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滋賀県の神開というお酒は進化しつつあります

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昨年の12月10日ですが、五反田のおまつり本舗で第78回の蔵元を囲む会が開かれましたので、参加しました。今回は滋賀県の「神開」を醸する藤本酒造の蔵人兼営業マンの清水龍圭さんをお呼びして、開かれたものです。この蔵の社長は蔵元の藤本信行さんですが、今はお酒つくりの真っ最中なので、代わりに清水さんが来られたそうです。 

おまつり本舗の店長の荻野哲夫さんが、たまたま縁があって清水さんにお会いして、この蔵のお酒を飲む機会があって、久々に良いお酒にめぐり合ったので、是非お店で皆さんに紹介したいとお願いしたら、年末なら可能ということで実現したらしいです。

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清水さんはもともと東京で働いていたそうですが、東京に営業で出てきた藤本さん(その頃は専務取締役だとおもいます)と親しくなり、蔵で働かないかということで、蔵に入ったそうです。清水さんはもともと藤本さんと同じ町のお寺の住職さんの息子さんだったようで、地元に戻ることは問題はなかったようです。 

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この方が清水さんです。結構いけめんで、体格もいいでしょう。実は趣味が格闘で、現役の格闘家のようです。でも蔵人としても大活躍していて、造りにもとても詳しい方でした。清水さんのお話を聞きながら、この蔵の造りやお酒についてブログに纏めることにしました。 

まず蔵のことを紹介します。藤本酒造は滋賀県と三重県の県堺にある甲賀市水口町にあります。創業は江戸時代中期の1763年ととても古い老舗の蔵です。創業者がこの地にある山村神社の神託により井戸を掘ったところ、良質の水がわき出たのでこの水を仕込み水としたことから神開という名にしたということです。 

その後どのように蔵が推移したかはよくわかりませんが、地元向けの安価なお酒をく造っていたようです。この蔵が大きく変わったのは蔵元の藤本信行さんが蔵に戻ってからだそうです。信行さんは東京農大醸造学部を卒業した後、梅の宿酒に修業に行って、ハーパーさんと一緒に酒造りを勉強していたそうです。蔵に戻ったのが約7年前だそうで、その後は純米酒を中心に質の高いお酒造りを目指して努力した結果、現在やっと地酒として評価がえられるようになったそうです。 

この蔵には南部杜氏おられ、今は信行さんと杜氏と清水さんの3人で頑張っているようですが、清水さんのお話では正社員は社長と清水さんのお二人だけだそうです。会社のホームページには従業員は10名と書いてありましたので、他の方はパートとして働いているのだと思います。蔵の生産高は次第に増加し、今年は330石になるらしいです。お酒は主に地元だけに売られているようですが、生産量が少ないので、すぐ売り切れてしまうことが多いようで、最近は人気が出てきたようです。 

使用しているお米は、兵庫県産の山田錦、地元の湖南高畠産の山田錦、滋賀県産の玉栄、玉栄と山田錦を交配してつくった滋賀県の吟吹雪、一般米の日本晴のようですが、滋賀県のお米をベースに使っているようです。 

酵母は最初は9号酵母がメインのようでしたが、最近は18号酵母や7号酵にチャレンジしているようですが、今年はまた9号酵母を増やすようで、その年によって変更しているようで、これも進化の途中といえるのかもしれません。 

今までの情報ではどんな酒だかわからないので、それではどんな酒を飲んだかをご紹介することにします。 

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左から説明していきます。今回は14種類のお酒が出てきました。これがこの蔵の扱っているすべてではなく、人気のお酒はすでに蔵にはなくなっているもの多く、残っているお酒から選んで持って来たようです。きちっと全種類酒質が記載されていたので、それも紹介します。 

1.純米大吟醸 みやの四季 

原 料 米:兵庫県産山田錦      
精米歩合:40%                  酵母:18号
AL度数:16 日本酒度:-2  酸度:1.4
 

コメント:18号の割には香りは高くなく、綺麗な造りだけど標準的なお酒でした。 

2.純米大吟醸 湖南高畑山田錦 生原酒 

原 料  米:湖南産山田錦
精米歩合:50%                  酵母:18号
AL度数:17  日本酒度:-8 酸度:1.5
 

コメント:甘めに仕上がっているが、べとついた感じはなく、さわやかさを感じました。 

3.純米 湖南高畑山田錦 生原酒 

原料米:湖南産山田錦
精米歩合:60%                   酵母:7号
AL度数:18  日本酒度:+5     酸度:1.9
 

コメント:後味が辛いけど酸が強いので、すっ切りシャープな感じ 

4.純米f吟醸 玉栄え 生原酒 

原料米:玉栄え
精米歩合:55%                   酵母:18号
AL度数:17   日本酒度:-6    酸度:1.5
 

コメント:適度な甘さと後味の辛みのバランスがいい 

5.純米吟醸 山田錦と吟吹雪 生原酒 

原料米:山田錦・吟吹雪
精米歩合:55~60%        酵母:7号と18号
AL度数:17   日本酒度:-1 酸度:1.7
 

コメント:これは2種類のお酒を混合したものなので、優しい味だけど複雑さがあって、なんでもOKという気も玉母さんのようなおさけでした。.. 

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6.純米 吟吹雪9号 生原酒

原料米:吟吹雪
精米歩合:60%                   酵母:9号
AL度数:18   日本酒度:+3    酸度:1.7

コメント:香りはほどほどだけど、適度な華やかさもあり旨味もあるお酒でした。これは9号酵母の力でしょう。ちょっと華やかになった女性というところでしょうか

7.純米辛口仕様 生原酒

原料米:日本晴
精米歩合:60%                   酵母:7号
AL度数:19   日本酒度:+8     酸度:1.9
 

コメント:日本酒度が+8なので、さすがに辛いお酒で、新酒の時はもっととんがっていたので、それをイメージしたラベル(ドンキホーテ)にしたそうです。1年熟成してこれでも角が取れているけど、切れない刀で突き刺されるように後味がギュッときます

8.純米 山廃仕込 生原酒

原料米:日本晴
精米歩合:60%                    酵母:7号
AL度数:18   日本酒度:+2.5    酸度:2.0

コメント:全体的には綺麗だけど、厚みがあって適度な酸とのバランスがいいお酒で、ちょと太めだけど整っているおばさんイメージかな。僕は好きでした。

9.特別純米 大自然神開

原料米:吟吹雪、玉栄、日本晴
精米歩合:60%                   酵母:7号
AL度数:15   日本酒度:+5    酸度:1.5

コメント:この蔵としてはごく普通のお酒らしいけど、僕には旨味があまりなくて、僕には普通酒のような感じを受けました。これは他のお酒のパワーがありすぎたからかもしれません

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10.純米 吟吹雪 原酒 1回火入れ 2013年

原料米:吟吹雪
精米歩合:60%                   酵母:7号
AL度数:18   日本酒度:+0    酸度:1.6

コメント:2年熟成のお酒ですが熟成の香りはありません。角が取れて丸くなっているけど、後味にじわっと来る辛さが全体を引き立ててくれます。蔵の0℃~2℃の冷蔵庫で熟成したようです。 

11.純米 山廃仕込原酒 1回火入れ 2013年

原料米:日本晴
精米歩合:60%                   酵母:7号
AL度数:18   日本酒度:+3     酸度:1.9

コメント:いかにも熟成の山廃らしい香りがするし、色も少しついていました。パンチも余韻も少なくて、だらだらしたお酒でした。これは熟成の温度が違うのかな?ラベルがなぜ格闘家なのかはわかりません。

12.純米 山廃仕込み 1回火入れ 2014年

原料米:日本晴
精米歩合:60%                    酵母:7号
AL度数:16   日本酒度:+2.5   酸度:2.0

コメント:熟成が1年でアルコール度数が小さいお酒なので、飲みやすいお酒でした。口に含むとぱっと膨らんだと思うと後味が綺麗で中々いいバランスでした。同じ山廃熟成酒でも色々な味があるのですね。

13.山廃吟醸 大古酒 枯艶酒 H14BY

原料米:山田錦
精米歩合:60%                   酵母:9号
AL度数:18   日本酒度:-     酸度:ー

コメント: これは12年熟成古酒の典型のお酒でした

14.にごり酒

このお酒には酒質の説明はありませんでした。70%精米の純米酒のようです。これは販売しているお酒ではないようですが、意外と違和感はありませんでした

以上でこの蔵のお酒の紹介は終わりますが、全体をとして言えることは、毎年主体とする酵母を変えているようで、たとえば18号酵母は今年から19号に変えるそうです。また、山廃熟成酒だってお酒によって全く味が違うのには驚かされました。このように色々試験をしながら方向性を見極めながら造っているように思えました。

清水さんにこの蔵はどんな味のお酒造りを目指しているのですかと聞きましたら、神開のお酒をどのようにな味にしたいかという考えはなく、毎年その瞬間に最もいい酒を造ろうと言う気持ちを大切にしているだけですという答えが戻ってきました。そのために必要な技術はどんどん取り入れるけど、昔の技術は大切にしながらチャレンジしているとのことでした。

僕が受けた印象は飲んでもらう人にどう応えられるかを考えながら、チャレンジしている蔵で、でも自分たちの技術には自信を持っているようで、これから10年後にどんなお酒を造る蔵になるのか注目していきたいと思いました。

滋賀県の蔵は個性の多い蔵が多いのは、大きな蔵がないので各蔵の独自性が出やすいからではないかと思いました。滋賀県のお酒はこれからもっと勉強したいと思っています。

最後にこの会で同席した加賀美幸子さんとのツーショットをお見せします。加賀美さんはお酒の専門家ではないけど、滋賀県のお酒が大好きで、良く勉強されています。これからもいろいろ教えてください

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