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我家の日本酒冷蔵庫のレマコム修理顛末記

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僕がレマコムRCS-100を購入したのは2008年の6月でした。その頃この冷蔵庫は日本酒用冷蔵庫としての評価はまったくなく、零度近くまで冷やせるショーケース用で音が小さいタイプの冷蔵庫を探していたら、たまたま見つけたのものです。確かに音は小さく応接間においてもあまり気にしなくても良いほどの音で、零度近くまで冷えるので日本酒冷蔵庫として今まで重宝して使っていました。下の写真がそれです

今では会社側のPRでも日本酒冷蔵庫としての表示もあるくらいですから、使っている人は多いのではないでしょうか

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ただ、梅雨の時期だけ冷蔵庫のフロントガラスに露がついてそれが床に下垂れ落ちることがわかり、色々な対策を施し、ブログに書きましたので、非常に多くの方にその方法を使っていただいているものと思います。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/rcs100_3960.html

今まで安定して動いていたので、何のメンテもしないで使っていたのですが、最近になってふと気がついたら電源の表示をしている緑のランプがついていないし、庫内にあるダイヤルをいじってもコンプレッサーが回らないし、瓶を触ってもあまり冷たくないので、遂に壊れたかと思い、レマコムに電話したらすぐ送ってくださいとのことでした。さっそく、冷蔵庫に入っていた9本の1升瓶の酒と、8本の4合瓶を急遽家庭用の冷蔵庫に引っ越しました。たまたま我が家は家庭用の大型冷蔵庫が空っぽの状態で日本酒が少し入っていただけでしたので、なんとか押しこむことができました。

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普通のお宅ではこんな時はどうするのか、考えておく必要がありそうですね。特に生酒は致命的ですね。この家庭用冷蔵庫は東芝のGR-423FSKで、右上の扉の中に1升瓶が8本くらい入り、生鮮用チラーのところに横にして1升瓶が2本、右側中断の野菜室に4合瓶が15本入ることが判りました。左の扉はすべて冷凍室です。

レマコムの冷蔵庫は475×517×1018mmあり、重さは約40KGあるので、宅急便で出そうとしたのですが、このような大型の場合はクロネコヤマトより佐川急便が良いようです。サイズ220で3680円です。

レマコムで調べてもらったらコンプレッサーは問題なく、緑のランプ故障と、ダイヤル部分の継ぎ手故障のようでした。約1週間ぐらいで無事戻ってきて、いまは元気に動いております。戻ってきてから色々と、この冷蔵庫の特徴を調べて次のことがわかりました

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これが庫内の写真で、右の上にダイヤルがついていて、そこからケーブルが奥の冷却板の下部についているサーモスタットにつながっているようです。このダイヤルは数字が大きいほど温度が冷えますが、構造上温度を一定にすることはできないようです。色々と調整したところ、ダイヤルの数字が5から6ぐらいで庫内温度が5℃でコンプレッサーが動き、零度近くで切れるので平均的には3℃くらいの冷蔵庫として使えるようです。これ以上下げると氷がつく恐れがあるので、やめました。

この試験をするために下に示したような冷蔵庫用のデジタル温度計をAmazonで購入しました。これは絶対必要なものですね。1000円ちょっとで買えます。

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メンテナンス上気をつけなければいけないのは、サーモスタットに氷がつくと誤動作をするので、氷がつかないように冷蔵庫内に乾燥剤を入れておくのが良いかもしれませんね。また外の湿った空気が入らないように庫内にカーテンをつけると良いと思います。僕は冷蔵庫の冷気を逃がさない意味でも付けています。下に写真を付けておきますが、見えるかな?

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透明のビニール製のカーテンを張り付けてあります。これで瓶を取り出すときに余り冷気が逃げなくなります。省エネにもなると思います。

今回レマコムさんの対応はとてもよかったと思っていますので、故障した時には気楽にお電話すると良いと思います。ありがとうございました

今回気がついたことはレマコムの冷蔵庫は確かに零度近く冷えるけど、常に5℃まで温度が上がるということです。火入れのお酒はまったく問題ないけど、生酒で長期間寝かせるには向いていないと思いました。確かに生酒をこの冷蔵庫で2年寝かせて飲んだら味が変わっていたことがあったから、その理由はこの辺にあったのかもしれません。

そこで前述の家庭用冷蔵庫に温度計を付けて、最強運転をしてみました。下記の表示を見てください。

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左の温度は冷凍室、右の温度は冷蔵庫の温度ですが、実際に測ってみると2-3℃でしたが、安定していました。生酒の保管にはこちらの方がよさそうです。ちなみに野菜室の温度は4度でチョットだけ高いようです。

夏場でも本当にこんな温度になるのかはチョット心配ですが、これからデジタル温度計で調べていきます。

冷蔵庫は実際に温度計で測ってみないといけないことがよくわかりました。チョット気がつくのが遅かったようです

今回の調査で大型冷蔵庫を使えは我が家には日本酒が40本は収納できることがわかったけど、この状態で故障したらお手上げですね・・・・・・・

このブログがレマコムを使っている人の参考になれば幸いです。また日本酒の冷蔵のことに詳しくないレマコムさんもこれで勉強していただけると、うれしいな。

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「仙禽」のお酒は不思議な世界を生み出します

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先日神田の和酒BAR&DINNG醇のお店で、せんきん㈱の専務取締役の薄井一樹さんを囲んで仙禽をの楽しむ会が開かれましたので、参加してきました。

せんきん㈱は栃木県のさくら市にある、東北本線の氏家駅の近くにある蔵です。創業は江戸時代の1806年ですから既に206年もたっている老舗の蔵です。確か昔は仙禽酒造だったのに、いつせんきん㈱になったのかな。ホームページもなくなっているので、チョット調べて見ることにしました。

10代目の薄井篤社長は大谷石の地下貯蔵にいち早く目を付け、ここで仕込みや貯蔵をやったり、杜氏制廃止などの新しい改革を積極的にやり一時は3000石以上の生産高を誇った時代もありましたが、バブルがはじけて次第に負債を抱えるようになったようです

そんな時に息子の一樹さんが蔵に戻ってきたのが2003年のようです。一樹さんは地元の高校を卒業後、大学に行かれましたが、それを中退して日本ソムリエスクールに行って卒業後はソムリエの仕事をしていたそうです。その時から日本酒ならどんなお酒が良いかを考えていたので、その感性が今の酒を産んだでしょう

下の写真に一樹さんご紹介します。もとソムリエだけあって、なかなかダンディでかっこいいですが、現在32歳とまだまだ若いこれからの人ですね。

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蔵に戻って来たときの蔵のお酒は、その時流行っていた淡麗辛口系でいわゆる奇麗なお酒でしたが、他と差別化するような味わいではなかったようで、気にいらなかったそうです。その後2006年から蔵に戻ってきた弟さんと協力して、新しい酒質と高級路線で生き残りをかけて、大きくかじを取ったそうです。

その後薄井社長は仙禽酒造に負債を残して、取引先の酒販店などが出資した新会社の「せんきん」に営業権や醸造設備の資産を売却して再スタートすることになったのが。2008年の7月です。薄井社長は責任を取って新会社には関与せず、薄井一樹さんが専務取締役として、実質的な経営を任されることになったようです。

お酒造りには一樹さんのこだわりが満ち満ちています。今までの彼の色々なところでの発言を参考にしてそのコンセプトをまとめてみますと以下のようになると思います。

・ 古い伝統ある技術にこだわった作りをする

・ すべてのお酒を袋絞りでしぼりで搾る

・ 原則搾ったままをお客さんに飲んでもらう(無ろ過生原酒)

・ お料理との相性を重んじて甘みがあって酸がある味が特徴

・ お米は契約農家からの直接仕入か、自社田のお米を使用

・ お米は亀の尾、雄町、愛山、ひとごこちが主体

・ 山廃・生酛の精米度は80%、他の純米酒の精米度は50%

・ 大吟醸の出品酒も山田錦ではなく、亀の尾や愛山を使用

凄い変わってういるでしょう。逆に言うと色々試行した結果これに落ち着いたのかもしれませんね。

全量袋搾りをするのは大変ではと聞きましたら、昔は確かに袋絞りは8人必要だったけれども、いまでは合理化して2人で出来るそうです。この方法は新政の佐藤さんから教わったそうです。

飲んだお酒を紹介する前に、仙禽のいわれを見てみましょう

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これは仙人が住む清らかな土地に飛び交う禽=鶴をイメージしたもので、上のラベルの左側が羽根を広げた鶴で、右がすっと立っている鶴に見えませんか。ラベルの紙は昔はこのような繊維がいっぱい見える和紙でしたが、特殊なもの以外はいまでは繊維の見えない和紙に変わったようです。

今回のイベントにはかねゑ越前屋の藤井社長が仙禽を扱う酒屋さんとして、参加されていました。たまたま僕の隣にいたので色々なお話をさせていただきましたが、お酒の味にも造詣が深い方で色々教えていただきました。

左から薄井専務、藤井社長、僕(Qpapaのたくちゃん)

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それではさっそく仙禽の酒がどんな味なのか飲んでみましょう。これがこの日飲んだ8本のお酒です

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それでは左のお酒から1本ずつ紹介します。

1.山廃 亀の尾 あらばしり 21BY

Dscn2894_2ラベルのないお酒です。これはこの会をサポートした越前屋さんのために蔵に取っておいて忘れていた6本のお酒の1本だそうです。あらばしりは越前屋さんに出したのが初めてだそうです。熟成温度は0℃です

この亀の尾は福島県の太田さんが栽培した良質の亀の尾ですが、いまでは地元でも亀の尾を作れるようになったそうです

3年熟成したお酒ですが、栓を抜く時ポンと音がするくらい発泡感があり、口の中でピリピリするくらいです。甘さも落ち着いた甘さで、しっかりした味の後に山廃らしい酸が広がってきて切れもいいお酒でした

山廃だけでなく生酛もやっているのですが、どちらも同じ作りで蒸米の溶けが悪かったら櫂を入れるので生酛になり、櫂を入れないと山廃になるだけだそうです。なるほど・・・・・

山廃や生酛は木桶をつかって、しかも山廃の特徴を出すために精米度は80%としていますが、雑味がなく80%のお酒には見えませんね

2.亀の尾 あらばしり 純米生原酒

Dscn2895_2このお酒は亀の尾50%精米の純米吟醸のあらばしりですからもちろん無ろ過生原酒です

このお酒はあらばしりですが、1番のお酒よりピリピリ感はないけど、膨らみはあるような気がしました。このお酒は23BYの速醸ですが、この蔵のお酒は山廃や生酛の方が2次発酵しやすい傾向があるそうです。越前屋の藤井社長のお話では酸が強いからではないかとのことでした

このお酒も酸度3.0、日本酒度ー5で、甘酸っぱいお酒ですが、飲んだ感じはそれほどではなく、酸が切れを出してくれていますので、甘さが気になりません。

3.金平糖 純米中取り生原酒

Dscn2898このお酒は徹底的に甘みを追求したお酒で、地元のひとごこち50%精米の純米中取り無ろ過生原酒です。

酸を抑えて甘さを出しているお酒ですが、べたっとした甘みではなく乾いた甘さというか、和三盆のような甘さ(藤井さんの説明)で、口に含むとその甘さが広がってくるけど、その後の余韻が良いので、飲みやすいお酒でした。不思議なことにお燗をすると甘さが抑えられて酸味が出てきて結構いけました。

甘みを出したので、名前を金平糖にして、ラベルも蔵の古いお酒のラベルをコピーして使ったそうです。何か古風なイメージがあって面白いですね。

4.あかとんぼ 山廃雄町 ひやおろし

Dscn2901この蔵では珍しい火入れのお酒で、冬に造った原酒を7月まで生のままで貯蔵して、その時点で1回火入れをして瓶詰めして、秋に出すひやおろしなので、赤とんぼというようです。3年前に初めてチャレンジしたひやおろしですが、今年から山廃にしたそうです。

この蔵の季節商品には赤とんぼとかカブトムシとか線香花火といったお酒らしくない名前を付けていますが、ラベルもとてもかわいらしいものです。赤とんぼには6種類のデザインがあるようですが、中身は同じだそうです。蔵元の奥さまが担当しているようです。女性に受けそうですね。

このお酒は最初にジューシーな甘酸っぱさを感じて後でやや渋みと苦みを感じるお酒でした。お燗にすると栗のような甘みが出るだけでなく、他に色々な味わいが出てきましたので、ぜひ試してください。

5.雄町 中取り 純米生原酒

Dscn290450%精米の雄町の純米吟醸 中取り生原酒です。このお酒は強烈な甘みではなく奇麗な酸がいっぱいあるというお酒でした。

このお酒を最初に造った段階ではレモン丸かじりのような酸っぱさで、とても飲める感じではなかったのですが、寝かせることにより落ち着いてきて今のような味になったそうです

この蔵は基本的には3種類のお米を使い分けていて、一番酸味が強いのが雄町、次が亀の尾、一番酸が弱いのが愛山だそうです。雄町は酸がでやすい多酸系酵母を使い、亀の尾は14号酵母、愛山は7号酵母と使い分けているようです。

6.亀の尾 中取り 純米生原酒

Dscn290850%精米の亀の尾の純米吟醸 中取り生原酒です。1番のお酒の中取りなので、2番のお酒はフレッシュ感があるのに対してボデーがしっかり感じるとの説明でした

実際に飲んでみると、甘酸っぱいというよりは、最初に甘みのある旨みが来て、後から酸が追いかけてくるというバランスで、その酸の中からまた旨みが出てくる感じでした

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7.雄町 あらばしり 純米生原酒

Dscn29105番の雄町のお酒のあらばしりです。雄町純米吟醸は酸味が強いはずなのですが、あらばしりは滓の甘さが最初に来るので、その甘みで酸味が消えてしまいます。日本酒度は-5、酸度は3.0と5番のお酒とほとんど変わりません。

ですから5番の雄町と全く同じ酒とは思えない軽さですうっと口の中に入っていく感じでした。お酒はバランスで味が変わるのですね。

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8.雪だるま にごり酒

Bmiyoshi_senkinyuki720_2このお酒は地元産のひとごこちのにごり生酒です。このお酒は醸造用アルコールや糖類を添加している普通酒ですが、手は掛かっていて、1本1本丁寧に作っているそうです。

具体的にはもろみを4回も濾すそうです。どのくらいの細かさかは判らないけど、飲んでいただけばわかるけど、あまりざらざらした感じはなく、ふわっとした感触があるので、目の細かいもので濾過しているのではないでしょうか。だから何回も濾さないと出来ないのでしょう。

口にすると完熟した桃のような甘みととろみを感じます。これは絶対に1回は飲んでみてください。1升2100円なのでやすいし、デザート用としては最適ではないでしょうか

これで飲んだお酒の紹介は終わりますが、仙禽のお酒はどのお酒も甘くて酸味の強いので、最初は甘い!とか酸っぱいとか、なんだこの酒は!という人が多いかもしれないけど、慣れてくるとまた飲みたくなる不思議な酒です。これを仙禽ワールドというのでしょうね。一樹さんの術中にはまった思いですね。

このような味のお酒を作る蔵はなかなかないので、この味を目指して初めて造った時、売れない心配はなかったのか聞いてみたら、さほど心配はしなかったようです。きっとワインのソムリエの自信があったのでしょうね

でも愛山を飲んでみたかったな・・・・・・・ 残念!!

現在の蔵の生産量は仙禽だけで300石、全部で500石だそうですが、手がかかる造りをしているので、500石でも重労働で大変だそうです。まだまだ発展途上の蔵のような気がしますので、これからが期待できますね。

たまにはお料理を紹介しましょう。醇さんワールドですからどれもここの入った美味しいお料理です

前菜:鶏肉の梅酒煮、干瓢の胡麻酢添え、五目浸し豆
刺身:くろむつといなだの盛り合わせ

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椀物:牡蠣ときのこのみぞれ汁
焼物: すずきの白ワインソース

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冷采:南瓜と小豆のいとこ煮
油物:黒豚の和風グリル トマトあん

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食事:ずわい蟹のおこわ

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Future4 のお酒の飲み比べ

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Future4って知っていますか。秋田県発のNEXT5はもうすでに有名になっていますが、これとはちょっと違っていて、青森県発の新しい集団です。まだまだ知られていないような気が済ますので、僕なりにご紹介しようと思います。

Future4は青森県の4人の若手杜氏のグループを言うそうで、日本酒の魅力を青森から発信したい思いからできたグループで、以下の活動理念を持つそうです

・ 技術交流、情報交換を行いながら酒質を高める

・ 魅力のある日本酒を発信していrく

・ 新しい日本酒フアンを開拓する活動をする

つまり簡単にいえば、未来の酒造りを目指す4人衆という意味なのでFuture4なのでしょうね。その四人とは以下の人たちです。

歳の順に紹介しますが、お写真は色々なホームページから拾ったもので、個人の了解を得たものではありませんので、ここだけの閲覧としてください。

紹介内容はFuture4のパンフレットに書いてあるのもをそのまま紹介します

Photo_61.鳩正宗 佐藤 企(さとう たくみ) 47歳

・ 卓越した技術と経験を兼ね備えた青森県の技術指導者

・ 銘柄 「八甲田おろし」「鳩正宗」を醸する

穏やかなお顔をしていますので、お酒に味にも通じるかもしれませんね。

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Photo_32.じょっぱり 河合 貴弘(かわい たかひろ)42歳

・ 日本酒、焼酎、リキュールとバラエティあふれたアイテムを開発。酒造業界を刺激する

・ 銘柄 「じょっぱり」「龍飛」を醸する

しっかりした雰囲気をお持ちの方ですね

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Photo_43.田酒 細川 良浩(ほそかわ よしひろ)41歳

・ 全国的な人気銘柄を醸する「米味」表現のスペシャリストでFuture4のリーダー

・ 銘柄 「喜久泉」「田酒」を醸する

若いのに親分肌を感じますね

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Photo_54.松緑 安達 香(あだち かおる)34歳

・ 青森県最年少杜氏。新世代の日本酒を作る今注目されている技術者

・ 銘柄 「六根」「松緑」を醸する

若いのに筋を通す気持ちが見えるような気がします

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この4人が昨年4蔵が同じ酒を作って販売しました。それは下記の8つの条件を統一して造ったお酒で、違うのは仕込み水と造りのプロセスだけです。

・ 使用米 華想い(青森県産) 「山田錦」と「華吹雪」を交配して作った青森県の最新の酒造好適米

・ 精米歩合 55%

・ 酵母 青森県が開発した2つの酵母のひとつの「まほろば吟」

・ 麹菌 H-1 青森県が4年ほど前に開発した麹菌

・ アルコール度数 16度

・ 仕込み総米 750KG

・ 仕込み日  留日を11月5日で統一(販売計画上の縛り)

・ 製品の仕上げ  無濾過

このお酒は500mlで各2000本の限定販売で、2012年12月14日に一斉販売されました。僕は予約していたわけではないけど、たまたま池袋の升新商店に行ったら置いてあったので買ったというわけです。幸運でした。でも500ml4本で6300円はチョット高いな。720mlなら問題ないけどね。

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水色の紙パックに4本がおさまっていて、取り出してみるとラベルのデザインは同じで、右肩に銘柄が書いてあるだけが違いになっています。王冠は皆違っていました。こうやって造られたお酒を飲み比べたくなるのは普通の気持ちですよね。

結局僕の誕生日の1月6日の日に全部少しずつ飲んでみました。冷蔵庫に大切にしまったあったお酒ですので、冷たいままの状態で飲んだのですが、少し室温近くまで上がった状態では、味がかなり異ってきたので、両方の状態を比較してみました

でも酒の味を比較して書くのは、いささか問題かなと思いましたが、ひとりの飲み手の意見と聞いていただいて、今後の造りに生かしていただけれはうれしいと思い、敢えて書くことにしました。

味を比較する場合に飲んで特徴のあった順番に書いた方がわかりやすいので。上述の順番とは変えてご紹介します。

<松緑・斎藤酒造店>

Photo_8この蔵は桜と弘前城で有名な弘前市にある蔵で、蔵の敷地内に老松がたくさんあることから松緑(まつみどり)の名がついたそうです。

冷温では香りに酸味を感じて、口に含むと米の旨みがパット広がり消えていくけど、甘い余韻が残るのが特徴でした。余韻の甘さが奇麗に伸びていったのはこの酒だけでしたね

温度を上げると、余韻は少なくなりフラットぎみになるけど、冷温のときの特徴は残っていて、旨みの膨らみの部分は小ぶりに感じるけど、メリハリのあるお酒として楽しめました。でも僕は冷温の方が好きでした。

<田酒・西田酒造店>

Photo_9この蔵は青森市にある唯一の蔵で、昔からアルコール添加した喜久泉の酒を出しており、この名前で出品酒を出して数々の賞を取っています。昭和49年から純米酒にこだわったお酒として田酒が作られるようになり、今では全国的に著名な蔵となっています

冷温では松緑に通じた香りと膨らみを感じたけど、余韻はそれほど長くなく、甘みより少し辛さを感じるものでした。飲み終わった時鼻に抜ける香りに変な香りを感じるのは僕だけかな。

温度が上がると、膨らみが立って余韻も適度にあり、良くなるけど最後に冷温のときと同じ変な香りが残っているのは気になります。たぶんこれは今年だけの香りではないかな?

<鳩正宗>

Photo_10この蔵は十和田市にあり、4つの蔵の中では一番東にあります。近くを流れる稲生川にちなんで稲生正宗の銘柄で酒を作っていましたが、昭和の初めころ白い鳩が蔵に住みついたことから、鳩正宗に名前を変えたそうです

冷温で飲むと香りに酸味を感じないし、米の旨みもあまり出ていないし、後味に渋みを感じるちょっと物足りない酒でした。総じてフラットなバランスで、その中に辛みを感じるお酒でした。

温度が上がると柔らかさが出てきて、辛みも消えてくるので、一層フラットなバランスの良さが出てきます。膨らみも強いわけでないけど、つい飲みたくなるような大人のお酒に変身しました。この酒は常温が良いな。

<じょっぱり・六花酒造>

Photo_11この蔵も弘前にある蔵ですが、焼酎やリキュールも造っている東北では珍しい蔵です。じょっぱりは津軽弁で意地っ張りという意味で、青森お酒は濃淳で甘いお酒が多い中で淡麗辛口の味にこだわった造りをしている蔵のようです。

冷温で飲むと香りはあまりないが独特の旨みがあるけど、甘みがチョット堅い感じで、余韻は味よりも透明度を感じるもので、短めでした。

温度をあげても大きな変化はなく、膨らみは小ぶりで、若干の辛みを感じるので、全体的にシャープさを感じるお酒で、他の3つとはバランスが異なるような気がしました

以上僕の感想を述べましたが、僕は利き酒師ではないし、味のプロでもないので絶対的な評価には使わないでもらいたいです。素直に僕が感じたままを書いたつもりですが、同じように造ってもこれだけお酒の味が違うのですから、酒造りは面白いですよね

どのお酒が好きかは好みの問題ですから、気にしないでもらいたいけど、僕の好みを言えば全体的には1番好きなのが松緑、2番が常温の鳩正宗、田酒は酒質は良いと思うけど最後の香りが気になるところ、じょっぱりは僕のタイプではなかったjけど、いかにも淡麗辛口なので好きな人は多いかもれませんね。

来年度はどんな形になるのか、NEXT5と比較して見守りたいですね……

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日本酒冷蔵庫レマコムのダイヤルの秘密

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レマコムRCSー100を購入し4年半も使っていて、先月故障したので修理に出した時の様子は前のブログに書いたとおりですが、庫内にダイヤルがあるのはご存知ですよね。

Dscn2919

このようなダイヤルで、手前にポッチがあるので、それに番号を合わせるように使うようです。勝手に僕はこのダイヤルは温度調整用ダイヤルと思っていたのですが、会社の人に聞くと温度調整ではなくてコンプレッサーが起動するタイミングを変えているとのことでした。ではどのように使えばいいのでしょうか。何の説明もありません

そのために先日簡易な冷蔵庫室内温度計を購入して、ダイヤルをいじって温度がどう変わるかを見たのですが、温度記録がないので、結局何もわかりませんでした。ではどうするか考えてみました・・・・・。

安い温度記録計はないか?温度データロガーとして売っているのがわかりました。

安いものですと3000円以下のものもあります。最安値はサーモクロンGタイプです。1円玉程度の小型でいいのですが、センサーの温度を読み取るためのUSBケーブルの購入に2万円強もかかるのと、温度精度が±1度と悪いのでやめました
http://www.kn-labs.com/thermochron.htm

次に安かったのはTL-30KS(USBケーブル付)でした。価格は約5000円と安いこと、USBがついているのでこのセンサーをパソコンにつなげばすぐ記録を見えることができます。大きさも44×70×11mmなので小型で温度制度も±0.5度でしたが、電池交換ができないので僕は買うのをやめましたが、家庭でチョット調べるにはこれで良いかもしれません。
http://www.tech-jam.com/instrument/temperature-data-logger/KN3313171.phtml

3313170

価格ですが、送料を入れると5800円くらいするので、ご注意ください。電池の寿命は約1年だそうです。

結局僕が買ったのはマイクロライト2という製品です。これもUSB付き温度データロガーで、大きさは11×3.9×2.6CMとちょっと大きめですが、温度制度が±0.3度、電池交換が市販のボタン電池で交換可能なので、価格が送料込みで1万500円でしたが、これを購入しました。
http://satotech.com/item/detail/904

250_microlite2_01_2

電池の寿命は約2年、完全防水防塵タイプで、温度測定間隔も1秒間隔から18時間まで選択可能ですから、これ以上の性能は入りません。そう考えると高いものではありませんね。どんな構造になっているかは次の写真をご覧ください

Microlitezu1005

これで早速レマコムの温度測定に入りました。測定は30秒間隔で1条件/1日で測定してみました。

色々やってみたのですが、結論はダイヤルをいじってもコンプレッサーが入る温度はいつも3℃で一定ですが、ダイヤルの値を大きくしていくと、コンプレッサーの入っている時間が長くなる結果、零度以下にまでなってしまうようです。まとめた写真を下記に示します。

Dscn3077

このグラフの縦軸は温度、横軸は時間です。赤い線が3℃のところを示していて、その上に書いてある数字がダイヤル設定値です。定期的に温度が上がっているのは1日に1回取り出してデータを取っているからです。

ダイヤルが6.7これは我が家のダイヤルの最大値ですが、このときは温度が-4度近くまで下がり不安定です。5から6は1度から3℃まで作動していて比較的安定しています。ダイヤルを3ぐらいにすると2度から3度と小刻みに制御しています。

どうもダイヤルを動かしてもあまり大きくは変わらないようです。結論は設定を4から5ぐらいにしておけば良いとの結論となりました。ちっとも面白くないですね・・・・

爆破はダイヤル5で使用してみますが、その時の安定性や庫内温度分布、夏場や露の時期のデータを測定してみたいと思います。

レマコムの技術屋さんへ 
価格がもう少し上がってもいいから温度設定できるように改良できませんか。コメントをお願いしたいです・・・・

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日本酒マニアのカメラはこれだ!

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僕は日本酒ブロガーとして色々なカメラを使ってきました。もう何台目かは忘れましたが、一昨年買ったカメラはニコンのCOOLPIX P300です。このカメラはその当時は暗いところでもフラッシュをたかずに写真が撮れること、最小焦点距離が24mmと広角であったのが購入した理由です。

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取った画質は奇麗でなかなか良いのですが、使っているうちに、変なことが色々と起こってきました。日本酒の瓶全体やラベルを撮ることはよくあるでしょう。その時、瓶全体を撮る時は普通に撮れば良いのですが、ラベルを撮ると必ず焦点が合わずにボケてしまうので、このときはマクロにしなければなりません。これが結構めんどくさいし、ピントが合っているか確認する手間が煩わしいのです

それで日本酒マニアに最適なカメラはないか探しました。見つけましたのでご紹介します。

まず日本酒マニアに必要なカメラ機能は何かを考えてみました

1.標準でマクロから望遠まで設定しないで取れること

2.撮影感度ISOが12800以上あること(照明のない酒蔵の中でも撮れること)。

3.25mmの広角からから500mmの望遠まで可能なこと

4.撮った写真を直ぐにFaceBookに送れること

5.手ぶれ防止機能が付いていること

6.これは必須ではないけどGPSがあること(初めて行ったところの確認のため

こんなカメラがあると思いますか。それがあったのです。未だ世界でこの1台しかない機能です。しかもこのカメラは去年の3月に出たカメラで、もう値下がりをしています。それがこのカメラです。

SONYのサーバーショット DSC-HX30V です。

写真をご覧ください。チョット汚いけど、P300のマクロで撮ったら荒がよく見えてしまいました。我慢してください。

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普通のデジタルカメラです。でも驚きの性能を持っています。

1.最短撮影距離が標準で1cm。(P300は標準では30cm)

2.撮影感度ISO100~12800(P300はISO160~3200)

3.焦点距離25mm~500mm(P300は24mm~100mm)

4.WIFIがついていてアンドロイドやIPHONEに転送できます
  この機能は機種はだんだん増えてきていて世の中に25台程度あるようです。

5.手ぶれ防止機能は光学式。(P300はレンズシフト式)

6.GPS機能が付いていて撮影した場所だけでなく歩いた経路までわかります。
  この機能が付いているデジタルカメラは日本では標準になって来ています。

以上で性能の紹介は終わりますが、WIFIがついていてGPSがついているのは3台しかなく、その中でISOが12800あるのはSONYの2台で、標準最短撮影距離が1cmのものはSONYのDSC-HX30V しかありません。

これなら買うしかないでしょう。ついにこのお正月明けにインターネットで購入してしまいました。いくらでしょうか。アマゾンで送料消費税込みで20480円でした。

価格ネットで調べると最安値は20399円のようです。元の価格は判りませんが、発売当初のレビューでは45000円くらいしていたようですから、お買い得です。それを見たい方は次のURLを見てください。

http://sonyshop-satouchi.blog.so-net.ne.jp/2012-04-02

将来もっと良いカメラが出ると思いますが、今時点の日本酒マニア向けカメラはDSC-HX30Vに決まりです。僕はソニーの廻し者ではありませんよ。

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今年も恒例の極みの会が開かれた。

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今年もてしごとやで極みの会が1月20日に開かれました。この会は日本酒仲間のUさんが1年かけて集めた貴重なお酒を飲む会ですが、今年で5回目になります。過去に3回ブログに書きましたので、もし関心のある方は下記に示しておきますのでクリックしてみてください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-4cb2.html(2009年)

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/2011-ea6b.html(2011年)

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/in-053b.html(2012年)

去年から池袋のてしごとやの2階の広間を貸し切っての会となっています。その広間の前のカウンター席も貸し切って、そこにお酒を並べました。

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この状態は会がオープンした時状態で、その後持ち込み分のお酒が入って、全部で23本だった気がします。これでは何か良くわからないですよね。去年は飲んだお酒を1本一本説明したが、今年はやめます。でも一応全部簡単に僕が感じた印象だけ述べることにしましたが、・・・・・・・・・・とんでもないことがわかりました。

最近は紙にメモを書かなくてICレコーダーに記録するのですが、どういうわけか、記録が撮れていませんでした。これでは感想を書けないですね。

ごめんなさい・・・・・今年はお酒のリストだけにします

今年の特徴は金賞受賞酒の多いことかな。金賞受賞酒をこれだけ集めるのは至難の業です。Uさんご苦労様でした

それではさっそく飲んだ酒をざっと紹介しましょう。

No11

左から

・ 美の川 越の雄町 雄町40% 金賞受賞酒

・ 澤乃井 梵 山田錦35% 金賞受賞酒

・ 広戸川 大吟醸 夢の香40% 金賞受賞酒

・ 開当男山 大吟醸雫酒 山田錦40% 金賞受賞酒

・ 名倉山 鑑評会出品酒 山田錦40% 金賞受賞酒 

No2

・ 燦然 大吟醸 山田錦35% 金賞受賞酒

・ 新政 160周年記念酒 純米大吟醸 改良信交40% 東北鑑評会優秀賞

・ 新政 160周年記念酒 純米大吟醸 亀の尾40% 山廃仕込み

・ 正雪 大吟醸斗瓶取り 山田錦35% 県出品酒

・ 磯自慢 大吟醸 愛山40% グラッパボトル

No3

・ 満寿泉 純米大吟醸 寿 山田錦35%

・ 酔鯨 純米大吟醸 山田錦30%

・ 大洋盛 大吟醸 越淡麗40% 平成22BY 金賞受賞酒

・ 瀬川 純米大吟醸 山田錦35% 天法酒造No4

・ 十四代 七垂二十貫 愛山40%

・ 田酒 純米大吟醸 山田錦40%

・ 万齡 純米大吟醸 山田錦38%(たった100本造ったお酒の社長の秘蔵酒で、市販されていません)

・ スーパーくどき上手 純米大吟醸 改良信交30%

・ くどき上手 純米大吟醸 凍結濃縮酒 短稈渡舟44%

No5

・ 金滴 大吟醸 吟風35% 金賞受賞酒

・ 英勲 大吟醸 PB品 祝40% 出品酒レベルの生酒

・ 喜楽長 大吟醸 山田錦40% 金賞受賞酒

以上ですが、このレベルになると美味しくないお酒はありません。でもどのお酒も甲乙つけがたい味ですが、僕の好みは美の川と燦然と満寿泉の壽でしたね。万禮はチョコレートの味のする熟成酒で印象が強かったです。

でもすべてのお酒の印象ぐらい覚えていないのでは飲んだ意味がないですね。

大反省です・・・・・・・ごめん

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日本酒マニアに必読の本を見つけました。

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日本酒が好きになってブログを書き始めてもう6年がたち色々勉強しましたが、蔵などに行って説明を受けて、わかったふりをしているものの、完全に理解しているとは言えない自分がいましたので、市販されている本で酒の造り方やその技術の変遷を書いた本が何かないかと探していたのですが、今まで是という本は見つかりませんでした。

今年になって、Amazonで調べていて出てきた本が 堀江修二著の「日本酒のきた道、歴史からみたの本酒変遷」今井出版(2012年6月初版) という本です。B5判で354ページ、定価2625円税込で、この種類の本にしては高額でしたが、思い切って買ってみました。今まで色々購入したものの、満足のいく本はありませんでしたので、僕としてはチョットした賭けでした。

ところが2日後に届いた本を読んでみて驚きました。製造技術についてはやや軽く書いてありましたが、日本酒の造りの歴史については、凄く詳しい内容でした。未だ全部は読み終えていませんが、あまりにも感動したので、早々とブログで紹介することにしました。

それがこの本です。

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本の目次を簡単に紹介します。

Ⅰ.酒の基礎知識
 1.酒とは
 2.日本酒の製造と製造のあらまし
 3.酒米の歴史

Ⅱ.日本酒のルーツを求めて
 1.日本酒のきた道①縄文の酒
 2.日本酒のきた道②弥生の酒
 3.日本酒のきた道③神話と祭りの酒
 4.麹のきた道
 5.酒母のきた道

Ⅲ.中国と朝鮮の酒造りの歴史
 1.中国の酒造り
 2.朝鮮の酒造り

Ⅳ.日本酒の歴史をたどる
 1.奈良へ平安の酒
 2.鎌倉時代の酒
 3.室町・安土桃山時代の酒
 4.江戸の酒
 5.明治の酒
 6.大正・昭和・平成の酒造り

Ⅴ.杜氏さんたちとの出会い
1.OH式二重蒸気槽の開発について
2.井戸水のマンガンの除去
3.白米の不思議
4.不思議な電気分解水の性質
5.袋吊の事始め

凄い内容ですね。日本酒のルーツや歴史および中国の酒造りの部分が占めている割合が多いですが、これは堀江さんが長い間研究調査してきた集大成の結果だそうです。単なる日本酒の製造の歴史だけでなく、酒造りの専門家としての専門性の高い内容まで含まれています。これだけのものを書くには、凄い調査がいると思いますが、堀江さんてどんな人なのでしょうか。

わかりやすい記事を見つけましたのでそのURLをご紹介します。

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20121014-OYT8T00328.htm

本当はこの記事から抜粋すればもっと判り易くまとめられるのですが、読売は記事の転載や写真の転載を許可していないので、URLを見ていただきます。堀江さんの写真も載っています

堀江さんは島根県立出雲産業高を卒業後県の工業試験所で(今は島根県産業技術センター)に勤務され、永年日本酒や農水産加工物を研究され、ご退職後は酒造技術の研究や指導をされている現在76歳の現役の技術屋さんです

堀江さんが日本酒の道に入ったのは19歳の時ですが、本格的に日本酒の歴史に関心を持ったのは30歳ごろの時だそうで、その時から地道に勉強し、その作り方でお酒を実際に造って勉強したそうです。だからとても奥が深い内容になったのです。もちろん酒造製造技術者としての経験も豊富で、自分の酒造製造技術者としての人生の集大成にしたいとして造った本だそうです。

ですから読みでがあります。僕はざっと読んだだけですから、まだまだ理解できていないところが多いのですが、その中でも今まで知らなくて、そうなんだと感心したことがありましたので、そこだけをチョットご紹介します。

1.日本酒の火入れについて

  Wikipediaの中で、火入れの技法は、の室町時代に書かれた醸造技術書『御酒之日記』にもすでに記載され、平安時代後期から畿内を中心に行われていたことが分かると書いてあり、そんな前からこんな技術を日本人はパスツールの500年以上前に使われていたとは凄いことだなと信じていたのですが、この本では中国の北宋時代の1120年の北山酒経の酒の中で、煮酒が火入れであることが記されており、これが日本に伝わったらしいと書いていあります。そうか中国の方が先だったのかというのは納得です。

中国の酒は小麦粉をベースにした酒ですが、造り方は日本酒と共通したところがあり、中国からの技術導入であってもおかしくありません。もちろん日本酒はその後独自に新しい形に進化してできたことは間違いありません。

2.泡あり酵母と泡なし酵母について

 泡なし酵母は昭和38年に島根県の簸上酒造の蔵で全く泡の出ないもろみができて、これを造醸造試験所に持ち込んだのをきっかけに、泡なし酵母の研究が始まったそうです。泡が出ないのは発酵で発生した炭酸ガスの気泡が酵母表面に吸着しない性質があるからだということがわかったそうです。協会酵母には新政の6号酵母とか真澄の7号酵母など色々あることは知っていましたが、これらの酵母には泡あり酵母と泡なし酵母があり、泡なし酵母の方が扱いやすいので、今ではそれが標準となっていて、601号とか701号というように酵母の後に01の番号を付けているそうです。知らなかったな・・・・・ これは常識ですかね。

3.袋吊り絞り

 最近は高級な大吟醸などの清酒は袋吊りがあたりまえとなっていますが、これが堀江さんが初めて行った方法だなんて知りませんでした。この方法は今から約50年前に考え付いたものだそうです。当時の搾りはほとんど槽でしたが、大吟醸のようなもろみの数量が少ないものを大きな槽で搾ると、タイミングを間違えると異臭がついたり、味が重くなったりして良い酒ができないという、現場の杜氏の声を聞いて小型の袋で搾ることを思いついたそうです

今では当たり前なことですが、当時は画期的なことだったのですね。これにより各種の鑑評会で良い成績をおさめられたとのことでした。現場の悩みを聞いて技術開発をしている堀江さんの心意気がわかります。

4.OH式二重蒸気槽の開発

 昭和46年秋にある蔵の杜氏が酒造りに失敗して持ち込んできた問題を解決することで生まれた蒸米機のようです。当時は省エネや省力化で各蔵が積極的にボイラーを導入した時ですが、ボイラーの蒸気を直接蒸し用の蒸気として使うと蒸気に含まれる清缶剤や鉄分のためお酒の品質を悪くすることがあったため、独自に間接蒸米機を作ったことによって、蒸が悪くなったためとわかったそうです。

和釜は昔から使われていた蒸米機ですが、和釜は下記のような構造をしていますが、理想的な蒸米用蒸気発生システムだったそうです

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それは蒸し開始時と蒸し終了時には水面のレベルが大きく違うことにあるようです。和釜は吹き始めは湿り蒸気が発生し、米をしっとり蒸すことができるのですが、釜の水が蒸発すると水面が下がり、発生した蒸気が釜の壁面で加熱され水分の少ない乾き蒸気に変わるので、これにより蒸の最後になると蒸米の表面の水分が取り除かれるようなメカニズムになっているそうです。知らなかった・・・・・・・

堀江さんはボイラーを使って間接的に蒸気を発生させ、しかも後期には乾き蒸気を発生させる装置を設計し完成させたそうです。これを発注した日本海酒造の岡田杜氏のOと自分の名前の堀江のHを取ってOH式二重蒸気槽と名付けたそうです。今でもヒット商品だそうです。ここでも現場に密着して考案する堀江さんの姿が見えますね。

僕はまだまだこの本を熟読していませんが、これからしっかり勉強しようと思っています。皆さんも読んでみませんか。

もうひとつ皆さんに紹介したい本があります。その本は副島顕子著の「酒米ハンドブック」文一総合出版の本です。この本は2011年7月に出版されていますが、全国で使われてきた酒米を約150種類写真付きで紹介した本です。とてもわかりやすいので、手元に置いていおく本としてとても良いと思います。価格は1470円と買いやすい価格になっています

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著者の副島さんはどんな人なのでしょうか、インターネットで調べてみました。副島さんは大阪府立大学理学部卒で、植物系統計分類学が専門で、種分化や生物地理を研究しているそうで、趣味として利き酒師で日本酒指導師範(こんなのあったっけ)をしているそうで、それから日本酒の酒米の種に興味があったのでしょうね

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写真入りでとてもわかり易い本です。お米の写真、名前の由来、系譜図、育成地、生産地等が書かれています。勉強になります。

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ちょこだま酒の会に初めて参加 (鰤三昧)

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「ちょこだま」って聞いたことありますか。大塚にある地酒屋こだまの武さんが去年の初めから月に2回(第一、第3月曜日 初めのころは土曜日だったようです)に開いている日本酒専門の居酒屋の名前です。でも普通の居酒屋ではありません。大塚の南口にあるワインカフェ「サン・ヴァンサン」を借りて行っているものですから、外にフランス国旗がある店で、とても居酒屋には見えません

フランス料理屋ほどお高く留っていないので、イタリアンの店かなという感じですね。武さんたちは地酒屋こだまの別館「ちょこだま」と言っています。

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場所は豊島区南大塚3-51-1 。入口のガラスに何やら色々書いてあるのを覗いてみました。ほとんどがワインカフェ「サン・ヴァンサン」のメニューとお知らせなのですが、1月の予定というのがあったのでアップしてみました

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1月7日と21日にちょこだま特別営業と書いてあります。これが開催日なのです。そのほか27日にちょこだま酒の会というのがありますね。この会は去年6月から月1回のペースで、実施している日本酒の会です。この会は大変人気があって武さんがフェースブックやツイッターやミクシーに開催日と酒の会の内容をPRするとその日のうちに満杯になります。参加できなくて悔しい思いをしている人がいっぱいいるようですが、お店は寿司詰め状態で14人しか入れませんから仕方がないです

鰤の会で座った様子をご覧したいただきますが、これ以上の詰め込みは無理です。でも運よくその会に僕は参加出来たわけです。

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武さんがお料理をするのは出来ないとは言わないけど、仕入れとか色々考えたら無理ですよね・・・・・・。そうなんです。ちょこだまには専門の料理人がいるのです。その人の名前は渡辺直樹さんです。どんな人なのでしょうね。

直樹さんは東京の出身ですが、お料理を勉強して一時は京都で修業をしていたそうです。東京に戻ってからも豊島区で板前の仕事をしていた時に、お客さんの要望で昔の地酒屋の「つたや」にお酒を買いに行ったところ、名前が「こだま」に変わっていて、そこで初めて児玉武也さんと出会ったというわけです。

直樹さんのこだわりは化学調味料を入れないお料理であって、自分のことを化学調味料に反旗を翻す調理人兼料理研究家と呼んでいます。

武さんとは年が一つ違い(直樹さんの方が一つ上)で、同じ豊島区の住民として良くお酒を飲んだ仲のようです。その中で生まれたのがちょこだまなのです。直樹さんは昔から「ちょびん」と呼ばれていたので、二人の名前を組み合わせて「ちょこだま」となったそうです。ですからこのお店は2人店長で、無添加料理人の渡辺直樹と日本酒案内人の児玉武也となっています。お互いに気心の知れた自然人ですが、外から見ると宇宙人同士と言えるかもしれませんね。

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左が武さん、右が直樹さんです。この写真は日本酒の会の最後で撮ったツーショットで、もうとても盛り上がっていますね

さっそく今回の酒の会についてご案内しましょう。今回は鰤三昧です。五島列島で取れた天然ブリ4KGで造ったお料理を楽しみながら、武さんの選んだ日本酒を飲む会です。今回はお料理をメインにご紹介します。

まずは前菜4点盛り、鰤のユッケ、鰤の南蛮漬け、鰤たたきのままだ蕪詰め、鰤の味味噌照り焼です。中でもままだ蕪は埼玉県岩槻市にある真間田農園で造っている蕪で、何もしないでそのまま食べると果物を食べているような甘みを感じる蕪でした。これが直樹さんのこだわりです。

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次は刺身2点盛り 鰤の刺身と鰤のなめろうです。この刺身は抜群でしたね。鰤の油が品があって、堅くもなく柔らかくもない手頃なかたさで旨かったね。武さんの言葉を借りると、果物のような香りのする脂身とのことでしたが、僕にはわからなかった

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次が鰤大根 これには特別なコメントはなかったな。でも自然な感じの鰤大根でした。

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鰤のコロッケ 鰤と玉ねぎとジャガイモのコロッケですが、確かにぶりの味がします。ソースより塩味が良かったな。これは面白い・・・・

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鰤のかま焼き 鰤の定番の照り焼きです。鰤を小麦粉を薄くまぶしてフライパンで両面をさっと焼いてたれをかければよいとのこと。かまの場合どうするのかな?

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最後が鰤のしゃぶしゃぶ。 うまそうでしょう。鰤はしっかり白くなるまで漬けてから食べる方がおいしかったな。この後雑炊で腹いっぱいになりました。

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これで鰤料理の紹介を終わり、次は酒を紹介します

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左から順に紹介しますが、鰤料理に合わせて武さんが選んだお酒ですが、鰤の味を考えたら今回は全部原酒になってしまったそうです。

1.黒松仙醸こんな夜に 山女 純米吟醸 生原酒

  新しく杜氏になった安藤さんの自信作と言える酒で、長野県産の美山錦55%精米で長野酵母Dを使っています。まだしわしわ感の新鮮さがあり、ちょっとドライな甘さが最初に感じながら消えていく切れのあるお酒でした

2.弥右衛門 本醸造 超辛口 生原酒

 日本酒度+13もある辛口のお酒ですが、飲んでみると透明感があってふわっとした柔らかい香りと甘みを感じるけどほとんど辛みを感じません。添加したアルコールのせいか、口の中がさっぱりするような切れを感じるバランスの良いお酒でした

3.夢心 無濾過 普通酒 生原酒

 地元でしか販売していないブランドの普通酒ですが、柔らかくてしっかりしたフルーティな甘みが広がり、とてもアルコール添加の多いお酒とは思えません。ロックでも良いかもしれませんね。

4.本金 純米 無ろ過生原酒

 長野県産のひとごこち59%精米、7号酵母使用の純米酒で、甘みの裏に酸がしっかり感じるお酒です。その酸が余韻の中で消えていく感じがワインに似ているように思えました。7号酵母の割には香りも出ているように感じました。

5.笹の誉 本醸造 無ろ過生原酒

 長野県産美山錦65%精米の本醸造です。この蔵は300石くらいの小さな蔵ですが、本醸造でも300kg仕込みで丁寧に造る珍しい蔵だそうです。柔らかいのに旨みが口の中でふわっと広がり、奇麗な余韻がひろがるお酒で、とても本醸造とは思えません。

6.三千櫻 純米 生原酒 せめ 22BY

 五百万石60%精米の純米酒ですが、せめだけを使ったお酒を蔵で2年間熟成した珍しいお酒です。旨みがドンと出るわけではないけど、熟成によるとろとろの柔らかい旨みの後に酸味を感じながら奇麗に消えていくお酒でした。

7.分福 純米吟醸 無ろ過生原酒

 滋賀県産の玉栄25%を麹米とし、日本晴れ75%を掛米とした50%精米の純米吟醸で、蔵で3年熟成した後、武さんのところで1年さらに寝かせたお酒です。熟成の香りを感じた後にふわっと来る味が落ち着いているけど複雑な味わいを漂わせるお酒で、僕はあまり得意のお酒ではないけど、その味の不思議さに引かれてまた飲んでしまうお酒でした

さすが武さんの選択は良いところを突いているお酒ばっかりでしたね。一通り飲んだ後お燗も色々やりましたが、ほとんど酔っていて記憶にありませんでした。

この会で武さんから初めて聞いたお話ですが、阿櫻酒造や色々な蔵を支援している会社の田中文悟商店が去年の10月に三千桜酒造の株を100%取得したようです。山田さんは社長兼杜氏として以前と同じように酒造りをするようで、資金繰りの苦労が無くなっただけ、思い切って酒造りに邁進できる土壌だできたそうです。これで益々良い酒ができるようになることを祈っています。

山田さんところは経済的には結構苦しかったのですね。そんなことは全然知りませんでした。山田さん頑張ってください・・・・・ 

フレフレー山田・・・・

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来福酒造さんを楽しむ会 in和酒ダイニング醇

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最近は軽めのブロク書きをして、蔵元を囲む会については参加してもしばらく書いていなかったのですが、重い腰を上げて書くことにしました。醇さんの来福酒造を楽しむ会はもう1か月以上も前の会ことなので、醇さんには怒られるかもしれませんが,遅くなったことはお許しください

来福酒造は茨城県の水戸線の下館駅から14号線を筑波山の方に4-5km行った村田にあります。この蔵は創業が今から約300年も前の老舗中の老舗の蔵です。創業から来福というおめでたい名前が付いていたそうで、今でもその名前を引き継いでいるのは名前の良さでしょうね。この地域は近江商人が江戸のお客を狙って色々な酒蔵を作ったところのようで、その中ではこの名前のお酒は売りやすかったのではないでしょうか。。

現在の当主は10代目の藤村俊文さんで、東京農大の醸造学部を卒業後、大手の酒造会社で修業をつんだ後家業を継いだそうです。継いだ当時は生産高は2000石もありましたが、ほとんどが普通酒だたそうです。今では生産高は1000石弱と少なくなっていますが、特定名称酒に力を入れ、普通酒の比率は30%と少なくなっているそうです。

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藤村さんは多種多様な酒米と酵母の組み合わせのお酒造りをしてきていて、最近は花酵母の酒が9割近く(普通酒も含む)になったそうです。花酵母というのは花の蜜や樹液に集まってきて花にくっついてくるものを、分離して培養したもので、今では20種類以上あるそうです。

花酵母による酒造りは東京農大の中田先生が確立したもので、今では東京農大の出身者が中心になって花酵母研究会ができています。藤村さんはその研究会の会長をなさっています。参加している蔵は30蔵くらいありますが、東の来福、西の天吹が横綱と言われております。

花酵母というと花の香りがするように思われる方が多いと思いますが、花に付いてくる酵母なので、基本的には花の香りとは関係がないようで、あまり香りを出さないものもあるようです。

昔から花酵母を活かすために色々なお米との組み合わせをチャレンジしてきましたので、100kgから200kgぐらいの小さなサーマルタンクを使って色々と酒造りを試みたそうです。以前に花酵母を一つにして酒米を12種類使った酒米セットとか酒米を一つで12種類の花酵母使った花酵母セットなどを販売したこともあるそうです。これも研究熱心さの現れでしょう。でも準備が大変なので従業員に嫌われて辞めたそうです。

少し前までは杜氏の仕事をしていたようですが、今では酒造りの精米と酵母の培養だけに専念し、酒造りのコンセプトは出すものの杜氏としての酒造りはやめているそうです。社長としての外部の仕事が多くなったからでしょうね。

今日は色々な花酵母のお酒を持ってきていただきましたので、そのお酒を紹介しながら来福の造りを勉強したいと思います。まずは飲んだお酒を見ていただきます。全部で9本いただきました。個性的なお酒ばかりで順に説明していきますが、説明が長くなってしまうかもしれません。

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1.純米大吟醸 究極精米8%

Dscn3033茨城産のひたち錦を8%まで精米してアベリア酵母で造った純米大吟醸です。ひたち錦は美山錦に代わる県産米を目標に育成されたお米で、心白は小さく高精米が可能なお米だそうですが、それでも8%まで磨くのは大変なことで、80kg磨くのに1週間かかりこれを4-5回やってやっとお酒を作れる量になるそうです。ですからこのお酒は他の酒造りが終わった5月からやるそうです。ここまでしてやるのか・・・・

下の写真を見てください。精米したお米の写真です。玄米の大きさと精米したお米の大きさを比較するとその小ささがわかるでしょう。白い仁丹ですね

Dscn3039さっそく飲んでみました。奇麗な甘さを感じながら後から少し辛みを感じるお酒で、お米の旨みを感じるというお酒ではなく、きれいさを楽しむお酒かな。

このお酒の価格はわかりますか。4号7500円するそうですが、この価格では元は取れないそうです。見つけたらお買い得かもしれません。

チョット前に姫路の蔵で9%精米のお酒を出したようですが、あまり精米率で競争するのはどうかな?

2.純米 SWEET 若水 生酒

Dscn3036茨城産の若水を60%精米して、おしろい花酵母を使って造った純米酒です。若水は五百万石の耐倒伏性を強化した酒造好適米ですが、心拍が大きく柔らかいお米なので、溶けやすく甘みを出せるお米なので、その特徴を生かして、甘みがあるけど飲みやすいお酒を作ったそうです。

日本酒度はー9なので、確かに甘いけど香りとバランスして、飲んだ後に甘みを感じて最後に辛みを感じるので、切れがあって飲み易く感じました。都内でやるコンテストで2年連続1位となったお酒だそうです。

3.純米吟醸 亀の尾 火入れ

Dscn304155%精米の亀の尾をヒマワリ酵母で造った純米吟醸です。 ヒマワリ酵母は香りは少ないけど酸が出やすい酵母のようです。

亀の尾を酒造好適米ではなく飯米として広くつかわれていた米ですが、1号系と4号系があるようです。このお酒に使った亀の尾は4号系で、宮城の農家から種もみをもらって栽培した亀の尾だそうです

日本酒度は+4、酸度は1.4ですが、透明感のある甘みの後に酸をしっかり感じるお酒でした。でもしばらく飲んでいると余り酸を感じなくなる不思議なお酒でした。亀の尾とヒマワリのコンビがいいのでしょうね。

4.純米吟醸 八反35号 生原酒

Dscn304450%精米の八反35号とアベリア酵母を使った純米吟醸生原酒です。

八反35号は八反錦の親になるお米で、広島県を代表する酒造好適米で、やや小ぶりで心白発現率が低いことから、それを改良した八反錦におきかえられたようです

アベリア酵母は香りの出やすい酵母でしかも価格が安いので、一時は人気のある花酵母であったようです。堅くて溶けにくい八反35号との組み合わせは藤井さんならではのアイデアではないでしょうか

日本酒度は+6と辛いはずなのですが、含み香が高いので、辛みを感じないですうと飲めるお酒に仕上がっていました。後味に辛みを感じるけど、それだからスイスイ飲めるのでしょうね。

5.純米 初しぼり 生酒

Dscn3049_2地元の5人の契約農家が作った五百万石59%精米とつるばら酵母を使った純米酒で、毎年新酒第1号として出しているものです。

新酒にもかかわらずフレッシュというよりねっとりとした旨みを感じるお酒で、花酵母らしくない普通のお酒のようでした

価格は1升2250円ですからコストパフォーマンスの良いお酒と言えます。

6.来福 X 赤 直汲み

Dscn3053_2Xシリーズはスペック非公開のお酒で、X赤とX黒があるようです。 通常はX赤は純米酒火入れで、X黒は純米吟醸生出そうですが、今日はX赤の生を特別に持ってきたそうです。

どうしてスペック非公開かというと,ある日本酒が好きな女の子がOLを辞めて東京農大で勉強していた時に、旅先で見つけた花から取った酵母を使った酒で、研究会公認の酵母ではないし、なんの花かもわからないから、非公開にしたそうです。

彼女は酵母を取ったけど、どんな酒が出来るかは試験していなかったのを知り、試しに来福で培養していたのですが、培養途中で東日本大震災に遭い停電になったにもかかわらず生き延びた生命力のある酵母だそうです。

このお酒は彼女の知っている限られた酒販店さんだけにおろしているので、未だ彼女がそれを続ける意思があるなら、これからも造るつもりとのことでした

Dscn30531_2未知の花酵母だからXと付けたのはわかるけど、来福が逆さになっているのはどうしてでしょうか。このラベルを逆さにしてみました。結構安定するでしょう。実はこれを発売した時にラベルを張るおばさんが逆さに張って出荷してしまったそうです。ですから一時逆さまのラベルが出回ったという事件があったそうです。この酒が手に入ったら貴重ですね。

飲んでみると甘みが抑えられて、全体的にシャープなお酒で、余韻の広がりが良い珍しいバランスのお酒でした。

7.純米吟醸 愛山 生原酒

Dscn3055兵庫県の愛山50%精米で、9号酵母で造った純米吟醸の生原酒です。このお酒は来福の定番のお酒で、10年前に初めて造ってから人気の高い売れ筋のお酒だそうです

愛山らしい甘さがあるけど、甘ったるくない美味しいお酒でした。このお酒の魅力は味もあるけど、価格ではないでしょうか。愛山50%で1升3250円で買えるとは驚きです。これは昔から愛山を多量に購入していたからで、来福ならではの価格でしょうね

愛山の火入れもあるそうですが、その酒はつるばな酵母でラベルの色が黒で、価格は3050円とチョット安めです

8.純米 年のかけ橋 超搾りたて生原酒

Dscn3062このお酒は五百万石59%精米花酵母の純米酒ですが、超季節限定のお酒です。暮れの大晦日に搾って瓶詰して元旦に届けるお酒です。

確かに元旦に福が来ればこんなにおめでたい話はありません。贈り物には最適ですね。4年前にから始めたことのようですが、限定1000本ですが毎年完売しているようです

このお酒は販売店さんに注文し事前お金を支払っておくと、蔵から宅急便で直送するそうで、蔵は大変ですがお店にとっては楽な商品ですね。価格は送料込みで3150円です。

蔵が大変なのは瓶詰めとか配送だけではありません。大晦日に合わせてピッタリ醪の発酵を制御するのが難しいのです。これも技がなければ出来ないでしょうね

肝心の味ですが、生原酒のフレッシュ感と滓の甘さがあるけど、スイット飲めるお酒でした。確かに元旦のお祝い酒としては良いかもしれませんね

9.MELLOW 貴醸酒 生

Dscn3067このお酒はスペックはわかりませんが、ヒマワリを使った花酵母の酒の造りの中で、留添え仕込に使う仕込み水の半分に純米酒を使った貴醸酒です。普通貴醸酒は何年か寝かせて飲む場合が多いけど、来福は生酒にチャレンジするとはさすが藤村さんですね。純米酒添加であってもルール上は普通酒に分類されるそうです。

もともと低アルコールを狙った造りで、アルコール度数は15度とやや少なめですが、甘さと酸味が強いのでデザート酒として飲むのが良いかもしれません。ケーキを食べながら飲むと甘さを感じないで酸味だけを感じるのは面白いですね。

これでお酒の紹介は終わりますが、藤村さんに花酵母とお米の愛称は組み合わせが多いのにどうやって決めるのですかと聞きましたら、感で決めているということでした。違ったら次の年は変えるそうですが、あまりないとのこと。きっと長年の経験が感を育てたのでしょうね・・・・・・ 

アイデアマンで研究熱心でチャレンジブルというのが僕の印象です。

会の最後に藤村さんから全員にお土産をいただきました

Dscn3066ご覧ください。約1センチ角の升がついたストラップです。1センチといえども、杉でしっかりが作られているので、杉の香りが良いですね。結構造るのが大変で、普通の大きさの1合升の10倍の値段がするそうです

随分貴重なものをいただきました。

では最後にお料理を紹介します

1.前菜 塩鮭の押しずし   2.刺身 ひらめとしめサバ
  わかさぎ煮、麻婆大豆

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3.椀物 鮟鱇ノクリーム仕立て 4.焼物 蓮根つくね焼き

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5.冷采 干し芋サラダ   6.油物 鰆のから揚げ

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7.食事 蛤の炊き込みご飯

Dscn3064最後にデザートが出ました。MELLOWと合わせるためです。それにしても、いつも醇ちゃんのお料理はおいしいね。感心します。

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日高見の平井社長が寿司王子といわれるのはなぜか?

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先日の2月8日に八芳園の日本料理店の槐樹(えんじゅ)で平孝酒造社長の平井孝浩さんをお迎えして、日本酒の会があったので参加してきました。平井さんとは以前からお酒の会で面識があり、顔なじみであったのと日高見は自分の好みのタイプのお酒であったので、会費が1万円とチョット高かったのですが、こんな機会はめったにないと思い参加したのです。この会があるのを知ったのは日本酒カレンダーさんの情報からです。

槐樹は八芳園のお庭を望めるところにあるレストランで、このような酒の会の企画は未だ2回目で、最初は石川県の車多酒造さんだったそうです。なかなか良いところを狙っていますね。

左の写真が槐樹の入口です。いかにも日本料理店の感じですね。会の会場は全員で12名ほどのこじんまりとした部屋でしたが、凄くおしゃれなレイアウトでした。

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さらに色々とお酒を楽しむ演出がされていました。その一つが日本酒を楽しむ酒器がワイングラスで、しかもお酒の種類によって変えていたのです。しかもどのお酒用であるかを判り易く奇麗に見せていました。僕はここまでやるのを見たのは初めてでした。実はこの企画をしたのは八芳園の経営企画室の窪田理恵子さんという女性の方だったのです。やはり女性ならではの発想ですね。

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これからいただくお酒もただ並べてあるだけではないのです。お酒の瓶が奇麗に盛り付けられていました。さすがの気配りですね。

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お酒をたしなむ舞台はなかなか良さそうでしたので、さっそく平井社長に出てもらいましょう。

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もう50歳に近いのにとても若々しいですね。過去に有名だったハンカチ王子は野球の斉藤裕樹君、ハニカミ王子はゴルフの石川遼君でしたね。平井さんは未だ王子さんの雰囲気はお持ちですね。この笑顔が素敵です。本当に寿司王子かどうかは次第にチェックしていきましょう。

でも今日の平井さんになる前には大変苦労されたと聞いていますので、その辺をちょっと紹介しましょう。

平孝酒造は文久元年の創業ですから150年もの歴史がある蔵で、岩手県の菊の司から分業して石巻で地元に密着した酒造りをしてきたそうです。平井さんは5代目に当たるのですが、大学は東北学院大学の経済学部に進み一時サラリーマン生活をしていたそうですが、入社2年目に父親が来て蔵を閉じるといわれたそうです。父の言葉に反発して自分なら蔵を立て直せるとこの世界に飛び込んだのが、1987年のことです

しかし、当時は普通酒が主流でいくら売りこんでもなかなか売れない挫折を味わったそうです。一方宮城県には浦霞の禅や一の蔵の無監査等の造れば売れるという華やかな市場はあったのですが、その世界に入るには自社の酒の品質の向上が必要ということで、吟醸酒を主体とした日高見を平成2年に立ち上げたそうです

でも今の日高見になるには長い時間がかかったそうです。蔵に戻ってから10年して改めて醸造試験所に行って勉強したりしましたが酒造りの自分のお師匠さんはお酒を通じてお客様から色々勉強させてもらったことだそうです。そうしていくうちに、やっと日高見の酒は石巻のお魚との組み合わせを狙うことに落ち着いたそうです。

さらに平井さんには大きな試練がありました。それが東日本大震災です。幸い津波の被害は受けなかったのですが、地震で麹室、酒母室、仕込み蔵が壊れてしまったそうですが、貯蔵庫に残ったお酒が温度管理ができなかったにも関わらず生き残っていたので、このお酒で何とか営業しつつ、蔵の大改築をしたそうです。多額の借金をすることになったそうですが、この際今までやりたくてもできなかったことをこの改築のチャンスに出来るようにしたのは不幸中の幸いだったかもしれません。この改築には若手の杜氏などの意見を取り入れて行ったので、酒造りの一体感は震災前より強まったのではないでしょうか。

今平井さんが心に刻んでいるいくつかのことがあると聞きましたので、まとめてみました。

1.酒の酒質について

お魚料理(刺身やお寿司)に合うお酒を狙っていて、具体的には程よい香りがあってお酒だけでも膨らみがあって、米の味を感じながら飲めるお酒であって、お魚と一緒に食べた時に味をじゃましないだけでなく、食べ終わった時にすっきりリセットとして、別のお魚を食べたくなるような酒を目指しているそうです

2.食べ物との合わせについて

石巻は寒流と暖流のまじりあう地点で四季折々に色々な魚介類が取れ、刺身や寿司が人気の場所なので、それに合うお酒を目指してきましたが、最近は江戸前の寿司にも感激したそうで、江戸前の寿司に合うお酒も目指しているそうです。

3.酒の造りについて

酒造りは1に麹、2に酒母、3に醪造りと言われますが、自分はお米の洗いと水分管理に8割の心を使っているそうで、この水分管理が一番大切と考えているそうです。またお酒は搾った後の管理も大切で、火入れのタイミング、お酒の貯蔵、温度管理もお酒に合わせて、最適な管理が必要で、酒造りが10とすると、貯蔵管理も10の気配りが必要と考えているそうです

確かにこれだけ考えておられるのなら、良いお酒ができると思いますね。それではさっそく飲んだお酒を紹介します。

1.吟醸 うす濁り 山田錦

Dsc00115山田錦50%精米の吟醸酒のうす濁りの生原酒です。このお酒は宮城県の冬をイメージしたそうです。宮城県の冬は雪はあまり降らないけど、白くなるくらい積もっていて空は晴れて青空というイメージだそうです。この瓶は写真の関係で、茶色に見えますが、実際は青い色をしています。

ラベルのデザインはすべて自分で考えて一本一本ストーリーを考えて造るそうです。これがお酒に個性を持たせる一因となっているのでしょうね。

飲んでみましたら、滓の甘さが程良く柔らかくて、飲み終わるとさわやかな辛みを感じるバランスの良いにごり酒でした。

2.超辛口純米 ひとめぼれ

Dsc00119ひとめぼれ60%精米の純米酒で、日本酒+11の超辛口の純米酒です。このお酒は青背から赤身の江戸前のお寿司に合わせたお酒だそうです

このお酒を作るためには、杜氏に一緒にお寿司を食べて飲んでもらい、試行錯誤をしてやっとできたお酒だそうです。平井さんの執念の自信作でしょうね。1升2650円ですからお買い得です。

飲んでみたら、香りは抑え気味で程よい膨らみがあって、後味が切れるのが良いですね。確かに辛みはあるけどそんなんに辛く感じません。酸が1.7があるのがポイントかもしれませんね。

平井さんはどうして江戸前のお寿司が好きなのでしょうか。それは、おばあちゃんが人形町で育った江戸っ子だったからのようです。祖母は江戸から駆け落ちして田舎に行ったけど、ベランメーをしゃべる粋な人だったらしくそのDNAを受け継いだのでしょうね。最近は石巻の新鮮な寿司とは違った江戸前のお寿司に惚れこんでしまったようで、それがこのお酒を作るきっかけとなったようです

ラベルにも思い入れがあって、このお酒は赤と白のバランスさせています。これはなんでしょうか。判りますか。日本の国旗をイメージしたラベルなのです。この辺にも平井さんの思いがよく出ています。

3.純米 山田錦

Dsc00121山田錦60%精米の純米酒で1年熟成したお酒です。山田錦は酒米の王様といわれているお酒で、味わい深いお酒になるのを利用して、奇麗ながらも味を良く引っ張るお酒にしたそうです。

熟成しているけど熟成香はほとんどなく、とろっとしたあじわいで、口に含むと後の方にじっくり膨らむお酒でした。ちょっと大人になった落ち着きのあるバランスで、お酒だけでも美味しいものでした。1升2730円ですからお買い得です

このお酒もお寿司との合わせを考えているそうです。江戸前のお寿司のシャリに使われているお酢には赤酢と白酢の2種類があって、両方を出すお店は少ないですが、普通はどちらかを一つを使っているようです。赤酢を使っている寿司には濃い酒が合っているようで、寿司屋によっては山田錦の純米が良いと使っている所もあるそうです。

それは知らなかったな・・・・さすが寿司王子ですね。

4.中取り 純米大吟醸 山田錦

Dsc00123兵庫県の特A地区の山田錦は、なかなか地方の小さな蔵では手に入れにくいのですが、平孝酒造は昔から山田錦の親の酒米を手に入れていた関係で、去年から特Aの松沢地区の農家と山田錦と契約できるようになったそうです。

その山田錦を40%精米した純米大吟醸の中取りのお酒で、この蔵の最高峰のお酒と言えます。黒のシャンパンボトルで、ラベルはバックスキンを使っているゴージャスなイメージです。チョット写真では判らないけど栓はコルクで出来ていて、熟成に向くようにしてあるそうです

飲んでみると、きれいな香りが広がり透明感があってもしっかりした旨みを感じる優等生のお酒で、余韻がきれいなので、それを楽しみながら飲むお酒と言えます。ですからチョット手で温めて飲むとグンと開いてくるので良いですね

さすがにこのお酒はそれだけで楽しむもので、食中酒とは言えませんね。

5.純米 生原酒 山田錦

Dsc001273番の山田錦純米の直汲みの無濾過生原酒です。この日の朝に直汲みしたお酒ですから、他には手に入らない今日限定のお酒だそうです。もちろん直汲みでない生原酒は販売しています。

新酒のフレッシュ感がピチピチ来るかなと思って飲んだのですが、フレッシュな香りはあるけど、意外に柔らかいお酒でした。このお酒は熟成させるとどんどん変わってきて、秋まで寝かせるとウニにあうお酒になるそうです。ウニに合わせるのはしっかりした味わいでないと難しいからね。

お酒は火入れや熟成によって変わってくるので、それが面白いし、難しいところなのでしょう

6.粕取焼酎 38度 グラッパ瓶

1215431366_1_3このお酒は日本酒ではありません。アルコール度数38%の純米酒の粕から造った蒸留酒の焼酎です

この日の最後に出てきた酒で、ついつい写真を撮りそこなったので、インターネットから拝借しました。

ワインの場合は葡萄の皮から造った蒸留酒はグラッパといわれて良く飲まれていますが、日本酒の酒粕から蒸留酒を作るところはまだ少ないです。平井さんは最近の蒸留技術は進歩しているので、チャレンジしたそうです。ですから製造した焼酎をグラッパの瓶に入れたのも平井さんらしいですね

飲んでみたらトロトロ感があって、柔らかい焼酎でした。これは食後酒としてはいけそうですね。買ってみようかな・・・・・

これで飲んだお酒の紹介は終わりますが、最後にとっておきのお話をしましょう。

今年の4月に「弥助」というお酒が出るそうです。皆さん弥助という意味がわかりますか。明治から昭和の初めにかけてお寿司のことを「弥助」と呼んだそうです。それは浄瑠璃や歌舞伎に出る義経千本桜に出てくるお話で、平家が源氏に破れて、平維盛がかくまってもらったのが寿司屋の弥助だったのです。ですから粋な人は今日は弥助に行ってくるからなといって出掛けたそうです。

その弥助の名前をつけたお酒を作ったのです。これはお寿司でも白身、貝、烏賊、蛸等に合うお酒だそうです。淡白な味にもより添えて、邪魔しないお酒を作るのは大変だったそうで、杜氏と試行錯誤をしながら、3年かけて開発した純米吟醸だそうです。

楽しみですね・・・・

ここで平井さんが寿司王子として本物かどうかを考えるために、寿司王子と言われる点をチェックしてみました。。

・ 江戸前の寿司について良く勉強しいています
  (赤酢、弥助・・)

・ すしの食べ方もかっこよくてプロ並みです

・ 寿司のネタに合わせて一貫毎に適したお酒を
  イメージできるみたいです。

・ 今でも王子のような若さを感じます

・ 江戸っ子のDNAを持っています

こんなところでしょうか。平井さんは飲み手や食べての気持ちを大切にしていて、その気持ちに合ったお酒造りを若い杜氏と一体になって進めているから、こんなことができるのでしょうね。蔵の生産高は1300石あるようなので、これからの飛躍が楽しみですね。

やっぱり平井さんは本物の寿司王子ですね。早く「弥助」を飲んでみたいな・・・・・・・・

お料理編

この方が槐樹の料理長の高橋直樹さんです。とてもおいしいお料理ありがとうございました

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お料理

1.蛤酒煎り          2.握り しめサバ、づけ鮪 焼サバ

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3.大和芋 揚げだし      4.宮城県特産 饗宴 牛タン、かまぼこ

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5.炭炙り さわら南瓜伝法焼

Dsc00126そのほか手打ちそばをいただきました。

以上でこの会の紹介を終わりますが、窪田さん第3回を開催するようであれば、教えてくださいね。

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我が家のお燗器についての一考察

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お燗器には色々な種類があるのは知っていましたが、このたびツインバードが出しているスマートなお燗器を見つけたので、思わず買ってしまいました。ツインバードは新潟県の「燕市にある年商150億円ほどの家電製品の製造販売メーカーで、個人的に知っている会社だったので、この会社の製品なら信頼できると思い衝動買いをしてしまいました。

それがその製品です。

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取っ手のある徳利が電気ヒーターの上に乗っている構造をしていて、好きな温度に制御できるお燗器でしたので、この会社の製品なら温度制御はお手の物だから、使いやすい良いものではと思い買ったものです。価格はアマゾンで3029円と手ごろな値段でした

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左の写真のようにアルミ製の金属部分が加熱部分で、ここに徳利の底が当たるように載せて、右の写真のようにスライドを動かして温度を設定するものです

設定温度は以下の通り

人肌燗   37℃
上燗    44℃、
熱燗    51℃、
飛切り燗  60℃

購入してから気がついたのですが、設定の温度になるのに13分か14分かかることを知りました。これは時間がかかり過ぎですよね。短気な僕には向かないかと思いいろいろ実験してみました。

8℃の水を1合入れて上燗の設定でお燗してみました。

5分で 30℃
10分で40℃
14分で43℃
一定になったので、ほぼ仕様通りです。

それでは今までのお燗器はどうなのでしょうか。我が家のお燗器を出してきました。1台はサンシン製のミニお燗器と黒結晶の酒燗器です。

ミニお燗器は下の写真です。木箱と陶器のお湯入れと錫製のチロリからなるもので、電気のヒーターはついていません。チロリは2合入ります。でも価格は15000円から16000円くらいします。チョット高過ぎですね。

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このお燗器の良さは100℃くらいのお湯を使えば、90秒でぬる燗ができるようです。実際に1合の水をあっためてみると

30秒で 22.9℃
60秒で 30.3℃
90秒で 38.5℃
120秒で45.3℃
150秒で49.2℃

180秒で51.9℃

でした。確かに90秒でぬる燗がで見ますね。でも時計とにらめっこで取り上げないと温度ががり過ぎてしまいます。これも大変ですね。

もうひとつの黒結晶の酒燗器です。お湯を入れる湯煎器と300ml入る徳利から出来ています。これもミニかんすけと同じ時間でお燗ができることを確認しました

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これらを総合して考えると下記のようにに使うのがベストというのが僕の結論です。

まずお湯をやかんで沸騰させ、ミニかんすけか黒結晶のお燗器でぬる燗なら90秒、温燗なら120秒ほどあたため、その後にツインバードのお燗器(TW-4418B)に移して設定温度でゆっくりお酒を楽しむと、ツインバード酒燗器に移して2-3分で所定の温度になります。

しかも所定の温度になったら+-1℃くらいで一定に保温してくれます。この機能が良いでですね。

いかがでしょうか。

この後こんなお燗器を見つけました。これはTESCOM製のお燗器(SK30)で、基本的にはツインバード製のお燗器と同じ構造をしていますが、徳利が450mlで少し大きいのと、早くお燗ができるように工夫をしています。

61vjdvaml__aa1100__2仕様によると1合のお酒を45度に上げるのに3分かかりますから、他の湯煎より1分ぐらい時間がかかりますが、我慢できる範囲ですね。このお燗器の特徴は予定の温度になるとランプが消えて通電が止まりお知らせすることです。しかし、一定の温度に保つ機能はないようです。ツインバードのような保温制御機能がないのです。実勢価格は2900円ほどなので、湯煎のお燗器で良いような気がします。

ツインバードの開発者の方へのお願いですが、TESCOMのような時間で加熱できて、しかも温度維持機能が付いていることと、設定温度になったら音でお知らせをしてくれることが望ましいです。是非開発してくれませんか

最後にお燗器ではないのですが、酒器として気に入って使っているものがあります。ガラス製の徳利のようなもので、ハリオの丸地炉利(とっくり)2合用 IDX-2MSVです

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結構デザインもいいし、数人でお酒を飲むのに適しています。価格はアマゾンで3170円とそんなに高くありません。中に氷を入れるための容れ物もあるので、お酒を冷やして飲むには適しています。ここにお湯を入れればお燗にもなるかなと思ったのですが。上がプラスティックになっているので、実験することはやめました。

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以上で我が家のお燗器の紹介を終わります。参考にしてください。

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ゆきの美人は小さな蔵の見本になるかも

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今年もWE LOVE SAKEの秋田ツアーに参加して、最初に訪れた秋田の蔵はゆきの美人の秋田醸造です。この蔵への訪問はこれで2回目です。前回来たのは2年前の同じころの同じツアーで、新政に訪問した後、個人的に訪れた時のことです

このときの蔵の様子は下記のブログをご覧ください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-ebd8.html

この蔵は秋田市の中心部にある蔵で、なんとマンションの1階にあります。外から見ると蔵の入口は見えないし、当然煙突もありません。始めてきた人は驚くでしょうね

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この写真の右上にマンションらしき建物が見えますが、そのマンションに1階に蔵があるのです。蔵の入口はここだけです。社長兼杜氏の小林忠彦さんが迎えてくれました。小林さんは中央大学の精密工学科出身の技術屋です。お酒の造りもその片鱗が見えるような気がします。

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この蔵の特徴は蔵の広さが200坪しかないことです。この中で現在300石(1升瓶で約3万本)のお酒を造っています。ですから如何に合理的に酒造りをするかがポイントになります。今回はその点に注目して、前のブログと余り重複しないように書いてみたいと思います。

最初にこの蔵のハード的な特徴をご紹介しましょう

・ ここでは仕込み水は取れないので、車で1時間くらいかかるところまで毎日ローリーで取りに行っているそうで、仕込み水は1200L入るタンクに貯蔵しているようです

・ 蔵全体が24時間空調可能で、やろうと思えば四季醸造が可能です。

ここの酒造りを語る前にここで使っているお米を説明します。秋田県の酒米としては秋田さけこまちが主体で、次は美山錦、美郷錦、吟の精を使っています。秋田酒こまちは蛋白質が少なく、余り精米しなくてもきれいな味が出せるけど、逆に味を出しにくいお米だそうです

酒米については良く研究をしておられるようで、秋田酒こまちは麹米に使うと少ない蛋白質を食べようとして蛋白分解酵素をたくさん出すので、全量秋田酒こまちにすると、アミノ酸の多いべたっとしたお酒になるのに対して、山田錦は菌にとって食べやすい蛋白質なので、蛋白分解酵素を余り出さないので、秋田酒こまちの掛米の良さが出て奇麗な味になるそうです。

したがって秋田酒こまちは麹米としては使わないで、山田錦か愛山を麹米に使っているそうです。今年から雄町を麹米としたお酒を造ったそうです。どんなお酒になるのか楽しみですね・・・・・

秋田県では通常2日に1本仕込む半仕舞が多く、大きな蔵では毎日仕込む日仕舞もやられているようです。仮に仕込み日数を30日にすると、タンクを上手く利用するためには、日仕舞のときは仕込みタンクが30個以上必要となり、半仕舞のときは15本以上必要となります。そのためには広い場所が必要となると同時に、洗米、蒸、麹室、酒母室等すべての酒造りの設備を大きくしないと出来ないと言うわけです

この蔵は1週間に1回仕込みをしていますので、仕込みタンクは5個あれば回転することになります。しかも仕込みタンクはすべて800kg仕込みなので、酒造りに必要は設備が小型になるわけです。

<手洗い・浸漬について>

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左の布がかぶっている円筒状のものが甑上部で奥の設備が蒸米の放冷機です。その手前の広場が実は洗米するところです。

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手洗いはすべて10kg単位のザルによる手洗いで、浸漬は時間管理によるによる限定吸水管理で行っています。一番多い時で1日300kgぐらいの生産だそうです。この場所は部屋を冷却できるので、蒸したお米の冷却場としても使っているだけでなく、瓶燗火入れも行う場所となっているそうです。

手洗い吸水をするのは水の温度によって浸漬時間が大幅に変わるから機械浸漬では難しいからだそうです。たとえば55%精米の雄町の場合冬場では浸漬時間は13分ですが、夏場から秋にかけては水温が20度になるので、このときは3分半くらいで良いそうです。これは気を使いますね。・・・・

<麹について>

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この日は室には入れないで、外からの写真だけでしたが、麹米を広げる床と、麹蓋の置き場からできていますが、全部杉壁の大変きれいな部屋でした。

種麹はほとんど秋田今野のブレンドを使っているそうで、約50時間くらいで麹を造るそうです。仕込みには初添え、仲添え、留添え用の麹が必要になりますが、この蔵では麹は造り置きするのだそうです。つまり色々な種類の麹を製造したら冷凍保存をして、必要な時に取り出して使うのです。冷凍しても全く効能は変わらないどころか、もろみの温度を下げる冷媒として役に立つそうで、蒸米も6度まで冷やして使うそうです。

<酒母について>

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酒母タンクは300Lくらいのものが5-6本ほどありましたが、酒母を造るには約2週間かかるので、1週間に1本の仕込みには最低2個が必要となるはずで、酒母室としては十分能力がありそうです。必要量は800kg仕込みには45kg、品評会用には24kg使うそうですが、品評会用は10kgの酒母を何本も造って最も良いものを組み合わせて使うそうで、それを考えるとこのくらいのタンクがいるのかもしれません。

<仕込みについて>

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仕込みタンクは9本あるようですが1本は水タンクとして使っているので、実質8本を使いまわしているようです。醪日数の長い大吟醸を入れても少し余裕があるようですね。搾ったお酒を貯蔵するタンクは3本だけで、出来るだけ貯蔵期間を短くして回転させているようです。火入れは10日以内にするように努力しているそうです

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ここが仕込みタンクの作業フロアです。すべて密閉型のサーマルタンクです。酵母はすべて協会酵母1401の泡なし酵母です。泡あり酵母を使うと1トン仕込みに出来るそうですが、それに対応する麹造りが対応できないのと、泡が出ると使いにくいので使わないそうです。通常の仕込み日数は32日だそうです。

<火入れ・瓶詰め>

搾ったお酒は4℃のタンクで1週間から10日間熟成させてから、瓶詰して瓶燗火入れするそうです。瓶詰めの機械は下記に示すびん太君を使っているそうです

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タンクから直接この瓶詰め機で瓶詰するので、空気に触れない特徴があります。ですから酸化による傷みがないので、手間はかかるけれども使っているそうすが、完全に手作業なので1本のタンクの酒を瓶詰して火入れすると3日はかかるようです。

ですからこの蔵は火入れしたお酒を貯蔵するタンクはありません。すべて瓶貯蔵になり、冷蔵の利いた部屋に山高くP箱が積まれていました。早く造ったお酒はどうしても奥の方になってしまうので、冷おろしとか熟成酒は早く醸造するように計画しています。貯蔵庫内の酒の取りだし順序まで考えて酒造りをするとは思いませんでした。

以上がこの蔵でやっている酒造りですが、現在は従業員3名、アルバイト3名体制で行っていて、300石としては特に少ないわけではないけど、杜氏以外は土日も休暇を取れるような分担ができるようです。

現在は1年中酒造りする状態にはなっていませんが、お米の確保やより多くの貯蔵がができるようにすれば、年間通して酒造りをする四季醸造ができますので、狭い場所でも良いお酒を定常的に造れることになります。これからの酒造りの一つの解であるかもしれません。大切なことは良い質のお酒を年間を通して製造できる技術があることが前提ですね

以上で蔵の紹介は終わります。

その日の夜は秋田の居酒屋蘇州で打ち上げましたが、夜遅くなって小林社長が思いがけなく乱入されて盛り上がりました

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この会は女性が多くてお酒が強い人ばかり。小林社長もにっこりですね

最後に小林社長にゆきの美人の名前はどうして付けたのかと聞いたら、そのことは聞くなと言われてしまいました。そう言われると余計に聞きたくなりますよね。誰か知っている人いますか。いましたらこっそり教えてください。

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阿櫻酒造のうまさはどうして生まれたか

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WE LOVE SAKE の東北ツアーの第2弾は秋田県横手市にある阿櫻酒造を訪問しました。阿櫻酒造は明治19年創業で、今年で125年を迎える歴史ある蔵です。この蔵は昔は5000石も造っていた時代があったそうですが、今の生産高は500石と大分小さくなりましたが、米の旨みと酸のバランスの良いお酒と造っている蔵で、僕の好みの酒の一つと言えます。

2年前に神田の醇さんのところで阿櫻酒造の蔵元を囲む会があり、その時のことをブログを書きましたが、それについては下記のURLを見てください。今回は蔵の紹介とあの味を出している酒造りの秘密を知りたくて参加しました。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/inbardining-e8a.html

阿櫻酒造は7年前に蔵元が横手市関係の仕事をすることになり、蔵元の仕事ができなくなり、現在は田中文悟商店の社長の田中さんが社長兼会長を務めていますが、実質の阿櫻の仕事は営業取締役部長の稲上憲二さんと杜氏の照井俊夫さんが行っておられます

お酒の味と伝統を考えると歴史を感じるけどどこか新しさを感じる昔風の木造の蔵を想像していたのですが、全く違う蔵でした

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上の写真を見てください。古い鉄筋コンクリート製の小学校のような建物でしょう。とても蔵には見えません。驚いてしまいました。

蔵の入口にある雪の塊はなんでしょう。横手と言えばかまくらですよね。そう、かまくらが入口にドンと置いてありました。

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そう言えば、横手のかまくら祭りは2月15-16日に開催されるので、私たちが行ったのは2月11日でしたから、その祭りのために造ってあったのですね。皆喜んで中に入っていました。

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蔵の入口で取締役部長の稲上憲二さんが迎えてくれました。案内は稲上さんがすべてやっていただいたのですが、見学の時間が短かったので、部分的なイメージしかつかめませんでした。ですから蔵全体が良くわからなかったのが残念です。

蔵のレイアウトは正確には判らなかったけれども、2階建ての中央に下の写真のような通路があり、通路の右側の建屋は大型の装置が1階に置かれていて、左側の建屋の2階にお米の洗浄、蒸し機、麹室、酒母室などがあって左から右に流れて行くと同時に、通路の手前から奥へと造りが流れるようになっているので、配置は良く考えられていると思いました

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それでは見学したところを簡単にご紹介します。

<精米>

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3台の精米機がありましたが、500石の生産量で精米機を持ってるところは少ないと思いますので、昔から持っていたのもでしょうね。でも精米機があれば、残りの米粉はお菓子メーカーなどに販売できるし、自分で精米度合いを確認できるのは強みでしょう。

扱っているお米は秋田産は、秋田酒こまち、美郷錦、亀の尾、吟の精の4種類で、県外米は山田錦と雄町だそうです。そのうち美郷錦と亀の尾は大潟村の鈴木さんのところから購入しているそうです。

<洗米と蒸し機>

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蒸米機は見えませんが、洗米は純米酒以上はすべて手洗いだそうです

<麹室>

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麹室は単に床があるだけで、麹蓋はありません。温度管理しながら手もみや切り返しを繰り返し麹造りをするそうです。詳しい説明がなかったので、良くわかりません。吟醸用の麹室は隣の部屋にあるようでしたので、ここには麹箱があるのかもしれません。

<酒母室>

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ここが酒母室ですが、酒母室の割には広々とした部屋にありました。タンクの下には木箱がありますが、これは電気アンカを入れる手作りの箱です

<仕込みタンク>

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開放型仕込みタンクが3個ありそのタンクに蒸米を入れるために、2階に床に穴があけてあって、大きなじょうろ(橙色のもの)から入れるそうです。これは仕込み量の少ない仕込みタンク用なのでしょう。ここでも蔵人の工夫が見られますね。

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ここが密閉型の仕込みタンクがずらりと並んでいる仕込み室です。この作業床は2階にフロアと同じレベルなので、蒸米は上から入れるのでしょうね

<搾り>

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搾りは薮田が1台だけですべてやるそうです。ただし、出品酒だけは袋吊をするそうです。

その他、蔵としては大型の貯蔵タンクはすべて撤廃し、瓶貯蔵庫用の冷蔵庫を6台設置したので、大量の生酒の出荷に対応できるようになったそうです。また、瓶の充填機も改良し、直汲み瓶詰めも出来るようになったそうです。

以上で蔵見学した設備の紹介は終わりますが、もっとも力を入れたのが瓶貯蔵の冷蔵庫で、それ以外の所は昔のままの設備で対応していることが判りました。これはお金をかけない酒造りの基本なのかもしれません。でも普通酒用と考えられている床麹法であんな奇麗な味が出せるのは技術力なのでしょうね。

<試飲>

2階の会議室で3種類のお酒を試飲することができました。

・ 秋田酒こまち45%精米 純米大吟醸 こまち酵母スペシャル

・ 美郷錦50%精米 純米吟醸 秋田酵母15号

・ 秋田酒こまち60%精米 特別純米 901酵母

皆で驚いたのはこのお酒ディスペンサー(液体定量吐出装置)です。

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上部に720mlを入れて、ぐい飲みグラスを下から上にのぶを押上げれば好きなだけお酒を注ぐことができます。家に帰ってから調べてみましたハリオ製アイスディスペンサー ID-4SVで、定価が31500円でした。色々探せば20000円台でインターネットで買えます。でも高過ぎます。いつもパーティをやる人はいいけどね。

お酒をチョットだけ紹介しますね

Dsc00235_3このお酒は45%純米大吟醸 別誂限定品 無濾過生酒です。試験酵母の少量生産なので、2月に発売してすぐ売り切れて今は買えないそうです。

酒質は日本酒度+1.0、酸度1.6、アルコール度16.5

上品で優しい香り、口に含むと優しい米の旨味がふわっと広がりふくらみのある上品な飲み口で酸味は抑え気味です

価格は3980円です。

Dsc00234_5このお酒は大潟村の美郷錦を使った純米吟醸 無ろ過生原酒で、米の出来も、醪の出来も良く、杜氏の会心の出来のお酒のようです。2月20日発売で、今市場に残ってるかはわかりません。価格は3280円です。

酒質は日本酒度0、酸度1.8、アルコール度16.8

香りは華やかだけど、嫌みがない落ち着いた香りで、米のしっかりした旨みの後に奇麗な酸が心地良く漂います。この上品な酸が良いですね。スーパー純吟と言われるそうです。

Dsc00236_4この酒は酒こまち60%精米の特別吟醸 無ろ過生原酒です。価格は2400円ですからコストパーフォーマンスの良い酒です。

酒質は日本酒度4.0、酸度1.9、アルコール17.2

香りは抑え気味で、後味にしっかりした酸味を感じるけど、後味の辛みでバランスします。これは食中酒にぴったりではないでしょうか。

これでお酒の紹介は終わります。

この見学で、阿櫻の酒造りの秘密はなんだったのかは、はっきり言ってわかりません。でもお酒の味は素晴らしい出来です。となると、高級な設備でなくてもいいお酒は腕が良ければ出来るということではないでしょうか。

この蔵の杜氏は山内杜氏の照井俊夫さんです。山内杜氏は秋田県の山内村で発祥した杜氏組織です。明治時代から大正時代に酒造業が大きく発展したので、酒造では冬場の酒造りに多くの人手が必要だったことから、農家の多い山内村では酒造が冬場の働き口として定着したそうです。

また蔵では農家の人の中で優秀な人に技術を習得させていくうちに杜氏が育ったようです。そして酒造りの作業効率を高めることから杜氏が部下にする人を集めるようになり、技術もその集団に定着するようになったそうです。大正11年に山内村の村長が中心になて山内杜氏養成組合ができたのが山内杜氏の始まりだったそうです

これが山内の地区です。クリックしてください。

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照井さんは山内で育って、この蔵に来る前には秋田の二つの蔵で修業し、この蔵に来てから40年、杜氏になってから25年になっている超ベテランです。きっとこの人の腕にかかれば、設備が古くても良い酒が作れるのですね。

それから、阿櫻には雪の茅舎の高橋杜氏の息子さんが修業していて、きっと照井さんの後を継ぐのではないかと思われます。雪の茅舎では高橋杜氏の後継者は既に決まっているので、阿櫻の高橋さんは戻るところ無いそうです。きっと阿櫻の良い後継ぎになるのではと思われます。

酒造りは水、米、杜氏の腕と言われますが、僕は一番大きいのは杜氏の腕、すなわち技術力だと思っています。また阿櫻が冷蔵庫に力を入れたのも総合的な技術力の現れだと思っています。

照井さんは今66歳でまだまだ活躍できるお歳ですから、ますます良いお酒を造っていただけることを期待しています。

頑張ってください・・・・・

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刈穂蔵に初めて行ってきました

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WE LOVE SAKE の東北ツアーの最後の蔵訪問は秋田清酒株式会社の刈穂蔵でした。刈穂蔵は神宮寺にある蔵で大正2年に神宮寺酒造として生まれたのが始まりです。その後昭和30年に刈穂酒造と社名を変更しました。また刈穂酒造の兄貴分の兄弟会社である落合酒造も昭和30年に出羽鶴酒造と改名したのです。そして、昭和47年にはこの二つの酒造を統括し、総販売元となる秋田清酒株式会社を創設し、出羽鶴蔵と刈穂蔵となったのです。

秋田清酒株式会社の前社長は伊藤辰郎さんでしたが、2011年10月に社長交代が行われ、辰郎さんは会長になり、息子の伊藤洋平さんが社長になったのです。その洋平さんが今回の蔵見学の案内をしてくださいました。

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洋平さんは東京農大の醸造学部を卒業された1995年に秋田清酒に入社され、2000年には専務取締役に就任されているので、とても若い社長さんです。勿論酒造りは専門家ですが、蔵には杜氏さんがおられますので、経営者として頑張っておられるようです。

刈穂蔵に着いたときは雪が激しく降っていまして、前がよく見えなかった中、突然古い蔵構えをした建物が現れました。正面の建物が蔵の入口で、如何にも歴史を感じる趣があります。

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入口をはいると、中に蔵の扉が付いたままの仕込み蔵が現れました。この蔵の名前は滄溟海(そうめいかい)と言います。蒼くて深い意味という意味だそうですが、全てさんずいがついているのは蔵が水で守られて、火がつかない(火事にならない)ことを願って付けたそうです。この蔵ができたのは約160年前だそうで、刈穂酒造ができる前からやっていた造り酒屋の蔵で、そのまま受けついだそうです。

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まずは洗米と蒸し機がある場所を見せてもらいました。この写真ですが、クリックして拡大するとわかるかもしれませんが、ステンレス製の和釜のようです。和釜は蒸し機として向いているのでしょうね。

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麹室は2つあるようで、僕らが見せていたいただいたのは大吟醸・吟醸用の麹室のようで、完全に杉の木で造られたとても奇麗な麹室でした。社長が持っておられるのが麹箱です。麹蓋を使うと乾燥しすぎるので、大箱を使っているそうです。

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これは諏訪泉の麹箱と同じものを15年ほど前から使っているそうで、この写真をアップすると判るかもしれませんが、箱の底面の棒状の板は角が削ってあって6角形をしているみたいです。これはどうしてなのでしょうね。

酒母室は2つあって速醸の酒母室と山廃の酒母室がありました。最初に行ったのが速醸の酒母室です。この部屋の左に見えるタンクは大吟醸用の750kg用のサーマルタンクでした。

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このときはたまたま酒母を造り始めたばかりのタンクがあって、中に暖気樽が入っていて、お米の粒粒が見える状態でした。色は白っぽかったですね

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次に行ったのが山廃用の酒母室です。山廃の酒母室には無菌室があり、まずそこで自然と乳酸菌ができるまで、2週間から20日ぐらい時間をかけて発酵させるそうです。十分に乳酸菌が出たところで、この部屋に移動し酵母による発酵を始めるそうですが、酵母を添加して発酵する場合と蔵つきの酵母が自然と入るやり方の2種類の山廃造りをしているそうです。

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この部屋は暖房が効いて暖かくしてありましたが、温度を上げたり下げたりして発酵させるそうです。酒母の色が黄色っぽいでしょう。これが山廃の酒母だそうです。

この蔵の水は中硬水なので、山廃の酒造りに向いているので、この蔵の約半分が山廃造りだそうです。

この蔵は仕込み室を三つ持っているそうです。その一つの純米吟醸用の仕込みタンクを見せてもらいました。

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ほとんどが1500kg仕込みの開放型サーマルタンクでした。所狭しと並んでいましたが、このタンクが中古の開放型タンクを新潟新洋技研に運んでサーマル化したそうです。サーマルタンクを買うより安いそうです。このサーマル化は10年までに完了したそうです。こんなところに節約をしているのですね

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ここは別の仕込み室です。ここは密閉タンクですね。手前にある黒い小さなタンクは添え仕込み用のタンクで、別のタンクで添え仕込みをしてから、メインタンクに送るようです。ね。

このフロアにテントに隠された不思議な場所がありました。埃を嫌って囲ってあるそうですが、ここは特別の部屋だよという意味付けのようです。何が入っているかの説明はありませんでした。

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最後に行ったのは搾りです。

驚いたのは搾りは全部槽(ふね)搾りなので、薮田は持っていません。出品酒の袋絞り以外はすべて槽搾りなのです。これは凄いことですね。

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写真には3台しか見えませんが、実際には6台あるそうです。刈穂の吟醸酒に六舟がありますが、これはこの6つの槽のことから名前を付けられたようです。

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こんな風に並んでいますが、槽は色々な材質の舟がありました。一番手前が木の舟で。その奥は鋳物製のように見えますが、内部は木で加工されているようです。どの槽をどのように使うかは説明がありませんでした。槽搾りは人手がかかり、1つの槽に2人で、2日間かかるそうです。でも刈穂のお酒は堅いので、槽搾りの方が適していてソフトな感じが出るので、使っているそうです。

以上で蔵の説明は終わります。その後試飲をさせていただいたのですが、写真を撮り忘れましたので、その内容は省略します。最後にこの蔵の印象を伸ばさせていただきます。

刈穂蔵は砂礫層の上に立っていて、地下水はその層を通って来るので、秋田県では珍しい中硬水なのです。、やや硬めでシャープですっきりした味わいになるそうです。それに対して出羽鶴は超軟水なので、穏やかで優しく広がるまろみを帯びたお酒になるそうです。

蔵の生産高は刈穂が1800石で、出羽鶴が2000石で二つ合わせると3800石という中堅の蔵としては大きい方だと思いますが、蔵の造りは近代化されているというよりは昔からの造りを大事にしている蔵だと思いました。蔵の中の階段も古いものですがしっかりと造られており、目ににえないところにお金をかけている蔵のように思えました。

伊藤社長ご案内していただきありがとうございました。来年はどこの蔵になるのでしょうか。石踊さんよろしくお願いいたします。

雪の茅舎の9種類のお酒を堪能しました

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3月行われた秋田の酒を楽しむ会の翌日に、新橋の野崎酒店で雪の茅舎(齋彌酒造店)の社長の齋藤浩太郎さんをお迎えして雪の茅舎を楽しむ会が開かれましたので、参加してまいりました。もう約1カ月以上前の話で恐縮ですが、齋藤さんのお話や藤田千恵子さんの書いた美酒の設計の本を参考にして、齋彌酒造店のお酒のうまさの秘密を考えてみたいと思います。

齋彌酒造店には3年前に訪問していますので、下記にその時のブログのURLを書いておきますので、良かったらご覧ください。

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-bbaa.html

雪の茅舎を語るには杜氏の高橋さんのことに触れないわけにはいけません。高橋杜氏のことは藤田さんの美酒の設計に詳しく書かれていますので、それを読んでいただくのが一番ですが、ちょと掻い摘んでご紹介します

高橋杜氏は高橋藤一(たかはし とういち)さんで、昭和20年生まれですから、現在は68歳になられるベテラン杜氏です。高橋さんは山内杜氏の里として有名な山内村で生まれ育った人ですが、当時は農閑期の冬は蔵に入って酒造りをするのが当たり前の世界だったそうです。

高橋さんも18歳のときに入った蔵は角館の国の花の醸造元の仙北酒造に入ったそうです。ここで山内杜氏の重鎮である照井酉松さんと出会うのです。ここで酒造りの基礎を学ぶのですが、最初に言われたのが蔵を清潔に保つことだそうで、これが雪の茅舎に繋がっていくのです。このとき学んだことが高橋さんの酒造りの基礎となっているそうです

その後青森の蔵で修業をして、昭和50年には杜氏の資格を取り、翌51年に31歳の若さで杜氏になったそうです。その2年後、希望がかなって秋田清酒の国の誉蔵に移動になり、杜氏として活躍していましたが、その時代はアルコールを添加した普通酒が主流の時代で、その時にお酒は純米酒であるべきと主張していたのが高橋さんだったのです

そんな時、純米酒や吟醸酒のような品質の高い日本酒を普及させることを行っていた秋田県の醸造試験所の池見元宏さんと出会うことになります。またちょうどそのころ齋彌酒造店4代目の齋藤銑四郎さんは東京から蔵に戻ったばかりで、普通酒全盛時代の行く末を心配していて、どうやって良い酒を造るかを考えていたようです

このお二人を引き合わせたのが池見さんで、昭和59年の39歳の時に齋彌酒造店の杜氏となったわけですが、蔵に入ってから色々ご指導を受けようという時に、池見さんが54歳という若さで癌で亡くなるという思いがけないことが起きるなど色々ありましたが、独自に色々とチャレンジして新しい酒造りを造っていくことになります

高橋さんはどんな方なのか興味があるでしょう。実は僕はお会いしていないので、秋田酒造組合のHPからコピーさせていただきました。

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今よりチョット若いころのお写真のようです。優しさの中にきちっとした信念を持っておられるのが伝わってきますね。

高橋さんがまず行ったのは蔵の清掃と酵母探しでした。蔵のなかから優良な酵母を見つけ出し、自家培養をすることになり、今では11種類の酵母を培養して使い分けているそうです。また秋田の仕込み水はほとんどが軟水ですが、この蔵は裏の新山の伏流水が地下の砂を抜けて出てくるので、中硬水でした。中硬水との出会いも初めてでしたので、これを使いきるのも大変だったようです

こうして山田錦55%精米の純米吟醸をの醸造にチャレンジしてきて出来たのが、雪の茅舎だったのです。齋藤社長のお話では昭和63年に雪の茅舎のブランドが世に出ることになったそうです。

今では有名な話ですが、高橋さんの酒造りを評して、日本酒漫画家の高瀬さんが山内杜氏をもじって、三無い(さんない)仕込みと行ったのです。

① 櫂入れをしない、② 原酒に加水をしない ③ 炭素濾過しない

③の無濾過は今では多くの蔵で採用していますが、①の櫂入れをしないとか、②の加水しない蔵はごく少数で、これは簡単にできるものではありません

その他にも色々とユニークな造りにこだわっています。造りの中で一番大切なのは米の洗浄で、今でも普通酒であっても手洗いによる洗米にこだわっているそうです。ここに一番人をかけているそうです。

それから平成2年から山廃造りを復活したのですが、最初は良い乳酸菌が出なくて困ったそうですが、今まで酒母室を殺菌していたのが悪いのではと思い、殺菌するのを辞めてから上手く乳酸菌がでたそうで、平成5年には仕込み室の殺菌を全部やめたそうです

櫂入れについても試験的に櫂入れを止める試験をしたのが平成4-5年ごろで、成功した後、平成7年に初めて蔵元に許可を得てから櫂入れを全廃したそうです

このように大変ユニークな発想で、今の酒造りが定着してきたわけですが、高橋さんは昔からの伝統は気にせず、良く観察をし、良く考えて、自然の力を信じてそれを生かしていくという筋を通しているような気がします。なかなかできることではないですね。

こうして造られるお酒を9種類も飲める会に参加できたので、じっくりと味わってみたいと思いました。まずは社長の齋藤さんを紹介します。

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齋藤浩太郎さんは第5代の蔵元で平成10年に社長となられて、ご活躍中ですが、お見かけどおり、とてもさわやかな紳士といった感じの方です。蔵の創業者は齋藤彌太郎という人だったので、そのお名前から齋彌酒造店という名になったそうです

今年は全部で140本搾るそうで、全体の生産量は2500石(1升瓶25万本相当)だそうです。その中で普通酒が30%で、山廃が50%だそうですから、山廃の割合が非常に高い蔵なのですね。それは知らなかったな・・・・・

チョット不思議なのはこの蔵の仕込みのタンクは大きくても1.5トンだそうで、140本だと2500石は難しい気がしますが、この蔵は原酒でアルコール度数が16度以下ということですから普通より多めの仕込み水を使っても、上手く発酵させる技があるのでしょうか。これは僕の勝手な推測です

飲んだお酒をざっとお見せしましょう。この中には二度と飲めないお酒もあります。それはどれでしょうか。わかったら凄い。

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では飲んだ順にお酒を紹介しましょう。

1.製造番号酒の純米大吟醸と2.大吟醸です

Dsc00316このお酒はこの蔵でもっとも高級なお酒で、左のお酒が純米大吟醸生原酒226番で、右の酒が大吟醸火入れ101番です。瓶詰した時の番号のようです

どちらも兵庫県産山田錦35%精米ですが、麹と酵母の造りを変えて造るそうですが、搾る前にどちらがアル添して火入れをした方がよいかを杜氏が決めるそうです。どんな味で決めるのでしょうね。

飲んだ印象は純米吟醸の方が味に厚みがあり、しっかりとした旨みを感じ、余韻がきれいに広がりました。でもスイスイと口の中に入っていきます。一方、大吟醸の方は奇麗に味が膨らみ、出品酒にふさわしい味です。でもどちらの食べ物がいらないような、酒だけで楽しめるお酒です

酒質もちょっと違っていて、純米大吟醸は日本酒度-1、酸度1.5、アルコール度16度なのに、大吟醸は日本酒度+2.0、酸度1.4、アルコール度17度でした。添加したアルコール濃度がわかりませんので、正確にはわかりませんが、計算上数%は入っていることになりますが、それでもこんな味が出るのは何か理由がありそうですね。

3.美酒の設計 生原酒

Dsc00319美酒の設計は秋田県の酒販店さんが組織している集まりの秋田美酒クラブが蔵に発注して造っている酒で、クラブ経由で限定販売している酒です。

社長の話ではこれが生まれたのはもう20年前だそうで、最初は麹米が山田錦、掛米が秋田酒こまち45%精米だったのが、22BYより全量山田錦55%精米になったそうです。

美酒の設計は原則火入れですが、生酒も出すことはあるようです。その中でも今回の酒は一昨日の朝に絞った直汲みの新酒でした。

飲んでみましたが、香りは少なめで、フルーティな味わいが新酒のピチピチ感が合いまって口の中に広がるけど、後ですぱっと切れる感じでバランスの良い酒です。欲を言えばもう少し旨みがほしいかな。

4.美酒の設計 (野崎酒店スペシャル)

Dsc00320この酒は店長の武市さんが美酒の設計の火入れを自分の家で2年熟成したものなので、味の補償はできないとのことでした。

火入れすると生よりも軽くてシャープな感じがするはずですが、飲んでみると結構まだフルーティさが残っているだけでなく、旨みが出ているけど、スウーと入ってくるお酒でした。

これは熟成してもヒネ感や熟成香はあまり出ていなかったので、成功ではないかと思います。

5.由利正宗 精撰

Dsc00323このお酒は地元で販売されている普通酒で、米は秋田県の酒こまちとめんこいなで、精米度は68%です。この蔵は全生産量の70%が地元向けで、20%が首都圏で、残りの10%が海外だそうです。

飲んでみると普通酒であっても適度なうまみもあるし、酸味もあるけど普通酒独特の不自然な甘みとかアルコールの辛みを感じない飲みやすいものでした。このバランスはお燗しても変わらずそのまま温度が上がったのには驚きました。

この理由は糖類の添加をしていないのと本醸造に近いアル添量であり、添加するアルコールも焼酎を5年熟成したものを使っているそうです。それで1升1690円はお買い得ですね

6.百十正宗 純米大吟醸

Dsc00330去年この蔵が創業して110年を迎えたのを記念して出したお酒で、高橋杜氏が今まで試したことのないような珍しいお酒です。それは酒米としてひとめぼれを使い、麹米が35%、掛米が28%の純米大吟醸だからです。

どんな味のお酒になるのでしょうね。確かに楽しみです。飲んでみましたが、華やかな香りはなく、心地良い透明感のある香りでした。はっきりした旨みはないけど、軽やかな甘味が広がる品のある独特のお酒でした。

1升瓶はなく720mlのみで、1500本の限定で価格は3675円です。

7.秋田酒こまち 11年古酒

Dsc00326秋田酒こまちは秋田県で開発した酒造好適米ですが、この米が齋彌酒造店に初めて入った時に造った大吟醸酒ですが、このお酒が熟成すると酒質がどのように変わるかを調べるために貯蔵している酒ですので、市販する予定のないお酒です

10℃で11年熟成させたお酒ですが、飲んでみると確かに熟成香はしますが、それほど気になりません。含んだときに味がすぐ広がるのではなく、ゆっくり奥の方に広がるので、チーズにも合わせられるお酒のように感じました。

甘さと香りと品の良さがバランスしたお酒ですが、市販されないのが残念です。

8.秘伝山廃 純米吟醸 生酒

Dsc00332このお酒はこの蔵の売れ筋のお酒です。麹米が山田錦、掛米が秋田酒こまちの55%精米の山廃造りの生原酒です。

飲んでみましたが、いつ飲んでもこの酒はバランスの良いですね。香りもチョット軽やかで、それでいて口の中でゆっくり膨らんできて複雑な味を出しながら消えていく。そして柔らかい酸が口の中を奇麗にしてくれる感じです。

とても山廃とは思えないお酒ですので、その秘密を聞いてみましたが、酒母の段階で温度を上げずにゆっくりと奇麗な酸が出るのを待つのが良いのではと言っておられました

火入れもあるけど、僕は生が良いな。価格は1升3570円です。

9.山廃純米 生酒

Dsc00335このお酒はこの蔵の超定番のお酒です。秘伝と同じ麹米山田錦、掛米秋田酒こまちですが、精米度は65%での純米酒です。

秘伝より口に含んだときに甘みの立ち上がりは少し高いような気がします。そして秘伝と同じようなバランスで味が広がりますが、きれいさは少なくなるけど、すっと飲めます。でも十分おいしいです。

価格は1升2415円ですから、家飲みではこれで十分だと思います。この価格でこの味なら超満足です。

以上でお酒の紹介は終わりますが、この蔵は色々な種類のお酒を25万本も造っているのであれば、仕込みタンクの運用などは非常に複雑になるのではと思いましたので、社長ん聞いてみましたら、運用の企画を担当をしている専門の技師がいるそうです。それから搾りは自由度を持たせるために薮田を2台持っているそうです。

なるほどね・・・・

齋藤社長 ありがとうございましたこれからもよろしくお願いいたします。

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美の川酒造の越の雄町の味の秘密

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新潟酒の陣は今年で4回目の訪問になりますが、今年はちょっと趣向を変えて、前の日に新潟近くの蔵を見学して、次の日の酒の陣の初日に酒の陣に行くことになり、僕が蔵見学を企画することになりました。どの蔵が良いか悩んだのですが、去年の11月にエクセル東急の日本料理店の旬彩で越の華酒造を楽しむ会に参加した時にお会いした小野寺社長の蔵にはぜひ訪問したいと決めたのですが、もう1件近いところをと考え付いたのが長岡市にある美の川酒造です。

美の川酒造の越の雄町の大吟醸は去年の新潟酒の陣で初めて飲んだお酒なのですが、この時飲んだ越の雄町に惚れてしまって、今年の冬に開催した極みの会でもこのお酒をいただきましたが、雄町をあれだけ上手く引く出している蔵はないと思ったほどに気に入ったお酒です

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/in-7dd4.html

このお酒がどのようにして生まれているのかを知りたくて、去年の新潟の酒の陣でお会いした社長の松本英資(えいじ)さんに直接お願いして、新潟酒の陣の前の日でお忙しいところを無理やりお願いしたものです

美の川酒造は新幹線の長岡駅からタクシーで10分くらいのところにある蔵ですが、江戸時代の末期に長岡に移り住んだ美濃屋を名乗る商家が創業した古い蔵です。

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ここが美の川酒造の入口です。左の方に立派な土蔵が見えますね。ここかなと思い近づいてみました。

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何やら趣のあるタヌキの置物が置いてあり、その軒のところには洌泉庵 と書かれており、その奥の蔵の入口には酒林と呼ばれる杉玉があり、酒蔵館と書かれていました

松本社長にまずその酒蔵館を案内していただきました。この蔵は大正時代に衣裳蔵として建てられたものですが、第2次世界大戦の長岡空襲で焼け残った衣裳蔵を外観だけ改修して昭和62年に酒造蔵として完成したものだそうです

蔵の入口には蔵の説明文が書かれていました。アップすれば読めるかも?

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これによりますと、この土蔵の梁は直径59センチの赤松が使われており、土蔵の厚みは20センチのある立派なもので、空襲の後の回収でも内部はそのまま残したそうです

中に入ってみますと、長岡藩11代藩主牧野忠恭直筆の掛け軸や野外酒燗器などのさまざまなものが展示してありました。

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お酒の神様である松尾大明神に関するものも色々あり、その中に神様らしき人が亀に乗っている掛け軸がありましたが、良く見ると亀ではなく甕のようにも見えるのです。拡大して良く見てください。わかりますか。不思議な絵です

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この蔵の中にさすがと思うものが飾ってありました。それが酒米の雄町です。この新潟で雄町を栽培し、そのお米で大吟醸を造って全国新酒鑑評会で金賞を取ったことが書いてありました。昭和63年からチャレンジしていたのですね。

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この蔵の雄町に対する思い入れが良くわかる気がします

酒造蔵のことはそのくらいにして、さっそく蔵の中を案内してしていただきましたが、見せていただいたのは仕込み蔵だけでした。8年前の中越地震で仕込み蔵が崩れて、現在はプレハブ造りの仕込み蔵になっていました。

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開放タンクが10本くらい並んでいましたが、何の変わりもない昔ながらのタンクでした。このときは普通酒の仕込み中で、2週間ほどたった醪で、表面にかさぶたのような泡ができていました。これはもろみの蓋になるようで、香気成分が逃げないのだそうです

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これだけでは、雄町の酒造りの秘密はわからないなと思いましたので、社長に色々と聞いてみました。造りは週1本のペースで、使っている酒造好適米は五百万石と雄町だけがそうです。10月から3月までの造りで年間500~600万石の生産高だそうです。酵母は特に変わったものではないとのことでした

うーん 良くわからないな

仕込み蔵の見学が終わって、試飲させていただきました

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右のから越の雄町大吟醸、良寛純米吟醸 火入れ、良寛純米吟醸 生無濾過、美乃川にごり酒です。良寛はいずれも地元の五百万石のお酒です。

まず、越の雄町を飲んでみました。口当たりが柔らく、奥に糸を引くように奇麗に味が広がっていきます。雄町独特の酸味も感じないで全然引っかからないで飲める酒です。やっぱりこの味だと皆で感激しました。

雄町とこの蔵との出会いは先代が岡山の雄町の種もみを何度も足を運んでやっと手に入れた昭和61年のことです。雄町米は晩生の品種なので秋の短い新潟では栽培が難しいとされていましたが、新潟県の農業試験所の指導を受けて実験栽培をして昭和63年に始めて収穫したようです。

酒米としても心白が大きくて精米が難しいだけでなく、柔らかくてくっつき易いので、特に麹造りが難しいお米だそうです。その後ずっと雄町のお酒を造り続けて、平成13年からは3年連続全国新酒品評会で金賞を取るまでになっています。金賞受賞酒と言えば山田錦が有名ですが、雄町で金賞を取るのは凄いことです。しかも新潟の雄町で取るなんて奇跡的と言えるかも知れません。

この輝かしい成果を出す裏には杜氏の田中政之さんの力が大きいといわれています。この日は蔵におられなかったのですが、次の日の新潟酒の陣んでお会いして、お話を聞きました。

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田中さんは県立の吉川高校の醸造科に在学中に先代に見初められ、卒業と同時に美の川酒造に入り、そこで修業を積んで18年後には杜氏になったという経歴を持っています。その後も杜氏としての腕を磨き、今や新潟杜氏の総代にまでなっている実力者です

松本社長にどうやって越の雄町が 生まれたのですかと聞いたところ、それは杜氏の腕でしょうとおっしゃっていましたので、直接杜氏にお聞きしたのですが、特別なことをしたわけではありませんが、蔵癖と合ったのではないかというお答えでした。それは雄町は酸がでやすいお米だそうですが、美の川酒造は酸が出にくい蔵癖があるそうで、それが上手くバランスしたのではないかとのお話でした。そんなものかな・・・・

以上から僕なりの結論を出してみました。それは雄町と25年もの長い間お付き合いすることにより、自然と雄町の良さを引き出す手法が出来上がったのであって、特別な手法を使っているわけではないということです。お酒造りの奥の深さを初めて分かった気がします

最後に試飲した他のお酒もチョットご紹介します。良寛の純米吟醸の火入れと無ろ過生をいただきましたが、生原酒は旨みがしっかり出ているけど、口の中での広がりがよく奇麗な余韻が楽しめたのに対して、火入れの方は飽きのこない飲みやすいお酒になっていました

社長自らがお燗をつけてもらいましたが、そのお燗器は直火で直接お燗するものででした。その写真を下にお見せしましょう。凄いでしょう。さすがに温度計は必需品ですね

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この燗器の元は囲炉裏や火鉢の灰の中でお燗をする「はと燗」と呼ばれている民芸酒器で、これを直火用に改良し鳩の代わりに朱鷺のマークを付けてトキ燗として販売しているそうです。これは美の川酒造で造ってお猪口付きのお燗セットとして、1680円んで売られているそうです

このお燗器でにごり酒をいただきましたが、冷では甘酒のようなドロドロしたお酒がさらっとした感じになり、締ったお酒に変身しました。チョット高めの温度が良さそうです

最後にお忙しいところご案内していただきました松本英資社長をご紹介します。

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社長は先代の松本健治さんの後をついた8代目の当主ですが、3人兄弟の末っ子だったので後を継ぐつもりはなかったのですが、長男が大手食品メーカーに勤め、仕事を辞められなくなって兄から後を継いでくれと言われて継いだそうです。最初は営業の仕事をしながら酒造りを勉強し、社長になったのは平成12年のことだったそうです

松本社長は先代の何でもやるというDNAを引き継いでおられるようで、本醸造生の袋絞りを造ってみたり、720mlの空き瓶のリサイクルシステムを他の蔵とタイアップして実行したり、良寛の生酒の無ろ過を出したりしたそうです。新潟の淡麗辛口にはこだわらず、最終的にはお客様が上手いと思う酒を造るべきだと考えているそうです

良いですね。これからもおいしいお酒をどんどん作ってください。

ありがとうございました。

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越の華酒造はツボを抑えた良い蔵でした。

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新潟酒の陣での蔵めぐり第2弾です。新潟には97の蔵があるといわれていますが、新潟市内にある蔵は意外に少ないのです。越の華酒造は新潟酒の陣が行われている朱鷺メッセから歩いていける所にあるのですが、意外とわかりにくいです。

この日は長岡市にある美の川酒造を見学した後、新潟からタクシーで蔵に行ったのですが、タクシーの運転手もどこにあるのか知らなかったので、蔵の住所を教えたのですが、近くに来てからぐるぐる回る羽目に陥り、やっと蔵に着いたのです

今度行く人がいたら迷わないように地図を付けておきましょう。グーグルマップのURLを登録しておきますが、これはいつでも見えるのかどうかはわかりませんが、興味のある方は早めにご覧ください。

https://maps.google.co.jp/maps?q=%E6%96%B0%E6%BD%9F%E7%9C%8C%E6%96%B0%E6%BD%9F%E5%B8%82%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%8C%BA%E6%B2%BC%E5%9E%82%E8%A5%BF%E4%B8%89%E4%B8%81%E7%9B%AE%E5%85%AB%E7%95%AA%E5%85%AD%E5%8F%B7&hl=ja&biw=1057&bih=799&ie=UTF-8&sa=N&tab=il

蔵は運河を挟んで朱鷺メッセの反対側にある湊稲荷神社の裏にあります。地図は朱鷺メッセがわかるようにい大きく表示しましたので、ズームアップすれが蔵の名前が出てきます。

下の写真の通路の先は運河にぶつかたところで行き止まりで、杉玉がなければとても蔵があるようには見えないですね。

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玄関の入口の左の方に小さな縦長の名札には、良く見えないけど越の華酒造株式会社と書いてありました。見えるかな?

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小野寺社長が優しくニコニコと出迎えてくれました。小野寺社長とは去年の11月に東急のエクセルホテルの越の華酒造を楽しむ会でお会いしたばかりで、その時に今日の見学をお願いしました。その会の内容は下記のURLをご覧ください

http://syukoukai.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-6ad5.html

生産高800石の新潟にしてはやや小さな蔵ですが、毎年のように全国新酒鑑評会で金賞を取っている蔵なので、どんな蔵なのか楽しみにしてきました。

早速社長に案内してもらいましたので、まずは蔵の中をご紹介します。

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これが限定吸水用のステンレス製の箱です。箱の底面は金網になっていましたので、この箱に水を張って、中に洗米したお米を浸たすのではないかと思います。大吟醸用には丸籠も使うようです。でもこんな大きな浸漬用の移動できる箱を見たのは初めてです

その隣には蒸米用のお釜がありました。ステンレス製の和釜です。

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蒸米には和釜が一番だそうです。蒸しの終わりに乾燥蒸気が多量に出るので、外硬内軟の蒸米ができるそうです。酒造りには限定吸水と和釜の組み合わせが最高だと説明していただきました。

次に行ったのが麹室です。杉製ではなくオールステンレス製でした。杉製は呼吸するので室内の湿度を保てるという利点があるけど、結露してカビがでやすいという欠点があるそうです。

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大吟醸は箱を使うようですが、通常はこの床にある厚みの蒸米を布で区分して敷いて、約2日間かけて麹を造ります。出上がったものは隣のからし場で冷やしながら乾燥します。

この写真がからし場に在った麹です。波状に作っているのは均一に乾かすためだそうです。

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出来上がった麹は握っても塊にならないさらさらとした感じのものが良いそうです。この蔵の麹は突き破精だそうです。総破精すると味はでやすいのですが、雑味が出てのど越しが悪くなるので、やらないそうです。

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この麹を拡大したものです。食べてみますと外側は硬めで、中から甘さを感じるように思えました。これが突き破精なのですね

この麹室を造って約10年だそうですが、小さな蔵で専用のからし場を持っているところは意外に少ないです

次は酒母室です。結構広い酒母室で3つのタンクが酒母製造中でした。この蔵では通常の仕込み量は総米で1800KG仕込みですからその20%の360KGが酒母となります。タンクの大きさは写真では630Lのようです。酒母造りは速醸で10日から2週間で、山廃で約1カ月かかるそうです。発酵の初めは底に電球を入れて温め、発酵の終わりはチラーの冷却水で冷やすそうです。

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酒母室の奥に面白いものを見つけました。

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酒母タンクの上部に透明のカバーがついて、その上部には撹拌機が乗っています。酒母の発酵が進むと泡がたって溢れそうになるので、カバーをつけて撹拌機で泡を落とすそうです。この蔵は泡なし酵母は使わないそうです。泡の状態で酵母の活動状況が把握できるからだそうです。最近は泡つき酵母は手間がかかるので、泡なし酵母を使っているところが多いと聞きますが、こんなところにこだわりがあるのですね

次に培養室を見せてもらいました。酵母は県の醸造試験所から毎年購入する蔵が多いと聞きますが、そのほうが安定した酵母菌が手に入るという点では便利なのですが、同じ酵母を使えば、同じようなお酒になるのは面白くないということで、越の華酒造独自の酵母を造ろうということで始めたそうです。

これは何の機械かわかりますか

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これは無菌箱と呼ばれるもので、試験管の中の酵母菌を、完全に殺菌された箱の中で、アルコールを含まない麹エキスの入った容器の中に溶かす作業する箱です。人が丸い穴から手袋を通して作業をします。この無菌箱はかなり簡易的なものですが、でも酒造蔵でこのようなものを見ることはほとんどありません

こうしてできた酵母を入れた容器を培養器にいれて、温度を上げて酵母の増殖させるのです。下の写真がその培養器です。

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現在使っている酵母は9号系の変異株ですが、安定させるため最適な菌は液体窒素の冷凍気に中に保管していて、定期的に植え替えているそうです。大変な苦労ですね

今の酵母菌にたどり着くのに新酵母探索に3年、使いこなすのに6年、安定化に3年と計12年かかったそうです。そんなに凄いことではなく、当たり前のことをまじめにやっているだけのことですと言われた社長の言葉が胸に響きます

次に見たのが仕込み蔵です。下の写真が仕込みタンクの1階です。中央に3000Lのサーマルタンクが6本、そのまわりに7000Lタンクが11本ありました。

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この2階は奇麗なフロアができていてとても作業にしやすい環境になっていました。

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中央の小型のタンクを操作するフロアが黄土色のフロアです。その周りには大型のタンクを操作するフロアになっています。床の色が違いますね。ここで面白いものを見つけました。この写真を良く見てください。

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この床の壁際にはロープらしきのもが取り付けられていますね。これは何のためにあるのでしょうか。判れば酒造りのプロですね。

これはタンクに櫂入れをするなどの作業をするときに使う安全ベルトをかけるロープです。僕は色々な蔵を見ていますが、これは始めてみました。良いアイデアですね。特許でもないので、他の蔵の方も良かったら使ってみてください。

細かいところに気配りが見られる蔵でしたね

最後に搾りをみてもらいますが、薮田1台と佐瀬式の槽(ふね)がありました

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これで蔵見学が終わりましたが、設備的には驚くほどのものはないのですが、酒造りのコンセプトがしっかりしていて、必要なところにはきちっと設備投資をしている立派な蔵だと思いました

ご覧のように9種類のお酒を試飲をさせていただきました。吐器まで用意していただき、楽しませていただきました

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左から超特撰大吟醸金賞受賞酒、 全量亀の尾仕込み吟醸酒微笑楽、 純米大吟醸桂清水、 越乃幻の酒純米吟醸(山田錦+亀の尾)

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越の華純米吟醸、 山田錦純米吟醸新酒、 本醸造70%磨き、 純米酒かわせみの旅、 越の華中汲み吟醸

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一本一本は説明しませんが、ほとんどは東急エクセルで飲んだお酒なので、詳しくはそれを読んでください。今回気に入ったお酒の一つは桂清水の純米大吟醸で山田錦50%精米です。飲みやすいお酒でスイット入るけど甘みと酸味のバランスが良くて飲み飽きしないお酒で、お料理をじゃましない食中酒としていいですね。

桂清水の価格は4合瓶が2100円で、チョット高めです。1升瓶の値段をインターネットで調べたら3780円と書いてあったのもあるし、5250円もありました。℃の価格が正しいのですか。教えてください。

本醸造70%磨きは1升1800円だどうですが、とてもうまくてコストパフォーマンスは最高ですが、インターネットを見ても同じものが見つかりません。どうしてかな

面白かったのは亀の尾100%の微笑楽とカワセミですね。独特の味とバランスを示す微笑楽と、甘酸っぱさのカワセミで最後にチョコレートと合わせて飲むのもおもしろいかも

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以上で蔵の見学の紹介は終わりますが、この蔵は真面目に酒造りに取り組んでいることがよくわかります。お酒の味も安定しているし、奇をてらったところのないお酒造りで正統派のタイプと言えるかもしれません

その中では超優等生が大吟醸の金賞受賞酒で、正統派の中心にいるのが桂清水かもしれません。特徴があるのが微笑楽とカワセミですね。

小野寺社長は物知りで最後にお酒のお話を丁寧にいていただきましたが、その中で初めて知ったのがアルコール度数に-を付けた温度が氷結温度だということでした。確かに直観的にはそんな気がしますが、実際管理する場合はそれよりチョット高めに考えた方が安全ですよね。

小野寺社長 ありがとうございました

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大信州酒造の味わいの秘密

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先月のことですが、神田の醇さんのお店で大信州の蔵元を囲む会が開かれました。大信州の酒は最近気になっていたお酒なので、直ぐに予約をして参加しましたが、醇さんが開く日本酒の会はいつも土曜なのに、この日は金曜日の開催でした。どうしてかなと思って行ってみて、その理由が判りました。

Dsc00503_2いつもは酒販店さんと醇さんのコラボレーションで行っているのですが、この日は日本酒を楽しむ会を主催している堀川紀幸さんとのコラボレーションで、お酒はほとんど堀川さんが集めたお酒のようです。堀川さんのホームグランドは吉祥寺の蕎麦屋さんだそうです。

この写真の方が堀川さんです。凄い若い感じの人ですね。こんな若い方が日本酒の会を開くなんて、日本酒の将来が楽しみですね。

大信州酒造は長野県松本市にある明治21年創業の蔵で、現在の社長は前社長の田中義也(よしなり)さんの長男の田中隆一さんです。 隆一さんは東京農大の醸造学部を卒業された元々造りの人ですので、弟さんが蔵に戻る前は、この蔵の杜氏の下原多津栄(たづえ)さんと一緒に酒造りをされれていました。

下原さんは小谷流の筆頭杜氏で、現在96歳で現役を引退されていますが、大杜氏として蔵には時々顔を出されているようです。現在の蔵の酒造りの原点を造った方で、その流儀はきちっと後の人に引き継がれているようです。彼の一番有名な言葉が、「蒸しに始まり、蒸に終わる」があります。これについては後で説明します。

この会に参加して蔵やお酒の説明をしていただいたのは、隆一さんの弟さんの常務取締役で製造部長の田中勝巳さんです。お写真を下に示します。

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勝巳さんは現在蔵に入って、新杜氏の小林幸由さんと一緒に酒造りを担当し、ここにお見えになる前まで蔵で酒造りをして、髭茫々でしたが昨日すっきり剃って、ダンディなお姿で登場されました。勝巳さんは酒造りは蔵で勉強してここまでなった人なので、酒造りの腕はまだまだですと謙遜されていました。蔵に戻るきっかけになったお酒があるそうで、後でご紹介しましょう。

この会で勝巳さんに色々とお聞きして、この蔵にはきちっとした流儀がる事がわかりましたので、僕なりにまとめてみました。その基礎になっているのは酒造りは蒸しに始まり蒸しに終わるという言葉です。これを僕なりに解釈すると、お酒の原料は蒸したお米に麹菌をふりかけ麹を造り、それをもとに酒母を作って醪造りに入りますが、その最終段階でも蒸米を原料として投入されるので、酒造りの初めから最後まで蒸米が大切な原料となるので、これを一番多大切にするという意味だと思います。もうひとつ考えられるのは技術的にもここが難しいとい言う意味なのかもしれません。

蒸米が大切ということは原料処理が一番大切だということに繋がるので、ここあたりにこの蔵の酒造りの流儀があるように思えました。

僕がまとめた結果は以下の通りです。

1.原料米はすべて契約農家で造ったお米をつかう
  原料米は地元の金紋錦とひとごこちが全体の60%、山田錦が40%で、すべて顔の見える農家と契約しているそうです。地元のお米は判るけど、山田錦はどうしているのでしょうか。

2.精米は自社精米で行う
  全量自社精米かどうかは聞きませんでしたが、そうだと思います。

3.洗米は大吟醸から普通酒まですべて手洗いで行う
  この蔵の生産高は教えてくれませんでしたが、従業員は19名もいるようですので、少なくとも2000石は超えていると思いますので、それをすべて手洗いでするのはなかなか大変なことです。

4.麹米と掛米はすべて単一銘柄の米を使用する
  大吟醸以外はすべて49%精米の酒米を麹米とするので、他のお米を麹米として使用することはない

5.お酒はすべて無濾過原酒で加水しない
  お酒の味を考えると通常はアルコール濃度が16%で完了するように醪管理をしているようです。

6.酸を出さない造りを原則としている
  蔵を清潔にすることから始まって、蒸米の造り方、麹の造り方を酸を出さない工夫をしているようです。

7.和を以て貴と為す
  勝巳さんが蔵に入った時は緊張してピリピリしたそうですが、蔵のモットーは大杜氏の座右の銘である以和為貴が意味するように皆が心を一つにして、和やかに酒造りをするだそうで、最近はこれができるように努めているそうです。

8.仕込み蔵にモーツアルトを流している
  
仕込み蔵に音楽を流している蔵は喜多方市の小原酒造と、岐阜県の小町酒造が有名ですが、長野県でも酒千蔵野でも利用しているようで、一般的になってきていますが、この蔵はいつから始めたのかは知りません。

以上が僕が感じた大信州の酒造りの流儀ですが、齋彌酒造の高橋杜氏の考えと共通しているところが多いように感じました。齋彌酒造では麹米は掛米と変えて使う点と醪に櫂入れをしないという点が違っていますけどね。

この蔵では大吟醸クラスは金紋錦を使っているそうですが、金紋錦について気になる点がありましたので、ちょっと触れておきます金紋錦は父親が山田錦、母親がたかね錦で交配させた品種ですが、長野県の木島平村でしか栽培されていなかったお米です。昭和31年に開発された後、県内の各地の蔵で使用していたのですが、美山錦やひとごこちなどの栽培しやすいお米ができてからは次第に栽培されなくなり、昭和63年には石川県の蔵の福光屋でしか使われなくなったそうです。

その後飯山市の蔵が金紋錦に着目し、何度も折衝した結果平成16年に再び使えるようになったということですが、勝巳さんのお話では大信州では20年前から木島村から種もみをもらい栽培して、約20年間も金紋錦との付き合ってきたそうで、それだけに金紋錦への思い入れがあるそうです。でもこの話は初耳です。そうだったのですか・・・・先見の目があったのですね。

次に飲んだお酒を紹介しますが、全部で10本です。

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1.純米大吟醸 スパークリング

Dsc00509全量金紋錦49%精米の純米大吟醸のスパークリング酒です。あらばしりの酒に適度なもろみを入れて、瓶内発酵させたお酒です。

写真のように白くにごっているけど、湧き上がってくる泡の粒が小さいのが特徴です。

口に含むと炭酸ガスによるしわしわ感が舌の上よりも上あごに広がる感じで、滓の甘さはあまり感じないで、飲み終わったときに辛みを感じるお酒でした。

Dsc00505泡の粒が小さすぎて良く見えないでしょう。炭酸ガス注入するスパークリングでは泡が大きくなるそうです。

このお酒は勝巳さんが蔵に戻る気かっけになったお酒だそうです。勝巳さんは自分の蔵のお酒は意識して飲まないで、シャンパンハウスでシャンパンを飲むのが好きだったそうですが、ある時このお酒を飲む機会があって、このお酒の上手さに感激したのが、蔵に帰るきっかけになったそうです

この酒にめぐり会えてよかったですね

2.辛口 特別純米酒 生

Dsc00511ひとごこち100%使用で、70%精米の特別純米酒ですが、麹米は例によって49%精米のひとごこちを使っています。大信州酒造で一番の売れ筋のお酒だそうです

香りは抑え気味で、旨みがドンと立ち上がるのではなく、幅広くゆっくりと広がっていき、うまみの後に奇麗な辛みを感じます。

馬刺しのユッケに合わせて飲みましたが、ピッタリでした。

3.NAC 2012 純米吟醸

Dsc00516NACとはNagano Appeliation Contorol の略で、長野県原産地呼称管理制度という意味です

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このラベルが瓶についています。

このお酒は田中前知事が造った制度で2002年に発足、2003年に日本酒に適用されたものです

長野県産のひとごこち100%使用で、麹米49%精米、掛米59%の精米純米吟醸酒で、インターナショナルワインチャレンジにも出しているお酒です。

甘みが柔らかく、穏やかに広がり、余韻が適度にあって飲みやすいお酒です。辛みはあまり感じません。

4.超辛口 純米吟醸 生

Dsc00523このお酒も3と同じひとごこち100%の純米吟醸ですが、超辛口を狙ったものです。辛口だけど如何に旨みを載せるかに心を配ったそうです。このお酒も売れ筋のお酒だそうです

飲んでみると甘さはあるけど全体的にドライな感じで、口の中でのシャープさがあり、どのドライさがずっと残って、最後に切れていくといったお酒でした。

勝巳さんの説では辛みは舌の一部でも感じるけど、のどを通った時甘さがないのが辛いということですが、辛いお酒といっても、感覚的に表現するのは難しいですね。

5.純米大吟醸 稲光

Dsc00527金紋錦49%精米の純米大吟醸です。ラベルの上の方にイナビカリとかいてあります。イナビカリはお米が豊作なときに起きるといわれているので、その言葉を使ったそうです

このラベルに以和為貴書いてありますが、これが蔵のモットーだそうです。

いかにも大吟醸のバランスで、立ち上がりに香りがたつのですが、そんなに太いものではなく、ゆっくりと旨みが広がっていくと行くという感じで、本日の鰆には合いますね。

6.辛口 特別純米 火入れ

Dsc00532このお酒は2番のお酒の火入れしたものです。

1番のお酒よりは全体的にライトな感じで旨みのふくらみが減った分だけ、辛みを感じるように思えました

最後にどのお酒が日本酒度として一番辛いかをクイズでテストされましたが、僕は当たりませんでした。結果は後でお知らせします。

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7.仕込み32号 超辛口 純米大吟醸

Dsc0053849%金紋錦を全量使った純米大吟醸の生酒で、仕込み32号というのは32番目に仕込んだお酒という意味だそうです

金紋錦は山田錦の家系をもった良い酒米なのですが、精米が難しく割れやすいので、辛口にしにくいお米だそうですが、今年は狙い通りに仕上がったと言っておられました。

香りは穏やかながら、口に含んだときからシャキッとした辛さを感じてしまうのですが、ほど良い旨みがあるので、嫌な辛さではありません

辛さの順番は4番、7番、2番だそうです。4番は日本酒をが14もあるそうですが、僕にはドライに感じたのですがそれが辛かったのですね。

8.香月 純米吟醸中汲み 滓がらみ 生

Dsc0054049%精米のひとごこち100%使用の滓がらみ純米吟醸の中汲みの生酒で、特定の酒屋酒に卸しているお酒だそうです。49%のお酒がどうして純米吟醸なのかな。これはルール違反ではないですよね。

酸味を感じながら余韻が結構ゆっくり広がって行くお酒でしたが、炭酸を結構含んでいるので酸を感じるのですと説明されていたけど、今日飲んだ中で初めて酸を感じたお酒でした

9.神酒 純米大吟醸

Dsc00542このお酒は番外編として蔵から直接持ってきたお酒で、山田錦35%精米の純米大吟醸で、通常は蔵の3℃の貯蔵庫で2年熟成させて、1升3万円で販売しているお酒の新酒だそうです。神寿と書いてかむじゅと呼ぶそうです。

飲んでみましたら今日飲んだお酒とは全く違う次元のお酒でした。口に含んだときの味の太さがあり、後までずっと味がしっかり残るけれども、裏に酸が合ってバランスしている気がしました。でもやっぱりチョット堅いかなと思いました。

でもやはりすごい酒です。

10.極上みぞれりんご梅酒

Dsc00546長野県の豊野町のリンゴ「サンふじ」の中でも袋をかぶせない太陽の日の浴びたリンゴと南紅梅の手摘みした梅の蔕を一粒づつ取った特別の梅だけを使った梅酒だそうです。

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リンゴと梅の味のする後味のさわやかな梅酒でした。

大信州は蔵が二つあって、メインの工場は松本市ではなく長野市の北にある豊野町にあるようです。ですから木島村にも近いので、金紋錦の栽培もこの近くで出来たのかもしれませんね

これで試飲したお酒の紹介は終わりますが、この蔵のお酒は口に含んだときにパット味が広がるのではなく、味が奥の方に広がりながら余韻を楽しめるお酒が多いように思えました。その広がりに中に、辛みを感じたり、余韻の強さが変化したりお酒によって味わいが変わります。総じて安定した味を出せる蔵だと思います。

お料理について

1.前菜 

Dsc00508馬肉のユッケと小袖笹寿司、野沢菜艶煮

醇さんの母親が松本出身で、子供のころのお肉の料理というと馬刺しだった思い出があり、これを選択したそうです

2.刺身

Dsc00514_2信州サーモンのカルパッチョ

長野県産の肴と言えは佐久の鯉くらいで有名なものはないけど、最近はきれいな水の中で養殖されたサーモンに力を入れているそうです。外国産のサーモンとは違ってさっぱりしているけど味のあるそうで、東京ではめったに買えないそうです

3.椀物

Dsc00525竹の子汁(鰹だしで酒粕が隠し味) 

この竹の子は長野県の標高の高い所に生えている竹やぶに下に生えているねまがり竹で、非常に高級なものだそうです。これを取りに行って崖から落ちる人が毎年いるくらい大変な採取しにくい竹の子だそうです。

4.煮物

Dsc00526鰆の煮おろし

鰆は冬から春にお会いしい魚で、揚げたものを大根おろしを入れたお出汁で煮たもの

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5.冷采

Dsc00531塩いかと若布の酢のもの

塩いかとはゆでたいかを塩漬けしたものを塩を抜いたもの。長野県の保存食としてあるものですが、しっかり塩を抜くと皮もゲソも撮れて家庭で使いやすい便利なものです。東京では手に入らないそうですが、御徒町の吉池にあるそうです

6.油物

Dsc00537蕎麦掻き揚げだし

そば粉の中に豚のそぼろを入れたものを上げたのもらしい。良く聞いていなかったので、間違えていたら、醇さん修正してください。

7.食事

Dsc00539山賊どんぶり

山賊焼は長野県の郷土料理で、鶏の唐揚げや焼いたものを垂れに付けて物を言うようである

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米鶴酒造が狙う酒の新動向

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先月の4月27日に神田の醇さんのお店で米鶴酒造の第12代目の蔵元である梅津陽一郎さんを囲む会がありましたので、参加してきました。陽一郎さんとはお酒の会で時々お会いするし、メールを送ってくださる間柄なのですが、近くに米鶴を扱っている酒屋さんがないものですから、しばらく米鶴を飲むチャンスがなかったので、米鶴のお酒を飲んでみたいというわけで申し込んだのです。

米鶴酒造は山形県の米沢に北にある赤湯駅から東に十数Km東の高畠町にある蔵で、この地は、縄文時代から人々が定着し集落を形成するほど地味豊富な土地で、稲作の他さくらんぼ、ブドウ、リンゴなどの果物のが取れるので、まほろばの里と呼ばれているそうです。

この地に初代梅津伊兵衛が酒造りくを開始したのは1704年のことで、300年以上の歴史を持つ超老舗の蔵です。この蔵の基礎を造ったのが9代目の梅津伊兵衛さんで、10代目は昭和の初期に後を継いで戦争に時代の苦しい時期を耐え抜いた方で、良いお酒造りのために原料米の確保に心を配った方として有名です。でも早くして亡くなられたそうです

昭和30年(1955年)に大学を出たばかりの現会長の11代目が先代から引き継ぎを受けないまま後を継いで大変苦労されたそうですが努力した結果、全国新酒鑑評会で金賞を受賞し、その後地方でも金賞や銀賞を取るまでになったそうです。昭和43年には東京農業大学の全国調味食品品評会でダイヤモンド賞を取り、それを世に出したのが米鶴F-1です。

僕も昔このお酒を飲んで、さわやかさがあって、香りも良くいかにも高級感のある味わい深いきれいさがあるお酒のような思い出があります。F-1は吟醸酒ブームの先駆けとなったお酒で、僕も米鶴というとそのイメージが強かったのです。米鶴のお酒がどのように変わろうとしているのでしょうか

まず現社長で12代目の蔵元の梅津陽一郎さんをご紹介します。こんな横顔の写真しかなくてすみません。

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梅津陽一郎さんは蔵元の息子さんですが、意外にも酒造りとは全く関係のないお仕事をしていたのです。梅津さんは東北大学を卒業した後、独立法人の日本原子力研究開発機構に8年間仕事をしていた根っからの技術屋です。蔵元に戻ったのは11年前の2002年のことだそうですが、何をきっかけに蔵に戻られたのかは、お聞きしませんでしたが、蔵の営業力が弱かったのでもっぱらそれを強化することに力を入れてきたそうです。現在44歳の脂乗り切ったお歳ですね

蔵には杜氏をしている須貝智(すがいさとし)さんがおられますが、大学を出られ直ぐに蔵に就職し、ずっと蔵で育った社員杜氏です。もう杜氏になられて15年がたつべたラン杜氏で、自分の名前を付けた三十四号というお酒があるのをご存知ですか。実は三十四をさとしと呼んだのだそうです。今回それが飲めるのが楽しみです

梅津さんが蔵に入った時は既に杜氏になられていたのですね。梅津さんにもともと技術屋なので、造りをやってみたいのではとお聞きすると、そうなんですよ。本当は営業より造りの方が好きなのです。でも営業が弱かったから仕方がなったと言われ、梅津さんの本音をお聞きしてしまいました。

この蔵のことを勉強するには米鶴のいわれを知っておく必要があります。豊かに実った稲穂と鶴の立ち姿がお辞儀をする姿勢に例えられることにちなんで、お米と鶴で感謝の気持ちを表したものだそうです。この名前を誕生させたのは9代目の梅津伊兵衛さんだそうです

米鶴酒造はお米の確保には昔から大変努力をされてきましたが、地元のお米でお酒を造るべきという考えで、昭和58年(1983年)に蔵元を含む地元の農家が高畠町酒米研究会が発足したのです

この地で、酒造好適米を自主栽培し色々の品種を生産しています。おもなものを上げると、出羽燦々、出羽の里、美山錦、亀の尾、亀粋等があげられますが、米鶴酒造だけが独占的に契約入手しているわけではなく、農協を通して購入しているので、お米の量の確保という点では難しい面もあるようですが、造り手の見えるお米が使えるので、お米の特性を把握したり、お米の出所を明確にするトレーサビリティという点では安心できるそうです。

今では色々なところで酒米研究会ができていますが、高畠町は最も早く始めた研究会の一つではないかと思います。僕が調べたところでは秋田の天寿酒米研究会も昭和58年発足ですが、これは蔵単位の契約研究会のようです。やはり米造りから始めるというのが酒造りの原点だということを強く認識しました。

それでは蔵の話はこれくらいにして、さっそく飲んだお酒をご紹介します。

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飲んだお酒をずらっと並べてみました。F-1はありません。梅津社長のお話ではこれから蔵として力を入れていきたいお酒で、幅広く色々な味のお酒を飲んでもらう趣旨で、集めたものだそうです。

醇さんのお店での蔵元を囲む会は通常、醇さんと酒屋さんのコラボレーションで行われていますが、今回は醇さんと蔵元との直接の協力で行われたものでして、それだけに蔵元の心意気が現れた品ぞろえになったとおもっています

1.米鶴 スパークリング

Dsc00599_2シャンパンに負けない奇麗な泡のスパークリングを造ろうとして生まれたお酒で、出羽の里65精米でアルコール度数9度の透明なスパークリングです。ラベルを良く見るとハートのマークと稲穂のデザインが見えます

このお酒はアルコール度数低くても味が出る特殊な山形酵母のTY-24を使って、15度の原酒を醸造した後加水をして特殊の加圧サーマルタンクでさらに発酵させながら最後に炭酸ガスをバブリングさせて、造ったお酒のようです。

すこしピリピリ感があって、適度な甘みと奇麗な酸があって、軽めだけど飲み易いお酒でした。この会の終わりに飲んだら、口に中がリフレッシュするようにさわやかに飲めたのは驚きました。日本酒の会の最後に酔いさましに飲むには最高ですね。

だまされたと思って試してください・・・・・・4合瓶で1575円です

2.米鶴 米の力 特別純米 亀粋

Dsc00600_2亀粋(きっすい)は知っていますか。米鶴酒造の蔵人の志賀良弘さんが、亀の尾復活を目指して栽培していた時に大粒のものを選抜して出来たお米で、平成5年に品種登録したものです。亀の尾より溶けやすく味を引き出しやすいお米だそうです

この亀粋を60精米した特別純米酒です。綺麗な膨らみのある旨みで、酸は少なめで辛みが後で少し感じますが、アルコール度数も15度と低めなので、とても飲みやすいお酒でした

1升2625円です

3.マルマス米鶴 限定純米吟醸

Dsc00603_2マルマスは2012年の12月から新たな商品ブランドとして出したものです。日本人であればだれでも美味しいと思えるインパクトのあるお酒を目指したのもで、今5種類の銘柄があるそうです。瓶の色は保存を考えて茶色か黒だそうです。

マルマスは米鶴酒造の屋号なので、造り手の意気込みを表したイメージでしょうか

このお酒は出羽燦々55%精米の純米吟醸で、酵母は通常の山形酵母ですが、麹の造り方を変えてブドウ糖の出やすい麹菌を使っているそうです。限定というのは1仕込み2000本しか造らないお酒で、毎年造りを変えてチャレンジしているお酒のことを言うそうです。ですから来年は飲めないかもしれないそうです。

飲んでみましたが、確かに旨みはあるけど後にはあまり残らない切れのあるお酒でした。今回はもっと味を乗せたかったけどと言われていたので、来年はもっと違うお酒になっているかもしれませんね。味は変わっても価格は1升2835円で行くそうです。

この蔵には「うきたむ」というブランドがありますが、「うきたむ」はすべてマルマス米鶴に引き継ぐので、「うきたむ」の販売は今年の6月が最後になるそうです。皆さん気をつけてくださいね・・・・・・ でも「うきたむ」の味がなくなるわけではありませんので、ご心配なく。

4.米鶴 純米 あんだんて

Dsc00607_2「あんだんて」とは珍しい名前ですね。音楽用語でゆっくり歩くような速さという意味です。アルコール度数は低めながら飲みっごたえとさわやかさを狙ったお酒だそうです。名前は杜氏が付けで、デザインは梅津さんが決めたそうですが、ちょっとワインのようなデザインですね。

このお酒は出羽の里65%精米の純米酒で、スパークリングと同じ酵母を使い、アルコール度数は12℃です

飲んでみると最初に軽い甘みが広がり後でやや酸味を感じるのでちょっと甘酸っぱいイメージでした。全体には水っぽくなく、さわやかさを感じるお酒なので、日本酒の苦手の人にも飲んでもらえそうな気がします。1升2100円ですから買いやすいですね。

このお酒はお燗にすると温度により姿を変えるのですが、40度よりチョット低い温度ですと、酸味が弱くなって甘みとのバランスが良くなり、スイっと飲めるお酒に変身しました。是非試してください。

5.米鶴 純米大吟醸 亀粋

Dsc00610亀粋40%精米の純米大吟醸です。酵母は10号でアルコール度数は16度です。23BYのお酒で蔵で1年ちょっと熟成させたお酒です。

飲んでみると今までのお酒とは違って、ゆっくりと味わいが口の中で広がり、余韻を残しながら消えていきます。味の強いお料理にも合わせられると思いました。4合瓶で3780円もするのでチョット高いかな。

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このお酒はIWCに出品したおさけで、そのマークがついています。今までは亀の尾で出していたのを亀粋にしたのですね。

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6.米鶴 吟醸 三十四号

Dsc00617このお酒が杜氏の名前をとった三十四号の吟醸酒です。三十四号が仕込み番号で通常34号は元旦に仕込んで上層日が1月25日になるお酒で、瓶のラベルに上層日と杜氏の名前は書いてあります。

お米は美山錦50%精米で、酵母は香り系の山形酵母を使っています。確かに香り高いさわやかなお酒です。あっさりした塩焼のお魚と会いそうです

1升2625円です

7.米鶴 超辛吟醸

Dsc00619_2このお酒は日本酒度が+7から+10の超辛口のお酒です。一般米のはえぬきを65%精米の純米酒で、油を含んだ料理でも油を切ってくれるだけでなく、口の中をリセットしてくれるお酒を狙ったそうです。

口に含むと軽い旨みがふわっと広がり、スカッと消えていくおさけで、確かに後味に辛みは残るけれど、いわゆるアルコール添加した辛みではありません。これは1升2000円ですから食中酒に良いのではないかな。

8.米鶴 盗み吟醸 あらばしり 発泡にごり

Img264_nusumigin_1bここから先の2本の酒は写真を撮るのを忘れてしまいましたので、インターネットから拾ったものですので、全く同じものかどうかは不安です。

盗み吟醸と呼ばれているお酒で、昔は吟醸酒が1升5000円くらいで売られている時代に、蔵にある秘蔵酒が盗まれて安く出回っているという由来からつけられた名前です

出羽燦々とはえぬきの55%精米、酵母は香り系の901号と1801号のブレンドのようです。あらばしりにもろみを加えて発泡にごりとしています。

飲んでみましたが、ふわっとした香りがたった後、後味がすうっと消えてくようなバランスでした。結構おもしろい。

9.米鶴 大吟醸 巨匠

Img10182310233最後に飲んだお酒で、この蔵の最高峰のお酒です。価格は1升10500円です。山田錦35%精米で、山形酵母と協会1601号のブレンドのようです。

全国新酒鑑評会で金賞を取ったお酒を1年間寝かせたお酒です。このお酒はワイグラスで飲んで一番おいしいお酒の金賞に選ばれています。

この会で飲んだお酒の中で断トツにおいしいお酒でした。口に含むととろっとした栗のような甘みが広がり、これは次元の違う上手い酒です。このお酒は常温より15度くらいが良いような気がしました。

こんなにうまい酒だと金賞が取りにくいのではと思いましたが、今年は味のあるお酒が選ばれる傾向があるとのことでしたが、このブログを書き終わるチョット前に今年も全国新酒鑑評会の発表があり、金賞が取れたそうで、おめでとうございます。

良かったですね……

これでお酒の紹介は終わりますが、米鶴はF-1のような奇麗で華やかのお酒を造ると同時に巨匠のように厚みがあって上手い酒を造るかと思えば、万人が飲みやすいアルコール度の低いお酒を造っていますが、いま最も力を入れようとしているのはマルマスのような誰でもが上手いと感じるけど1升3000円以下のお酒のような気がしました

僕個人としては巨匠とスパークリングに感激しました。これからも新しいお酒造りにチャレンジしてください。

<お料理編>

筍と生ハムノサラダ        めじ鮪漬け 出し掛け
冷汁、凍み大根

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トマト芋煮              桜マス三五八漬け

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おかひじきとささみの白和え   するめ烏賊香味炒め

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山菜ごはん

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震災後の墨廼江酒造はどうだたのでしょうか

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先日用賀のなかむらやで墨廼江酒造の澤口社長と明鏡止水の大澤専務を囲む会があり参加してきました。なかむらやではしばしばこのような会を開催されているようですが、久しぶりの参加です。この会は通常二つの蔵元をお呼びして開かれますが、蔵元が1つのテーブルに10分だけおいでになり、蔵元からお酒を注いでもらいながら会が進むのです。もちろん一度全テーブルをまわれば、次からはだんだんめちゃめちゃになりますが、その最後の段階が一番面白くなりますね。

お店が横に広いお店なので、真ん中で皆に向かってお話しても酔ってくるとなかなかお話を聞いてくれないような環境になるのがわかって、こんな仕掛けを考えたのでしょうね。この仕掛け人がこのお店のマスターの中村直人さんです。

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いつもこのようにシェフの格好をされていますが、昔シェフをしていたことからこれが一番落ち着くのでしょうね。声はガラガラ声でちょっと慣れないと怖いかもしれませんが、とても心の熱い優しい方です。この会がすごいのは蔵元ととの距離が凄い近いので、本音の話が聞けること、それから中村さんが持っている秘蔵酒が出ることかな。でもこの雰囲気を造っているのがマスター本人なのは間違いありません

この二つの蔵をなかむらやに結びつけたのは東京都の町田市鶴川にある酒舗まさるやの専務取締役の園部将さんです。

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お店の名前のまさるやは自分の名前の将からとったもののようで、彼は今42歳のベテラン営業マンですが、お店を始めたのは18歳だったそうでその心意気がお店の名前になったそうです。 かっこいいやんちゃーな雰囲気が見えますが、きっと心の熱い人なのでしょうね。

この会には墨廼江酒造の社長の澤口康紀さんと明鏡止水の大澤酒造の専務取締役兼杜氏の大澤実さんが来られました

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まだ会の始まる前でしたので、表情が硬いですね。後でお二人の本当のお姿をお見せしますね。

今回のブログは蔵別にご紹介するとして、最初は墨廼江酒造をご紹介します。

墨廼江酒造は石巻のにある蔵で、昔は伊達藩のお米の積み出し港として栄え、千石船が多数往来する拠点であり、澤口家もここに海産問屋と穀物問屋を始めました。その後墨廼江地区にはその名前を銘柄にしていた酒屋があったのを譲り受けて、1845年に墨廼江酒造を創設しました。

明治29年の三陸大地震の時に津波の被害を受け河口にあったお店は大きな被害を受けたので、その後今の墨廼江酒造のある場所に住居を移設したそうでです。酒造りを本格的に開始したのが3代目の清次郎の時代だったようで、今の澤田康紀さんは6代目になるそうです。

その康紀さんが平成23年3月11日に東日本大地震の津波により大きな被害を受けることになったのです。このことについてはここで詳しくお聞きしましたので、ご説明したいと思います。

当日は蔵にいたそうですが、地震の大きな横揺れで、蔵が壊れたかなと思って、揺れがおさまってから蔵の中を点検してみると、壁はかなりやられていても倒れることがなく、瓶の割れも1000本くらいなのでなんとかなると安心していたら、蔵の人が「あれは何ですか」と指をさした方向を見て驚きました。黒い波が押し寄せているのに気がついたのだそうです。直ぐ社員全員と家族を安全だと思われる冷蔵コンテナの上に避難させて、難を逃れたそうです。

この地区は海から2kmも内陸にあり、明治の三陸大地震でもチリ地震でも津波の被害は受けなかったのですが、今回は北上川をさかのぼってきた津波が押し寄せたようです。80cmの高さの泥水が蔵全体を埋め尽くし、3日間水が引かなかったそうです

震災後も水道の復旧に2週間、電気の復旧はさらに時間がかかり、本格的な普及作業に入れたのは20日後だったそうで、汚泥の処理が完全に終わったのは秋までかかったそうです。

当時もろみが10本立っていたのですが、搾り機の薮田も制御盤がやられて使いもににならない状態でしたし、電気も水もないので温度は成り行きになっていたので、使いものにならないと思っていたのですが、他の蔵の人のサポートで薮田も動くようになり、4月1日に震災後の初めての搾りをしたそうです

搾ったお酒は日本酒度は+15、アルコール19度もあったけど、だれずにピンとしていたので、これで助かったと思ったそうです。震災後の皆さんの応援でトータル生産量の20%減でおさまったのは奇跡と言えるかもしれません。これで復興の勢いがついたそうです。この際不要なタンクなどを整理し、去年からは完全に再スタートができたそうです

以上が震災の影響でしたが、皆さんの支援でなんとか乗り切ったということですね。こんなに支援してもらったことがありがたく思えたことは無かったそうで、これからはその恩返しで頑張るそうです。

お話を聞いた時の澤口康紀をご紹介します。

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とても良い顔をしているでしょう。この笑顔でお酒造りをすれば何でもできますよね。この蔵の狙っている酒は柔らかく気品のある酒造りだそうです

以前は9号酵母でしたが、その後7号酵母、アルプス酵母、山形酵母、金沢酵母と色々試したけど、蔵の目指す酒質に合ったのが宮城酵母だったそうです。 当分はこれに決めて進むそうです。宮城酵母初代は浦霞酵母から生まれたものですが、最近の宮城酵母は初代宮城酵母の中から、アルコール耐性が高く酸の生成が少ない株を選抜して得られた。

この会で飲んだ墨廼江のお酒を紹介します。

1.大吟醸 600K

Dsc00673このお酒は兵庫県の特Aの山田錦40%精米の大吟醸です。600Kg仕込みのタンクを4本立てて、その中で最も良い2本だけを選んで造るお酒なので、1200本しか出来ないそうです。

うまみがドンと出るわけではないけど、軽くすっと入ってくる割には余韻がしっかりしていて、余韻が奇麗で上品なのでうれしくなってしまいます。このお酒は寝かせればもっとおいしくなうような気がしました。

後でマスターがとっておきのものをのませてくれるそうです・・・・ 楽しみです

2.墨廼江 純米吟醸 五百万石、雄町、八反錦

五百万石は福井県産、雄町は岡山産、八反錦は広島県産を使っていて、いずれも精米度は55%で宮城酵母を使っていて、その他の造りはまったく同じだそうです。このお3本はいずれも火入れですが、出る時期が少しずつ違うそうです。

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五百万石は口に含むと緩やかな甘みを感じながら旨みがすーっとのびていきます。新潟の淡麗辛口とは違うバランスで、とても良いと思いました。

雄町は口に含むと旨みがすうっと立ち上がったるけど、緩やかなピークです。その後に酸味を感じながら切れていくバランスで、この3本の中では一番特徴があったかな。

八反錦は割に軽い感じで口に広がり、すうっと飲めるお酒で、後で少し辛みを感じるバランスでした。

この3本はまったくお米の違いだけの味わいの差で、確かに違いは判るけど微妙な差であって、お米の特徴をドンと出しているわけではありません。でもこの造りが墨廼江なのでしょうね。

3.特別純米 大辛口

Dsc00678このお酒は麹米が新潟の五百万石60%精米で、掛米が宮城県産の蔵の華60%精米の純米酒です。

このお酒はまさるやさんの提案で夏酒として5月末から販売する辛口のお酒で、辛い酒というよりはドライな酒といったお酒でした。

香りは比較的控えめながら、すっきりとした味わいとキリリとした酸味が効いていて、シャキッとキレる酒です。暑い夏に冷やして飲みたいね。

4.600K 2003年

Dsc00691このお酒がマスタの中村さんが隠していた秘蔵酒の2003年の600Kです。10年前のお酒です.600Kは20年前から始めたそうすが、ラベルは少し変わって来ていますね。

どこで保管していたのでしょうか。ラベルの色に年期を感じます。5本買って最後に澤田さんと飲むために残していたお酒だそうです。でも飲んで驚きました。これは凄い酒です。とろっとした旨みがたちあがってすうっと消えていく酒でした。

この蔵のお酒は香りや味に華やかさはないけど、後味のきれいさがあるので、酒質が高いと思われます。きっと自分の家で熟成させても変質しないお酒だと思うので、チャレンジしてみようかな。

酵母を変えないという点では新政と同じですが、本当の意味の米の違いを知るには良いような気がします。まさにマニアの好む酒ですね。

最後にサーカーで有名な中田英寿が東日本大震災後、墨廼江酒造に行って訪問記録があるのを見つけました。興味のある方は下記のURLを見てください。これはブログではないので専門のスタッフがいると思うな。ワードで造って張り付ければ出来るかも。

http://nakata.net/rnp/area/12203/

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こんな洗米スプレーがあるんだ。始めてみました。これは良さそうですね。

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