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久保田は山田錦を使っていないこと知っていましたか

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白金の日本料理店の槐樹で定期的に行われている「蔵元さんと一緒に日本酒を楽しむ」に参加してきました。今回は第18回目で、新潟の銘酒の久保田を醸造している朝日酒造の営業課長の林正 之さんをお呼びしての会でした。朝日酒造は生産量3万石を越える新潟県でも有名な蔵で久保田、越州、得月、朝日山などを醸しています。特に久保田はその中でも上級のブランドですが、生産量が多いので色々な居酒屋で飲むことができるお酒です。でも一般的に呼ばれる純米大吟醸とか吟醸酒という区別よりは銘柄の万寿、千寿、百寿といった名前で区別して飲んできていましたが、その酒質を考えて飲むことはあまりなかったような気がします。 

今回は久保田だけのお酒を6種類飲むことができるので、久保田がどのような酒質のお酒なのかを勉強しようと参加したものです。あとで説明しますが、久保田には他の蔵の考え方とは一味違う造りをしていることが判りましたので、それを説明したいと思っています。お酒の説明をする前に簡単に蔵のご紹介をしておきます。 

朝日山酒造は2015年の3月に蔵見学をしたことがあり、その時の様子をブログにまとめてありますので、まずはその記事を読んでください。
http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-ef13.html 

この記事には蔵の歴史にはほとんど触れていませんでしたので、まずはそれを紹介しましょう。ホームページを見ても昔のことはあまり紹介されていませんが、1830年に長岡市の今の地に創業したのはスタートのようで、その時の屋号が久保田屋でした。その後現在の朝日酒造になったのが大正9年の1920年だそうです。久保田の銘柄のお酒を出したのは昭和60年の1985年ですから比較的最近のことです。この時から品質管理、冷蔵管理のできる酒販店を特約店として流通網(久保田会)を築いて広く扱われるようになったようです。 

この後、新しい蔵の増築を行い、現在は下記の示すようなレイアウトの新工場が完成しています。 

Dsc_0001_2

1996年に精米棟、1992に調合棟、1995年に朝日蔵、2011年に最新の松籟蔵、2012年に貯蔵棟ができたようです。久保田の千寿や百寿は松籟蔵で生産され、万寿は朝日蔵で生産されていますが、一般見学は松籟蔵しかできず、朝日蔵の見学はできないようです。(昔は朝日蔵の見学も可能だった時代もあったようです) 

今回試飲したのは次の6種類のお酒です。値段の安いほうから並べれば、千寿、生原酒、紅寿、碧寿、万寿、洗心となります。 

全部1升瓶で提供されて、試飲お前には下記のような木桶に氷を入れて用意されていました。その写真を示します。

Dsc_0724


Dsc_0725_2

これらのお酒の紹介は営業課長の林正 之さんにやっていただきました。下の写真お方が林さんです。

Dsc_0734
早速紹介するお酒の順番に価格と酒質を紹介いたします。酵母の説明はありませんでしたが、9号系の酵母と思われます。 

1.千寿 吟醸酒 価格2430円/1升 

  麹米:五百万石50%精米、掛米:五百万石55%精米
  アルコール15%、日本酒度+5、酸度1.1
 

2.生原酒 吟醸生原酒 価格3120円/1升 

  麹米:五百万石50%精米、掛米:五百万石55%精米
  アルコール19%、日本酒度+2、酸度1.4
 

3.紅寿 純米吟醸 価格3310円/1升 

  麹米:五百万石55%精米、掛米:県産米55%精米
  アルコール15%、日本酒度+2、酸度1.2
 

4.碧寿 山廃純米大吟醸 価格5030円/1升 

  麹米:五百万石50%精米、掛米:五百万石50%精米
  アルコール15%、日本酒度+5、酸度1.2
 

5.万寿 純米大吟醸 価格8110円/1升 

  麹米:五百万石50%精米、掛米:県産米33%精米
  アルコール15%、日本酒度+2、酸度1.2
 

6.洗心 純米大吟醸 価格11000円/1升 

  麹米:たかね錦28%精米、掛米たかね錦28%精米
  アルコール15%、日本酒度+2、酸度1.2

これを見ておやっと思う人もいるでしょう。高級酒である万寿、洗心でさえ山田錦を使っていないのです。もしかしたら他の銘柄に使っているのか調べてみたら、越州は千秋楽、得月は雪の精、朝日山は新潟県の県産米で、山田錦を使っていません。これは新潟県のお米にこだわっているのか、コストを気にしているのか、造りに自信があるのかどうなんでしょうね。それではこの順番に飲んだ印象を述べていきます
 

1.千寿 

飲んでみましたが、軽い吟醸香で全体に穏やかで飲みやすい印象ですが、日本酒度が+5なので後口に辛さが残ります。全体としては新潟県お端麗辛口のバランスだと思いました。僕個人としてはアルコール度数を1度上げても最初にうまみと甘みを感じるほうが好きですね。 

2.生原酒 

このお酒は千寿の原酒でこれを加水したものが千寿だと思われます。香りは千寿より立っているので、カプロン酸エチル系の吟醸香だとわかります。飲んでみると口に含んだとたんに厚みのある味わいが広がり、とろみ感も感じます。でも生らしい若わかさも感じるけど全体的には強すぎる感じがするので、ロックにするかちょっと加水して飲むと良いかもしれません。僕は少し加水して17度くらいで飲みたい気がしました。僕の友人のUさんは1年熟成させて、ちょっと加水して飲んでいるそうです。 

林さんがちょっと面白いことを教えていただきました。生原酒は1830ml入っていて千寿より30ml多いそうです。千寿でも火入れ前は1830ml入れるそうですが、火入れして常温にすると1800mlになるとのことでした。また、僕は面白いことに気が付きました。生原酒は3120円ですが19度あるので水原料代がただとして計算すると2460円となりほぼ千寿の価格になりま。だったら生原酒を買って色々楽しんで飲むほうがおもしろいと思いました。 

3.紅寿 

千寿とアルコール度数は同じですが、日本酒度は1.2とやや甘口です。飲んでみるとこちらのほうがはっきりとした旨みを感じ全体のバランスがいいです。でも温度が上がるとざらつきを感じるので、冷やして飲むほうがいいように思えました。千寿よりはかなり価格(900円くらい)のはどうしてなのでしょうか。麹米の精米度は55%と悪く、掛米は安価な県産米を使っているのならもっと安く提供できるような気がします。この価格なら千寿のお米で純米吟醸でなくては納得できないな。味のバランスは良いのでこのお酒なら3000円を少し悪いくらいの価格にしてもらいたいです。お店であまり知られていないのは価格の割高感ではないでしょうか。

4.碧寿 

このお酒は千寿と同じ麹米で、掛米だけを50%精米にした山廃つくりの純米大吟醸です。口に含んだ香りは千寿とは違う香りですが、よくある山廃系の香りはしません。口当たりが柔らかくいけど含んだ時には味の広がりがないけど、中盤からじわっと膨らんできますが、山廃独特の酸は感じませんでした。この口当りの柔らかさは山廃仕込みならではの乳酸の柔らかさではないかなと思いました。これをお燗にしてもらったら、あっと驚くほどふくらみが出ておいしいお酒の変身しました。碧寿を飲むならお燗がベストです。でもこれが5000円というのは高すぎますね。4000円~4500円が相場ではないかな。 

5.万寿 

久保田シリーズの最高峰の純米大吟醸ですが、このお米を見て驚きました。麹米が50%の五百万石、掛米が県産米33%だそうです。県産米は何でしょうか。なんだかわかりませんが33%まで磨ける県産米があるのでしょうか、もしかしたらたかね錦かな。でもこのお米の大吟醸で8110円とはちょっと高すぎるけど飲んでみました。 

飲んでみると確かに奇麗な味わいだけど、味わいがあって大人の落ち着きを感じました。昔はもっときれいなすっきり消えるお酒のような気がしましたが、最近変わったのかな。この味わいの秘密を聞いてみると、山廃を一部ブレンドしているとのことでしただから味わい深いのですね。今日飲んだお酒の中では一番のお気に入りですが、お米の精米度から考えると高すぎですね。僕には6500円~7000円ぐらいが適当だと思いますが、手に入りにくいことを考えると1本は買っておきたいお酒です 

6.洗心 

1升1万円以上するお酒ですが、たかね錦28%とは驚きです。蔵の2-5℃のタンクで2年間熟成をしたお酒だそうです。飲んでみると軽い熟成の香りがするまろやかなお酒でしたが、僕には高すぎるな。 

以上で久保田のお酒の紹介は終わりますが、千寿と生原酒の価格はリーズナブルですが、それ以上の高級なお酒は使っているお米の精米度から考えると、少し割高だと思います。でも山田錦を使わないでここまで味を出せるのは、さすが技術力があることを感じましたが、山田錦を使うともっとすごい酒が造れるのではと思いました。 

僕が興味を感じたお酒は生原酒、碧寿、万寿です。五百万石50%の純米吟醸を4000円くらいの価格で作ってもらいたい気がしました。 

最後の写真はこの会を企画した窪田さん、料理長、林課長さんのご挨拶です。 

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次にお料理の紹介についてご紹介します。

鯛の白子豆腐         酒肴6景   

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南蛮海老のオイスターグラタン    茄子の甘辛麹醤油焼き

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とろたくとサバの押し寿司     酒のアイス・抹茶の焼菓子 

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