先日サラパンダの武内さんが主催する英君酒造の会が開かれましたので、参加してきました。場所は東陽町の寿司炉端のつちやで行われました。この会は武内さんが最初はつちやに集まる会としてスタートしたので、つちくるの会だったそうですが、これからはそう呼ばずに普通にやるそうです。そういえば最近は沙良庵なるものも出来たみたいで・・・・良くわかりません。
英君の会ですから英君酒造の代表取締役の望月裕祐(もちづきゆうすけ)さんが参加されて、お酒の説明をしていただきました。ではまず望月さんに登場してもらいましょう
下から取ったのでちょっとアップになってしまいましたが、大変お若く見えます。現在50歳で、蔵に戻って23年になるそうです。大ベテランですね。胸に武内さんが書いた沙良パンダのイラストの付いたシャツを着ています。
それでは武内さんにも登場してもらいましょうか
右の方が武内良さんです。最近はお酒の会の企画を色々やっておられるようですが、何が本業なのかは知りませんが、お酒の会には時々ご一緒させていただいております。
飲んだお酒の紹介に入る前に英君酒造のことをちょっとご紹介します。
英君酒造がある静岡県の由比町は山と海に挟まれた平地の少ない場所ですが、東海道の宿場町として古くから栄えていました場所です。蔵はその土地の山側にあり、創業は明治14年で現在130年ほどになるそうです。
仕込み水は蔵から山の方へ3km離れた桜野沢(この場所はどこだかわかりません)の湧水を蔵まで引き込んで使用しているそうです。この水は中軟水で、ほんの少しだけ鉄分があるので自作の噴霧装置とフィルターで除去して使っているとのことです。
徳川慶喜公は晩年、静岡で過ごされたのですが、地元では人気があったことから、英君という名前は、「英でた君主」という気持からつけたそうです。お酒に書かれている英君という文字は静岡に住む書道家に色々書いてもらった中から、皆で相談し、裕祐さんが選抜して決めたそうです。
裕祐さんは裕祐さんは5代目になるそうですが、山梨大学の微生物科を卒業された後、不二家に入社されチョコレートの製品開発をされていたという異色の経歴をお持ちの方です。最初は蔵を継ぐつもりはなかったのですが、弟さんたちが違う仕事についたために長男の裕祐さんが後を継いだそうです。それから23年間お酒造りを続けています。
お酒造りは杜氏の下に勉強すると同時に、工業技術支援センターの河村傳兵衛先生に就いて学んだそうで、昔でいう書生みたいな感じで、毎日静岡まで車で通ったそうです。随分と厳しく仕込まれましたそうです。
英君酒造には南部杜氏の古川靖憲さんがおられました。古川さんは裕祐さんが蔵に入った後、蔵に来られた方で、お酒造りについては自分の考え方を理解していただいて迎えたそうです。
その古川さんも22BYの造りを最後に退職されましたので、その後は古川さんの下で副杜氏をしていた粒来保彦(つぶらいやすひこ)が引き継ぎ、副杜氏には榛葉 武(しんばたけし)さんがなりました。粒来さんは裕祐さんとは同世代の社員なので、気安く話ができるので、蔵の中の雰囲気ががらりと変わったそうです。
なお榛葉武さんは開運の杜氏の榛葉農(みのる)さんのお兄さんで、豊さんは僕のfaceBook友の軍司さんの旦那様ということですから驚きです。
この体制になって蔵の中の風通しが大変良くなったそうです。蔵の人達が同じ目線で言いたいことが言えるようになったそうです。杜氏と副杜氏の2人は研究熱心で、もう一度原点に戻って、すべての作業を見直し、改良するようになったそうで、望月さんはお二人を全面的に信頼してやっているそうです。
社長の仕事で一番重要なのはお米の調達だけで、酒造りは基本的な方法を決めて、後は自由にアレンジして良いよと声をかけているそうです。その基本的な方向とは何でしょうか。はっきりお話を聞いたわけではないけど、次のことではないでしょうか
・ 香り高いお酒は作ららず、お料理を引き立てる酒を目指す
・ 香りの少ない静岡酵母を使う
(昔は香りの高いM310も使ったことがあり、金賞を受賞していたことがある)
・ お米は山田錦、雄町、五百万石と静岡産の誉富士とする
さてどんなお酒が飲めるか楽しみですが、それを紹介ししょう。飲んだお酒は下の写真でご覧ください。10種類のお酒を飲みました。
では飲んだお酒を簡単にご紹介します。価格はインターネットから取ったもので消費税込みですが、8%かどうかは不明です
1.英君大吟醸斗瓶取り暴君
このお酒は山田錦40%精米の大吟醸の袋搾り斗瓶取りの活性濁り酒です。瓶内発酵しているので、開栓時にお酒が噴き出すことがあるので、暴君となずけたそうです。
この時はあまり噴出さなかったので姫君?になってしまったかなというジョークも出ていました。飲んでみると、澱がきめ細かくザラザラ感がなく、クリーミーな味わいで、且つ後味がきれいですっと消えていくお酒でした。
こんなお酒は飲んだことがないので、望月さんにお聞きしたら、このお酒は出品を目的としたお酒のために斗瓶取りした後、静かに静置してオリが沈んだ後、出品酒として上澄みを取った残りのお酒だけを瓶に詰めたもので、1升瓶で20本しか取れないそうです。
ですから市販はしていなくて、このようなイベントの時に出しているお酒だそうです。このお酒は凄いです。飲む価値は大ありです。
2.吟醸袋吊り雫生
このお酒は五百万石55%精米の吟醸酒で、袋吊り雫酒の生酒で、アルコール添加していますが、無ろ過生原酒でアルコール度数は17.5%あります。この会の乾杯酒となりました。
袋吊りの限定酒で1升3740円だそうです。袋吊りなので旨みの丸みが柔らかく小さくので、飲んだ感じが軽く感じます。でものんた奥に少し辛みを感じるのは、アルコール添加の性でしょう。
3.純米吟醸 緑の英君 無ろ過生
このお酒はこの蔵の定番の純米吟醸無ろ過生原酒です。色によってお米の違いを表しています。
緑の英君は五百万石55%精米で、価格は1升3456円です。
②番と同じお酒の純米吟醸酒ですが、こちらの方が少し旨みの粒の大きさが大きい気がしました。でもさわやかですっきりした旨みです。酸味も少しあるあ感じでしたが、アルコール添加していないので、絡みはあまり感じませんでした。
酵母は静岡酵母HD-101です。
4.純米吟醸 橙の英君 無ろ過生
このお酒は3番のお酒の米違いで備前雄町55%精米です。価格は同じ1升3450円です。
口に含んだ時に柔らかさのある旨みを感じましたが、一番の違いは、飲んだ後の余韻に伸びを感じるところかな。いかにも雄町らしい味わいでした。
お酒をしっかり飲んだ後に飲む比べてみると、橙の雄町に手が伸びる思いがしました。今年は雄町サミットに出してみるかもとおっしゃっていましたので、楽しみです。
5.純米吟醸 紫の英君 無ろ過生
このお酒は紫の英君でお米は兵庫の山田錦55%精米の純米吟醸生原酒です。これも1升3450円です。このシリーズには1回火入れのお酒もあるようですが、価格は3250円と安くなるいみたいです
このお酒の旨みは今までの3種類に比較して、一番しっかりした旨みを感じましたが、香りも高くなり綺麗さも出ている気がしました。お酒の初心者には向いていると思います。
普通は山田錦が一番高いと思うのですが、お米が違っても価格が同じとは信じられません。これも英君流と言えるかもしれません。
6.純米吟醸 紫の英君 24BY
残念ながらこのお酒の写真と取るのを忘れてしまいました。5番のお酒と同じ瓶で24BYと思ってください。
このお酒は24BYの山田錦55%精米の純米吟醸の加水火入れしたものを1年間蔵で貯蔵したのもです。
口に含むと柔らかい旨みがフラットな感じで横に広がりながら奥に流れていきます。加水しても熟成した大人のお酒という感じですね
7.特別純米 袋吊り雫
このお酒は五百万石60%精米の特別純米酒の袋吊り雫酒です。普通はこのレベルのお酒の袋吊りの雫酒はやらないものですが、これをやったらどんなお酒になるんだろうという思いで造ったお酒だそうです。
2番のお酒より柔らかさを感じるお酒です。後味に少しだけ残り感があるけど、とてもおいしいお酒でした。このお酒が1升3078円とコストパフォーマンが良いお酒です。
望月さんのお言葉によると赤字のお酒だそうですが、一度この価格で出したので、価格を上げることはできないそうです。このお酒を見つけたら買いですね。
8.特別純米 誉富士 槽口詰め
このお酒は静岡県が開発した誉富士60%精米の純米酒の直汲みの生酒です。誉富士は山田錦の放射線照射処理したものを選抜して育成したもののようです。平成21年に正式に品種登録されたのですが、25BYでは静岡県の23の蔵が使用し始めています
口に含むと今までのお酒とは違った味わいで、旨みを塊で感じるのではなく、そのまま上あごの方に広がっていき、綺麗な後味がのこるお酒でした。なかなかいいバランスのお酒です。
このお酒の価格は3240円のようですが、数量限定です。
9.特別純米 誉富士
飲んだ感じは8番のお酒の旨みが何か一層だけ消えてしまった感じで、同じ酒ですかと言いたくなるくらいの差を感じましたが、決して悪いお酒ではありません。結構スイット飲めます。
軽くすっと飲むにはいいお酒なので、晩酌で飲むにはいいのかも。でも1升2800円はちょっと高めですね。
10.英君普通酒
このお酒はみつひかりという飯米65%精米の普通酒です。ですから、ある量の加水とアルコール添加がされて、2回火入れをしています。
地元ではよく飲まれているお酒ですが、東京にはほとんど出回っていないそうです。
ラベルが昔風ですね。飲んでみると今までとは違った香りがしました。望月さんの晩酌用のお酒のようですが、僕はもうちょっと上のお酒にしたいな。
以上で飲んだお酒の紹介は終わりますが、最後に望月さんに尊敬する杜氏はおられますかと聞いてみました。
当然昔の師匠の河村傳兵衛さんや開運の波瀬正吉さんが出るかなと思ったら、尊敬する人はいませんよとのお答えでした。でも若い杜氏さんには頑張っていると思う人はいるよと言われたので、聞いてみると、而今の大西さんと新政の佐藤さんの名前が出ました。狙いは違うけどわかるような気がします。
もう少し突っ込んでみようと、杉錦の杉井さんはどうですかと聞いてみると、杉井さんは高校の先輩だそうで、あの人は天才ですよというお言葉でした。静岡県には森本酒造の森井さんも凄い人で、お二人の酒造りを真似しようとは思っていないけど、凄い人で尊敬していますとの言葉を聞きました。
僕はその言葉を聞いて望月さんは酒造りに対するチャレンジ精神を持っているけど、心のぶれない人だなと思いました。その人が若い2人の杜氏と副杜氏と協力して、新しい酒造りを目指しているのですから、これからがどのように変わっていくか楽しみです。
最後に皆で撮った写真をつけておきましょう
最後に取っておきの写真をお見せしましょう。武内さんがリラックスして一人でお食事をしている姿です。左利きだったのですね
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