6月26日水曜日に椿山荘の4階ジュピターで福井県酒造組合主催の地酒の会として「越前・若狭の地酒と蛍の夕べの会」が開かれましたので、参加してきました。福井県の17の蔵元が参加しての会ですが、福井県には35ぐらいの蔵があるので、約半分の蔵鹿参加していません。特に人気蔵の加藤吉平商店が参加していないのは、拍子抜けという感じですね。
今まで福井県は表参道のふくい南青山291でこじんまりやったことはありますが、ホテルの会場を借りて、やるのは初めてのようです。でも椿山荘の蛍の時期にやるのは凄いなという思いで、どんな会になるのか楽しみにして参加しました。
2009年に南青山で行われた会については下記のブログを見てください。http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-eb23.html
会場は200名が着席で出来る広さでそれほど、広くはなかったのですが、挨拶の舞台もなく、地域の特産品の展示もなく非常に簡素な会のように思えました。
その中でもちょっと変わった趣向がありました。それは芦原温泉旅館協同組合の女将の会が協力していて、司会進行はその方の一人がしていました。
この人達がこの会でどんなことをされていたのかよくわかりませんが、全員利き酒師の資格を持っているとのことですから、お燗コーナーでお酌をするとか、もっとこの方と会話できるような企画があっても良かったのではないでしょうか。そうしたらもっと盛り上がったかもしれませんね。
蔵の展示は写真のように会場の側面に1列ずらっと並んでいるだけで、蔵の名前はテーブルのところに名札が置かれているだけでした。凄い手抜きですね。しかも各蔵とも試飲できるお酒は3本しか用意されていませんでした。きっと主催者側で制限したのでしょう。本数が少ないだけに全てのお酒を飲むことができたのは良かったけどね。
本数が少ないと宣伝したいお酒が限られるということもあるので、宣伝したい蔵にとっては不本意だったのではと思います。来年からはもう少し検討してください。
今回はどんな蔵人が参加していたかをご紹介することを主体としながら、僕が気に入ったお酒を1本だけ持ってもらうという形で紹介しますが、今回は会場の案内のお酒のリスト表を落としてしまったようで、多少の間違いがあるかもしれませんので、お許しください。
1.常山酒造 常山
常山(とこやま)酒造は福井駅から歩いて10分くらいのところにある蔵ですが、全国新酒鑑評会でしばしば金賞を受賞している蔵で、今年もめでたく受賞したようです。
写真の方は蔵元の専務取締役の常山晋平さんです。常山といえば栗山杜氏が有名ですが、晋平さんは蔵に入って12年目として新しい酒造りをしております。
持っていただいたのは常山(じょうざん)純米吟醸無濾過生原酒で、山田錦60%精米です。しっかりした味わいですが、すっきり飲めるお酒でした。
2.田嶋酒造 福千歳
この蔵も福井市にある蔵で、創業は江戸時代の後期なので、老舗の蔵と言えます。この蔵が得意としているのは山廃仕込みのお酒です。ちょっと前までは山廃仕込みしかしていなかった珍しい蔵です。
写真の方は蔵元の奥さまの田嶋智恵さんです。持っていただいたお酒は山廃純米無濾過生です。酸味があるけどスキットしたお酒です。さくら酵母仕込みと書いてありましたので、農大出身ですかと聞いたら、隣にいた息子さんが農大出身で今蔵人見習をしているそうです。この蔵はこれから変わってきそうな気がします・・・・・・
3.毛利酒造 越の桂月
この蔵は昭和18年に創業した新しい蔵です。蔵ができた経緯が変わっていて、当時税務署の職員をしていた毛利淳吉さんが蔵が売りに出されているのを知り、酒造の免許を取って買い取って始めたといいます。いずれ毛利さんが杜氏になることを前提に平成20BYから梵の杜氏をしていた熊谷さんが杜氏として指導していただいているようです。
写真の方は3代目の蔵元の毛利徹郎さんです。持っていただいた酒は桂月 純米吟醸で福井県産の山田錦50%精米のお酒です。酸味があるけど奇麗に膨らむお酒でした
4.美川酒造場 舞美人
この蔵は福井駅から南東に数km離れた足羽川のほとりに位置し、蔵の周囲は米の産地であり、昔は蔵がいくつかあったようです。
写真の方は蔵元の代表兼杜氏をしている美川欽哉さんです。この方は大学を卒業してから蔵に入り、蔵の杜氏であった越後杜氏に酒造りを学んで、現在に至っていますが、今ではほとんど一人で酒造りをしているそうです。奥様の久美子さんは蔵人兼店長として活躍されています。
持っているお酒は山田錦85%精米の特別純米無ろ過生原酒で、独特の旨みにそれを支えている奇麗な酸のバランスが良く、お勧めです。
5.舟木酒造 北の庄
当蔵は福井市東部に位置し、北に白山を源泉とする九頭龍川の清流があり、その伏流水の清らかな水を蔵の地下150mから汲みとって仕込み水としています。
写真の方は蔵元の専務取締役の舟木修さんです。持っていただいたお酒は長命酔という純米酒で、麹米が五百万石60-65%精米、掛米が日本晴れです。
飲んでみると米の旨みは感じますが、とりわけピークがあるわけでないけど、最後に熟成香がすると思ったら、これは新酒と熟成酒のブレンドなんですと隣の息子さんが教えてくらました。息子さんは東京農大そうだそうです。
6.黒龍酒造 黒龍
黒龍といえば、福井県を代表する有名蔵です。場所は永平寺の近くの松岡にあり、創立は1804年ですから、もう200年以上の歴史があります。
写真の方は経営企画部の黒田宏史さんです。黒龍は高級なお酒を出している蔵なので、本日は特撰の吟醸を持ってもらいました。500万石50%精米のアル添の吟醸酒です。メロンのような香りがたつけど、味わいは奇麗で柔らかく、バランスの良いお酒です。さすが上手く作っているなというお酒ですね。
720mlで1682円はチョット高いけど仕方がないかもね。
7.田辺酒造 越前岬
この蔵も永平寺の近くの松岡にある蔵ですが、この辺りは山を源とする九頭竜川の下流にある土地なので、酒造りに適した地域で、昔はたくさん蔵があったと聞きました。
写真の方は若き蔵元杜氏の田邊丈路さんです。前杜氏は南部杜氏の鷹木さんですが、その方から引き継いだようです。この蔵の酒は直ぐには旨みを出さない造りで、最低半年寝かせて出しているそうです。
持っているお酒は五百万石60%精米の純米酒です。今年の新酒なので、まだ早いけど、飲ませていただきましたが、柔らかな酸と柔らかな旨みでバランスしたお酒でした。癒し系の純米酒と言えます。
8.吉田酒造 白龍
この蔵も永平寺の近くにある蔵ですが、松岡より九頭竜川を上ったところにあります。九頭竜川の泡立つ激流を白い龍になぞらえてつけられた名前だそうです。
写真の方は蔵元の奥さまではありません。蔵元の奥さまは吉田由香里さんです。はっきりはお話してくれませんでしたが、蔵人の奥さまなのでしょうか。
持っているお酒は山田錦と五百万石を使った純米吟醸です。しっかりした味わいのお酒ですが、常温で飲むと柔らかさが出て、お酒の良さがでてきますね。
9.伊藤酒造 越の鷹
写真の方は蔵元の伊藤抵治(やすはる)さんで、杜氏も兼務しておられます。長く勤められた杜氏が亡くなってからは抵治さんが杜氏として仕切っているそうですが、それは26歳の時だったそうです。
持っているお酒は五百万石50%精米の辛口純米吟醸です。辛口といっても辛くはなくシャープな味わいでした。これは良い酒ですね。この蔵の代表格の酒だそうです。
10.久保田酒造 富久駒
この蔵は九頭竜川の北側の竹田川と丸山城の間にあります。ここは地下量が豊富なところで、地下200mの水をくみ上げて仕込み水として使っているようです。
写真の方は蔵元の久保田直邦さんです。直邦さんは3年前に地元の酒を造ろうということで「鬼作左」というお酒をつくた人で、地元を愛した酒造りをしています。
持っていただいたのは本醸造の丸山城です。日本酒度が+9以上あるけど飲んでみると辛くなく、旨いのに切れがありしっかりしている酒でした。心をこめて造っているのがよくわかります。
11.真名鶴酒造 真名鶴
この蔵はJRの越美北線の筑前大野駅の近くにあり、九頭竜川の上流の四方を1000m級に山々に囲まれたところです。
写真の人は蔵元の社長兼杜氏の泉恵介さんの息子の泉るいさんです。恵介さんは東京農大の醸造学部を卒業後、蔵に入り、1998年より杜氏をしています。るいさんは今東京農大の学生だそうです。
持っていただいたのは50%精米五百万石の純米吟醸の奏雨です。ワイングラスで美味しい日本酒の2012年の金賞を取った酒です。口の中でぱあっと旨みが広がり、酸味で切ってくれるお酒でした。この蔵は色々な味のお酒を造っていますので、将来が楽しみに思えます。
12.南部酒造場 花垣
この蔵もJRの越美北線の筑前大野駅の近くの街中にあります。創立が1733年ですが、最初は金物やで、お酒造りをしたのは明治34年だそうです。大野市は城下町で且つお米のとれる盆地だったので、昔から造り酒屋は多かったようです。
写真の方は販売課長の前田秀夫さんです。持っていただいたのは麹米が五百万石、掛米が日本晴で60%精米の純米酒のにごり酒です。
普通のにごり酒とは違ってクリーミーなな味がヒューと広がる今まで飲んだことのないお酒でした。大吟醸は優等生タイプだし、色々なタイプのお酒を造っているようです。
13.一本義久保本店 一本義
この蔵は生産高が1万石を超えるほどの、福井県では最も大きな蔵の一つです。でも場所はえちぜん鉄道の終点の勝山市にありますが、便利さを考えると、越前大野からタクシーの方がいいかもしれません。
写真の方は営業担当の道林徳雄さんです。いつもにこやかに迎えてくれます。この蔵は一本義と伝心があり、伝心は柔らかく飲みやすいのに対して、一本義は辛口で最後に苦みと渋みが来るものが多いようです。
持っていただいたのは一本義の五百万石60精米の純米吟醸です。確かに最後に苦みを感じますが、これが食中酒に合うのだそうです。
14.畠山酒造 雪きらら
この蔵はJR北陸本線の今庄にある蔵で、福井県を南北に分ける中央にある豪雪地帯のようです。でも昔から宿場町として栄えた町です。
写真の方は蔵元の畠山拓也さんです。持っていただいたお酒は五百万石60%精米の純米酒です。優しい味のお酒で飛び出たもののないバランスの良いお酒です。冷より常温がいいと思いました。
この蔵は山田錦系の大吟醸は雪のしずく、五百万石系は智慧の水などがありますが、いずれも優しいスイスイ飲めるお酒のようです。
15.白駒酒造 白駒
この蔵も今庄にある蔵です。創業は1696年ととても古く、宿場町なので旅人に好まれる酒造りとして昔からコクの深いお酒造りをしているそうです。
写真の方は蔵元の京藤和夫さんの奥さまの京藤禎子さんです。僕がこの蔵と出会ったのは2009年の南青山の会です。その時飲んで感激したお酒を持ってもらいました。
500万石50%精米の純米大吟醸原酒です。五百万石とは思えないほどのコクがあり、とろっとした味わいがあり、ぱあっと口の中に広がり最後に奇麗な酸味で整えてくれるお酒です。720ml2500円ですから飲んでみる価値はあります。
16.佐々木酒造 華燭
この蔵は福井駅の南の鯖江市にある蔵です。この蔵も創業は古く、1753年らしいので、とんでもなく歴史のある蔵なのですね。
写真の方は蔵元の佐々木宗利さんです。もう8年くらい前に蔵を訪問したことがあったのですが、覚えておられませんでした。
持っていただいたのは麹米が山田錦、掛米が五百万石45%精米の大吟醸です。五百万石は熟成に向かないといわれていたのを、最初に味を載せないように造れば熟成が上手くいきことがわかったそうです。そうやって生まれたお酒だそうです。
17.三宅彦右衛門酒造 早瀬浦
この蔵は最後に行きついたので、お酒がほとんどありませんでしたので、紹介しません。ごめんなさいね。
以上で蔵の紹介を終わりますが、こんなにさらっと飲んだだけで蔵の味がわかるわけはありませんが、多少の参考にはなるでしょう。
今回の会で感じたのは蔵の数も少ないし、あまり演出らしいものはなかったけれど、結構蔵元の方が来ていたのは救いでしたね。
会が終わってからお庭に出て蛍を見に行きましたが、雨のためか蛍はほとんど見ることができませんでした。
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