで爆発的に売れているそうです。大関より値段が少し高いけど旨いとの評判のようです。東京では何処で売っているのかな・・・・問屋は太田商店のようです。

③から⑥まで飲んでみましたが、どれも後味に綺麗さがあり、求めていたパッと光ってスッと消えていくような酒に近づいてきているように思えました。問題があるとすればパッと光る部分にもう少し個性が欲しい気がしました。例えばお米による違いをもっと出すとかできないかな。

Dsc_0184_6この後で吟醸のつや姫50%を飲みました。去年まで美山錦を使っていたのを、今年からつや姫に切り替えたそうです。呑んだ時にドンと広がる味がを感じますが、後の切れはいいので、これはなかなかいけます。

これからは色々なお米にチャレンジしていき、お米の良さを引き出すお酒造りをしてほしいです。

①は無ろ過生原の純米吟醸は美山錦60%で、有加藤は中取りですが、これは中も含めて絞ったままの全量のようです。だから有加藤が作れなくなるのかもしれないですね。

去年10号酵母だったのを9号酵母に変えて、酵母も山形酵母に変えています。消えるような余韻ではなく、しっかり残る余韻の感じで、旨みを感じます。

以上で飲んだお酒の印象は終わりますが、確かにこの1-2年で大幅に酒質が良くなったとのお話です。その理由を聞くと、そのために製造責任者と徹底的に細部にわたってチェックして改善したそうです。特に甘みを如何に出すかに気を使ったそうですが、一番大きかったのは麹造りの改善だと聞きました。若い人に責任を任されて、そこに社長の笑顔でチームが一体になったのがお酒の味が良くなった理由だと納得しました。

でも、今やっと良いお酒造りのスタートにたったと考え、さらに良い酒造りを目指してもらいたいと思っています。もうひとつ言わせてもらえば、有加藤を待ち望んでいるお客がいるので、そこにも大いに気配りしてもらいたい気がします。それから消費者がラベルをみたら、どんな作りのお酒かをわかるような整理をしてもらわないと、今の銘柄ではとてもわかりにくいと思います。

加藤さん今後の酒造りを楽しみにしていますので、よろしくね。

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朝日川酒造は昔からの道具が活躍しています

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東北ツアー第3段の朝日川酒造への訪問です。鶴岡の蕎麦屋のしげ庵をバスで12時過ぎに出て、112号線を東にまっしぐら。雪の深い山道で大変かと思っていたのですが、意外に予定通り3時ごろ朝日川酒造に着きました。

朝日川酒造は山形県の川北町にある蔵で、天童から北西に7-8km離れた、最上川と寒河江川にはさまれた盆地にあります。蔵の名前は山形県と新潟県の境にある朝日連峰から最上川に流れる朝日川から取った名前だそうですが、この場所からは少し離れています。どうしてこの名前をつけたのでしょうね。でも、この辺りはコメどころとなっているので、酒造りが始まったのでしょう。創業は江戸時代からだそうで、現在の社長は8代目の浅黄勘七さんです。

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下の写真が蔵の入り口です。とても高い煙突が印象的ですね。しかも母屋もとても趣がありますね。

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の案内は常務取締役で杜氏の浅黄雅彦さん(勘七さんの弟)にしていただきました。

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この蔵の生産高は650石程度ですが、酒造りは古い装置を今でも大切にしながら作るぞという心がにじみ出ていて、特に木製の道具が今でも現役で頑張っているのに驚きました。木製の道具は手入れが大変で、修理するのにも職人がいないとできないから、むしろお金がかかるのではと思いました。今回の蔵見学ではその辺を主にご紹介します。

<仕込み水>

この土地の地下水は鉄分が多いので水道水を使っているそうです。塩素分を取るために爆気をして空気にさらしてから使うので、常時3本のタンクに水をためているそうです。

<洗米と蒸>

和釜の甑や洗米の桶も木でできているようです。布がかかっているので良くわから泣けど、専門家が見ればわかるでしょうね。甑は大小の2種類あるそうです。

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洗米したお米はざるに小分けして、手作業で丁寧に甑に入れるそうです。そうすることにより蒸気の通る道が均一になり、良い蒸米ができるそうです。確かにそうかもしれないけど、蔵人は大変ですよね。細かいことにこだわっているのですね。

この場所の天井を見ると、煤で真っ黒でした。昔が木をたいて湯を沸かしていたので、その時の煙で真っ黒になったままです。

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<麹室>

麹室は二つあってここは大きいほうの部屋です、58%より黒いものをこの部屋で麹造りをするそうです。

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奥に吟醸用の麹室がありました。麹蓋でやるそうですが、重要なところは杜氏自らでやるそうです。それで泊りこみになってしまうそうです

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<酒母室>

今仕込み中の酒母がありました。見てください。木製の暖気樽(だきだる)を使っています。今時、珍しいですね。金属製と違って熱湯を入れても外側が直ぐ熱くならないのでとても使いやすいそうです。1日に2回交換するそうです。

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速醸と生酛の酒母が同じ部屋にありました。大丈夫かなと思いましたが、人数が少ないので、別の部屋では難しいとのことでした。その代わり櫂棒は変えるそうです。それは当然でしょうね。その櫂が並べて置いてありました

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それから昔使っていた暖気樽や木桶などが置いてある棚がありました。大きな暖気樽は使いにくいので小ぶりの樽に変えたそうです

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それから杜氏が何やら奥から面白い道具を持ってきました

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左手に持っている桶は口の形が桃のようでしょう。ですから「桃だめ」というそうです。タンクの底を掬うのには丸よりは少しとがっていた方が良いそうです。右手に持っている四角い形のものはタンクの底を掻きとる「かすり」だそうです。どちらも現役だそうです。ここまでこだわるのかという感じです。

<仕込み蔵>

開放タンクがずらりと並んでいました。作業用の足場ができていましたが、安全のためにフロアにした方がいいのではと聞いてみると、フロアにすると却って危ないとのことでした。密閉タンクにして作業用フロアを造った方が安全のように思えましたが、山形県はまだまだこのような蔵が多いようですね。

蔵の建物は火事で焼けない構造になっているので、排水溝がないそうです。ですからタンクの掃除はホースからの垂れ流しでは出来ないので、タンクからの水を受けるものを用意して、手で水をまきながら洗うそうです。大変な作業ですね。

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この蔵では泡あり酵母を使っているようで、泡消しの小型の撹拌機をつけていました。泡ありは管理が大変なので、やめるところが多い中、昔からの泡ありにこだわっているようです。

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仕込みは1週間に2-3回仕込みのようで、1週間に何本やるかを決めて仕込んでいるようです。

最後に絞りのところに行きましたが、僕らが行く前の日にたまたま山田錦の35%精米の出品酒用大吟醸の袋刷りが終わったばかりで、搾りたてのこの酒を飲ませていただきました

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写真の白いタンクが袋絞りしているのタンクで、絞ったものが手前のステンレスの受けタンクにたまっている状態でした。

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タンクの中の写真を撮りましたが、確かに袋が首つりのように約30本並んでいました。この後これは袋からだして、薮田で絞るそうです

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雅彦さんがそのお酒を酌んでいるところです。鑑評会用のお酒です。飲んでみると思わずそのうまさに思わずにっこりする味でした。

Dsc_0161_2その他色々なお酒を試飲しましたが、僕は今年の新酒の純米吟醸 朝日川 米寿を購入しました。美山錦50%精米です。

新酒の割にはさらっとして飲みやすいけど、ちょっと後味が辛いので、もうちょっと甘みを出して、バランスさせてほしいような気がしました。

この蔵は色々な銘柄のお酒を出していますが、主に首都圏向けの特約酒販店向けの山吹極(やまぶき)が人気のようです。山形県のお米を使ったお酒で、無ろ過生の純米酒を基本としているそうです。

特約酒販店向けのお酒ですが、地元の人で蔵まで買いに来た人は売ってあげるそうです。

これで蔵見学の紹介は終わりますが、この蔵は昔ながら道具を使った、昔ながらのやり方で酒造りをしている蔵だと思います。それだけに蔵人は大変だろうと思いますが、何と言っても美味しいお酒を作るの喜びがあるからやっているものと思います。ぜひこれからもますます美味しいお酒を作るよう頑張ってください。

この日の夜は蔵の隣にあるお店でお食事をしました。浅黄医院の隣の蔵の奥に熊の茶屋というお店があります。浅黄医院は親戚なのですがもう廃業されているようです。

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お店の中の写真をちょっとお見せします。

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とても趣のあるお店ですが、予約だけでやっているお店のようでした。この写真は石踊さんからお借りしました。

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あらたま・和田酒造は目が離せない蔵になりそうです

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東北ツアー第4段あら玉・和田酒造の訪問です。東北ツアーの最後の日に今まで予定のなかった和田酒造に急に訪問することになりました。それは前の日の熊の茶屋の宴会にあら玉の社長の和田多門さんがお見えになって、突如の訪問が決まったのです。

和田酒造は朝日川と同じ町にあって、朝日川酒造からあるいで500mほどのところにあります。蔵に着いた時の写真です。

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赤レンガの煙突があるのが蔵がですが、写真の右側の建物は関係ありません。ホームページから取った正しい姿もお目にかけましょう。

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これが正しいお姿です。イメージは写真の撮り方で変わってしまいますね。

煙突のある方に入って行きました。

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煙突の右側の建物は冷蔵庫として建てた物のようで、1階に‐3℃の氷温庫と10℃の冷蔵庫があって、2階が会議室になっているそうです

その会議室で社長のお話を聞きました。この日は仕込みをしている時でしたので、蔵見学は搾りのところだけでしたので、社長のお話を中心に、インターネットで集めた写真などで蔵の様子を紹介したいと思います

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この方が社長の和田多門さんです。この蔵は創業1797年で、多門さんは8代目に当たるそうです。この土地は雪深い土地で寒さが厳しいこと、水が良いこと、良いお米がとれるということで酒造りには大変向いている場所だそうです。

<仕込み水について>

ここの地下水は月山の伏流水が流れているところなので、とても良い水が出るところなのですが、大分前から鉄分が多くなってきたので、水道水に切り替えたそうです。ここの水道水は品質が高く超軟水の柔らかい水だそうですが、ミクロフィルターを通して使っていうるので、とても安定した仕込み水が確保できるそうです。

<原料米について>

この土地は極めて熱心な米作りの農家が多いそうです。その中でも改良信交は秋田で生まれ山形県で育ったお米ですが、昔から河北町で栽培されたお米です。それは背の高い品種の改良信交のわらが草履生産量日本一の材料としてなくてはならないものだったからだそうです。でも背丈が高く栽培も難しいし、その上草履の生産量の需要が減り、絶滅寸前になったそうです。

和田さんはこの米を絶やしてはだめだと奮起して、酒米として復活させるために契約栽培を始めて、現在に至っているそうで、今でもスリッパの原料の藁、酒米として生産されているそうです。この蔵では地元の酒米を大切にしていて、改良信交のほかに出羽燦々、出羽の里、雪化粧、つや姫、亀の尾を使っているそうです。勿論大吟醸クラスには山田錦を使っています

<蔵人について>

この土地は雪深いところなので、他県の人はあまりやって来なかった風土があるので、昔から地元の人で酒造りをしているそうです。この地区はお米造りの人が兼業でサクランボやリンゴを栽培していて、春から秋にかけて大変忙しいのですが、冬場は暇なので酒造りをお手伝いするのには適しているそうです。近くには南部杜氏の集団がいますが、ここでは蔵独自で酒造りをしているので、昭和の時代は良いお酒がなかなか作れなかったそうです。しかし、山形県の醸造試験所のお力を借りで、努力した結果、平成に入ってからは山形県の色々な蔵が全国新酒鑑評会で金賞を取るようになったそうです。平成16年には全国新酒鑑評会の金賞受賞の数が新潟を抜いて全国1位にりました。この蔵も平成2年から13回も金賞を取っている実力のある蔵です

この蔵は常勤の社員が4人、冬場の応援が4人と家族全員が酒造りにかかわったいるそうです。生産量は700石だそうですから、生産量の割には多くの人がかかわっているのですね。

<新しい風>

多門さんには一人娘の弥寿子(やすこ)さんがおられますが、東京農工大学に進学され(農大ではありませんよ)で微生物の研究をされて、一時は薬の会社に行こうと思ったこともあったようですが、今では蔵に戻って酒造りを手伝っています。お写真をインターネットよりお借りしました。

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その娘さんは2005年に結婚されて、お婿さんを迎えました。その方は沖縄出身の和田茂樹さんです。茂樹さんは弥寿子さんの大学時代の同級生で微生物の研究者です。大学卒業後は一時沖縄県庁に勤めましたが、その後大阪大学の医学部の研究室で研究員をしていたそうです。弥寿子さん結婚を機会にこの山形の地に来て、今では農学博士として専門の研究開発だけでなく、酒造り全般を担当しているそうです。茂樹さんの写真もインターネットからお借りしました。

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如何にも沖縄県出身らしい風貌をしていますね。弥寿子さんは出産をされて子育てをしながらお二人で酒造りを手伝っているそうです。バイオテクノロジーの専門家のお二人が手をつないで協力し合えば、何か新しい酒が芽生えるような気がします。

弥寿子さんは東京農工大学を卒業後、酒類総合研究所で研修した後、山形県工業技術センターの研究員として勤務していました。その時さくらんぼ酵母の抽出培養に成功し、さくらんぼ酵母を使ったお酒の「櫻鳴」(おうめい)を開発したそうです。蔵に戻ったのは2003年からだそうです。その後2005年に「さくらんぼ恋物語」も出しています。これから何を出していくのでしょうね。

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櫻鳴は出羽燦々50%精米をさくらんぼ酵母で醸造したアルコール度数12.5%の純米吟醸酒です。さくらんぼ恋物語は紫黒米90%/出羽燦々60%精米で作ったさくらんぼ酵母の純米酒で、アルコール度数は14-15度です。僕は飲んだことはありませんので、飲んでみたいですね。

<蔵でいただいたお酒>

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左からあら玉 純米吟醸つや姫、純米吟醸出羽燦々「谷地のあらばしり」、あら玉 特別純米 改良信交生酒、雪のごり純米吟醸「ぼんだら」です。ぼんだらとはつららのことをそう呼ぶそうです。

<蔵でいただいたおつまみ>

この蔵で造られた特製の青菜(せいさい)の漬物です。

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製菊の花をおりこんだこの蔵特製の粕漬けです。どうやって作るのでしょうね。おかみさんが作るそうです。

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こんにゃくを煮込んだもの

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どれもとてもおいしかったで、お土産として欲しかったのですが、売りものではないのであきらめました。女の子はおかみさんに頼み込んで手に入れていたようです。

蔵の中を案内していただきましたが、仕込み中でしたので、搾りのところだけ見学しました。そこで、本醸造のしぼりたてを飲ませていただきました。

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<名刀月山丸>

この蔵は全国新酒鑑評会で金賞を何回も取っていますが、そのレベルのお酒には月山丸という名がついています。平成2年に金賞を取ったことを機につけた名前だそうです。月山丸は刀の名前で、その刀の制作者の先祖がこの町の出身で、江戸時代に大阪に行って、現在は奈良県で刀鍛冶として刀を作っているそうです。この名刀は横綱の若の花や貴の花の太刀として納められたほど、今日でも大変有名な太刀だそうです。名刀月山丸のように切れ味のよい酒という意味だそうで、この名前の商標は社長が取ってあるそうです。

<啓翁桜(けいおうさくら)>

Dsc_0242この蔵には啓翁桜という名前のお酒があります。啓翁桜は山形県の冬場に咲く花で、薄紅色の花がきれいに咲きそろうので、、厳しい冬を耐え、生命の躍動する春を呼び込む花として喜ばれているそうです。その桜の名前をお酒の名前にしたのも多門社長だそうです。

100%改良信交、山形酵母で作った大吟醸や吟醸クラスにその名前が付いているようです。

この桜、山形では昭和40年代に全国にさきがけて促成栽培が始まり、ハウス(促成室)の中で寒さと暖かさを調節しながら真冬の開花を促してゆくなどの工夫がなされています。
お正月の飾りに、切り花としてフラワーアレンジメントの材料にとその人気は高まっているそうで、約1カ月咲くそうです。

会議室の一角に啓翁桜が飾っておいてありましたが。残念ながらまだつぼみの状態で花はこれから咲くとのことでした。

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以上で蔵見学の説明を終わりますが、伝統あるこの蔵に2人のバイオの研究者が入ったのですから、これからどんな味のお酒が飛び出してくるのか、目が離せない蔵になりそうです。

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米鶴酒造は意外に普通の蔵でした

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東北ツアーの第5段の最後の蔵として山形県の高畠町にある米鶴酒造を訪問しました。その日の午前中にあらたまの和田酒造を訪問したので、蔵に着くのが12時半ごろになって、昼食をとるお店の予約時間も迫っていたので、,蔵見学は約1時間ほどの短い時間でした。社長が待ち構えてくれるものと信じていたのですが、社長は僕らの見学は前日とばかり思っていたようで、この日は別の用事で出かけており、お留守でした。ですから前日の昼食はキャンセルできなかったようで、従業員で食べたそうです。得したのは従業員と、お店だけかな。

社長の代わりに、杜氏で常務取締役の須貝智さんが出迎えてくれました。須貝さんは昭和53年に入社されて、酒一筋で育って平成10年から杜氏をされているベテラン杜氏です。とても気さくな方でした。

米鶴酒造については、去年の5月に神田の醇さんのところで梅津陽一郎社長を囲む会があって、その時蔵のことは詳しく書いてありますので、下記に示すURLをクリックして読んでください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-5d2e.html

蔵の生産高は一時は7000石あったようですが、現在の生産高はわかりません。でもすくなくとも2000石以上あることは間違いないので(従業員43人の出羽桜が約8000石から考えて、従業員15人の米鶴は2000から3000石かな)、どんな蔵なのか、わくわくしながらの見学でした。でも、時間がなくあまりじっくり見ることができなかったので、さらっと紹介することにします。

蔵の玄関です。鑑評会で金賞を取ったお祝いの垂れ幕が印象的でしたね。

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この方が杜氏の須貝さんです。この日はたまたま山田錦35%の大吟醸の巨匠の袋搾りをしているところで、忙しいところを時間を割いて案内していただきました

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この蔵は米作りに力を入れていて、山田錦と雄町以外のお米はすべて山形県産のお米と使っているそうです。扱っているお米の見本がありました。

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左から亀粋、亀の尾、出羽の里、出羽燦々、美山錦、はえぬき、山田錦です。亀酔と亀の尾と山田錦の丈が長いのが良くわかります。丈が高いと栽培が難しいらしいです。亀酔は日本の蔵元としては初めて品種登録をした米鶴酒造独自の米で、亀の尾の変移種です。現在鑑評会レベルのお酒は山田錦を使用していますが、将来は亀粋を使ったお酒を鑑評会に出したいそうです。それだけ良い米なのですね。

今年は山田錦が手に入りにくかったそうです。また、はえぬきは山形県が開発した飯米で、コシヒカリに引けを取らない美味しいお米だそうです。はえぬきは本醸造用の酒米としてつかっていますが、少し溶けが悪いそうです。出羽きらりも使うようですが、作付面積がはえぬきの方が多いので、使いやすいようです。

洗米もごく普通の洗米機を使っていました。もちろん手洗いの籠もありました。

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青い大きなプラスティックの車つきの箱がお米を運ぶもののようです。

蒸は和釜でした。蒸米を運ぶクレーンがなく、人で掘っているようでした。まさかという感じです。

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麹室は大きな床が2個あるだけの部屋でした。カメラが曇って良く見えませんね。普通酒用の麹室はもっと広いけど別のところにあるようです。この時期、麹室に入れてくれるのは珍しいことです。本醸造の麹だったから許可してくれたのかな。

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本醸造用のはえぬきの麹が広げてあり、置いておくと表面が乾燥するので、定期的にこのように手早くさっと手でかき混ぜるようです

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次は仕込み蔵です。大きめの開放タンクがずらりと並んでいました。1.5トン仕込みの半仕舞だそうです。開放タンクでは作業用の足場を作るのが普通で、作業フロアを作っているところはないようです。確かにフロアにすると気が緩んで落ちてしまう可能性があるからかな。この中に落ちたら酸欠で直ぐ死に至るそうです。

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この部屋の奥に山田錦35%精米の大吟醸の袋搾りをしているところがありました。何と3本いっぺんに絞っていました。こんなに造るのですね部屋中に搾った滴が落ちる綺麗な音色が響きわたっていました。とても気持ちのよい音です。

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もっとアップしてみましょう。3本が見えますね。タンクの大きさは700kg仕込みのようです。

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この搾りたてをいただきましたが、若いけど、味はしっかりしていて美味しかったです。これを火入れして熟成させると、あの巨匠味のとろみ感が出るのでしょうね。

そのタンクのそばに、搾りを待っているFー1となる純米大吟醸のタンクがありました

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山田錦35%、純米大吟醸 680kg、酵母1801+Y901と書いてありました。このF-1は今年で最後になるかも知れないそうです。それは自動車関係からF-1の標章にクレームがついたからで、カタカナなら問題ないそうですが、多分他の名前がつく可能性が高いそうです。F-1フアンの方は今年が最後ですから是非購入したほが良いかも。

歩いていると袋吊りをして取った斗瓶がずらりと並んでいました。ここから良いものを選別をしてから斗瓶を台の上に置き、サイホンで1升分に移す作業をするそうです。こんなに手がかかるので、斗瓶取りは高くなるのでしょうね。でも美味しいところが飲めるので仕方がないかな。

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最後に面白いものを見つけました。20Lのからの斗瓶です。外国製だそうです。

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これで蔵見学が終わりましたが、外に出てみると外置きの大きなタンクと、普通酒専用工場が見えました。

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このタンクは普通酒の貯蔵用ですが今では使っていないそうです。奥に茶色の建物が見えますがそこが普通酒用の専用工場のようです。

最後に展示室で試飲をさせていただきました

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巨匠も、亀粋もありますね。この中で亀粋の純米大吟醸を購入しました。高畠町産の亀粋40%精米の純米大吟醸です。口に含むと綺麗な香りが広がり、その後に少し酸味を感じる旨みが楽しめます。

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この写真ボケがいいでしょう。ニコンの単焦点レンズ 35mm、F2.8で取ったものです。僕の写真の師匠の升新商店の山ちゃんどうですか。

最後に工場の全体の写真を見てもらいましょう。左手に展示室が、奥に屋外タンクと普通酒工場、真中が特定名称酒の蔵でした。

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この蔵では特定名称酒が60%、普通酒は40%の生産をしているそうで、僕たちは特定名称酒の蔵を見学したわけなのですが、今回の蔵の訪問でわかったことは、特別に新しい装置を入れているわけではなく、手をかけた昔からの造りで作っていることがわかりました。これで良くこれだけの生産量を作れるなというのが僕の感想です。

米鶴酒造はこれからどんな風に変化していくのでしょうか。残念ながらその辺はわかりませんでした。社長がおられたらその辺が聞けたのではと、少し残念な気持ちで蔵を後にしました。

須貝杜氏さんお忙しいところ案内していただきありがとうございました。

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飯沼本家の一喜はこれからどう変わるか楽しみです

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神田の醇さんのところで行われた2月の蔵元を囲む会は千葉県の飯沼本家でした。飯沼本家は千葉県の印旛郡酒酒井(しすい)にある蔵で、甲子正宗がメインのブランドで最近では一喜というブランドを立ち上げています。

飯沼本家は300年もの歴史を持つ老舗の蔵で、最初は神社向けのお酒造りから始まったようです。この辺りは神社仏閣が多いところのようで、確かにすぐそばに香取神社があり、他にもお寺が2件あります。千葉県は硬水が多いのですが、ここの水が中硬水でお酒造りに適しているのと、千葉県の中では一番寒いところだそうで、その意味からもお酒造りに適しているそうです。酒酒井といわれるのは孝行息子の井戸から酒が湧いたという言い伝えでついた名前だそうで、お酒に関係した土地なのですね。

甲子正宗という名前は甲(きのえ)の年に酒造業を開始したことから名付けられたと言われていて、甲は甲、乙、丙の先頭なので、関東一の酒造りを目指すという意味があるようです。この蔵には行ったことがなけど、大規模生産ができる大型の酒造設備を持っているし、千葉県では珍しい自家精米ができる蔵です。一方昔ながらの手作りの酒造りをしている両面を持った蔵のようです。今の蔵の大きさは千葉県では大きい方で2000石くらいのようです。

この蔵の社長は飯沼喜市郎さんです。前千葉県酒造組合の会長をされ、現在は千葉県観光協会会長をされているようです。お酒造りのどのようにかかわっておられるのかはわかりませんが、色々なことをなさる方のようです

蔵のそばには新潟県の「旧清野邸」を移築したまがり家があり、ここで蔵のお酒を飲んだりお食事ができるそうです。

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まがり屋の2階はギャラリーになっており、千葉県在住のアーチストの企画展になっているそうです。毎年2万人の人が訪れる人気スポットになっているようです

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ちょっと面白いマップを見つけました。まがり屋は蔵と隣接しているのですね。興味のある方は行ってみたらどうですか

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最近は周りの土地を購入し、きのえね農園を始めたそうです。酒造部門の売り上げが10年前の半分に減少してきたので、酒造として生き残るために日本酒製造の米の生産や米以外の野菜や果樹つを栽培して観光農業などを展開して収益力を高めるために農園業を始めたそうです

僕には何か方向が違うような気がしますが……

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今回の蔵元を代表してこられたのは製造責任者の矢崎智一さんです。この蔵は昔は南部杜氏がおられましたが、今は杜氏制度はなくなっているそうです。矢崎さんの名刺には営業係長と書いてありますが、実際には酒造りをしていて酒造りの責任者の一人だそうです。この蔵には川口孝一さんがおられて、二人で責任を分担しているそうです。いくら社員全員で協力して酒造りをしているとはいえ、酒の味を決める人が複数いると方向性がクリアにならないと思いますがね・・・・・・・

矢崎智一さんは大正大学を卒業後、直ぐに惣誉の杜氏のもとで修業をした経験があります。その他、岩の井の昔の杜氏のもとで4年間働くなど、色々他の蔵で修業をして今の仕事を担当しているそうです。ですから今ではサラリーマン蔵人ですが、杜氏集団の厳しい生活を経験しているので、今でも蔵に入った時は神棚にまず手を合わせるそうです。

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矢崎さんは単に製造責任者としてお酒造りのリーダーであるだけでなく、他の蔵のお酒も良く勉強をして、お酒の良さを飲み手に伝えるコミュニケータ―としての役割を果たしているようです。確かに話し方もはっきりしており、バリトンの様な良く通る声を持っている方でした。これは持って生まれた天性でしょうね。うらやましい・・・・

この蔵を紹介してくれたのはふくはら酒店の福原さんです。前の日に東大2食の日本酒の会でお会いしたばかりで、その福原さんが持ってきたお土産のエプロンが僕が仕留めたという珍しい出会いがあったばかりでした。

矢崎さんと福原さんのツーショットです。

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それでは今日飲んだお酒を紹介しましょう。一喜が6本、甲子正宗が2本の構成でした。昔からあるブランドが甲子正宗で、飲みやすい食中酒を狙ったものに対して、一喜は特定の酒販店向けに造った生酒や季節ものなどこだわった商品で、今年で8年目になるそうで、生産量も100石と少ないそうです。

一喜という名前は一杯の盃にいっぱいの喜びを込めてという意味があるそうですが、最近蔵に戻ってきた社長の息子の一喜(かずよし)という含みもできたようです。これは初耳です。

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どんな味のお酒か、醇ちゃんのお料理に合わせて飲んできました。

0.甲子 純米吟醸 袋搾り 氷室囲い

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このお酒は五百万石55%精米の24BYの純米吟醸の袋搾りを‐3度の氷温の冷蔵庫で1年間寝かせた生酒です。甲子ブランドでもこんなものがあるのですね

飲んでみると香りが高くふわっと広がるけど、味のバランスを崩すほどではないです。旨みにとろみ感がありましたが、これは低温熟成したからではないかとのことでした。

酵母は1801系だそうで、鑑評会用に使っていたものを純米吟醸酒にも使ってみようと思ったそうです

1.一喜 純米吟醸 吊るし搾り おりがらみ

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一喜のブランドを始めて出した時のお酒が袋搾りの純米吟醸ですが、今までは最初に出るにごりの部分は入れないようにしていたのですが、結構美味しいので、この部分だけをオリがらみとして出したお酒だそうです。

普通のオリがらみと違って、袋から出る目の細かい自然なおりなので、飲んでみると優しさを感じます。この酒の酵母も1801系ですが、0番のお酒で感じた香りの高さがオリ味でかき消された気がします。

極少量しか取れないお酒なので、3っのお米(五百万石、酒こまち、美山錦)のブレンドで量を確保しているそうです。麹は山田錦を使用しているそうです。ですから季節限定の特殊なお酒です。飲めた人はラッキーですね

2.一喜 純米吟醸 吊るし搾り

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このお酒は1番のお酒のにごりの部分を取ったものです。お米の説明はなかったけど、通常の吊るし搾りの純米吟醸には瓶の肩にお米が書いてあるので、これは0番と同じブレンド品かもしれません。

オリはないけど、如何にも生酒とおもえるしっかりした旨みを感じて、余韻に綺麗な甘みが漂うお酒でした。

オリの部分を取ったお酒ですが、長時間置いておくとオリが自然とたまってくるのがわかるそうです。

3.一喜 本醸造 お燗酒

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このお酒はお燗を目的として造ったもので、お米は千葉県産の飯米「ふさこがね」を70%精米したものと使っており、さらに古酒をブレンドしたものだそうです。アルコール度数は14%と抑え気味にいています。

冷で飲んでみると、古酒の熟成香があるけど、優しい味でのど越しがすっきりしています。お燗にしてみると、熟成香がおさまり、酸味が出てきて食べ物と合わせたい気がしてきました。

古酒を入れたとっころにこだわりがあるのですね。

4A.一喜 純米吟醸 直汲み 酒こまち
4B.一喜 純米吟醸 直汲み 五百万石

直汲みの純米吟醸は造り始めてまだ3年だけど、直汲みのやり方は毎年変えてきていて、空気にできるだけ触れさせないで瓶詰めしてフレッシュさを出せるように工夫しているそうです。その米違いの2本で。Aが酒こまち(秋田県)、Bが五百万石(富山県)で、どちらも麹米は山田錦を使っていて、精米度は55%の生酒です酵母は1801系です

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酒こまちは口に含んだ時に旨みがきれいに広がるけど、全体にはすうっとしたバランスのお酒でした。それに対して五百万石はちょっとどっしりした味わいで余韻が後まで残るように思えました。どちらが好きかは好みの問題ですが、飲みごろなのは酒こまちかもしれません。

この五百万石は瓶詰めしたまま、まだ蔵の冷蔵庫で眠っているお酒で、6月以降に販売する予定だそうです。一喜の字が青いのは夏に出すとい思いがあるからだそうです。その頃どんな味になっているのでしょうか

5.一喜 純米 大辛口

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このお酒は一喜シリーズの中の辛口のお酒を狙ったものです。お米は千葉県産のふさこがね80%精米の純米酒ですが、辛口でも食中酒として楽しめるお酒を狙って、7号酵母を使ったそうです。

飲んだ感じは決して辛くはないけど、シャープな仕上がりです。旨みはそれほど強くはないけど、後味に綺麗な酸味があるので、すっきり切ってくれるお酒でした。

最近は低精米でも多ししいお酒ができるようになりましたが、低精米でも山田錦は抜群だそうです。飲んでみたいですね・・・・

6.甲子 吟醸 辛口 

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写真を撮り忘れましたので、インターネットから拝借しました。このお酒は甲子シリーズのヒット製品で吟醸の辛口です。五百万石60%精米で9号酵母を使った食中酒を狙ったお酒です。

このお酒は台湾ではラベルが違うけど、大変人気のお酒になっているそうです。

飲んでみると旨みが最初に広がるのではなく、ゆっくり奥の方に広がるお酒でした。これは9号系の酵母の効果ではないかなと思いました。

これでお酒の紹介は終わりますが、一喜のお酒のメインは1801系の酵母が多いようです。それは東京向けのお酒として生き残るために仕方がないと言われていましたが、個人的には香りにこだわらないでもっと深みがあるけど余韻のきれいなお酒造りをしてもらいたい気がしました。

造りについてはかなり経験のある蔵なので、色々とチャレンジしてもらいたいです。そのためには誰かが強い信念を持って明確な方向づけが必要のように思えました。

最後にこの会に参加していた武内さんと一緒の写真を撮りましたので、ご覧ください。

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なかなかいいショットでしょう。武内さんはこの会のためにお得意のぐるぐる目玉のパンダ?の絵を描いていただきました。

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<お料理>

今回も醇さんが千葉県のことを考慮した色々なお料理を作っていただきましたので、ご紹介します。

鰻の白和え、ピーナツ味噌春菊  真鯛の昆布〆サラダ仕立て
ベーコンの煮仕立て

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鰯のつみれ汁            すずきの養老蒸し
(鰯つみれは千葉県が有名)   (ヤマトイモを使った料理を
                      養老・・というそうです

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菜の花とたこのナムル      春キャベツの肉じゃが

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太巻き鮨(梅の花をイメージ)     武内さんのぐい飲み

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ヨイキゲンのお酒を始めて飲みました

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先日五反田のおまつり本舗で第61回蔵元を囲む会が開かれて、岡山県のヨイキゲン株式会社の蔵元の渡邉信行さんと一緒にお酒を飲む機会を得ました。岡山県といえば雄町の生産で有名な地区ですが、渡邉さんは雄町使いのスペシャリストとお聞きしましたが、雄町サミットでお会いしたことはないけど、どんなお酒が飲めるのだろうということで参加してきました。

おまつり本舗のお店は普通のお店とは雰囲気が違いますが、お酒とお魚は旨いですよ

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おまつり本舗は店長の荻野哲夫さんは釣りの名人のようで、お店にはとても大きな魚拓が一杯飾られていますし、色々な漁師の旗も飾られているお店です。この会の参加はこれで2回目ですが、いつもお酒に合うお魚が出てきます。今回はどんなものが出てくるでしょうか?

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魚拓の右にはつりざおが何本も立てかけてありました。でっかいものばかりです。

今回はどういうわけか12-3人の参加で、こじんまりとまとまった会となりました。人数が少ないのもたまにはいいですね。

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会の中央に座って水色の法被を着ておられるのが、ヨイキゲンの社長の渡邉さんです。ヨイキゲンとは不思議な名前ですね。ヨイキゲンは岡山県の南西部の吉備路にある蔵で、倉敷の北西の高梁川のそばにあります。創業は明治40年で、当初は富禄正宗という商標でしたが、2代目の時に酔機嫌という商標にしたようです。会社名がヨイキゲンになったのは何時だったかを聞くのは忘れました。

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渡邉さんは現在45歳で、社長になって約10年たっておられますが、蔵元としては珍しい経歴を持っておられます。地元の高校を出た後、蔵元の人が良く行く東京農大には行かず、神奈川県にある神奈川大学の経済学部に行かれました。本当は東京にある大学に行きたかったようですが落ちてしまったそうです。大学を卒業後も国分株式会社に入られたそうですが、担当したのはお酒関係でなくコンビニを担当したので、お酒の営業の勉強にはならなかったそうです。

信行さんは長男ではなかったので、蔵を継ぐつもりはなかったそうですが、長男が新しい会社を立ち上げ、海外に行くようになったために、仕方がなく蔵を継ぐことになったそうです。でもそれまで酒造りの勉強はしていなかったので、蔵に戻る前には東京の造醸試験所で講習を受けたそうです。その時はとても楽しく、思い出に残っているそうです。

この蔵は元々は灘のメーカーに桶売りをしていた時もあり、大量生産型の蔵で生産高も2000石近くもあったそうですが、信行さんが蔵に戻ってからは、少量仕込みで特定名称酒を作る蔵に変身させたそうで、今では200石くらいしかないそうで、蔵人は杜氏を含めて3人しかいないそうです。大変ですね。

そうやって生まれたお酒を飲めるのですが、今日は市販されていないお酒も用意されたようです。それでは飲んだお酒を紹介しましましょう

1.翆山 大吟醸

Dsc_0178地元産の雄町50%精米の斗瓶どり大吟醸です。50%でも純米吟醸と言わないのは袋搾りの斗瓶取りだからだそうです。気持ちは大吟醸ということなのでしょう。酵母は1801系です。瓶には14年4月と書いてありますが、実際には23BYのお酒で、5℃の冷蔵庫で1年熟成したものだそうです。勿論火入れです。

口に含むと雄町らしい柔らかな旨みが広がり、袋搾りらしい綺麗なふくらみを感じますが、後味に少し辛みを感じます。きっとアル添のせいではないかな。1801系にしては香りは強くありません。しばらく飲んでいるとその辛みは消えてしまいました。

2.雄町 吟醸 生原酒

Dsc_0176これも地元産雄町50%精米の吟醸酒の直汲み生原酒です。醪にアル添をして、薮田で絞ったお酒をそのまま直ぐに瓶に詰めたお酒で、この会のために用意したお酒だそうで、市販されていません。ですからラベルは手作りです。酵母は1801系だそうです。

しっかりした味わいはあるけど、直汲みの割にはシワシワ感はなく、飲みやすいバランスのお酒でした。雄町らしい膨らみが乏しかったように思えたのは、今年の雄町は溶けにくかったからではないかなといわれていました。

3.すい 吟の雫 生酒

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福岡県で生まれた酒米の吟の里50%精米の純米吟醸の生原酒で、酵母は9号です。吟の里は山田錦と西海222号を掛け合わせて造ったお米で、吟醸酒に向いている酒米だそうです。

結構飲みやすいお酒で、スッとした旨みに軽い酸味を感じながら口の奥の方に味が広がっていくお酒でした。これはお米の違いよりは、酵母の違いが出ているように思えました。

このお酒は市販されているようですが、この瓶のラベルは手作りのようですね。

4.碧天 純米

Dsc_0186碧天というお酒は、渡邉さんが蔵に戻ってから作ったお酒で、全量500kg以下の極少量仕込みみで、大吟醸仕込みと同じ丁寧な造りをしたこだわりのお酒です。岡山は青空の多い土地なので、それをイメージして碧天という名をつけたそうです

この碧天は雄町65%精米で、9号酵母で醸したお酒ですが、蔵で1年熟成した特別なお酒です。ラベルはこのために作った手作りで、赤い太陽と稲穂をデザインしています。

口に含むと雄町らしい膨らみの中に微妙な酸味を感じながら、口の奥の方に広がってきます。これは食中酒には最適なお酒ですね。

5.酔機嫌 純米生原酒 朝日米

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朝日米を使った純米酒の直汲み生原酒で、これもこの会のために用意した特別なお酒でした。ですからラベルも渡邉さんの手作りです。

朝日の米は西日本で広く栽培されている飯米ですが、酒米のアケボノの親に当たる米ですから、酒米としても面白いのかもしれません。

精米度は確認しませんでしたが、今までのお酒とは味わいが少し違いました。口に含むと軽い旨みが直汲みのシワシワ感と一緒に広がりますが、後味がこの米独特の風味が出るようです。なかなか面白いお酒です

6.翆山 大吟醸 生原酒

Dsc_0194_2このお酒は1番の大吟醸と同じお酒ですが、火入れしていない生原酒です。このお酒は生産本数が少なく、このお店に数本、他の特別な酒販店に数本の限定商品のようです。ラベルは全く同じですね。違いは生酒のラベルが貼られているだけです。

飲んでみると1番のお酒とは全く違う味でした。こちらの方がインパクトがあって旨いお酒でした。口に含んだ時の最初のアタックが良いですね。やっぱり旨さだったら生なのかもしれませんね。でも沢山飲むのだったら、火入れの方がいいかもしれません。

7.辛口本醸造

Dsc_0203お米は地元産のアケボノで、精米は60%の本醸造で、日本酒度は+8です。

飲んでみると辛口と言いながらそんなに辛さを感じないで、酸味も適度にあって、素直な味わいでした。これが1升1900円で買えるのであれば、とてもコストパフォーマンスは良いと思いますこの味のバランスはすきだな。安価なお酒が上手い蔵は将来性があると思うな。

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8.しぼりたて 生原酒

Dsc_0205このお酒は普通酒の生原酒です。お米はアケボノ70%精米です。普通酒で生原酒というのは大変珍しい気がします。

飲んでみると、独特の甘みがあるけど、バランスは自然で悪くはないけど、何かが違う感じがしました。その種明かしをしていただきました。

それはこの酒は甘酒の4段仕込みだそうです。一番糖化した甘酒を醪に添加してから、アル添して4段目の発酵をさせるそうです。だから違う味わいのお酒のような気がしたのですね。1升2200円だそうですから、価格的には微妙ですが、面白いお酒です。

以上で飲んだお酒の紹介を終わりますが、今回わかったことは、雄町とアケボノを酒米のメインとしながら、何か特徴を出そうと色々と努力していることはわかりました。でも何かもう一つ変化がほしいような気がしたのは僕だけでしょうか。雄町にこだわる姿はこれからも続けてもらいたいけど、他のお米の時に麹米だけを雄町にするようなことは意味ないでしょうか。素人が口を出すことではないけど・・・・・もっと進歩してもらいたい蔵で、まだまだ進歩する可能性のある蔵だと思います。その核になるのが信行さんだと思いますので、頑張ってください……

最後にお料理も紹介しましょう。

最初は大根のフライです。生の大根を10分以上上げたものだそうです。
次はホタテでした。ホタテは貝で掬うと食べやすいそうです

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お刺身はわらさ、こはだ、ホタルイカでした。
生の鰯の焼いたもの、生は味が違うそうです

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鮪のちあい            わらさの南蛮漬け

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牛すじの見込み         アジのフライ骨ツキ

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以上です

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新潟の3大杜氏との出会い in酒の陣

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今年も新潟酒の陣に行ってきました。2009年から毎年(東日本大震災の年は中止になりましたが)参加で、今回で5回目になります。今年は初めて土曜日の午後からの参加をして、日曜日は朝一番から入るやり方で行いました。土曜日は朱鷺メッセいの建物の外に何百メートルも並ぶほどの混雑で、入場するのに1時間以上かかる始末でした。この状況については僕のFACEBOOK(takumiで検索してください)に書きましたので、興味があればご覧いただければと思います。

今回初めて知ったのですが、会場の片隅で新潟杜氏のコーナーがあって、新潟杜氏の大御所とお話しできるところがあったのです。このコーナーは比較的空いていてゆっくりと杜氏とお話しできたので、とても有意義でした。今回のブログでは3人の杜氏とお話しした内容を主体にまとめてみたいと思います。

1.平野保夫杜氏 越の誉醸造元原酒造

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平野さんは越後杜氏の大御所で、日本酒杜氏組合連合会の副会長、新潟酒造技術研究会の会長をしているほどの人で、平成18年に「にいがたの名工」に認定されています。平野さんは原酒造に入って酒一筋に50年酒造りをされていて、現在70歳ですから、僕と同じ昭和18年生まれです。

持っていただいているお酒は越の誉の1升1760円の普通酒です。飲んでみると飲んだ後にじんわりと旨みが膨らんできて、後味が綺麗で何も残らないとお酒で、香りはあまりないけど、とてもコストパフォーマンスの良いお酒でした。このお酒でこの値段なら文句の言う人はいないと思います。

平野さんは普通酒が美味しくない蔵は本物でないと心をこめて作っているそうで、酒造りで最も重要なのは麹造りだと言われていました。でも遊び心を持たないと良い酒は造れないというモットーを持っているそうです。確かにそうしないと進歩はあり得ないのかもしれません。

最後に名刺交換をしたのですが、名刺の裏に平野さん作詞の唄が書かれていました。題は「酒屋もん・・・・俺を信じて」という酒造りの唄です。今度唄っている声を聞かせてください。これも遊び心の一つなのでしょうね

名刺には製造部長と書いてあって杜氏とは書いてありません。原酒造は昭和40年から社員制度ができていて、年間通して酒造りに関するお仕事をしているそうです。

2.南雲重光杜氏 八海山醸造元八海醸造

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南雲さんは八海醸造の杜氏さんで昭和26年生まれ、63歳で42年間酒造りを続けてきたそうです。鋭い人ならわかるかもしれませんが、南雲さんは高校を卒業してすぐ蔵に入ったわけではありません。南雲さんは農家の生まれで、高校卒業後は三重県の鈴鹿の本田の工場に出稼ぎ行っていたそうです。しかし、誘われるまま出稼ぎをやめて21歳の時の冬場だけ酒造りを始めたそうです。

その当時は杜氏集団の中で酒造りをしていたので、大変徒弟制度の厳しい集団の中での酒造りなので、大変つらい思いをしたそうで、春に酒造りが終わるとほっとして、もう酒造りなんかやるもんかと思うのですが、秋の稲刈りが終わると自然と足が蔵に向いてしまったそうです。そしていつの間にか酒造りが生きがいになっていったそうです。

杜氏制度の中では麹造りをする麹屋、酒母を担当するもと屋、蒸米を担当する釜屋、搾りを担当する船頭なとという役割があり、一番の親分が杜氏でそのサポート役が頭というわけです。この杜氏組織がそのまま会社の中に取り込まれそれぞれを担当する技能者集団に変わってきているそうで、南部さんは今は取締役製造部長です。でも昔の苦労をよ知っておられる方でした。

南部さんが持っておれれるお酒は八海山のしぼりたて生原酒、青ラベルで、山田錦と五百万石60%精米のアル添のお酒’(酵母は協会7号)で、南部さんは普通酒ですと言っておられました。このお酒は10月から3月まで作られているお酒ですが、東京では飲んだことがありませんでした。

口に含むと原酒らしいとろっとした旨みのあるお酒で、通常の八海山とは全く違うお酒でした。八海山にこんなお酒があるとは驚きでした。通常の八海さんはアルコール度数が15-16%で、このお酒は19%もあります。まいったな・・・・

八海山の生原酒には赤ラベルがありますが、これは山田錦、五百万石50%精米の純米吟醸で、12月だけに作られる限定酒だそうで、なかなか手に入らないようです。

最後に八海山の法被をを着てツーショットを撮りました。何か僕はどこかのおじいちゃんのようですね。

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3.平田正行杜氏 妙高山醸造元 妙高酒造

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平田さんは平成25年生まれの63歳で45年間酒造りをしてきたそうです。新潟の農家の二男として生まれ、国税庁の醸造試験所を経て妙高酒造の製造部に入社し、38歳の若さで杜氏になられ、数々の受賞歴をお持ちで、全国新酒鑑評会の金賞は11回も受賞しています。平成21年には「にいがた名工」、平成22年には全国技能士連合会のマイスターに認定されており、ダブル認定を受けた杜氏は新潟では初の人だそうです。

その平田さんにお酒造りの秘訣を聞きました。お酒造りはすべての工程が大切で、どれが一番重要かは言えないそうです。まずはどんな酒質のお酒を作りたいかというイメージをはっきり持つことが大切で、それによりお米の選定、麹の造り方、酵母の選び方を決めるそうです。

酒造りの工程の中で最近重要視しているのは貯蔵だそうです。絞ったばかりの生のお酒を瓶に詰めて火入れをするのですが、生酒を貯蔵する期間は短い方が良いのですが、色々な設備の関係上ある程度の期間を見る必要があるので、生酒の貯蔵は-7度のサーマルタンクを使うそうです。こんな所への気配りが良いお酒を作れる秘訣なのでしょうね。

これで3人の名杜氏のご紹介は終わりますが、お陰さまで楽しいひと時を過ごすことができました。

土曜の夜は新潟駅前の土筆で美味しいお料理とお酒を堪能しました。ここで飲んだお酒は凄いのもばかりで、このお酒とお料理合わせて1万円は納得と言ったところです。このお店で真稜の逸見酒造の方々とご一緒しましたので、記念撮影をしました

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この店で飲んだ驚きのお酒を写真でお見せします。お酒の印象は忘れてしまいましたので、ご勘弁を。

越の梅里 純米大吟醸        真稜 山廃純米大吟醸
無ろ過生原酒              生酒

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きりんざん しぼりだて生     君の井 山廃仕込純米吟醸
ぽたりぽたり                 蔵秘伝

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君の井 大吟醸            真稜 純米大吟醸
創業170周年記念          生酒 越淡麗

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青木酒造の金賞受賞酒 牧之(ぼくし) 
2011年のお酒です。

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これだけのお酒はなかなか飲めるものではありません。最後に新潟酒の陣で購入したお酒の写真をお見せします。

君の井 山廃純米大吟醸      嘉山 純米吟醸 越淡麗

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梅の梅里 純米大吟醸生      鮎正宗 純米原酒

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笹祝 大吟醸 2年低温熟成   美の川 越の雄町 大吟醸

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こんなに買ってしまいました、重かったよ!!

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新世代栃木の酒の会で見つけた蔵とお酒

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新世代栃木の酒の会は今年も北千住のシアター1010で開催されました。最近は県の酒造組合の主催の試飲会が色々なところで行われていますが、通常一般のお客様対象の会と、酒販店・飲食店の会とははっきり分かれていています。この会は酒販店・飲食店用時間の中でネット関係発信者用の時間を設けているのが特徴です。このような企画になったのは何時からかは良くはわかりませんが、会の場所が王子から北千住に移った時からのようです。

この会に初めて参加したのは2009年の王子で行われた時でした。その時は僕もちょっと若かったから、ずうずうしく酒販店や飲食店むけの業者対応の時間に参加して、気合を入れてブログを書いた覚えがあります。新世代栃木の酒2009と検索すると僕のブログが一番に出てきます。でも運営側は業者扱いはまずいといういうことで、ネット関係発信者という枠を作ってくれたのかもしれません。ブロガ―としてはゆっくり取材をしたいので、とてもありがたい企画です。他の県の会でもそのようにしてくれると良いけど・・・・・

千住に移ってからは、この枠があるのに気がつかずに、2012年、2013年と一般の部で参加してきました。でも混んでいるのでなかなか取材ができずに、ブログを書くのをやめてしまいました。今年はこの枠があるのに気がついたので、今回は取材を目的で15:30から参加しました。お陰でゆっくりまわることができたけど、1時間では半分の蔵しか回れませんでした。というわけで、今回は2019で紹介した蔵は省略する形で、まとめることにしました。ですから新世代栃木の会2009の記事は下記のURLをご覧ください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/2009-0c61.html

入り口の手前にこの会の案内が設けられていいました。一部の後半の1時間がネット関係発信者の時間帯になっています。その後日本酒セミナーは山本洋子さんの講演会でした。その後に6時半から一般向けの試飲会となっています。

勿論すべてに参加しましたが、流石に最後の試飲会は力尽きて、ブログにはまとめきれませんでした。この分は来年またネット関係時間に来て取材することにしました。

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講演を聞いた後、山本洋子さんの本を購入してサインをしてもらったので、最初にその写真をお見せします。ちょっと茶目な雰囲気が良いですね。一般の会でお会いした時にたくちゃんと言われて、嬉しくなったのが思い出されます。

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入口に入ると、1番の十一正宗から27番のとちあかねまで、本日出展している27蔵のお酒がズラリの並んでいました。

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これだけのお酒を飲むのは大変です。全体の配置を見て2009年の時に書かなかった蔵が後ろの番号に多かったので、そちらから廻ることにしました。

1.とちあかね 白相酒造

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この蔵の蔵元である白相淑久さんは長年栃木県の酒造組合の役員をされていて、栃木県に若手の蔵を台頭させるような環境を作った人と聞いています。ですから自分の蔵もいち早く社員杜氏を導入したそうです。

写真の方は白相(しらそう)酒造の杜氏の大橋正典山です。2004年に東京農大の醸造学部を卒業されて、10年この仕事をしているそうです。

この蔵は花酵母と焼酎の製造で名をはせていますが、この日飲んだお酒で気に入ったのは、とちあかね 本醸造生でした。酵母は花酵母なでしこで、お米は全量あさひの夢です。口に含んだ時に綺麗に旨みが膨らんでくれて、後味も良かったです。

これが1升1900円で買えるのなら文句なしですが、他のお酒は少し物足りなかった気がします。参考出品のとちあかね80%はあさひの夢80%精米の花酵母つるばらの純米酒ですが、他のお酒とはちょっと違った味わいで面白い酒でした。いろいろチャレンジすることは良いですよね

2.若盛門外不出 西堀酒造

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西堀酒造は小山市にある蔵で、この地は近江商人が移り住んで、酒造りを始めた地のようです。蔵元の西堀和男さんは滋賀にご両親がおられるような環境だそうです。ですから創業当時は滋賀県に関係した名前のお酒を作っていたようですが、昭和32年に若盛という銘柄を立ち上げ、平成5年に純米酒をベースにした県内向けのお酒として門外不出という銘柄ができたようです。

地元のお米を使うようにしているそうですが、滋賀県産のお米も多く使っています。今回出品された大吟醸が日本晴れ、純米吟醸が美山錦と短稈渡船とも滋賀県産のようです。大吟醸はちょっと甘め、短稈渡船は甘みは抑えられているが、米の旨みは良くでいました。美山錦は含み香がちょっと違う味になりました。僕は短稈渡船が好みかな。右の方が持っているお酒です。

3.池錦 池錦酒造

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この蔵は大田原市にある蔵で、写真の方は蔵元の4代目仙之丞の池嶋英哲さんです。創始者の仙之丞さんは越後杜氏として働いていたのですが、明治40年に独立してこの地に蔵を持ったそうです。

元杜氏だけに主人は蔵に入るべしとという家訓があるそうで、今も守っているそうです。

僕が気に入ったお酒は純米吟醸原酒 4代目仙之丞です。麹米が山田錦40%、掛け米が美山錦55%で、酵母は栃木県酵母T-S/T-Fだそうです。

この酒は良いですね。最初に旨みがすうと立ち上がり、その後綺麗に消えていくバランスです。去年の県の知事賞を取ったお酒だそうです。4合瓶が2000円程度らしいので、お買い得かもしれません。でも去年の知事賞のお酒を飲んだら、加水してあったので全く違うお酒になったいました。加水すると全然違う味になってしまいますね。

4.旭興 渡邉酒造

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この蔵は大田原市にある蔵で、歴史もあり、全国品評会で素晴らしい成績を収めているそうですが、東京ではなかなか飲む機会の少ない蔵ですね。

写真の方は杜氏の石井浩さんです。他の蔵から来られて今5年たったそうです。

持ったいただいたのは「たまか」シリーズの生酛のお酒です。右手に持っていただいたのが生酛純米吟醸山田錦50%精米で6号酵母のお酒です。なかなか生酛にしては酸味が少なく、柔らかくでいいお酒でした。

左手のお酒は特別純米五百万石55%、栃木県酵母T-NDのお酒です。切れがいいけど滑らかなお酒でした。

写真はないですが、純米吟醸無加圧生酒で、酵母が協会6号、7号、9号、14号、18号を使ったお酒を飲みました。色々な酵母のお酒をブレンドしたようですが、色々な味わいを楽しめる大吟醸です。こんなチャレンジをする蔵なのですね。なかなか面白い蔵です。将来が楽しみだと思います。

蔵のホームページがないのが残念です。

5.雄東正宗 杉田酒造

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この蔵は栃木県小山市にある蔵です。明治時代の初期に新潟県から移り住んで創業したそうで、大変地下水が豊富な土地のようです。杜氏は南部杜氏で古くから頑張っている70歳の方で、全量佐瀬式の槽搾りだそうです。

写真方は専務取締役の杉田泰教さんです。持ったいただいたのは右手のお酒は雄東正宗の純米吟醸雄町で、左手のお酒は発光路強力純米吟醸中取り生原酒です。

ここのブランドは下記の写真のように色々ありますが、雄東正宗と発光路強力が注目の的でしょう。

雄東正宗は当初は優等正宗だったそうですが、栃木県の鑑評会で連続賞を取った時に関東の雄という意味で名前を変えたそうです。

発光路強力(ほうっこうじごうりき)は鳥取県の強力米を種もみをもらって、地元の発光路で栽培して長年努力した結果酒米として使えるようにしたそうです。でも生産量は少なく、今年は60俵しか取れなかった貴重なお酒です。

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雄東正宗の純米吟醸雄町の生原酒は素晴らしいお酒でした。口に含むと雄町らしい膨らみを持って奥の方にスウート伸びを感じるお酒でした。火入れも飲みましたが、生原酒の方が良いですね。

この蔵は普通酒から大吟醸まですべて槽搾りなので、その良さが出るように工夫しているそうです、ですから薮田で絞ったら違うお酒になるそうです。そんなんですか。この蔵の実力は大したものです。是非味わってもらいたいね。

6.北冠 北関酒造

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この蔵は栃木市にある蔵で、江戸時代から酒造業をやっていた3つの蔵元が昭和48年に合併してできた蔵です。以前は3万石もあったようですが、今でも7000石以上ある栃木県では一番大きな蔵です。

写真の方は下野杜氏の上吉原正人さんです。お酒のブランド名は北冠ですが、その名前は征夷大将軍の坂上田村麻呂が戦勝祈願のため冠を当地に埋めたという言われから付いたそうです。

上吉原さんに持っていただいたお酒は、この蔵の越後杜氏の山﨑忠一さんの名前がついたお酒です。このお酒は地元米75%精米の普通酒ですが、独特の香りのするけど味のバランスの良いお酒でした。

この蔵は大きいだけあって、変なお酒はないけど、僕にはちょっと個性が足りないように思えました。

7.朝日栄 相良酒造

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相良酒造は岩舟町にある蔵ですが、創業は1831年ととても歴史のある蔵です。お写真の方は相良酒造の社長で8代目当主の相良洋行さんです。とても優しそうなお方ですね。この蔵は昔から代々越後杜氏の方が来て酒造りをしてきましたが、2000年を期に自ら杜氏となり、本当の意味での地酒を作るようになったそうです。洋行さんは明治大学の法学部を卒業された方なので、酒造りの専門家ではないけど越後杜氏の流儀を踏襲して、自分で切り開いたそうですから、大変だったでしょうね。

お隣のかわいい女性は娘さんの沙奈恵さんで、今は杜氏を目指しているそうです。これには大変な事情があったのです

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写真の車いすに乗っておる方は、息子さんの明徳さんです。明徳さんは蔵の跡取りを目指して、東京農大を卒業して蔵に入ったその年に交通事故にあい、頸椎を損傷し車いす生活になってしまったそうです。

沙奈恵さんはお兄さんの手助けをすることを決意して、平成19年に東京農大の醸造学科に入学し、卒業後群馬県の蔵で修業して去年の春に相良酒造に入社したそうです。

今年の1月にタンク1本を任され、朝日栄の特別純米酒を作ったそうで、そのお酒を持っていただきました。

明徳さんは酒造りには直接手を出すことはできないけど、一所懸命サポートをしているそうです。この嬉しそうなお顔が今の気持ちを表していますね。持っていただいたお酒が吟醸酒「ありがとう」なのはこのお蔵に流れる感謝の気持ちだそうです。

こんなお話を聞いているうちにお酒の味わいは忘れてしまいました。でもこういう蔵は応援したいですね。

以上で今回の栃木の蔵とお酒の紹介は終わりますが、栃木にはまだまだいろいろな蔵があるので、来年はまた違う蔵の紹介をするつもりです。

最後にお弁当が毎年どう変わってきたかを比較してみましょうか。2014年と2013年はほとんど同じで、2010年は少し違いますね・・・・・

2014年

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2013年

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2010年

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小左衛門 酒の会に参加して

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練馬の蕎麦屋のそば法師人(ほうしと)小左衛門のお酒を飲む会が開かれましたので、参加してきました。このお店の娘さんの綱島薫さんが利き酒師で、色々なお酒の会の企画をされていて、その一つとしてひらかれたものです。

綱島薫さんとの出会いは、僕が良くお酒を買いに行く練馬の「うえも」酒店で、店長の上田さんから紹介されたのが初めてです。その後FACEBOOK友達となり、綱島さんが企画する日本酒の会の案内を見るようになったのですが、なかなか都合が合わなく参加できずにいました。今回薫さんからそば法師人で小左衛門のお酒の会をやるからどうですかとのお誘いがあり、実現したものです。

薫さんとはもう一つの縁があります。それは薫さんが2011年10月から約2年間岐阜の瑞浪市の小左衛門の中島醸造に勤務していたことがあるのですが、僕も2011年の1月に中島醸造の蔵を訪問したことがあります。でもそこでお会いしたことはなかったのですが、僕が時々参加する岐阜県のお酒の会で、中島醸造の蔵の方とお会いして薫さんのことをお話しすると、皆さんが薫さんは素晴らしい人で薫さんによろしくと言って、盛り上がるというだけです。

その蔵を訪問した時の記事は下記のURLをご覧ください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-d2c0.html

薫さんは語学が堪能で、英語と中国語がお得意ですから、外国向けのお酒の販売に熱心な中島醸造にとって、うってつけだったのだと思います。でもご主人の転勤の都合で中島醸造を辞めなくてはいけなくなったのですが、元来お酒好きで利き酒師の資格を取った女にとって、お酒の会を企画をすることは、当然の成り行きだったのかもしれません。

そば法師人のお店は練馬の豊玉中にあるのですが、一番近い練馬駅には歩いて15分以上かかるところにあるので、僕にとっては行きにくい場所にあります。その日は自分の家、豊島区千川から歩いてみましたが、40分くらいでついてしまいました。今はスマートフォンを使えば自分の歩いているを正確に知ることができますので、迷わず行くことができました。便利な世界ですね・・・・

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ここが蕎麦屋の入り口です。普通の住宅の入り口という感じです。中はお座敷とテーブルだけのシンプルな造りでした。

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座っておられる方が、中島醸造の営業マンで今日のお酒の説明をしていただける岩井隆さんです。まだ27歳の若いお方でしたが、お酒の説明はしっかりとされていました

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中島醸造は瑞浪市にある314年の歴史を持つ蔵ですが、中軟水の仕込み水で作るお酒は柔らかく、上品な味が特徴だそうです。今日の酒の会はお米違いの味をわかってもらいための7種類のお酒を用意したそうです。

早速飲んだお酒を紹介します。

1.純米大吟醸 愛山 40% 生 直汲み 23BY

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このお酒は中島醸造では最高級のお酒として販売しているもので、直汲みの生酒で2年間-8度の冷蔵庫で熟成したお酒です。この蔵の直汲みは薮田から出たお酒を空気に触れくことなく直接瓶詰めする本物の直汲みのお酒です。ですから全国で100本くらいしかない貴重なお酒だそうです。

氷温熟成なので、2年間熟成していても、綺麗な香りは残っていて、口に含むと上あごの方にすうと広がっていき、香りが鼻に抜けていきます。優しい甘みと軽い酸味のバランスが素敵なお酒でした。

でも愛山のお酒らしさが少なかったので、どうしてかなと思いましたが、思い出しました。今回は岩井さんから説明がなかったのですが、確か麹米が山田錦で、掛け米が愛山のお酒でしたよね。

流石に直汲み独特のシワシワ感は少なくなっているように思えました。温度が上がるととろっとした感じになってきますが、すこし冷やした方が良いかな。

2.純米大吟醸 赤磐雄町47% 生 薄濁り

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今回は雄町のお酒が3種類でましたが、その1本のお酒で岡山県の赤磐市で栽培された雄町を使った純米吟醸の薄濁りです。赤磐市の田圃は砂でできていて、そこに根を張って育ったお米なので、独特の味わいのお酒になるそうです。

飲んでみるとこのお酒も香りがたつけれど、口に含んだ時に出る旨みが口のゆっくり奥の方に広がっていき、後味の余韻が伸びていく味わいでした。この余韻が雄町らしさなのだと思います。

雄町は割れやすく精米しにくいだけでなく、溶けやすいお米なので、造り手によって味が大きく違ってくるようで、この蔵の雄町のお酒はガツンとくる味ではなく、優しさのある雄町だと思いました。

3.純米吟醸 13号 山田錦60% 生

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兵庫県の山田錦60%精米の純米吟醸です。13号と書いてあるのは、仕込みタンクの番号ですので、僕らにとってはあまり意味のない数字です。

飲んでみると旨みがきれいで、なおかつ口の中での広がりもきれいで、余韻が短くすっと消えていくお酒でした。飲みやすく素直な味で、優等生のお酒になるのかな。

この辺りで気がついたのですが、今日飲んだお酒は香りの系統が似ている気がしましたので、岩井さんに聞いたら、今日のお酒はすべて1801系酵母だそうです。お米の味の差を出すためにわざと同じ酵母を選んだそうです。

4.純米吟醸 備前雄町 55% 生

Dsc_0286この雄町は備前雄町と言われるものですが、雄町は元々江戸時代に備前高島村雄町で 岸本甚造さんが見つけて開発したお米で、そのために町の名前を取って雄町米と言われるようになったお米です。
ですから岡山県で取れるお米を備前雄町と呼ぶようなので、このお米が何処で取れた雄町なのかはわかりません。
飲んでみると柔らかい旨みがあってするっと入る酒で、上品さはあるものの、残り味にザワザワとした感じが残ります。2番の様な綺麗な余韻とは言えないけど、優しい雄町だとは言えるでしょう。

5.純米吟醸 山田錦 60% 生

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このお酒は同じ山田錦でも山田錦の本流といわれている山田勢三郎さんの子孫の山田正壽さんつくる山田錦です。たまたま縁があって山田正壽さんのお米を毎年買うようになったそうです。

飲んでみるととろっとした旨みがあり、口に含んだ時には直ぐには感じないのですが、奥の方に旨みが広がるバランスのお酒でした。これは僕の好きなタイプのお酒なので、岩井さんに酵母は違うのではと聞いたら、1801号のはずですが、これだけ9号酵母を使った可能性はあるとのことでしたが、良くわかりません。

僕にとっては一番好みのお酒だったかな

6.純米吟醸 備前雄町55% 生 手柄杓汲み

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6番と7番のお酒はちょっと変わったお酒です。名古屋にある酒屋さんで自分自身が絵描きで、自分で発注したお酒に自分で造ったラベルを張って出しているプライベートブランドのようです。

このお酒を購入するときは朝早くから大勢で蔵に来て手柄杓で瓶に詰めて持って帰るそうです。

普通のお酒は少し寝かせて飲むとおいしいのですが、このお酒は直ぐ飲んだ方がおいしくなるように造ったお酒だそうです。岩井さんにこっそりその方法を聞いたのですが、通常は麹は突破精でやるのを総破精でやるそうです。なるほどね・・・・・

飲んでみるとパッと甘みを感じるお酒で、ちょっと雑味を多く感じるので、少し飲み飽きしてしまうね。

7.特別純米 美山錦55% 生 手柄杓汲み

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このお酒は6番と同じ目的で造ったものですが、お米は長野県飯島の美山錦55%精米です。6番も7番も酵母は1801系だそうです。

旨みは強くはないけど、美山錦にしては味が良く出ていると思いました。飲んだバランスとしてはふらっと気味ですが、酸度が2.0もあるのに酸味は感じません。それは最初に来る甘みのせいかもしれませんね。
でも美山錦としてはなかなか良いのお酒だと思います。

これで飲んだお酒の感想は終わりますが、小左衛門は造りが上手いと思いました。どれを飲んでもそれなりの味を感じさせる腕があるなという感じでした・・・・

僕の好みとしては今流の1801酵母でなく色々な酵母のお酒を飲みたかったです。

最後に岩井さんと綱島薫さんのツーショットをお見せします

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薫さん 素晴らしいお酒の企画をしていただき、ありがとうございました。最後に一言、最初にお猪口半分の量で試飲をしたのですが、僕の様な素人はこのお量では味が良くわからないので、せめて「ぐい飲み」くらいでやりたい気がしました。

それから蔵の人によるお酒の説明と、飲んでいるお酒のタイミングが合わないのがちょっと残念でしたが、とても良い雰囲気で行われたのは、やはり薫さんの気配りのおかげだと思います。同席の人と楽しくできました。僕のおしゃべりが多すぎた気はしますが・・・・・

最後の最後にお料理をお見せします。

付け出し             かもねぎ焼き
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若竹煮               天ぷらとおそば
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どのお料理もおいしかったですが、最後のおそばは香りがあって僕の好きなおそばでした。

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巌の高井幹人専務は心の熱い人ですね

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先日用賀のなかむらやで、岐阜県中津川の三千櫻の山田社長夫婦と群馬県藤岡市の巌の高井専務をお招きしての蔵元と美味しいいお酒を楽しむ会が開かれましたので、参加してきました。この会はいつも2つ以上の蔵元をお呼びして行うので、蔵元とゆっくりお話しできるのがとても楽しみな会です。蔵元さんにいろいろお聞きしていると新しい発見があるので、今回も2回に分けてブログを書いてみます。今回は最初に巌のご紹介をしましょう。

巌・高井株式会社は群馬県の藤岡市にある蔵ですが、創業は1729年ですから老舗の蔵で、現在は10代目になるそうです。蔵は昭和62年に新築したそうですから近代的で、清潔な蔵だそうです。最盛期には3000石もあった蔵ですが、ほとんどが普通酒だったそうです。日本酒ブームが去って、日本酒が売れなくなり経営が厳しくなったころ、30歳で高井幹人さんは蔵を継ぐことを決心したそうです。それから11年、普通酒から純米酒や吟醸酒造りへとシフトして、生産高は以前の1/5まで落ちたそうですが、今や伸び盛りの蔵になりつつあります。

高井幹人さんは11代目の蔵元ですが、今の巌のお酒を語るには、彼の生い立ちを知らないといけません。幹人さんは若いころ蔵を継ぐつもりは全くなく、群馬県では進学校といわれている高崎高校の野球部に所属していました。しかし、高校一年の時に腰を痛めてレギュラーから外れましたが、裏方として頑張ったそうです。その後大学では何とか野球をやりたいと思ったので、有名な私立大学を避けて、国立大学を目指して勉強したそうです。でも入学できたのは慶応の商学部だけでした。

普通ならここで野球をあきらめるのですが、彼は1年間在学しつつ受験勉強をして、ついに京都大学文学部に入るのです。これは大変な努力が要りますので、普通の人はできません。とても強い意志を持った方だと思います。

これからがまた大変なのですが、ここで彼のお姿をお見せ時ましょう。今41歳だと思いますが、にこやかな笑顔の中に強い意志が見られませんか

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彼からいろいろお聞きしたのですが、それからがまたすごいのです。京都大学の野球部には入ったのですが、レギュラーにはなれず補欠だったので試合には1度しか出たことがないそうです。でも彼は補欠として手を抜かないで1日7-8時間練習をしたそうです。でもその時の京都大学は負け続けていて80敗したそうですが、一度だけ勝ったことがあったそうです。一度の勝利は今までの連敗の苦労をさっと洗い流してくれたそうです。どんなに弱くても負けるには理由があるので、それを言い訳せずに受け止めて努力したそうです。この経験が彼の人生を支えているのだと思います。

大学卒業後は大手の食品関係の商社に入社し、6年間スーパーの営業マンとして活躍し、高い評価を得たそうです。でも蔵の経営が悪くなっているのを知り、蔵に戻る決心をするのですが、蔵の決算の数字をみると、かなりひどい状態でしたので、10年間頑張ってみようと、それでだめなら廃業するつもりで始めたそうです。

普通酒ではないお酒を作ることで、蔵の杜氏(越後杜氏)と二人三脚で酒造りに邁進してもう10年以上たちますが、まだまだ思ったお酒造りにはなっていないそうです。この蔵の仕込み水は硬水なので、味のしっかりしたお酒ができやすいので、それでいて食中酒になるような、しっかりとした旨みがありながら切れのあるタイプのお酒を目指しているようです。

今日はどんなお酒を飲むことができたのか、ご紹介します。まず冷蔵庫に入ったお酒を見てください。

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ここには5本しか見えませんが、次際には6本いただきましたので、順にご紹介します。

1.純米 雄町 生 25BY

Dsc_0243今年の雄町60%精米、酵母は協会701号(真澄酵母)で、2番のお酒の25BYです。

口に含んだ時の旨みの広がりは思ったより少ないけど、雄町らしい余韻のきれいさはあるように思えました。生原酒ですが生らしさがないのが良いと思いました。生だれしにくいお酒なのかな・・・

このお酒は少し置いてから飲むともっと良さが出るのかもしれません。強い印象はないけど、ついまた飲みたくなるようなお酒ですね

2.純米 雄町 火入れ 19BY

Dsc_0245このお酒は6年前に初めて雄町を使って造った純米酒だそうで、造った時の出来は良くなかったそうですが、熟成させるとどう変わるかを見たかったのと、自分の酒の原点を見てもらいたかったのだそうです。自分のありのままの姿を見てもらおうという気持ちが凄いですね。精米は60%で、酵母は協会701号です。

飲んでみると熟成香がかなり出ているためか、旨みは厚くなっているけど、余韻が短くなっているように思えました。

雄町は造るのに難しいお酒で、西の雄町と東の雄町では酒の味わいが違うのですが、この酒はまだどちらとも言えないお酒ですね。

3.純米吟醸 うすにごり 五百万石

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55%精米の五百万石で、協会14号の純米吟醸酒の薄濁りです。このお酒を作る時は当然三千櫻の山田さんの顔が浮かんでくるそうです。でも真似はしたくない・・・そんな気持ちかな。

飲んでみると美千櫻とは味のバランスが違います。味の重心点が違うという言い方をしていましたが、この差は仕込み水の違いが大きいそうです。

僕にとっては三千櫻より旨み系で柔らかいイメージでした。これについては山田さんの意見を聞いてみたかったです。

4.純米吟醸 火入れ 山田錦

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山田錦50%精米の純米吟醸の火入れです。この蔵の原点に返ってどんな酒が作れるかをチャレンジしているお酒で、まだまだ完成にはたどり着いていないとのことでした。

飲んでみると、旨みはしっかりしているけど綺麗な旨みで、じんわり旨みが広がり、酸味が後味を切ってくれるお酒で、僕にはこれが良かったな。1升3200円+消費税です。

自反尽己とラベルに書いてありますが、この意味はすべてを自分の問題としてとらえ、顧みることで、自分の中に潜在しているものを十分発揮するということだそうです。まさしく高井さんの経験から生まれた目指すこころなのでしょう。まだまだチャレンジしている途中なのでしょうね。

5.純米酒 醇

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このお酒は麹米が山田錦60%、掛け米が美山錦60%精米で、6号酵母を使った純米酒の生酒です。

このラベルにも自反尽己と書いてあるので、高井さんがチャレンジしているお酒なのでしょう。このお酒は酸味の表現を如何に出すかに心を砕いたお酒のようです。お米から生み出された味をこの酸味が上手く包んで均整のとれた味になるように考えているそうです。

6号酵母といえば新政酵母ですが、この蔵では以前から使ってきたそうです。6号酵母は独特の酸味を出しますが、新政の祐輔の味とは別のお酒を目指しているそうです。

飲んでみると新政より旨みが強いけどすこし雑味を感じるけど、裏にしっかりした酸味を感じるお酒でした。僕にはもう少し雑味を押さえてくれると嬉しいです。でもこのチャレンジは何かを生んでくれるでしょう。

6.大吟醸 出品酒

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後に飲んだ内緒のお酒です。店長の中村さんから大吟醸はないの?と言われて持ってきたお酒で、山田錦40精米の出品酒レベルのお酒です。

このお酒はこの蔵のコンセプトのお酒ではなく、あえて出品酒を狙って仕込み水も変えて作ったお酒です。確かに飲んでみると、香り高く手綺麗なお酒で、これが巌?というお酒でした。

全国新酒鑑評会では入賞はしているけど、金賞は取っていないそうです。でもこんなお酒も造れるよということで、金賞を狙わなくてもいいと思います。やっぱり巌は巌らしいお酒の完成目指してもらいたいと思いました。

これで飲んだお酒の感想は終わりますが、この蔵のコンセプトは高井幹人さんが造りだしていると思うし、絶えずその理想を求めて、チャレンジしている姿に感動しました。野球は1勝しただけで満足感が出るかもしれませんが、お酒造りには勝ち負けはありません。あくまでも自分が目指す頂点を狙って頑張ってもらいたいと思います。その中で結果がついてきて、売れるようになると信じています。

今日は貴重なお話ありがとうございました。

最後に会の終わりに披かれた抽選会で、見事巌の前掛けをいただきました。普通の蔵の前掛けと違って丈が短いので、妻が気に入って持って行ってしまいました。

まあ良いか・・・・

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三千櫻のお酒の新しい発見を求めて

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先日用賀のなかむらやで行われた蔵元とおいしいお酒を楽しむ会の第2弾で三千櫻の山田夫妻をお招きしての会について簡単にレポートさせていただきます。

蔵元兼杜氏の山田耕司さんと奥様の和江さんです。このお二人とは2011年に蔵にお邪魔した時と、2012年の5月に神田の醇さんのところで蔵元の会をやった時の2回お会いしています。その時のことを三千櫻のお酒の秘密は?と題して書いていますので、興味のある方はご覧ください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-87ee.html

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ご夫妻の写真です。社長は下戸ですが奥井様はお酒が大好きで、お酒が入ると陽気になる楽しい方です。この時は会が始まったばかりの時でしたので、まだ真顔ですね。お二人はとても仲が良い夫婦です。後ろでのぞいているのは巌の高井君ですね。

このブログに書いた要点だけをまとめてみます。

1.お米は五百万石と愛山がベースで、新たに渡船6号を始めた。

2.お米毎に旨みを最大に引き出すための最適な精米で行い、精米度によって純米吟醸とか純米大吟醸と呼ばないですべて純米酒と呼ぶ

3.酵母は14号酵母のみである

4.麹は総破精で、麹菌は黒ばんを使用(きれいな酸にこだわるため)

5.アルコール濃度は17%以下にする(味を大切にするため)

6.純米酒は原則まず袋吊りを行い、絞り切れないお酒を薮田で絞り、生酒や火入れ酒として使う(多くの人に袋吊りの良さを知ってもらうため)

7.ラベルの色は袋吊りが、季節商品がピンク、通常商品はベージュ、大吟醸レベルはゴールド

以上ではないかと思いますが、今もこの原則は変わっていないようですが、今回この枠から外れたお酒もあるようですので、その辺を踏まえて飲んだお酒を紹介します。

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冷蔵庫には5本が見えますが、実際な6本飲みました。

1.さくらにごり 愛山(麹米40%、掛米60%)

Dsc_0219この瓶を見て低アルコールのお酒とはわからないですよね。実はこのお酒はアルコール度数8%のお酒なのです。ラベルの色からみると普通の季節商品の純米酒のように見えますが、全く違うお酒です。

通常これほど低アルコールのお酒は加水して造ることが多いのですが、このお酒は全く加水しないで、出来上がりが8%になるように造ったそうですが、その方法は企業秘密だそうです。でもその方法は偶然に生まれた方法らしいですが、どんな方法なのでしょうね。

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裏ラベルには説明文がついています。画像をクリックして大きくしてから見てください。

飲んでみると低アルコールとは思えない旨みのしっかりした、それでいて優しいて飲みやすい味わいのお酒です。五百万石も渡船もチャレンジしたそうですが、愛山が一番良かったそうです。価格は1升4200円以上するので、かなりの割高感ですよね。

2.渡舟 純米(純米吟醸)

Dsc_0226滋賀県産の渡船6号を使っていますが、精米度は50%です。大吟醸並みの精米度ですから、価格も1升3800円もします。ラベルはベージュ色です

このお酒の旨みは綺麗で全体のバランスが良く、いかにも整ったお酒という感じです。酒質は書いてありませんが、社長のコメントによると日本酒度はー5、酸味は2.2、アミノ酸度2.1と結構大きな数値だそうですが、飲んでみると実に整った味わいになるのはどうしてでしょうか。

山田さん曰く、この酒は完成度が高いので詰まらないと言っていますが、自信作であることは間違いないでしょう。僕は愛山より好きです。袋搾りと比較してみたかったね

3.愛山 40(純米大吟醸)

Dsc_0225_2愛山40%精米の純米大吟醸です。ラベルはゴールドラベルですがちょっとわかりにくいかもしれません。今までは愛山は精米するのが難しいお米ということもあり、60%精米でやってきましたが、40%精米は山田社長にとって大きなチャレンジではないでしょうか

袋搾りではないけど、口に含むと、まろやかな旨みの塊を感じたかと思うとスッと消えていくお酒で、スルスル飲めてしまいます。今年の新酒でしたが、もう硬さが取れていた感じです。

60%精米の愛山とは次元が違うレベルだと思いますが、これが1升8300円と聞くとちょっと引けますね。これからこれをどのように扱っているのかを見ていきたいですね。外国向けですかね・・・・・

4.秋の精 純米 しぼりたて 生

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こお酒は表のラベルがありません。秋田県産の秋の精60%精米の純米酒です。秋田県の一般米のとよにしきと美山錦を掛け合わせてできたお米ですが、心白発現率が低いので吟醸酒には向いていないと言われています。

今年は米不足だったので、ある人に頼まれて使ったようですが、山田さんとしてはこんなお米を使っても自分らしさを出した酒を造ってみたかった思いはあるようです。でも三千櫻のラベルを使わなかったのは、未だ自分お酒ではないとの思いがあるのかもしれません。

飲んでみると旨みはそこそこあるけど、ちょっと後味に辛みを感じてしまうお酒でした。

5、五百万石 純米酒

Dsc_0229このお酒は三千櫻の定番のお酒で、地元産の五百万石60%精米の純米酒の火入れです。ですからラベルはベージュ色です。

パワフルな旨みではなく、落ち着いた旨みが広がり軽めな余韻を感じるお酒で、全体的にはシャープな印象を受けました。家飲み用のお酒としては良いと思うけど、1升2800円するのはちょっと高めかな。

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6.三千櫻 地酒 しぼりたて

このお酒は写真がありませんが、麹米五百万石60%、掛米化工米70%の普通酒のしぼりたての生酒です。飲んでみるとちょっと変わった香りを感じるけど、味のふくらみがあって綺麗さを感じるので、なかなかいいお酒でした。後味に辛みを感じるのは仕方がないけど、このお酒が1升2000円で買えるのは凄いね。

以上でお酒の紹介を終わりますが、今回低アルコールのお酒の開発や秋の精のチャレンジ、渡船の味の完成度アップを実感しました。山田さんなりの酒造りのこだわりは揺らぐことなく、良いお酒を作っていると思いましたので、どんなお米も自分の色に染めてみたいのですかと聞いたら、そんなことはないですよ。お米の声を聞いて無心に造るだけですよというお言葉が心に残りました。

でも山田さんの手にかかったら、他の蔵のお酒とは違った味を出ることは間違いないでしょう。そういう意味では雄町にチャレンジしてみてくれませんか。どんな雄町になるのか期待の胸が膨らみます。

最後になかむらやのお料理をお見せしましょう。

お刺身の盛り合わせ        春野菜の炊き合わせ

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空豆と桜エビのかき揚げ   殻付き牡蠣の香草バター焼き

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和牛ステーキマスタードソース      鯛茶漬け 香の物

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勝山のお酒は時代を先取りしてるのかな

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先日浜松町のあるビルの一室で、勝山の会が開かれましたので参加してきました。この会がどのようにして開催されたのかの詳細はわからないのですが、板垣志麻さんからお誘いを受けて参加したものです。

板垣志麻さんとは今年の2月の東北酒蔵ツアーの一環として、山形県鶴岡市の幸亭で開催された「白露垂珠のお酒を楽しむ会」でお会いしたのです。この会には志麻さんのお父さんの板垣弘志さんがおられたのですが、弘志さんは鶴岡市の羽黒町で有機米、さくらんぼ、だだ茶まめ、大豆、ニンニクなどを幅広く栽培されている専業農家の方です。彼が造った有機米を酒米としたお酒の純米吟醸白露垂珠「羽黒」が気に入って、彼と有機米のお酒の良さを大いに語った記憶があります。その時、一緒に参加していた娘さんの志麻さんを紹介されたというわけです。

お二人のお写真をお見せしましょう

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志麻さんは東京で色々な食品(父が作っているお米、特殊なお塩など)を扱っているお仕事を立ち上げているようですが、日本酒についても現在勉強中とのことでした。今回は志麻さんが勝山の蔵見学をした時に案内してもらった会長の伊澤平蔵さんにご協力してもらって出来た企画のようです。

勝山のお酒は色々な試飲会で味わったことがあり、日本酒業界の中にあっては、とてもユニークな活動をされている蔵ですが、その酒の味はいわゆる日本酒とは一線を画すお酒造りをしていると聞いていたので、楽しみにして参加しました。参加してみて驚きました。何と通常の試飲会ではお目に書かれないほどの凄いお酒を含めて8種類のお酒は出品されていました。後ほどゆっくりお酒の紹介はしますが、まずはご覧ください

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写真をクリックすると大きくなるので、わかるかもしれないけど、今まで見たこともないダイヤモンド暁やダイヤモンド䴇があるなんて、信じられますか。でも参加者が50人もいるので、味が楽しめる量が飲めるかどうか心配です。お酒の紹介をする前に、勝山酒造についてインターネットで調べてみましたので、どんな蔵なのかをご紹介しましょう。

勝山酒造は江戸時代の1688年が創業のようです。1857年に仙台藩より「御酒御用酒屋」を拝命して「勝山」や「泉川」の銘柄のお酒を醸造してきたのですが、和食を中心とした食中酒として綺麗なお酒造りを目指していたようです。昭和44年に上野精養軒から営業権利を譲渡してもらい、仙台精養軒という本格的レストラン事業を開始し、西洋化した日本人にも合う日本酒の開発に力を入れるようになったそうです。その結果生まれたのか「献勝山」です。

その後、酒質の向上が日本酒の生きる道であるという信念で、昭和57年に吟醸酒、純米酒、本醸造の特定名称酒のみを造る少量生産、高品質志向に変革しました。その時、勝山酒造はレジャー施設やレストランを経営する総合企業勝山企業の酒造部門だったと思います。それでも生産量は1500石もあったそうですが、昭和の終わりから平成17年までに全国新酒鑑評会で14回も金賞を受賞するほどの仙台を代表する蔵でした。

しかし、平成17年に勝山酒造は酒造りの方向を大きく変えることになりました酒蔵を仙台市か青葉区から勝山の仕込み水の水源である郊外の泉ヶ丘に引越しするとともに、生産量も300石に抑えて、時代の流行に流されない、鑑評会の評価にも流されない、どんなお料理にも適合した正直に美味しい日本酒を目指すことにしたそうです。工場は完全空調で、3季醸造を可能とし、1週間に仕込みタンク1本という贅沢な高級な純米酒に特化した蔵に生まれ変わったのです。

平成18年は仙台の迎賓館の勝山館で出されるフレンチ料理や懐石料理と日本酒の相性などを色々と検証した結果、お料理に合わせる日本酒のイメージができたそうですが、それを完成するためには究極の「搾り」の技術が必要で、そのために日本にも数台しかない「遠心分離装置」の導入をしたそうです。この装置は使いこなすのが大変難しい装置のようです。下の写真がその装置です。佐野吾郎さんのブログから拝借しました。

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平成19年から20年には遠心分離装置も使いこなせるようになり、お米の精米度、搾りの方法の違いによる4つのブランドの縁、献、伝、暁が完成したそうです。勝山の家紋をアレンジした浮彫のあるブラックボトルを特注してブランドイメージの確立を狙ったものです。

平成21年は新しい勝山の誕生の年です。それは飲食店向けのお酒「戦勝正宗」と「元」の発売です。戦勝正宗には純米大吟醸、純米吟醸、特別純米酒があるようですが、凄くまとまりの良い味だと聞いています。「元」はブルーチーズや羊のチーズなどの癖のあるお料理のと相性を狙ったお酒で、元禄時代の麹造りのレシピを使ってできたお酒だそうです。だから「元」というのですね。

平成22年は会社名を仙台伊澤家勝山酒造株式会社と変更し、初代会長は伊澤平一さんの長男の伊澤平蔵さんがなり、社長は伊澤勝平さんが就任しました。それと同時にANAからの大量の注文にこたえられるように、生産量も850石が生産できるように拡張したようです。

平成23年はあの東日本大地震の年です。地震による津波の被害はなかったそうですが、ライフラインの切断で大量のお酒がダメになったし、色々な機器が壊れたそうです。

平成24年はフランス料理のお肉料理にあう新しいお酒「䴇‐LEI」の開発がスタートした年です。このお酒は1年熟成して出荷するので、䴇の販売は平成25年になったと思われます。さらに遠心分離の抽出に特別な方法を使った最高級のお酒を造れるタイヤモンド抽出(極芯抽出)が確立したのが平成25年と思われます。これで今勝山が製造しているすべての銘柄がそろったわけです。 

以上が勝山のお酒の経緯ですが、勝山のお酒の銘柄をわかりやすくまとめてみると、こんな表になるのではないかな。

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通常の純米酒のシリーズ
に暁、伝、献、縁があり、お肉料理のための䴇シリーズ、フォアグラやチーズのための元シリーズ、特別の酒販店のための戦勝正宗シリーズと分類されるみたいです。これだけのシリーズが出来上がったのはつい最近のようですから、驚きですね。

今日の会はこの中から8種類が用意されました。それでも会費はたった5000円なので、驚きですが、それはお料理は主催者の人達自らが造っているのと、会場が安価に使用できる特別なところだったからできたのでしょうね。 下の写真をご覧ください。一見会議室の雰囲気ですが、厨房もあるので多目的で使っている場所なのでしょう。

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この会には会長の伊澤平蔵さんが参加され、お酒の説明をしていただきました。

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この方が12代目蔵元の会長の伊澤平蔵さんです。伊澤家の第11代蔵元の伊澤平一さんの五人兄弟の長男として生まれ、幼い時から酒造りにかかわってきたそうです。東北学院大学を卒業後、国際大学サンディエゴ大学に行った後、勝山企業に入社され酒造部門を担当されていたようです。今は社長は伊澤勝平さんで、副社長は伊澤治平さんですが、治平さんは慶應大学を卒業された後、営業マンとして世界を飛び回っているようです。お会いになった方も多いのでは。


それでは飲んだお酒について、簡単にご紹介します。

1.縁 特別純米酒

Dsc_023555%精米のひとめぼれの特別純米酒ですが、薮田搾りではなく槽搾り、瓶燗火入れ、無ろ過のお酒だそうです。勝山のホームページでは袋搾りと書いてありますが、僕は会長のお言葉を信じます。槽搾りも袋を使うので袋搾りと言っても間違いはないのかもしれません。

ホームページによると酵母は宮城マイ酵母だそうですが、この蔵は酵母の公表は基本的には行っていません。

ひとめぼれにしてはお米の旨みが良く出ていて、含んだ後ゆっくり旨みが広がっていき余韻を残して消えていくお酒でした。凄く特徴があるわけではないけど、この蔵としてベースのお酒と言えるかもしれません。 

2.献 純米吟醸

Dsc_0240_211代目の蔵元が食中酒という概念がない時代に、その目的で生み出したお酒だそうです。

地元産の山田錦を使った槽搾りの純米吟醸酒です。ホームページでは袋搾りと書いてありますが、会長のお話では槽搾りだそうです。

味わいが穏やかでスッと口の中に入って来るお酒で、綺麗な酸味と米の旨みが絡み合っているお酒でした。縁に比べて旨みがきれいになって、フラット感が出て余韻の伸びが感じられます。確かにお料理に合わせやすいお酒ですが、お肉にはちょっと無理かな。

 3.伝 純米大吟醸  

Dsc_0242_2このお酒は兵庫県産の山田錦を35%精米して、宮城県の吟醸酵母を使って、昔からの伝統的な酒造りをした最高峰のお酒だそうです。これは本当の袋搾りです。雫酒と言った方がわかりやすいかも

献に比べると香りが高いけど、味わいは力強いけど、綺麗さを兼ね備えており、口の中でぱっと広がって余韻を残しながら消えていくお酒でした。少し味の濃い日本料理にも合うような気がします。確かにこれはうまい酒です 

4、暁 純米大吟醸

Dsc_0247このお酒は勝山のお酒としては最高峰の酒の代表作です。山田錦も兵庫県の特A地区の最高のお米を使い、袋搾りではなく遠心分離機で抽出したお酒です。

この遠心分離機は袋搾りと違って、空気に触れる時間が短い、袋臭がない、お酒と酒粕の触れている時間が短いという特徴があるので、雑味の少ない酒になると言われています。

しかし、遠心分離機にはそれに最適な醪造りが必要で、これを使いこなすのは大変難しいそうです。他の蔵が真似してもなかなかうまくいかなかったと聞いています。

飲んでみると大変優しいマイルドさがあり、それだけにのど越しのきれいさと、余韻の長さに違いが現れているような気がしました

5.ダイヤモンド暁

Dsc_0249_edited1このお酒は本当の意味の最高峰のお酒です。暁とどのように違うのかは正確にはわからないけど、暁の造りの中である条件にすると本当に酒質の良いお酒ができることがわかり、その条件下で遠心分離で搾ったお酒だそうです。その条件は醪の条件か、搾りの条件かはわからないけど、そのお酒をダイヤモンドと呼んだようです。ホームページでは極芯抽出と書いてありました。

4合瓶のお酒を50人で飲むのですから14CC/一人なので味の確認は非常に難しいけど、暁より味わいの粒が小さく、よりさわやかな、軽さお感じるお酒になっていました。

確かに変化したのはわかるけど、3万円を出してまで飲むお酒かどうかが、難しいね。

6、䴇 サファイア

Dsc_0231_2䴇シリーズのお酒はフランス料理やお肉のお料理に合わせるために開発されたお酒です。サファイアはその中では一番安いもので、ひとめぼれ55%精米の特別純米酒に相当するお酒です。

日本酒の旨みの中でアミノ酸を多くすると柄の悪いお酒になるので、アミノ酸度はある値以下にするのが一般的ですが、敢えてアミノ酸の旨みを引き出しているそうです。

ワインに対抗することを考えてアルコール度数は12度とワイン並みにしながらもしっかり旨みをの干した造りをしているそうです。

飲んでみると確かに一瞬甘いと感じますが、良く味わってみるとアミノ酸の旨みを感じます。それでいて後味が悪くなく面白いお酒だと思いました。確かにこれならお肉にも合うかもしれませんね。価格が720mlで3500円ですから手が届く範囲ですね。

7.䴇 ダイヤモンド

Dsc_0257_edited2䴇シリーズの最高峰のダイヤモンド䴇です。暁のダイヤモンドと同じように特殊な条件下で遠心分離で抽出した䴇シリーズのお酒です。 

720mlで5万円のお酒ですので、ちょっとなめる程度しか飲めませんでしたが、サファイア䴇より上品な旨みでしたので、味の強いお料理には合わないような気がしました。でもちゃんとしたワイングラスで飲まないと、わからないのかもしれませんが、とても自分で買って飲む気にはなれません。

アルコール度数は16度もあってもそんな感じを与えないのは抽出法にあるのかもしれません

 8.元

Dsc_0251元はフランス料理の中でも癖のあるブルーチーズやフォアグラ、味の濃いお肉料理にあわせたお酒で、䴇よりもアミノ酸の量が多いと思われます。 

このアミノ酸の量は貴腐葡萄ワインの10倍もあるそうで、飲んでみたらとても甘いお酒でした。僕にはデザート酒のように思えましたが、このお酒の造りは今から300年も前の元禄時代の麹の糖化方法のレシピを応用してつくったお酒なので、「元」と名付けたそうです。

このお酒の評価は分かれるかもしれませんね。

これで飲んだお酒の紹介は終わりますが、勝山のお酒は西洋料理にも合うようなお酒造り目指して生まれたのは、とても面白いと思います。特に日本酒では嫌われているアミノ酸を多くしても嫌みのないお酒を目指していることは、素晴らしいチャレンジだと思います。

でもあまりにも高級化志向で、価格が高くても外国のフランス料理店では売れるのでしょうが、日本向けで色々なお料理に合う4合瓶2500円クラスのタイプの違う食中酒にも力を入れてもらいたいな。

確かに日本酒業界では勝山は異端児かもしれませんが、このアイデアの良いところを見習っていくことも、これからの日本酒の発展には役に立つのでは・・・・と思いました。 

最後に会長と志麻さんの3人でのショットをお見せしましょう

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伊澤さんありがとうございました。そして板垣志麻さん これからも面白い企画をして呼んでください。

最後にこの会のお料理をお見せしましょう。色々なものが出ていました。

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どれがどれだかはわかりません。    以上

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「たかちよ」の味はこうして生まれたらしい

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先日神田の醇さんのところで高千代酒造さんを囲む会に参加してきました。僕は高千代酒造のお酒はあまり飲んだことがないのですが、今年の冬に鶴齢の青木酒造を訪問した時に、地元の酒屋さんの金沢屋を紹介されて、行ってみたら鶴齢のほかに、高千代酒造のお酒がズラリの並んでいて、飲んでみたら美味しかったので気に入ってしまいました。ですからこの会があるのを知り、いの一番で申し込んだものです。

高千代酒造は新潟県の南魚沼市にある蔵で、魚沼産のコシヒカリの産地として有名な場所にあります。この辺りには八海山、白瀧、鶴齢などの有名な蔵があるところですが、高千代酒造は塩沢駅から東に3-4km行った場所にあり、山と川に挟まれた田園地帯にあります。近くには巻機山があり、そこからの伏流水が深井戸からくみ上げられて、仕込み水として使われています。この水は透明感のある超軟水で、仕込み水だけではなく色々なところで使われています。この水は一般販売はされていませんが、東京の特別なお店(六本木のグランドハイアットや丸の内のAWキッチンなど)に行くと飲めるそうです。

この蔵を紹介する時には必ず酒造好適米の一本〆のことを説明する必要があります。一本〆は五百万石の改良品種として新潟県で開発されたもので、五百万石と豊盃の掛け合わせて生まれたお米です。平成5年に新潟県の奨励品種として多くの酒造で使われましたが、五百万石よりも米の旨みがでる利点があります。

しかし、洗米の時に適切な限定吸水をしないと米が粘ってくっつきやすくなるので、エアーシューターで搬送するときに詰まってしまうなど、扱いにくいということと、最近生産量を伸ばす栽培をして米の品質が下がったことから次第に使われなくなったそうです。

高千代酒造は平成5年からづっと使い続けていますが、現在は高千代酒造以外には使っている蔵はなくなったようで、平成17年には県から原種の管理を依頼され、今では高千代酒造から種もみをもらわないと他の蔵は栽培できない状態になっています。

新潟県固有のお米ですが、新潟県以外では使われていないので、酒米のハンドブックにものらなくなっているようです。高千代酒造では平成21年と22年は全国新酒鑑評会で金賞受賞をしており、このお米を使いこなしている蔵です。でも最近はまた山田錦で出品しているようで、今年はそれで金賞を受賞したようです。

平成21年からは精米機を導入して、全量自社精米をするようにしたそうです。今まではコスト面の問題で精米を他社の精米所に委託しましたが、扁平精米などお酒の質を高める新技術の導入と、精米の品質にこだわる高千代酒造は、敢えて手間とコストのかかる自社精米に踏み切りったそうです。金賞受賞をするようになったのはこのことと、関連があるのかもしれませんね。

高千代酒造の社長は高橋マサエさんという76歳のおばさまだそうですが、当主としての力をおもちで、お酒造りについては杜氏にお任せであまり口を出さないそうですが、この方がこの酒は良いねと言うとさっと進んでいくそうです。

本日会のお見えになったのは営業統括の山田修一さんです

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山田さんは変わった経歴の持ち主ですが、今のたかちよの味を出すにあたっては、陰の仕掛け人(僕が勝手に言っているだけ)のようです。彼は元々東京でアパレルの仕事をしていて、趣味がスノーボードだったので、そろそろ新潟に腰を落ち着けてスノーボードに打ち込むつもりで、ある居酒屋でアルバイトをしていたそうです。

そのお店は地元の魚沼地区のお酒を取り扱っていたので、お酒のことも少しわかるようになった時に、高千代酒造の社長と仲の良かった知合いのおばさんの紹介で高千代酒造の蔵見学に行ったら、社長いつから来るの?と言われて、高千代酒造に就職することになったそうです。きっと社長のお目に適ったのでしょうね。これが5年前のことそうです。

蔵の大きさは1000石程度なので、従業員はそれほど多くなく、酒造りの手伝いをするなど、営業以外のことも色々やっているそうです。その中で、今最も力を入れているのがお酒のプロデュースだそうです。それは日本中のいろいろなお酒を買ってきて、皆で試飲をして自分の蔵のお酒の立つ位置を確認することから始めるそうです。

その時の基準のお酒として選んだのが、陸奥八仙と而今だったそうです。面白いですね。新潟のお酒なので而今はわかるけど、陸奥八仙とはね?それだけ味わいのあるお酒を狙っているというjことでしょう。今では皆で議論をして、どんなお酒にしたいかを決めているそうです。これこそ、アパレル流のやり方ですね。なるほどね・・・・・

高千代酒造のお酒は今までは、高千代、巻機、天地人、円水の銘柄でしたが、7年前からたかちよ」を製造販売しています。たかちよのラインアップを見てください。山田さんが作ったものです。

Dsc_0361_2

ちょっと字が小さいので読みにくいと思いますが、クリックすると大きくなるだけでなく、拡大してもらえれば、かなり見えると思います。

この表で面白いのは一番上段のお酒の瓶の写真のところです。瓶の写真の右上に果物の写真がついています。それはそのお酒の味わいを果物であらわしています。赤りんご、グレープフルーツ、ピーチ、パイン、デラウエアなど色々な味が書かれていますが、本当にこんなに色々な味を作り出せるものなのでしょうか。これはお酒を飲みながら考えてみたいと思います。

お酒の味は何で決まるのでしょうか。まずは水やお米があると思いますが、麹の造り方、酒母の造り方、酵母の種類、醪の造り方、加水の仕方、アル添の仕方、搾り方、火入れの仕方、生酒の管理方法など色々考えられますが、この蔵はオリの利用の仕方で味を変えているような気がします。

この蔵ではオリの量によって呼び名を変えています。こんなに細かく呼び名を変えているのを聞くのは初めてのことです。

1.0.5%以下 かすみ

2.1~2%  オリがらみ

3.2-3%  うすにごり

4.3%以上  にごり

なんでこんなに細かく管理しているのでしょうか。これはこれによって味のバランスが変わり、色々な味わいが生まれると気がついたからではないでしょうか。実際にはどうんな感じになってるのか、チェックして見たいと思います。

それからラベルの色を見るとひとめでお酒のイメージを読み取ることができるのも、まさにアパレルの発想ではないかなと思いました。従来の高千代はちょっと辛口で、和食に合うお酒で、たかちよは和食の中でも味の濃いものやイタリアンなどの洋食にも合わせられるように造っているそうです。これを醇ちゃんがどのように合わせたかも興味ありますね。

では早速飲んだお酒をご紹介しましょう。

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右のお酒から飲んで行きましたので、その順序で説明します。

0.高千代 大吟醸 一本〆 23BY 火入れ

Dsc_0287一本〆100%使用の精米40%の大吟醸で、全国新酒鑑評会の23BYの出品酒です。この年は残念ながら入賞していないようです。

平成24年と25年の新酒鑑評会のお酒は山田錦で出品したそうですが、平成23年は一本〆でしたので、今残っている一本〆の出品酒としては最後のお酒になるそうです。

出品したお酒以外を袋取りで1升瓶30本の限定酒で、蔵にももう2本しか残っていない貴重なお酒で、たしかにのど越しが滑らかで、余韻がきれいですうと消えるお酒でした。柔らかい旨みの中にちょっと辛みを感じました。

ラベルの裏にその年の最大積雪量が書いてあるとのことでしたが、気が付きませんでした。

1A. 豊醇無盡 たかちよ 桃 生原酒 かすみ

Dsc_0293たかちよはお米の表示はしていませんから、一本〆をどのくらい使っているかはわかりませんが、扁平精米であることは確かなので、それjから判断してくださいとのことでした。

桃の味がするとのことでしたが、なかなか桃の味のお酒は飲んだことがありません。とろっとした甘みがちょっと桃らしかったかもしれません。なかなか難しいところです。

桃の味は意外にわかりにくいので、山梨県の桃を食べながら桃の味が出るように工夫したそうです。オリがすこしはいっているのが、その効果を出したのかもしれません。 

 

1B. 高千代 純米大吟醸 一本〆 生原酒

Dsc_0292これは一本〆100%、精米度48%の純米大吟醸です。このお酒は0番の乾杯酒に続けて出されたので、あまりお酒の印象がないのです。

何時注がれたのかわからないうちに終わってしまったので、0番との比較ができないために、感想が書けませんでした。

一本〆は精米の耐久力が強いお米なので、扁平精米には適したお米のようです

2.高千代 純米酒 夏生原酒

 Dsc_0291このお酒は一本〆65%精米の辛口の純米酒です、日本酒度が12もあり、アルコール度数は17-18度もある生原酒ですが、夏酒としてこれから出荷するお酒です。

ドンとした旨みではないけど、甘みと酸味をを同時に感じるラムネのような感じのお酒です。かねゑ越前屋の藤井社長のお話では杏を食べながらサイダーを飲んでいる感じという表現されていました。

温度が上がってくると、日本酒らしい味わいが出てくるので、このお酒は冷たくしてぐいと飲みたいお酒ですね。 

 3.豊醇無盡 たかちよ 青 火入れ

 Dsc_0296このお酒はオリがらみの火入れのお酒です。お米の種類とか精米度はわかりませんが、純米吟醸レベルでしょう。先ほどの表の1番のお酒で、「たかちよ」ブランドの第1号だそうです。このお酒を開発するためにオリ絡みのお酒を30種類くらい飲んで味を決めたそうです。苦労しているのですね

オリの甘さが火入れで抑えられているので、口に含んだ感じが黄色のグレープフルーツのようなイメージのお酒でした。程よい旨みと酸味がマッチして、のど越しも柔らかく綺麗に消えていきます。オリがらみを火入れするとこんな味わいになるとは知りませんでした。

このお酒はお燗にも向いているし、開栓してから2-3日置くと、もっと良くなるとのことでした。 

4.豊醇無盡 たかちよ 黒 生原酒

Dsc_0298このお酒もお米の種類、精米度はわかりませんが、純米大吟醸の厳選中取り生原酒です

お酒の説明文では完熟したパインの味と書いてありましたが、藤井社長のお話では缶詰のパインの味だねとおっしゃっていました。

他のお酒とは香りが違っているけど、言われてみると、最初に感じる甘みの味わいがちょっとパイナップル的かなという感じでした。結構旨みのしっかりしたお酒を狙ったものらしいので、旨みがある幅を持って入ってくるけど、スッと抜けていく感じが新潟らしいお酒になっているように思えました。  

 5.豊醇無盡 たかちよ 紫 SS生原酒

Dsc_0301このお酒はうすにごり活性生のお酒です。SSと書いてあるのは春に出すお酒の意味だそうです。秋に出すお酒にはAWと書いてあります。

説明では葡萄のデラウエアの味と書いてありました。藤井社長の説明では小粒のデラウエアを2-3個の口に含んで、皮だけを吐き出した時の後味という説明をしていました。

僕には葡萄の感じはしませんでしたが、丸い塊のような粒の甘みを感じるのがデラウエアなのかな。僕にはオリの量とシワシワ感のバランスで生まれるのかもしれないと思いました。                            

6.豊醇無盡 たかちよ 空 生原酒

Dsc_0304これもお米と精米度はわからないけど、オリがらみの夏酒の生原酒です。多分純米吟醸レベルです。

アルコール度数は16℃ですが、さっぱりした飲み口で今までのお酒のような丸い感じの旨みはなく、軽い甘みと酸味があるので、ラムネのような味と表現されていました。

オリがなかかったら少しさみしい感じがするお酒でしたが、夏に冷やしてグイっと飲むにはいいお酒かな。

 7.豊醇無盡 たかちよ 赤爆濁 生原酒

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これは最後のお酒でした。赤爆濁りとは名前が凄いよね。このお酒は非公開のお酒で試験的に6本のみ造ったお酒だそうです。30歳から40歳の独身の男性が女性を口説く時に飲むお酒をイメージしたそうです。

このお酒はいわゆる活性にごりで、左の写真のように最初に太い針で栓に穴をかけてガスを抜いている状態で、ガスが抜けきるまで待ってからのみました。飲んだ印象はシワシワ感のある甘酒と言った感じで、シャープさも感じる不思議なお酒でした。

以上で飲んだお酒の感想はおわりますが、この蔵の生酒はオリの量を変えることで、味なバランスを変えているのは確かです。その他生酒の貯蔵方法でも味を変えることを狙っているようです。生酒の管理温度は‐2度から0度で、わずか熟成をする温度であることと、同じ温度でもタンク貯蔵か瓶貯蔵かで味が変わるそうです。具体的にはタンク貯蔵ですとガスが滑やすいのに対して、瓶貯蔵ではガスは向けにくい差がでるそうで、またそれに貯蔵期間を制御することでまた変わるようです。

こうやって色々な味のお酒を造っていることはわかりましたが、これだけ微妙な味をお客様に届けるには、酒屋さんの管理がしっかりしていないと出来ないことです。だから「たかちよ」は特定の酒販店にしか卸していないのでしょうね。

最後に周りの人と写真を取りました。あれ!武内良さんがいますね。最近淳さんのところでよく一緒になります。相変わらず藤井社長の頭は光っていますね。

皆さんいい笑顔ですね

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それから会の最後に高千代の前掛けをジャンケンで争ったのですが、カメラマニアの大井さんが仕留めました。おめでとう。

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武内さんがおられるところには必ず飾られている、例の酔っ払いパンダのイラストがありますね。飲んだ蔵のお酒の分だけあるのでしょうね。

お料理編

南蛮海老タルタル            旬の鮮魚のお刺身
切り昆布煮、越後もち豚冷シャブ

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のっぺい汁              米粉饅頭
これが3番のおさけにピッタリ   かぼちゃとひき肉の合わせ

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海ますの焼き漬け           お揚げと山菜のみぞれ煮

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きりざい丼

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